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湧口さんと出会ったのは、9年前の公益信託世田谷まちづくりファンドの審査会でした。まち中にある、地域の人々にとって想い入れのある木が伐採された時、それがただのごみのように処分されてしまう。もしこの木を材木として活用させてもらえたら、地域の人と第二の木の人生を感じられる活用ができるというプレゼンテーションを聞いて衝撃を覚えたことを記憶しています。
というのも、これまでみどりや風景づくりに関わる人や団体は、保全には声を上げることはあっても、伐採されてしまった木の活用について議論してきていなかったからです。木が伐採される背景には、経済活動の犠牲になるものもありますが、見た目より痛んでおり倒木する危険な状態のものも多いと聞きます。湧口さんに、公共の伐採樹木を活用する実績ができれば、きっとこうした考え方は広まっていくに違いないと思いました。
その後、大きな公園のリニューアル事業に関わる機会があり、湧口さんに伐採樹木を活用するための専門家として、市民と一緒にワークショップや苗木を採取する会、植樹の会、そして伐採した木を使って新しい施設の壁をみんなでつくるイベントなど、さまざまな切り口でいろいろな人が木に関わることができるアイデアや機会をいただき、そして確かな技術と信念をもって実践していただきました。
工事現場での苗木救出イベントにて
工事完了後の植樹イベントにて。救出した苗木を2年間育ててくれた子と
彼は、一年一年、活動の仕方を見直し、情報を発信しながら、有言実行で一歩一歩活動を進めてきています。今回のプロジェクトをクラウドファンディングで実現する過程で、湧口さんの思いや活動に触れて、同じ風景を見る仲間になる体験を少しでも多くの人にしてほしいと思います。
株式会社石塚計画デザイン事務所
共同代表 千葉晋也
新しい施設の壁を木のレンガでつくる、まち開きイベント
50樹種にも及ぶ色とりどりの木々でつくられたライブラリーが完成