2022/04/13 14:16

「え? ご家族が障害を持っているわけでもないのに、支援しているんですか?」

随分な質問ですが(笑)本当によく聞かれます。この「福祉」という世界では、医療職以外で、当事者会を開いたり、啓発のイベントを開いたりしている人間は、障害に直結した人だらけなのです。息子が失語症、父が失語症、そういう人たちが、社会に関わる方法を手探りで探しながら、当事者同士、当事者家族同士で、地域でこつこつ活動している。何もかも自力、手弁当。そういう世界なのです。でも最近、私のように、何の縁もない人間が支援者側に立ち上がる光景が増えてきました。



「知ってしまった者の責任」という言葉があります。私は3年前、『知っといてぇや これが高次脳機能障害者やで』の編集を頼まれるまでは、高次脳機能障害も失語症も知りませんでした。知れば知るほど、社会的認知度の低さ、ケアの少なさに憤りを感じます。

失語症の人の中には「いやいや、ほっといて」とおっしゃる方もいます。でも、私は一人の人間として「あ、そうですか」とできない。無視できない。知らなかったことにできない。

私にできることと言えば、文章を書く仕事で得たスキルを啓発に活かすこと、あとは、ちょっぴり動画編集ができるので、オンラインイベント時に手伝ったり、意外と力持ちなので当事者会で椅子を運んだり、へたっぴだけど歌の伴奏でギターを弾いたり(笑)

なんでもいいから、役に立ちたい。そういう衝動で動いています。

今日紹介する人たちも、失語症の日を機会に知り合った方たちです。さあ、あなたも「知ってしまった者」の楽しい仲間になりませんか?



高次脳機能障害歴38年の小川伸一です。

17歳の時、スポーツ事故で高次脳機能障害になりました。頭が働かないので言いたいことが浮かんで来ません。障害の二次障害により自信もなくなり、人が怖くなってビクビクして生活していました。能力も1/5〜1/10位になりました。

障害のことを人に話したら、誰からも相手にされないし……と思い、普通の人のように振る舞っていました。話さなければ、普通の人に見えるからです。話すと、吃ったり、言葉に詰まったりして、ボロが出ます。なので、単語だけ、うなづくだけ。そうやって、30年以上、おとなしく過ごしてきました。

当然、人間関係も深いものとはならず、孤独に苦しみます。働くだけで精一杯!

もう限界がきて、障害を告白しました。勇気を出して告白しましたが、今度は差別を受けました。そして、ここ3年間は、合理的配慮を獲得するための戦いでした。高次脳機能障害の啓蒙活動で You Tube の配信もしました。

30年以上も人との交流を避けていましたが、健常だった頃のように、楽しく友達と話して過ごしたい。分かり合える友達もたくさん作りたい。その夢を実現するために、オンライン言語リハを始めました。自分の壁を取り払い、相手の懐に入っていく。会話訓練をすることで、会話を楽しみ、たくさんの人と交流をしたい。

17歳の時のように、友達と、楽しい人生を過ごしたいです。



森さんは、言語聴覚士の山川先生と一緒に登場します!なんと「失語症漫才」です!



僕は現在、リハビリモデルとして活動させていただいています。

発症当時死んでしまおうと思うくらい気分が落ち込んでいました。

その時に訪問リハをしてくれていた言語聴覚士の先生にドライブに誘われてついて行き、着いた先がリハビリの専門学校でした。

そこには僕と同じような障害を持った人たちがいて、一人不参加になったから急遽僕に講義に出て欲しいと誘われたのが最初でした。

それから活動は今も続いています。

その他にも失語症漫才(大好評)をやっており、いずれは全国へ進出したいと思っています。


倉谷さんは、昨日(4月12日)NPO法人Reジョブ大阪のFacebook配信に登場!


2020年3月、脳溢血の発症後に、失語症と高次脳機能障害の後遺症が残り、2年が過ぎました。

今のところの困っていることと、社会参加について述べたいと思います。

1困っていること

①人との交流で困ること

・1対1ではなく、3者以上の会話、特に雑談ができず、やや孤立感がある。途中で分からなくなった時に、早めに躊躇せず聞くことが大事だと思っております。

・突発的な対応で話すことに詰まる。特に説明が必要な時に伝えられないので、自分自身でイライラする傾向が散見されます。

②日常で、困ること

・九九や、引き算割り算の計算ができなく、コンビニ等で精算時にお釣り銭に戸惑います。

・日時・曜日が伝えられなくて困ってます。

③感情面

・些細なことで怒りやすく、特に身内への対応は、自分自身に甘えがあるので、克服するよう、注意を心がけてます。

・気が散りやすい。他の音が気になって集中できないことがある。

2社会参加について

失語症者による全国カラオケ大会を考えています。なぜこの企画を考えたかというと、出てこない言葉も、リズムに合わせると出てくることが分かってきたからです。

人との交流や、歌の歌詞からの言葉の勉強も楽しくなると思い、企画中です。


皆さんはじめまして。早野満紀子です。

岐阜県大垣市で生まれ育った28歳です。

3年前、25歳の時に未破裂脳動脈瘤が見つかり、手術をしましたが、高次脳機能障害が残りました。中でも失語症の症状が一番重く、他には注意障害と記憶障害があります。

現在は障害者雇用で転職活動を行い、昨年10月より会社員として働いています。

そして、失語症や高次脳機能障害を知ってもらうためにSNSで発信活動をしています。

今回の失語症の日2022のイベントでは、昨年4月に出場したミスコンテストについてお話をさせていただきます。

この失語症の日のイベントを通して、失語症でも登壇者ひとりひとり違うと思います。その上で失語症の難しさを知ってもらえればと思います。一人でも多くの方に失語症の存在を知ってもらえる機会となりますことを祈っております。よろしくお願いいたします!


素晴らしい人生を持つ彼らのことを知ってしまったあなた。1ミリでも良いので自分にできることしてみませんか?

そして、イベント当日は、彼らのお話を聞いてくださいね!