前回紹介したナンズビレッジが車で移動される方にとって下田の表玄関なら、今回ご紹介する「時計台フロント」は、電車でいらっしゃる方にとっての表玄関的存在です。伊豆急下田駅の開通(昭和36年)と同時に創業した、おみやげもの屋さんと食事処を併設する、時計台が目印のお店です。お父さまから受け継いだ現オーナーの長池茂さんは、歴史を感じさせる建物の温かみを残しつつ、現代にフィットするクリーンで洗練された店舗デザインに昨年リニューアル。店内に並ぶ商品も、内容の充実はもちろん、デザインの力を感じる逸品がたくさん並び、彼のセンスを感じます。そのこだわりは食事処にも貫かれていて、創業当時から継ぎ足しているタレでいただく金目鯛の煮付け、名物あじの姿寿司、ふのりとサザエ、地海苔をトッピングした下田ブランド認定の下田カレーうどんなど、レトロな空間でいただけます。旅行客が激減し、大打撃を受けながらも、前を向いている長池さんの言葉をお届けします。ーーコロナの影響について「3月から昨対比4割くらいの減少率で悪化。4月から食堂は完全休業しています。休業要請を受けた飲食店、宿泊業、そこにかかわる生産者も大変だと思いますが、実は伊豆半島の各ホテルやお土産店が休業をしたため、観光土産の卸業者が在庫を抱え大きな負担となっていることはあまり知られていないと思います。業者によっては返品額が何千万~億というところもあるほどです。もちろんこの時期にお土産を買う人などおらず、お土産店も大打撃となっています。これまでお世話になった卸業者さんと何かできることはないかと、伊東と西伊豆にある製造卸業者2社と下田にある会社と4社でテレビ電話を使い「互いに協力をしよう」と話し合いなどをして情報を共有しています。当社では返品を減らすという思いから30%OFFなどをして営業を行い、またコロナ対策専用販売ページを作成しました。しかし当社のような小さな小売店だけでは対応しきれず、そのような在庫に対応できるサイトを探すなど行っています。下田市は4/27~5/6GWの期間、休業要請が出されましたが、売店は要請に入っていませんでした。しかし、下田の玄関口として開けておくことが果たして良いのか・・・。悩んだ結果、利用者と従業員、近隣地域の安全・安心な環境を守るため、臨時休業としました」ーー現在の営業状況、そしてこれから「飲食店のほうは、完全休業(4/6~5/20)状況によっては延長する予定です。売店については、完全休業(4/29~5/6)5/7から営業再開を再開しています。まだまだ卸業者さんたちの在庫は多く、当社では引き続き割引販売を行い営業しています。営業再開については、6月中旬、もしくは7月までは休業の予定です。従業員やお客さまの感染を防止するための準備を引き続き整えます」ーー業者さんを守る。自分たちを守る。「売上確保と卸業者の返品を減らすため、割引販売やコロナ対策専用販売HPを作成しました。https://front-smd.stores.jpこれまでできなかった店内レイアウトの変更や掃除、業務効率化の検討、観光土産だけのイメージが強いので、父の日、母の日ギフトなど地元向けにもアピールするためセットを作りました。また時間が出来たことによりこれまで企画で止まっていたことを、動き始めることができています」ーー「辞める」選択はないけれど「基本は「辞める」という選択肢はありません。しかし取引先、従業員、関係者に迷惑がかかる前に、辞めるという覚悟はしています。特に今は計画通り進んでいるかのラインを明確にして守りをしっかりやりながら、次のステップを踏むということを意識しています」 ーーコロナが教えてくれたことはたくさんある「本当に苦しい日々を送っているなかで、お客様からメール・手紙・電話で応援メッセージをくれるお客様がいて、大変励まされました。また、従業員が休業中にもかかわらず手伝いにきてくれて、家で手作りマスクを作り、お客様に差し上げてくださいと持ってきてくれたり、ネット注文のお客様へは手書きの手紙を書いてくれたりと、スタッフのみなが、こんなにもお客様と会社を大事に思ってくれていることを知り、ものすごく嬉しかったです。いいチームだなって、改めて思います。スタッフの頑張りのおかげで、お客様との関係が深くなったとも感じています」ーー下田の玄関口としての役割をこれからも 「これまでと変わらず「下田の玄関口」として、お客様を笑顔で迎え入れ下田の町へ送りだしたい。声をかけてくれたお客様や仲間に改めてお礼を言いたい。決意新たに従業員みんなで全体写真を撮りたいと思います。また新たな企画もどんどん打ち出していきたいと思います」ーー支援してくださったみなさまへのメッセージ「支援をくださった皆様の中にも、新型コロナウィルスの影響によりいろいろなご苦労があるかと思います。そのような中で、下田やお店を想い応援してくださり、本当に感謝しています。私達も笑顔で迎え入れる体制をしっかりと整え頑張りますので、収束を迎えましたら、是非下田へ足を運んでいただけたら嬉しいです」加盟店時計台フロント