2020/10/29 00:37

日々新たな支援者の方から応援の言葉を頂き、活動の励みになっております。重ね重ね感謝申し上げます!ありがとうございます!秋もだいぶ深まってきましたね!平井では柚子が収穫期を迎えております。黄色い大きな柚子の実が山へ行く途中の道からよく見えていました。本当は写真をお見せしたいところだったのですが、撮るのを忘れてしまっていたので次回までに撮っておきます!

森林の機能

さて前回、日本の森林の概要についてご紹介しました。今回はその森林が持っている機能についてご紹介したいと思います。

森林の持つ機能とは、ある空間に存在する生物と環境の相互作用の中で生じている様々な働きのことです。例えば、ミミズは土を耕して植物の育ちやすい環境を作るという機能を持っています。また樹木は落葉することで、これらの土壌に栄養を供給するという機能を持っています。

ミミズの機能、落ち葉の機能

このような機能の中で特に人間の生活に役立つものを、生態系サービスと呼びます。例えば人工林は木材生産やそれに伴う温室効果ガスの固定などの生態系サービスを担っています。また、天然林には野生動物保全やレクリエーション機能などがあります。そしてこれら生態系サービスは森林の種類が変われば、それに伴って変化するのです。そのため、ある地域でどのような機能が必要とされているのかをしっかりと考慮し、最適な種類の森林を整備する必要がるのです。もしその設定を誤ってしまうと、住民が森林に期待する機能と実際の機能にズレが生じ、問題が発生してしまいます。

針葉樹人工林

針葉樹人工林の機能

 それでは生態系サービスについて少し詳しくご紹介したいと思います。まず針葉樹人工林の機能についてです。前回ご紹介したように、先人の途方もない苦労により広げられた人工林は、私達の生活に欠かせない機能を持っています。代表的なものが、木材生産です。特にスギ・ヒノキなどの針葉樹は真っ直ぐ伸びるうえに、比較的柔らかく加工がしやすいため、古くから建材をはじめ色々な用途に利用されてきました。そのため、これらの樹種は非常に深く我々の文化と結びついており、祭祀の際の道具から日常の小物に至るまであらゆるところで欠かせないものとなっています。

和歌山研究林官舎の階段 1階部分がヒノキ 2階部分がスギでできている
(手すりは広葉樹のケヤキ材)

研究林産の針葉樹材 スギ・ヒノキ・トガサワラなどが展示してある。左の模様が入ったものは絞り丸太と呼ばれ、天然のものは非常に珍しいものだった。その独特の模様から飾り柱などに用いられることが多い。興味のある方は北山丸太で検索すると面白いものが見れます。

また、この木材生産機能は温室効果ガスの抑制にもつながると考えられています。そのシステムを説明しているのが下の図です。ご存じの通り、樹木は二酸化炭素を吸収し自身の体を作っていきます。そのため、木材には二酸化炭素が取り込まれた状態となっており、木材を長く利用することで長期間、空気中の二酸化炭素を固定することになります。この二酸化炭素の固定機能は、若い木の方が高いので収穫期に入った木材はどんどん収穫し長期間利用できる製品にする一方、新しい苗を伐採跡地に植えることで、この機能を最大限利用することができるとされています。

樹木の二酸化炭素固定能

針葉樹人工林と天然林を比較すると、なんとなく天然林の方が地球に優しそうなイメージを持っていらっしゃる方も多いと思います。しかしこのように、針葉樹人工林も利用の仕方によっては環境問題の解決策になりうるのです。

針葉樹人工林の機能はもちろんこれだけではありません。適切に管理することで、水源林や防風林・防砂林としての機能も十分に果たすことが出来ますし、熊野古道のように美しい景観を形成することもできます。お近くの森林へ行くことがあったら、その森林はどのような目的で利用されているのか是非観察してみて下さい。もしかすると、あなたの知らない機能がまだまだたくさんあるかもしれません。


さて今回は針葉樹人工林の機能を紹介したので、次回は天然林の機能についてご紹介したいと思います。興味のある方は是非ご覧ください。