前回、衣装は織りあげるところから始めたことを書きました。白龍は、白いのですが、青龍は藍色に染め上げられています。本来は染めた糸を織機にかけるのですが、織っている途中でシナリオが変更になったので、織り上げた布を染めることにしました。染めをお願いしたのは、京都高尾にある栗山工房さん。こちらは1952年に設立され、京友禅と沖縄の紅型を融合させた京紅型を生み出された工房です。青龍の衣装は、日本の伝統色である藍色にしたいと考えていました。お伝えすると色見本をいくつか観せてくださり、そこから選ぶことにしました。それから数日…。仕上がってきた布地を目にしたときには、あまりにも美しい仕上がりに、小さな色見本だけではわからなかった感動を覚えました。夏休みのブラウリオ・アルバレスと南江祐生も栗山工房を訪ねました。すべてが手作業。型を彫り、生地に型を置いて、糊をおき、染めていく。その後は、水洗いして、乾燥して…すべての工程を丁寧に説明を受けながら見学をさせてくださいました。日本の文化は、分業の上で成り立ってきました。今は、生地にのせる糊をつくる工場も無くなって困っているという話をされていました。ひとつのものを創り上げるために多くの人たちの手が入り、素晴らしいものを創り上げてきた歴史が日本にはあります。その尊く受け継がれてきた歴史を私たちが丁寧に受け継いでいくことが急務なのではないかと感じた時でした。南江千代