2020/09/24 11:40

30年以上前、私は中学2年の秋から半年ほど、不登校になりました。その間をフリースクールのような場所で過ごしました。

当時「フリースクール」というものは 私の周りにはなく、市の教育施設の1部屋が不登校の子どもに解放されていました。


その部屋は20畳くらいあったでしょうか。そこに長テーブルと椅子、マンガや雑誌、本、ボードゲームがありました。

ネモ同様に 出席、欠席、遅刻、早退一切自由(来たら出席扱い)。部屋で何をしても良いというスタイルです。

当時、そこに通っていたのは 中2の私と年齢の近い4人の女の子。

部屋では、付かず離れずの距離で 各々が自由に過ごし、お昼ご飯になるとテーブルをくっつけてお弁当を広げます。

そのときに、自宅で好きな音楽を録音したカセットテープを持参し 代わる代わる室内にあるカセットデッキにかけて、皆で聴きながらお弁当を食べるというのが恒例でした。

アニメソングを録音してくる子、海外の流行曲を録音してくる子、自分のピアノ演奏を録音してくる子…様々でした。

私達4人はキャーキャー騒ぐような関係ではなく、心にキズがある者同士、相手の様子を注意深く観察しながらの静かなものでしたが、私にはとても居心地の良い場所でした。

その後、4人全員がその場所から学校に戻りました。

数ヶ月のことでしたが、あの場所にいた時間は 私には本当に幸せで、学校に戻って辛くなったときに彼女たちの顔や 過ごした時間が支えになりました。

そんな私は、今、不登校児の母親です。

中2だった私の、唯一の幸せな場所によく似たネモに子どもは気が向くと通っています。

通い始めて1か月ほどして子どもには友達ができました。相手は1まわり以上年上。

1まわり以上年上の友達はね、一緒にゲームをしてくれる、ゲームが強いんだ、急に髪をバッサリ切ってきてビックリした…と話して聞かせてくれます。

その友達と遊ぶ約束をしたからと、子どもはネモに行きます。行けなくても、友達は怒らず待っていてくれます。


10月に市川に新しくネモが、もう1つできます。

心が疲れたときに雨宿りをする場所。いつも誰かが待っていてくれる場所。そういうの、いくらあったっていいですよね。