AN5740は24時間時計です。以前パイロットウォッチTYPE A-17aをMakuakeにて紹介させていただいた際にも「24時間時計パイロットウオッチが生まれた背景」をお伝えさせていただきました。
今回も同じ内容をレポートさせていただき24時間時計に慣れしんでいただければと思います。
24時間時計がパイロットナビゲーションウオッチが生まれた背景には、航空機の発達により夜でも雨でも出撃可能な全天候型戦闘機の出現もありますが、軍では一日24時間を通して2400式の時間呼称を使っている所にあります。
午後1時であれば”1300時”というように午後12時以降は1200を足してを足す必要があり、暗算による、間違いや時間を把握するまでに時間がかかるリスクがともないました。そこで軍からの指令時間表示を直接ダイヤルから読める24時間表示のダイヤルを持つ時計が作られる事になりました。
24時間時計を製作するにあたり1946年、アメリカ陸軍に属していた航空隊心理学チームでは、2400時間表示システムに慣れている現役軍人62人と数学に学ぶ高校生100人をを対象に、複数文字盤デザインによる視認性実験を行いました。12時間表示5種類と24時間時計6種類のデザインの時計の読み取りスピードと誤認率の比較検討をする為でした。
航空隊心理学チーム実験結果を抜粋したものです。
1.軍の時間表示システム(普通の12時間表示システムの生活の場合とは異なります)にとっては、12時間表示の最も優れたダイヤルに比べても24時間表示ダイヤルの方が、より早くより正確に時間を読み取る事ができる。
2.12,3,6,9時と行った主要時間に数字ではなくドット・バー・マークだけ記しているダイヤルは時間の読み取り速さと正確さは低下する。
3.12時間表示のダイヤルに午後の時間13〜24の時間数字を追加記載しても、軍の24時間表示システムによる読み取り作業を楽にする効果はなかった。
4.24時の数字を真南(通常時計の6時位置)に持ってくる事は、真北(通常時計の12時位置)に24時配置したダイヤルよりもわずかだが優位性が認められた。
しかし、真北に24時配置すると午後12時がダイヤルの真南に位置する事になり、こうする事で時計の短針が太陽が地球の周りを回っているかのように思える見かけの動きと同じ運針をする事になる。また、60分のメモリを真南に配置すると時間の読み取りの正確さを著しく低下させる。
以上の事から2400式時間表示システムに最も優れたダイヤルとは、24時を真南に配置し、分目盛は1分間隔に入れる事が望ましい。時間目盛には全ての数字を入れ夜間時間である事を示す為にダイヤル半分に影をつける事が望ましいと結論されました。
しかし、実際当該時計も含め24時が真南に位置する時計は製作が圧倒的に少ないようです。心理的な問題なのでしょうか。いずれにせよ24時間時計は航空機の発達と軍による2400時間表示システムに由来するようです。やはりミルスペックのプロダクトは目的がはっきりと明確化されているだけに優れたデザインと機能美の集約ですね。
今後ともご支援の程、宜しくお願い申し上げます。