こんにちは。連休でお時間のある時に読んで頂けましたら、嬉しいです。金襴と言う織物についてお話しさせてください。【金襴とはなんぞや?】昭和40年代以前の生まれの方なら、覚えているでしょうか?童謡「花嫁人形」の歌の冒頭を。「きんらんどんすの帯しめながら花嫁御料はなぜ泣くのだろ~」と言う歌詞です。(*脚注に参考アリ)この「きんらんどんす」が、正に西陣織金襴生地=八卦チーフに使用する生地です。弊社は、京都の加地金襴さんにお願いして、特別に弊社で使用するわずかな用尺を織って頂きます。加地金襴さんとは、かれこれ4年ほどのお付き合いになります。「僧侶の袈裟を織っている鈴木社長をご紹介しますよ」と、ある方から言って頂いたのが始まりです。とは言え、弊社はスーツ屋。最初は、とても相手にして頂けないのではないか? と、恐る恐るお近づきになって頂きました。会社をお伺いして生地を見せて頂くやいなや、私はたちまち金襴生地の虜になりました。そして、何とかこの生地をスーツ屋として使用させては頂けないだろうか?と、考えました。しかしデリケートな生地なので、スーツにそのまま使うことはやめよう(そもそも高額過ぎる)~じゃあ、どうすれば…??? そんな中、様々な素材で手作りのスーツアクセサリーを制作しているファクトリーKURAの太田綾乃さんと出会いました。そして、結びつきました!かなり固い生地なのですが、金襴と言う生地で、ポケットチーフとラペルピンを作って頂けませんか?唐突なお願いでしたが、綾乃さんは心よく引き受けてくださいました。でも…生地がしっかりしていて固いので、加工するのは至難のワザなのだそうです。恐らく、指も痛めながら作ってくださっていることと思います。*金襴は、絹・金糸・金箔で織った生地です。天皇や貴族、高位の僧侶のみが愛用していた生地でした。1千年の宮廷文化に育まれた「特別感」もさることながら、織り上がるまでの道のりに私は感銘を受けています。その道のりは、多岐にわたっています;①<意匠図作成>「図案屋」がデザインし↓②<織物データ作成>「紋図屋」が設計図を描き↓③<配色>配色職人が色を決め↓④<仕入れ>配色に従って「生糸屋」が生糸を仕入れ「金糸屋」が金糸を仕入れ「金箔屋」が金箔を仕入れます↓⑤<糸染め>配色に必要な糸染めを「染色屋」が行います↓⑥<糸繰り>染め上がった糸をほぐし、糸枠に巻き取ります↓⑦<整経>「整経屋」が3千本~8千本の縦糸を一旦大きなドラムに巻き取り、更に織り機用の筒に巻き取ります↓⑧<たて継ぎ>縦糸を一本一本丁寧につなぎ合わせ、織り機にセットします↓⑨<緯巻き(ぬきまき)>ミシンで言うボビン(菅)にヨコ糸を巻きつけケース(杼)にセットします↓⑩<整織>②と③の設計図と配色指示に基づき、ヨコ糸に金糸・金箔を使用して織り上げます↓⑪<検品>織りあがった生地を専門の職人が検品します。検品を通らなかった生地は手直し、それでも基準を満たさない生地は一から織り直します必要に応じて生地裏の処理をを行い、用途に応じて糊張りの加工を施します↓織り上がり織り上がるまでには、全11の工程と7つもの専門業者とそれに携わる専門の職人が存在します。この技術と技量の結集が金襴なのです。*金襴生地を目の当たりにすると、重低音がハラに響いてくるようなパワーを感じます。まさに、身につける「パワースポット」。いにしえの貴族たちも、このパワーを得るために金襴を纏っていたのではないでしょうか?これら全てを包含して「文化」として育まれ受け継がれてきたロマンをお伝えしたい、と心から思っています。千年の文化・技術・技量の「賜物」の持つエネルギーを身につけることによって、現代に生きる私たちもチカラの源にしていきたいですね。*童謡「花嫁人形」賠償千恵子さんが歌っている動画がありましたので、ご参考まで^^https://www.youtube.com/watch?v=4jxTOlzcOPY