はじめに
はじめまして。フィリピンミンダナオ島ダバオ市でコーヒー、カカオの品質改善と輸出に携わっている「太田勝久」と申します。2020年、2021年とミンダナオ島のコーヒー農園支援のための、コーヒー樹木オーナーシップのクラウドファンディングを実施させて頂きました。
https://camp-fire.jp/projects/view/289720
https://camp-fire.jp/projects/view/488552
貧困を解決する1つのアプローチとして始めました。途上国の貧困をなんとかしたいという漠然としながらも強い思いがあり、2014年に、フィリピンがコーヒー生産国でありながら輸入国、しかもインスタントコーヒーに関しては、中国、ロシアを差し置いて世界最大の輸入国と知ってショックを受け、東京の美味しいカフェを巡っているうちにコーヒーの沼にはまりました。
御礼 前回はおかげ様で新規53名様より1,088,000円の資金が集まりました。経費を差し引き50万円を捻出し、南ダバオ州アポ山のBACOFA農協に対して事務所兼倉庫を建設することが出来ました。
<↑建設費60万円。前回クラウドファンディングから50万円(=20万ペソ)、足が出た分は現地農協BACOFAが拠出>
これにより、農民のコーヒーの収穫後処理のオペレーションが非常に容易になりました。直近2023年6月、BACOFA農協はフィリピン国コーヒー品評会において1団体から5名が全国トップ12位に入ることが出来ました。(2、5、8、10、11位)
今回は、過去の経験を横展開し、フィリピンで最高のコーヒー生産地、世界にも知られるようなワールドクラスのコーヒー生産地を作ろうという思いから新たなクラウドファンディングを始めました。
地名、団体名、位置等を説明申し上げます。
ミンダナオ島: フィリピンの南部にあり、面積94,630 km2(フィリピン国の面積の約3分の1。北海道より大きい)。島は南北に約470 km、東西に約520 km。
新規事業地(スイートコーヒーの試験農場): ブキドノン州タラカグ町ミアラヨン最小行政区。提携先はMILFACO農協。ダバオ市から北へ210km、車で片道5時間。MILFACO農協(正式名称:Milalittra Farmers Agriculture Cooperative)は少数民族タラアンディグ族の経済部門。キタングラッド山系とカラトゥンガン山系の合間、標高1200~1700mにメンバーの農地があります。
継続事業(コーヒーの木のオーナーシップ): 南ダバオ州バンサラン町マナガ最小行政区、バルタカイ地区。提携先はBACOFA農協。フィリピン最高峰(2,954m)のアポ山の中腹、標高1,300~1,600mでコーヒーを栽培。ダバオ市からは南西に約100km、車で片道約3時間を要します。
フィリピンで最高の生産地ができると考える根拠
1)地勢:標高2800mの平行に走る山脈(キタングラッド山系、カラトゥンガン山系)の谷合に、広大な土地が遊んでいます。谷合といっても標高1,300m以上の高原で、冷涼でアラビカ種に適しています。大都市から遠く、多国籍企業のプランテーションさえも進出していない「陸の孤島」のような土地にポテンシャルを見出した次第です。
2)品種:在来のアラビカ種ティピカに加え、「スイートコーヒー」と現地の人が呼ぶコーヒー樹があります。2023年のフィリピン国の品評会では、この村から得たスイート品種が優勝しました。甘味ありポテンシャルを感じています。現地の人によればスイートコーヒーも2種あるとのこと。先ず、純粋に「スイートコーヒー」だけの試験農場を作ります。遺伝子検査も実施します。
3)フィリピンでの経験と人脈:私たちは、ミンダナオ島のコーヒー生産者支援でクラウドファンディングを行うのは、これで3回目です。現地会社設立から7年、それ以前にフィリピン大学留学やJICAの案件に従事するなど、フィリピンでの経験を蓄積しています。農家、カフェ、農業省、貿易産業省、タラアンディグ族のコーヒー生産者らとも人間関係を構築してきました。
解決したい社会課題
貧困改善
品質の良いコーヒーを作り、農家の収入を高めます。
コーヒーは、収穫、乾燥、選別というプロセスを農家自身が行い付加価値を高めることが出来ます。
基本的には、問題は住民が解決するものという立場です。しかしながら、栽培→収穫後処理→流通→焙煎・加工→販売→消費者という一連のバリューチェーンがあり農民が弱い部分を手伝います。
雇用創出+産業育成
試験農場が注目され、スイートコーヒーの需要が高まれば、農家が栽培を始めます。
生産量が増え、且つ品質も高められれば、収入が増えます。
農協やカフェにおいて雇用が生まれ、産業の裾野が広がります。
絵空事ではなく、アポ山のBACOFA農協が品質の良いコーヒーを生産し、ダバオ地方ではコーヒー店が増えてきました。これは大きく言えばフィリピン全体で起きている変化です。そこに乗っかります。スイートコーヒーの遺伝的な固有性が認められば、さらに加速させられます。
貧困状況
出展:フィリピン統計庁、Highlights of the 2018 Municipal and City Level Poverty Estimates
ルソン島に比べてミンダナオ島の方が貧困度合いが高いことが見て取れます。タラカグ町の貧困率はレベル3で、最も貧しい12%に入ります。
タラカグ町の中でもミアラヨン地区は、町の中心部まで車で1時間。大都市からも遠く、発展から取り残されています。電気や水道の無い世帯もかなりあります。なおタラカグ町は、ムスリム自治地域に接しています。
フィリピン国は国内総生産(GDP)の10%が海外からの仕送りと言われます。若年層の失業割合が高く、国内に産業が必要です。フィリピン人はコーヒーが好きで、コーヒー産業は、期待をされています。
成功事例を横展開 7年前からBACOFA農協を支援してきました。
BACOFA農協は、今やフィリピンを代表する農協になりました。この経験を横展開します。
品種の遺伝的検査や「スイートコーヒー」の試験農場を開始するというサービスを追加しつつ、横展開で2つ目の成功事例を作ります。
表 2022年フィリピン国コーヒー品評会
BACOFA農協のフィリピン国コーヒー品評会入賞歴
2018年 2、6位、
2019年 1, 4, 6, 7, 9位
2021年: 1, 3, 4, 6, 8位
2022年: 1, 2, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11位
2023年: 2, 5, 8, 10, 11位
MILFACO農協のフィリピン国コーヒー品評会入賞歴
2018年4位
2019年2位
2022年4位
2023年4位と9位
参照:https://www.facebook.com/phcoffeeQC/
このプロジェクトで実現したいこと
1)試験農場の運営
「スイートコーヒー(Sweet Coffee)」と呼ばれる固有種があります。
これらを育成する試験農場を作ります。候補地は、所有者のMs. Belinda Besto(前部族長の妹さんで、コーヒー生産のリーダー)とMILFACO農協組合長から既に承諾を得ています。
コーヒーのプロセシングエリアと幹線道路に近くアクセスが良い土地を借ります。
具体的には、整地、苗木の移植、草刈りなどを行います。農家への普及拠点にします。また関心を持つコーヒー業界関係者が訪問し、交流する機会となることも期待されます。(収穫には2~3年を要するので、本クラウドファンディング期間中には間に合わず、別にリターンを用意します。)
2)遺伝子検査
スイートコーヒーには「Sweet Coffee NewとSweet Coffee Oldの2種がある」と現地の方は言っています。ティピカ種も自生しており、ひとまとめにスイートコーヒーと呼ばれて現地の人に愛飲されています。実際、甘味は強目に感じられます。
Sweet Coffee New、Sweet Coffee Old、他在来のティピカ種、カティモール種、不明品種。
上の写真はスイートコーヒーOldとティピカ。たまたま隣同士に生えていました。
スイートコーヒーの果実(左)とティピカの果実(右)
スイートコーヒー(左)とティピカ(右)では双葉の色が異なる。
3)木のオーナーシップ継続
BACOFA農協は、フィリピン国において品質では最良のコーヒー農協として広く知られています。
その木のオーナーシップは継続します。BACOFA農協の変化は追い続け、情報を共有します。
特にBACOFA農協には、1)銀行機能、2)食品加工への進出、3)品質維持、4)土壌保全等の課題があり、モニタリングします。
今年の募集は、チェリーヒル・カバンダイさんの農園のコーヒー樹から良い木を選びます。
2年連続、フィリピン国コーヒー品評会で入賞した実績(2022年2位、2023年10位)のある農家。
BACOFA農協の役員。
Kapeco Projectの木のオーナー様が訪問した時の様子。
チェリーヒルさん畑からは、アポ山を見ることが出来ます。
赤はOK、緑色の果実は除去。チェリーさんのお母さんのジョセフィンさんが選別。
彼女らの農園は、フィリピンの「スペシャルティーコーヒーの母」マリビック・ドゥブリアさんの畑の向かい。視察では両方を案内しています。
ジョセフィンさんは、以前は、品質に興味のない人でした。しかし、変わりました。
太田:「上手に作っているね、今年は5位に入るかもね」
ジョセフィン:「5位じゃ嫌だ!」
人は、変わるものだなと。
チェリーさんは、幹線道路沿いにイサベルカフェ(Isabel's Cafe)もオープン。寄って飲むことが出来ます。
ープロジェクトを通して実現したい変化
1)MILFACO農協 品質向上で認知されること。農家が生産を増やすこと。
2)BACOFA農協の組織運営の継続
資金の使い道
ー目標金額の内訳、具体的な資金の使い道
【予定】
渡航費:30万円 (3回を予定)
人件費:10万円
滞在費:10万円
遺伝子検査費:15万円 4種類 (USD130/種)
広報費:10万円
リターンの準備、配送:80万円
小計:155万円
手数料等:15万円 (9%+税)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全体合計 170万円
実施スケジュール
10月中旬 試験農場の整地、スイートコーヒー苗木移植
11月リターン発送開始
2月 遺伝子検査
5月 フィリピン国コーヒー品評会結果発表
*4月より苗木を育成中
*7月に有機肥料購入済
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。
目標金額に満たない場合も計画を実行し、リターンをお届けします。
最後に
タラアンディグ族の生産地は、フィリピンのコーヒー生産の中心地になります。そこは世界的に見ても、有数の条件を備えており、将来、世界に聞こえる生産地になります。一緒に小さい一歩を踏み出しませんか?
チーム/団体/自己紹介・活動実績など
PMCE, Inc.
2017年8月、フィリピン証券取引所登録(登録番号CS201729468)、同年12月、フィリピン投資委員会の審査に通り小規模投資での税制優遇措置を資格を日系企業で初めて受ける。2018年3月、貿易産業省よりコーヒー輸出者資格(345号) 取得。
2018年6月CafeRes2018(於東京ビッグサイト) にフィリピン国貿易産業省及主導でダバオ地方のコーヒー、カカオ、ココナツのメーカーと参加。2019年SCAJにフィリピンから初参加(青山通商株式会社と共同)。2022年フィリピン大使館貿易投資部がSACJに出展した際に、ミンダナオ島から参加。2023年もSCAJにフィリピン大使館ブースで参加予定。主にコーヒー生豆やカカオ生豆 の品質向上、輸出を行う。 現地事情に精通しておりJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業にも参画。
【代表の太田勝久について】1971年生。愛知県出身。子供の頃にアフリカの飢餓を見て、途上国のために何かしたいと思うようになる。名古屋大農学部農学科を卒業後、国立フィリピン大学大学院でコミュニティ開発を専攻。NGOや民間のコンサルタント会社で途上国開発プロジェクトに従事。2017年にミンダナ島にて起業。
2014年、フィリピンがコーヒー生産国でありながら輸入国、特にインスタントコーヒー原料の輸入は世界第1位という事実を知って愕然とし、コーヒーに興味を持ち始める。日本には優れた自家焙煎店さんが多く、結構早くコーヒーの沼にはまる。コーヒー産業発展のタイミング、地理的な近接性、人の縁など要因も重なり現地で起業。
これまでは、コミュニティやバリューチェーンの開発という難しいことを考えてきました。今回はシンプルに美味しいコーヒー、フィリピン最高のコーヒー生産地を作ってみようというシンプルな思いでいます。
【Kapeco Project】本プロジェクトの実施する主体の有志による任意団体。IT、商社、開発コンサルタントなど異なるバックグラウンドを持ちながら、環境保全、貧困対策、地方創生というそれぞれの関心事を、フィリピン国のミンダナオ島のコーヒーを通じた支援で形にしています。
ooo 000 ご支援の程、どうぞ宜しくお願い申し上げます 000 ooo
コメント
もっと見る