スローフード協会は、私たちの食とそれを取り巻くシステムをより良いものにするための世界的な草の根運動です。郷土に根付いた農産物や文化を失うことを始め、ファストライフ・ファストフードの台頭、食への関心の薄れを憂い、1989 年にイタリアで始まり、現在160カ国以上に広まっており、国際組織でもあります。スローフードは、「おいしい、きれい、ただしい(Good, Clean, Fair)食べ物をすべての人が享受できるように」をスローガンに、食を真ん中に置いた様々なプロジェクトを数々持っています 。日本スローフード協会は、日本各地で「食」に関わる、楽しく、美味しく、ソーシャルな様々なイベントやプロジェクトを企画しています。もしよければサイトもご覧いただけると嬉しいです。

プロジェクトページにお越しいただき、ありがとうございます。Slow Food Nipponの代表、渡邉めぐみといいます。

「スローフード」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。スローフードはもともと「おいしい・きれい・ただしい食をすべての人へ」をモットーに、1989年にイタリアで生まれた草の根運動の名称で、地球環境や食の未来を守りそだてようと、世界160カ国以上に広がり、様々な活動を展開しています。そして、私たち日本スローフード協会(通称Slow Food Nippon)は2016年に設立し、日本各地にスローフードの活動をしているグループが存在します。


スローフードでおこなっている様々な活動の根幹をなす、「味の箱船」というプロジェクトがあります。人間が暮らすこの地球には、絶滅の危機に瀕する野生生物がいるように、食の世界にも、消えてなくなってしまうかもしれない伝統食材があります。私たちは、そういった世界各地の伝統的な食文化や食材を登録していく「味の箱船」プロジェクトを1996年から進めています。

伝統かつ固有の在来品種の野菜や果物と加工食品、伝統漁法による魚介類など、世界中で5,500食材以上、日本では74食材が登録されています(2021年12月現在)。その多くは、各地域にしかない食材、このまま放っておいたら作る人も食べる人もいなくなってしまうような希少なものばかり。世界共通のガイドラインで選定、登録し、それらが完全に失われてしまわないように記録しておくことを目的としています。

日本全国の味の箱船

現在、74の味の箱船食材は、各地の生産者さんたちが守りつないでくださっていますが、高齢化によって担い手が不足していたり、「食べたことがない」「調理法がわからない」といった理由で、子どもたちの口に入る機会もなくなってきた、このままだと自分たちの代で終わってしまうかもしれない・・という、悲しみと焦りと嘆きが入り混じった声が、数多く寄せられるようになってきました。

日本の各地で、その土地の風土や歴史とともに脈々と受け継がれてきた食文化が、今にも途絶えてしまいそうになっている現実。

おじいちゃん、おばあちゃんたちが、大事に守ってきたふるさとの味、地元に帰ったら食べたいあの味、地域に愛されるあの店が、今、何もしなければ、本当になくなってしまうかもしれない瀬戸際。

今回の絵本の題材の一つである、静岡県西伊豆の「潮かつお」。

自分たちの子どもや孫たちに、生まれ育った地域の「おいしい」を、どうしたら受け継いでいくことができるのでしょう。どうしたら生産者の方々の思いを伝え、次世代の担い手を育てていくことができるのでしょう。

そこで、Slow Food Nipponの子育て世代メンバーから「絵本」をつくるアイデアが生まれました。

絵本を出版することは、「味の箱船」プロジェクトとしても、Slow Food Nipponの活動としても、新たな挑戦です。「味の箱船」食材をただ登録することに終わらず、子どもたちや次の世代に伝え、残していくために、ひとつ歩みを進めていこうとするものです。

各地域の生産者さんや、保存活動に取り組む人、料理人や作家さんやアーティスト、子育て中のお母さん・お父さんなど、地域のいろんな人たちを巻き込みながらつくるオリジナルの「絵本」づくり。

絵本が完成したら、子どもたちへの読み聞かせや食育ワークショップをしながら、自分と地域と地球につながる「おいしい」を学んだり味わったりできる。また、その食材にかかわっている生産者だけではなく、地域に住む人や教育機関、自治体などより多くの人たちと、食材の保護継承のために一緒に行動を起こしていけるのではないかと思っています。

4地域4食材のこと

今回は「味の箱船」に登録されている日本の74食材のうち、4地域の4食材を題材に、4冊の絵本をつくります。

・秋田県 ハタハタのしょっつる
・静岡県 西伊豆町の潮かつお
・長崎県 エタリの塩辛
・沖縄県 国頭村宜名真(くにがみそんぎなま)のフーヌイユ

制作について

今回絵を描く絵本作家やイラストレーター、画家などクリエイティブ陣もその土地(あるいは近郊)の人たちです。

できるだけ地域のことを大切に思い、描いて終わりではなく、この先もずっと一緒に「味の箱船」プロジェクトに関わっていける人たちにお願いしました。

私たちSlow Food Nipponのメンバーも、現地に赴き、生産者や地域の人たちと対話を重ね、アイデアを出し合い、ときに4地域合同のオンラインミーティングをして意見交換をしたりしました。

誰かの指示で描いたり、言葉を選ぶのではなく、関係するみんながそれぞれの思いを確認しながら、迷ったときには地域の声に耳を傾け、少しずつ、本当に少しずつ前に進み、かたちにしています。

なるべくたくさんの人が絵本づくりにかかわり、そのすべての人が絵本を自分事として捉えて伝えるんだという意識を持って制作しています。

ストーリー性も、絵のテイストも様々。4者4様の個性あふれる絵本が、各地から生まれていきます。

絵本を作ったからといって、たとえばすぐに、ハタハタの漁獲量が回復したり、しょっつるの消費量が増えるわけではありません。

けれども、この絵本を読んだ秋田の子どもたちが、ハタハタと秋田の結びつきを知り、しょっつるの存在を知り、スーパーでみかけたときに「あ!」と気づいたり、大人になって「あのときの・・!」とふと思い出してくれたら。沖縄の子どもたちが、「うみんちゅ(漁師)ってかっこいいな!」と憧れをもってくれたら、という願いを持っています。

また、この絵本をシリーズとして展開していくことで、他の地域の絵本を手に取る機会も増え、こどもたちが食の世界の多様性と広がりを知るきっかけづくりになることも期待しています。

分かりやすさや即効性はない本かもしれないけれど、ボディブローのようにじわじわと効いていくことを期待しているのです。

それに、自分の地域の食材が絵本になるって、誇らしいと思うんです。子どもたちが「わたしのふるさとの絵本」を通して、地域に住む人たちへの愛おしさ、自然の恵への感謝を育むことができればとも願っています。

ハタハタのしょっつるを題材にした絵本「ハタハタ、け」導入部(予定)

「フーヌイユ」の絵本の制作会議風景

エタリの塩辛を題材にした「エタリ トッタリ ツクッタリ」の一幕(予定)

絵本の制作は現在、8割ほどまで進んでいます。構成や台割はすでに出来上がっていて、各地域の絵本作家さんたちが物語に命を吹き込み、ページを完成していっている最中です。

そして、2022年2月26日、27日(土日)には、神戸で絵本の初お披露目会を行います。Slow Food Nipponと神戸市が共催する食のイベント「We Feed the Planet Japan 2022~みんなでつくる、おいしい食の交換会~」。2020年にも開催し、全国から地球を想う生産者や料理人、食の専門家たち、そしてスローフードの理念に共感する人々が集いました。「おいしい」を入口に、地球の抱える課題に気づき、日常から起こせるアクションにつなげていくイベントです。

2022年開催のこのイベントのなかで、絵本プロジェクトのコーナーを設けます。絵本の制作過程のドキュメント映像を観てもらったり、題材となった4食材をおいしく食べられる会を催したり、4地域にまつわる何かしらのワークショップを企画したり…。様々なコンテンツを予定しています。

この絵本プロジェクトは、日本財団の助成を受けています。

とはいえ、助成金だけで必要な費用を全て賄うことはできません。絵本制作における印刷・製本・編集・校正費用において、今回のクラウドファンディングでご協力をお願いいたします。また、クラウドファンディングでのご支援が多ければ多いほど、「初版」といわれる最初の印刷部数を増やすことができます。印刷部数が増えれば増えるほど、絵本として販売されていくときの収入が大きくなり、地域での食材の保護継承や次なる活動へ還元されていきます。

例えば、絵本を活用した食育ワークショップをやろうとか、商品パッケージをもっと魅力的にリニューアルしようとか。地域ごとに必要なことや優先順位は異なると思いますが、そういった、食材を守っていくための具体的な取り組みが継続できるよう、絵本の収益をあてていきたいと考えていきます。

また、今回の4つの絵本だけでなく、味の箱船食材に関する絵本を今後も制作していけるよう、資金源を作っていくと言う挑戦もしていきます。

■資金使途
・出版する絵本の印刷・製本・編集・校正費用
・リターン経費・送料
・CAMPFIRE手数料

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

スローフードの活動は、ややもすると“高尚なもの”、“お金や時間に余裕のある人がすること”、“ごく限られた一部の人に向けた活動”と、思われることがあります。しかし、本質は広くあまねく、この地球に住むすべての人に向けた活動です。食の世界でもスピードや効率が重視される現代社会のなかで、おいしく健康的に、環境に負荷を与えず、生産者が正当に評価を受ける社会を目指すもの。誰もが心地良いと思える食文化を次の世代につないでゆく活動をしています。

今回、日本財団の助成を受けるにあたって、一人も多くの人に届けることの大切さを知りました。

いくら理想を大上段に構えていても、知ってくれる人が少なければ社会の流れや動きを変えることはできません。今回このプロジェクトを通して制作する絵本は、出版販売物として、多くの人の手に届けたいと思っています。そのために、ハードカバーで上製本し、書店で取り扱うことができるバーコードの取得もしています。各地域のつながりやスローフードのネットワークを通じて、関係性の中販売していくことはもちろん、各地域の小さな書店やセレクトショップなどをまわって営業、販売していきたいと思っています。また、より多くの人に届けるためにも、大型書店や、書店だけでない様々なお店での取り扱いが広がっていくことを願っています。実際すでに、日本各地に50店舗以上を持つ書店さんと取り扱いのお話もはじめています。このクラウドファンディングのページを見て、興味を持ってくださる書店さんや本を置いてくださるお店の方がいらっしゃれば、是非お問い合わせをいただければ嬉しいです。

また、今回は自費出版ですが、今後、地域や私たちの思いに共感くださる出版社とタッグを組むことができれば、私たちには持ちえない高い営業力や広い人脈、出版のプロの知見をお借りし、より一層、一人でも多くの方々に絵本のことを知ってもらえるのではないだろうか、とも考えています。そして、そうなることが、今後のこのプロジェクトの大きな飛躍となることを願ってやみません。私たちの活動が多くの方のあたたかい理解と共感を得て、長期的に大きなうねりとなりますように。

地域のみなさんの思いを大切にしてくださり、広く世に届けてくださる皆さま、是非お力を貸してください。

今回のクラウドファンディングでみなさんの支援をいただきたいことはもちろんなのですが、一番の目的は、より多くの人に「味の箱船」そのものと「絵本プロジェクト」を知ってもらうこと。

今回題材となった食材以外にも、「味の箱船」食材は多数ありますし、今後も増やしていきたいと思っています。ゆくゆくは、登録されている食材の数だけ、絵本にしたい。そのためには、各地域でこのプロジェクトに“巻き込まれたい”と思う人たちの協力が必要です。

生産者、自治体、地域コーディネーター。「うちの地域にも味の箱船食材がある!うちの子に絵本を読ませたい」と思うお母さん、お父さんも。どんな人でも貢献できるプロジェクトです。是非、一緒に活動しませんか。絵本をつくりましょう。

皆さまの支援・応援・参加、どうぞよろしくお願いします。



レフェルヴェソンス シェフ 生江史伸さんより

地球上にさまざまな魚醤がありますが、ハタハタと塩から作られたしょっつるほど美しい魚醤は外にありません。

しかし今、資源の減少に伴い作り続けて行くことが危うくなってきているそうです。

そんな状況を変えるために必要な事は、
「見えないことを想像すること」
「当たり前と思われて来たことに疑問を持つこと」
「美しい調和を保つための思いやりを持つこと」
だと考えます。

それらを皆で考え、分かち合うために、絵本の製作に賛同します。

みなさんと力を合わせれば、きっと何かが起きる気がします。

一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパン(ESYJ)設立者、代表
堀口博子さんより

私たち、エディブル・スクールヤード・ジャパン(ESYJ)の実践校、東京都多摩市立愛和小学校において、8年目になる通称・エディブル授業は、「食べる」と「地域」を真ん中に、学校菜園を教室にしながら教科横断型の総合的な学習の時間で、何よりも子どもたちの生きる力を育むことを学習ゴールとして行われています。

その中でいつも感じることは、子どもたちは学びと自分がどう関わっているか、それがその子のやる気を引き出す鍵だということです。その接点が見つかると好奇心を全開に、たくさんの質問が湧き出てきて学ぶことが自分ごとになっていく、私たちはそうした、子どもたちの瞳がキラキラ輝く瞬間にたくさん立ち会ってきました。これは成績の良し悪しに全く関係なく、どの子にも起きる学びのギフトだと私たちは感じています。

とりわけ、子どもたちにとって「食べることを学ぶこと」はとても大事な学習です。給食はもちろんのこと、食を学ぶこと、何を食べるか、どう食べるかは、エディブル・スクールヤードの創立者であるアリス・ウォータースの言葉を借りると、「学校が教えるべき必修科目、ウェル•ビーング(よく生きる)の観点からもとても大事なこと」なのです。

小学校においては、3年生くらいから社会科の授業で地域について学び始めます。地域の自然、農業、漁業、林業、水がどこから来るのかなど自分と自分の住む地域について関心を持ち始めます。とりわけ、食べることが大好きな子どもたちにとっては、地域の美味しい食材は、格好の学習教材です。自分の住む町の、自分のルーツを誇りに感じること、それはひいては自己肯定感にもつながることでもあり、とても貴重な学びのリソースなのです。

もし、その地域の先人たちが守ってきた世界に誇れる食材のひとつずつに、こんな絵本があったなら、どれほど、子どもたちの好奇心と食欲をそそり、生きる力を育むことができるでしょう。放っておけばなくなっていってしまう、地域の風土と人の営みによって生み出された名産をなくしてしまうことは、子どもたちから大いなる学ぶ機会を失わせることにつながるのではないでしょうか? 

そうした意識を私たち大人が守っていくことも、子どもたちのよりよい未来につながる大事な役目だと思います。Slow Food Nipponの挑戦、「地球上から消えてしまうかもしれない日本の伝統食材を伝え残すための絵本をつくりたい」を応援します! 

サーキュラーエコノミー研究家 / サスティナブル・ビジネスアドバイザー / 映像クリエイター
安居昭博さんより

僕は2018年からスローフードの活動に関わらせていただいています。イタリア発祥の国際組織で、国内外にこれだけ幅広いネットワークを持ちながら、本質的にサスティナブルな食の取り組みを草の根で行なっているチームはなかなかないと思います。

今回は「味の箱船」としてリストアップされた存続が危ぶまれている日本の伝統食材を伝え残す絵本のプロジェクト。2021年12月現在「味の箱船」に登録されている74の伝統食材は、どれも初めて耳にする方が多いのではないでしょうか?一つひとつの食材を見ていくと知っていたはずの日本各地の新しい発見が得られ、クリエイティヴィティが刺激されます。子どものみならず大人も知的好奇心が刺激され、いっしょに楽しむことができるプロジェクトだと思います。スローフードの他の取り組みもぜひチェックされてみてください!僕も心から応援しています!

2022年1月5日 支援させていただきました!引き続き目標金額達成することを願っております!^^


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