この10年、犯罪の件数は減少し続けています(1)。
その一方で、一度犯罪を犯した出所者が十分に生活を立て直すことができず、再び罪を犯してしまう悪循環が発生しています。
わたしたちは、たとえ一度罪を犯したとしても、地域の中で適切なサポートを受け、居場所を見つけることができれば、もう一度やり直すことができると信じています。負の連鎖を断ち切り、出所者が次の一歩を踏み出すために何ができるのか、GoodMorningは「出所者の再犯を防ぐ社会の仕組み」について考えていきます。
(1) ”第5編 第2章 再犯・再非行の概況”, 平成30年版 犯罪白書, 法務省, 2018,
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/n65_2_5_2_1_1.html
減る犯罪、増える再犯者率
犯罪の総件数は年々減少傾向にあります。しかし、検挙される人のうち、複数回目の検挙である再犯者の割合は、年々高まっており、犯罪の総件数における再犯者率は50%近くなっています(1)。刑事政策において、出所者の社会復帰を実現し、再犯を防止することは喫緊の課題となっています。
「しごと」がない、「すまい」がない
出所後、自分の力で「すまい」や「しごと」を見つけて、「普通の生活」を取り戻すのは容易なことではありません。実際に、再犯時に無職の人は全体の72.3%、住所不定者は21.9%に上り、初犯者よりその割合が多くなっています(2)。
近年、経済的な困窮ゆえに、万引きなどに追い込まれ、軽犯罪を繰り返して検挙される高齢者も増えています(3)。また、薬物依存症に苦しむ人、障がいを抱えた人や高齢者など医療や福祉的支援を必要としている人もいます(4)。様々な要因が複雑に絡まりあっていますが、再び犯罪や非行を犯してしまう人の多くは社会的に不安定な立場におかれていて、負の連鎖を抜け出せずにいます。その連鎖を断ち切るためには、社会で支える更生保護の仕組みが必要です。
(2) 初犯者のうち無職者の割合は全体の64.2%、住所不定者の割合は13.1%である。(法務省, 2018)
(3) ”第7編 第3章 高齢者犯罪の動向等”, 平成30年版 犯罪白書, 法務省, 2018,
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/n65_2_7_3_1_4.html
(4) ”第7編 第3章 更生に向けた民間協力と多機関連携”, 平成29年版 犯罪白書, 法務省, 2017,
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_7_3_1_3.html
出所者を地域で支える仕組み
出所後の不安定な生活から、また犯罪を犯してしまう悪循環を断ち切るために、公的機関と民間、地域のボランティアの方々が連携し、出所者の「すまい」や「しごと」などの生活の基盤を支援しています。
また生活の支援に加えて、地域の更生保護ボランティアを中心に出所者の居場所づくりや地域社会との橋渡しの活動が行われています。さらには、地域で犯罪や非行を予防する活動にも積極的に取り組んでいます。
一度は罪を犯した人も、いずれは地域に戻って生活をしていきます。誰もが安心して暮らせる社会のために、出所者に寄り添う全国のプレイヤーと共に、GoodMorningは次の一歩を踏み出せる社会をつくっていきます。