実施理由/背景
ペットの飼育放棄、残された犬猫たちが社会問題化しています。
少子高齢化社会が進む中、ペットを家族の一員として、ともに生きる多くの人々がいます。なかでも一人暮らしの高齢者にとって、ペットはかけがえのないパートナーです。「この子のために一日でも長く元気でいたい」と、ペットは生きる力になっています。
一方で、全国の保健所では、近年、犬猫の引取り理由の上位が、飼い主の高齢化による飼育放棄となっています。「認知症でペットの世話ができなくなり、生活環境が非常に不衛生な状態になっています」「飼い主が亡くなり、猫が取り残されている。保護してもらえないですか」といった相談が相次いで寄せられています。現行の介護保険制度では、ヘルパーがペットに関する支援を行うことは許されていないため、高齢者がペットの世話ができなくなっても、手助けできないため、問題がより深刻になっています。これらの問題を飼い主の責任として切り捨ててしまっては、人も動物も助かりません。私たちにも何かできることがあるはずと考え、支援の取り組みを始めました。
プロジェクト内容説明
人々が犬猫でつながる、セーフティーネットの仕組みを作りたい
高齢者とペットの安心プロジェクトはスタートから5年目になりました。ペットを飼育している高齢者を対象にお困りごと相談窓口を設け、問題の早期発見から3つの支援へつないでいます。現在、6名のスタッフが高齢者を定期的に訪問し、ペットのお世話やペット用品の買い出しなどのサポートを行っています。
高齢者とペットが一日でも長く安心して暮らせるように、必要な支援を行うとともに、社会にあふれ出す行き場のない犬猫たちを救うセーフティーネットをつくります。
■高齢者とペットの3つの支援
1. 相談支援・・・・・相談窓口の設置
2. 見守り支援・・・定期的な訪問を行い、ペットのお世話やフードの提供など必要な支援を行います。
3. もしもに備える支援・・・もしもに備えるチェックシートやクリアファイルを配布、もしもの時のペットに関する相談やサポートを行います。
目指すところ
残された犬猫たちを、社会全体で支える仕組みをめざします
高齢者とペットの安心プロジェクトは、一人のケアマネからの相談がきっかけで始まりました。
「その方にとって、猫は唯一の生きがいなんです。手放すことになれば、きっと生きる気力も失くしてしまうと思います。一日でも長く一緒に暮らせるように、ご協力いただけないですか」猫とともに17年。猫は単なるペットではなく、互いに寄り添い、苦楽を共にしてきたパートナーでした。私たちは、その方がお亡くなりになるまで、猫のお世話に入り、残されたペットは民間の保護シェルターへとつなぎました。
今後もこうした支援を必要とする高齢者は増加すると想われます。相談支援、見守り支援に加えて、それを支える担い手も増やしていきます。福祉職や病院などの多機関連携を進め、人もペットも安心して暮らせるセーフティーネットをつくります。
また、民間シェルターのネットワークをつくり、尼崎市内に10ヵ所の小規模シェルターができることを目指します。高齢者がペットを飼育できなくなった場合のフォロー体制とペットを保護できるシステムを構築し、残された犬猫たちを社会全体で支える仕組みをつくります。
寄付の使い道
寄付金は、行き場を失う犬や猫たちの病気の治療費や、飼育困難になっている高齢者へのペットフードの費用、定期訪問でペットをお世話する支援などに使わせていただきます。
自治体からのメッセージ
NPO法人の取組へのご支援をお願いいたします!
尼崎市では、市民、NPO法人をはじめとした市民活動団体、事業者、行政など多様な立場の個人・団体が互いの強みを活かしながら、課題解決や魅力向上に取り組んでいます。
「特定非営利活動促進事業」は、皆さん一人ひとりの力を「寄付」という形で結集し、地域の様々な課題に取り組んでいるNPO法人を支える制度です。地域の課題に主体的に取り組むNPO法人の活動を継続し、拡大していくためにも本事業への温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
事業スケジュール
2024年通年 高齢者とペットの相談窓口の設置
2024年通年 高齢者とペットの見守り支援(ペットシッター支援、フード支援、買い物支援、一時預かり支援等)
2024年4月7月9月10月11月2月 勉強会開催(6回)
2024年4月8月10月 預かりボランティア相談窓口の設置(4回)
一年を通じ、高齢者とペットの相談窓口を設置し、見守り支援につないでいきます。訪問支援や犬猫の保護シェルターのボランティアの育成のための勉強会を開催します。