2020/12/14 23:01

 あたたかなご支援を頂きました。お礼申し上げます。日本聴導犬協会のみんな、とっても喜んでます。

 ■候補犬れお姫のウキウキレポート:「日本聴導犬協会の朝から夜まで」

 皆様はじめまして。アタシは「れお姫」っていうの。でもみんなからは「れおちゃん」って呼ばれてるわ。男の子みたいな名前でしょ? アタシの相棒(世話役)の学院生Kさんにも一度「れお君」って呼ばれたことがあるの。ほんとに失礼よね!

  まずはアタシの自己紹介からね。みてみて!! 上の写真! これがアタシ。垂れ耳がチャームポイントなの。かわいいでしょ? アタシは沖縄の宮古島から来たの。海がとってもきれいな島で、砂浜をかけまわるのが大好きだったな。飼い主さんがいるような、いないような飼われ方だったみたい。あーあ、久しぶりに海に行きたくなっちゃった。長野は海なし県だからなかなか行けなくて残念。それと、アタシ、生卵を殻をバラバラにしねいで中身だけ食べる特技があるの。スッタフさんは「ねぇ、れおちゃん、もしかしたら、海で生卵、鳥さんか亀さんかのを、食べてたんじゃない?」。うたがい深い顔でアタシを覗き込むけど「記憶にありません」。ママが教えてくれたのかもね。

  じゃあ、これから協会での1日について紹介するわね。アタシたち夜はね、ユーザーさんが泊まる部屋が空いているときは、アタシたちワンズとお泊り担当のスタッフさん一緒に寝てるの。朝は、きちんと座った子から外に出られるの。まず朝は、協会の中にあるドッグランでリフレッシュ。 みんなと一緒に、思いっきり走るの。アタシは走るより、地面に穴を掘るのが大好きなのに、見つかると、スタッフさんとか学院生さんに汚れるからって、いつも止められるのよね。

 リフレッシュでは走り回るのはもちろん、リコール(呼び戻し)の訓練もするの。スタッフさんが犬笛という、音域の幅を変えられる笛を遣って、とっても高い音でアタシたちを呼ぶ練習よ。聴導犬は耳の不自由な方に生活で必要な音を報せるんだけど、聴覚に障害のある方の中にはまったく声が出せない方もいるの。ユーザーさんと離れてしまったときに、アタシたちを呼び戻す連中よ。それにね、協会で火災なんかがあった時には、犬笛を使って安全な場所までアタシたちを一カ所に集めなくてはならないでしょ。聴導犬や介助犬の若い候補犬、10数頭はソーシャライザーと呼ばれるボランティアさんの家で社会化してもらっているけど、協会内には引退した先輩犬やPR犬。キャリアチェンジ犬、訓練に入った候補犬など、いつも施設内にはいつも30頭ちかいワンズがいるので、毎日練習しているのよ。

  その後は、相棒さんと歩行練習。歩き出す時や曲がるときは太ももを2回ポンポンとたたいて合図をするの。アタシ、リードでつなげられるのがあまり好きじゃないから、ほんと歩行訓練はあまりやりたくないけど、頑張って歩けばおいしいご褒美がもらえるのよ。

そのあとは待ちに待った、朝ごはん。

 協会ではね、フードに鰹節スープ(天然のアミノサプリなんだって)をかけて、生野菜のスムージーと手作りヨーグルト。素焼きの魚をトッピングしたものを食べているの。とってもおいしそうでしょ! アタシのお気に入りはやっぱり焼きサンマかな...。魚やお肉はね、業者さんだけが買える特価で大量買いの通販で買っているんだって。

  ごはんを食べた後は、ケアタイム! 中性水で濡らしたガーゼや日本手ぬぐいを使って鼻の上、お口周り、歯茎や歯をやさしく拭いてもらうの。これがとっても苦手。でもこれをやらないと歯石がたまって、内臓の病気にもつながるので、とっても大事なのよ。あと、アタシのように垂れ耳の子は、耳の中が蒸れやすくて匂うことがあるから、特別な液を耳にシュッとスプレーしてきれいにするの。それを人の手で拭くと、手の菌がはいっちゃうから、ブルブルして乾かすのよ。

 ぜんちゃんのようなシーズーは、目が大きくて出っ張っているので、人と同じようにアイボンで目の汚れを洗い流すのも眼病予防なの。

  ケアが終わったわ。次は聴導犬の訓練についてお話しするね!

 候補犬の訓練は、毎日行われます。聴導犬の役割は、生活に必要な音を教えること。盲導犬や介助犬とは違って、ユーザーさんに指示されて動くのではなく、犬自身が「この音は教える音なのか、教えない音なのか。どうやって教えるのか」なんて、アタシたちが考えて動かなければならないの。だからどんな犬でも聴導犬になれるのではなくて、適性のある子を見極めることが大切になるわね。

  特に、タイマーの音は基本なので、教える訓練の様子を説明するね。

 まず、タイマーの近くでごほうびをあげてタイマーの場所を教えます。そしてタイマーをセットして、離れた場所に座ってじっと待ちます。タイマーがなって、犬がタッチをしてくれたらごほうびをあげます。「なに?」と両手を開いて犬の後をついて行き、音源まで導くことが出来たら、ごほうびをまたあげてたくさん褒めてあげます。その繰り返すを、毎日繰り返して、「ぽ戸がしたらタッチして教えると褒められる」と、アタシたちに刷り込んでいくの。

 写真は聴導犬ももちゃんが音を教えるためにタッチをしているところなの。ちなみにアタシは訓練の時にごほうびが食べたくてバタバタしちゃうの。それに、いろいろな物が怖いってこともある。だから聴導犬には向いていないって言われちゃった。今、アタシの家族になってくれる新・家族を募集しているのよ。一生幸せに暮らせるように新しい家族の一員として迎え入れてくれると嬉しいな。

  アタシたちが毎日協会で楽しく過ごせているのも応援してくださっている皆様のおかげです。これからも日本聴導犬協会の応援よろしくお願いします!!