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2020年、性犯罪に関する刑法改正が求められている理由

2017年6月、性犯罪に関する刑法が110年ぶりに大幅改定されました。しかし、改正後もなお、「同意のない性行為をした加害者が処罰されない」「13歳以上の子どもに対する性行為は成人と同じように扱われる」など多くの課題が残り、2020年の刑法見直し実現に向けて、議論が盛り上がっています。

内閣府の調査によると、女性の13人に1人が「無理やりに性交をされたことがある」と答えており、安心して暮らせる社会をつくるための身近な問題です(1)。

日本の性犯罪に関する法律のどこに問題があるのでしょうか?2020年に性犯罪に関する刑法の見直しが必要とされている理由について考えていきます。

(1)内閣府男女共同参画局 男女間における暴力に関する調査(平成29年度調査)
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h29_boryoku_cyousa.html

性犯罪に関する刑法

性犯罪に関する刑罰は、刑法によって決まっています。2017年、被害者団体や女性団体からの強い働きかけもあり、法定刑の厳罰化など、明治40年の刑法制定以来初めての「性犯罪に関する刑法」の大幅な改正が実現しました。この2017年の刑法改正は、制定された明治時代からほとんど維持されてきた刑法でさえ、私たちが「おかしい」と声をあげることにより、変えることができるということを証明しました。

しかし、性犯罪に対する無罪判決が相次ぐなど、まだ多くの課題が残されています。2017年の改正時に「3年後に必要があれば刑法は再改正を検討する」という旨が附則に記載されたことから、2020年に刑法の見直しが実現されるか注目を集めています(2)。

(2)平成二十九年法律第七十二号 刑法の一部を改正する法律 第九条
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=429AC0000000072&openerCode=1

「暴行」「脅迫」がないと認められない性被害

日本では、性犯罪に関して、罪が成立するのに要求されるハードル・要件が非常に高いままとなっています。それは、刑法の規定に強制性交等罪は「暴行」「脅迫」、準強制性交等罪は「心神喪失」「抗拒不能」が起訴の要件としてそのまま残されているためです。

同意のない性行為をされたことが明らかでも、「暴行」「抗拒不能」などの要件を証明しない限り、加害者は罪に問われません。そのため、警察に届けたとしても約6割が不起訴となる(3)など、未だに性被害にあっても泣き寝入りをせざるを得ない人が多くいます。

一方、カナダ・イギリスなど多くの国では、「”NO MEANS NO “POLICY(NOは拒絶を意味する)」と呼ばれる、意に反する性行為が広く処罰される法律がスタンダードとなっています。日本の刑法で必要とされている要件は撤廃され、相手の同意がないまま、相手が拒絶しているのに性行為をすること自体(不同意性交)が犯罪とされています。

(3)検察統計調査 被疑事件の罪名別起訴人員,不起訴人員及び起訴率の累年比較(2018年)

性交同意年齢と子どもに対する性行為に関する刑罰

日本では、性交同意年齢は13歳で、他の先進諸国と比較すると低年齢です。性交同意年齢とは、性行為の同意能力があるとみなされる年齢の下限であり、性行為がどのような行為かを理解し、自分が性行為をしたいか、したくないかを判断できる年齢とされています。

国連は2008年に日本に対し、性的同意年齢の引き上げを勧告する所見を採択しています(4)が、明治時代に決まった13歳という年齢は、2017年の刑法改正では変更されませんでした。

また、2017年の法改正では、監護者(保護者など)によるわいせつ行為・性交等は、子どもの同意の有無を問わず犯罪となりましたが、教師や家庭教師、コーチ、施設関係者など、子どもを保護・指導する立場の者によるわいせつ行為・性交等は対象となっていません。

諸外国では18歳未満の子どもに対し、大人が影響力を行使したり、未熟な状況を利用して、性行為をする場合を犯罪としています。立場や権力関係を利用した未成年との性行為は、同意の有無を問わず犯罪とするべきだという声が強くあります。

(4) 国連 自由権規約委員会 日本第5回定期報告
https://undocs.org/CCPR/C/JPN/CO/5

2020年、性犯罪の刑法改正なるか

内閣府の調査によると、日本において、女性の13人に1人、男性の67人に1人が無理やり性交された経験があると答えています(5)。一方、2018年の警察が把握した事件数(認知件数)は1,307件となっており、これは警察が把握した事件数が想定事件数の約0.03%に留まっていると推定できます(6)。被害に遭っても、警察に届けづらい環境があると言えます。

また、警察に届けたとしても約6割が不起訴となる現状もあります。2018年、起訴件数は492件・不起訴件数760件 起訴率は39.3%となっています(7)。起訴率が低いことから、法改正後も実態に変化がないことも指摘されています。

GoodMorningは誰もが尊厳を守られる社会のために、全ての性被害者が救われる法制度を目指し、活動しているプロジェクトを応援していきます。

(5)内閣府男女共同参画局 男女間における暴力に関する調査(平成29年度調査)
(6)犯罪統計資料(平成30年1~12月犯罪統計【確定値】 訂正版)
(7)検察統計調査 被疑事件の罪名別起訴人員,不起訴人員及び起訴率の累年比較(2018年)

性被害の多くは「知っている人」から行われている

小川 たまか

ライター/一般社団法人Springスタッフ

内閣府調査(H29)によれば、「無理やり性交された経験」のある人のうち、相手が「全く知らない人」と答えたのは1割程度。性被害の多くは、パートナーや職場や学校の関係者、家族、親戚といった「知っている人」から行われていることは、あまり知られていません。そして暴行・脅迫がなくても抵抗できないことがある被害者側の現実が、司法には反映されていません。改正見直しのチャンスがある今年、世論が高まることを期待します。

今こそ、時代遅れの刑法を改正するチャンス

伊藤 和子

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

無理やり他人に性行為をして踏みにじっても、それだけでは加害者は処罰させない。それが、今の日本の法制度です。どれだけ多くの人が沈黙をさせられ、悔しい思いを抱え、周囲の無理解に苦しんできたでしょう。今こそ、「暴行」「脅迫」等の厳しい要件を被害者に課す、時代遅れの刑法を改正するチャンスです。世論の後押しがないと法律は変わりません。是非、皆さんの力を貸してください。みんなが安心でき、被害者が守られる社会のために。

YOUR ACTIONS

今すぐできること。クラウドファンディングを通じて、課題解決に参加しませんか?

GoodMorning スタッフより

2020年の性犯罪に関する刑法見直し実現に向けて、ロビイングや署名で法制度を変えようと活動されている団体の支援を募集しています。
また、「性的同意の概念」を知ってもらい世論の関心を高めようと活動している一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクションの皆さんのプロジェクトもあります。
みなさんにも全ての性被害者が救われる法制度を実現するためにできることがあります。社会変革に最前線で取り組む団体を支援して、今より良い社会を一緒につくりませんか?

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