2022/11/04 20:58

こんにちは、プロジェクト運営者のユグチヨシユキと申します。プロジェクトを支援してくださっている皆様、ありがとうございます! 本日は建物本体に先行して進めている屋外木材置場の整備工事の様子をご報告いたします。

道路から建物を挟んだ裏庭のスペースになりますが、こちらは屋外で行う作業やイベント(丸太を人力で製材する製材ワークショップなど)のためのスペース、そして天然乾燥を行う木材置き場として整備を進めています。

元は草っ原でしたが、木材を乾燥・保管するには下から湿気が立ち上る状態ではマズイのです。できるだけ乾燥した、濡れてもすぐ乾く、カラっとした場所にしなければなりません。

道路側に停めたミキサー車から管を伸ばして、生コンを圧送。

時間と共に締まっていくコンクリートを、機械とコテによって何度も押さえて、徐々になめらかにしていきます。

早朝からはじめて、夕方になっても、コテでの押さえ作業が続きます。おかげさまで、見事にキレイに仕上がりました。

都会はコンクリートばっかりで嫌だよね、なんて声を耳にすることもありますが、そんなことはないですよね。コンクリートもまた、自然から得られたものを工夫して、人の手の習熟があって、優れた性能を発揮して暮らしを支えてくれている素晴らしい素材です。

木や木材は、コンクリートに比べると明らかにポジティブに語られることの多い素材ですが、ただ木を扱っている、というだけでなにか上等なことをしているわけでもできているわけでもないと思っています。

街の木を木材にするの良いよね!と少しでも思ってくださった方には、同時に、街の木を木材にしてこなかったこれまでのあり方、活用方法(チップ等)や処分方法に関しても、連綿と工夫と努力を積み重ねてきた方々がいらっしゃるのだということを、同時に想起していただければと思います。

街の木を木材にしてみようというアイデアは、とにもかくにもそうすることが他の方法よりも上等なことだ、という盲目的な扇動によって実現するのではなく、冷静に、本当にそれで誰かを幸せにできるのか、投資に見合うのか、なにかの規制や制度や助成金がなかったとしても、皆がそれをしたいと思うようなことになれるのか? を見極めて、実行するかしないかを判断されなければなりません。

そうでなければ一過性の取り組み、徒花を咲かせてお終いの取り組みになってしまいます。間尺に合わない手間やコストとをかけて、木材にする合理性のない伐採木からベンチを作って「このベンチは◯◯の木で作られました」と銘板を貼ることは、お金さえかければ誰にでもできることなのです。

コンクリートが使われたり建売住宅がどんどん建つのと同じように、街の木を木材にする選択を自然な選択のひとつにするにはどうしたら良いか? その答えになり得る成果を提示しなければなりません。街の木で家具や建物を作れたかどうかではなく、街の木を木材にすることがいかにも自然な選択であった、これなら木材として活用しない手はないよね!と多くの人が思えるような結果をつくれたか否かにこそ、街の木を木材にする試みの成否はかかっているのです。

話が逸れましたが、コンクリートの工事が進む一方で、コンクリートが固まって荷重をかけられるようになったらすぐさま木材をそちらに動かすべく、屋内の道路側スペースにあった製材済み木材を、裏庭手前のスペースまで運ぶ作業を行いました。こちらも1日がかりですが、今月中にまた新たな木材が今以上に押し寄せてきてしまいます。

当面、年内が丸太の製材、そして別の場所からの移送と受け入れのピークですが、ここを乗り切り、建物の工事がスムーズにできるようにしなければなりません。ひたすらこつこつと、重いものを動かしては積み上げたり整理する作業が続きます。

フォークリフトを買えば良いのに、とよく言われますが、この取り組みの難しいところは、毎日、あるいは毎週、製材をしたり木材を動かしたりしているわけではないということにあります。買っても一年の大半は、置物になってしまうでしょう。

決まった業務を毎日遂行している形であれば、フォークリフトなど大きな機材や設備も導入しやすいし人も雇いやすいのですが、それが必要になる期間は限られます。製材や木材の移送、積み上げをした次の日には、樹木や緑地の現調であったり、提案であったり、木工作業であったり、工事であったり、設計であったり、プレゼンであったり、住民参加のイベントの考案や提案や実施であったりするのです。毎日、あるいは同時に、普通は違う業者が担っているような専門性のある仕事を遂行しなければならないということに、現時点の規模で行う街の木活用の難しさがあるように感じています。

明日は、南町田のまちライブラリーで講座?ワークショップ?を行います。

なにか木の話をして欲しい、ということだったのですが、ただお話を聴いていただくだけでなく、参加者みんなで手を動かして、ライブラリーを訪れる次の人が少しでもここを訪れたことが楽しくなるように、と考えました。

おかげさまで、満席+αの申し込みをいただいているとのことでした。

街の木を木材として活かすのは、街に木があって良かった!を増やす取り組み(都市林業)のひとつの側面に過ぎません。木があって楽しい!楽しくなった!はあらゆる側面から考え、工夫し、実現できることなので、今回のプロジェクトでできる新しい場所で、木工に限らずさまざまな人と交流し、一緒に取り組む機会を生み出せればと思います。