皆様へ日本はもう夏ですね。北タイは真夏が終わり雨季に入りました。毎日、スコールがあります。山は茶色から彩が変わって新緑が美しいです。撮影はまだまだ続いています。来週にはカレン・エレファントホームでは田植えを行う予定。村人たち総出で行います。田植えの側ではドドとカムンがのんびりと草を食べている風景が見られるのではないかと思います。撮影が終わったらまた報告します。ドキュメンタリーですから何が起こるかわからない。予期しないことも多々あってその度に出動して撮影を行なっています。撮影はまだ道半ば、映画の中の登場人物/象キャンプのオーナーが病気で亡くなることがありました。残された象たちと大きな土地。巨額の遺産です。遺産をめぐる争いが勃発。映画を撮り始めて最初に思ったことが「象はお金」です。その言葉通りお金は人を狂わせる。この結末はどうなるのか。今もフォロー中です。撮影を続けていると人新生(人類の活動が、かつての小惑星の衝突や火山の大噴火に匹敵するような地質学的な変化を地球に刻み込んでいることを表わす新造語。)の時代だと実感します。象たちを守りたくても象たちが住む森がない。私たちが撮影している村から象を保護しているコミュニティーフォーレスト(市民の森)まで20キロほどあります。象たちがイベントで村戻ってきたことありました。イベント終了後、コミュニティーフォーレスト(市民の森)まで帰るのですが、その道のりを象たちと共に歩きました。そこで目にしたのはまさしく人新生です。山間を歩くのですが、丘陵は全て丸裸。まるで砂漠の中を象が歩いている。タイは開発のためにこの100年で75%以上も森を消失しています。象が住む世界はどんどん狭まり人間との衝突も起きています。その森の消失は人間の営みにまで大きく影響しています。水不足です。本来、撮影地は山間部で水が豊富なはずですが、保水する木がない。象を通して様々なことが見えてきます。また報告します。奥野安彦