実施理由/背景
次なる大規模噴火に備えて
桜島はこれまで何度も大規模噴火を繰り返しており、1914年に起きた大正噴火では、噴煙がおよそ18,000mまで上がり、大量の軽石や火山灰が降り積もりました。さらに大正噴火発生から約8時間後には、マグニチュード7の地震も発生し、対岸の鹿児島市街地側も含め、死者・行方不明者は58名にのぼりました。大正噴火から110年が経過した現在、姶良カルデラ下のマグマ溜まりには、大正噴火当時と同等量のマグマが蓄積されていると言われており、次なる大規模噴火への備えが必要な時期に来ていると警鐘が鳴らされています。大正噴火クラスの大規模噴火が発生した場合、桜島島内はもとより、鹿児島市街地側にも軽石や火山灰が最大1m堆積し、ライフラインの途絶や建物の倒壊等、甚大な被害が出ることが想定されています。鹿児島市では、来たるべき大規模噴火から市民の生命を守るため、市民等の避難に関する研究を行う桜島火山防災研究所(仮称)を令和7年度に設置することとしました。
【参考:鹿児島市HP 桜島火山防災意識啓発映像「知る・備える・行動する”桜島の大規模噴火”~その時、あなたはどう動く?~」】
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kikikanri/kurashi/bosai/bosai/sakurajima/eizou.html
プロジェクト内容説明
桜島と共生するために~「大規模噴火でも犠牲者ゼロ」を実現する研究~
令和7年度に設置を予定している桜島火山防災研究所(仮称)では、大規模噴火時の市民等の避難に係る火山防災対策研究のほか、市民や児童・生徒を対象とした次世代に「つなぐ」火山防災教育や他火山の情報収集・研究成果の発信等に取り組む予定です。令和6年度は準備期間として、桜島で43年にわたり桜島の観測や噴火予知などの火山研究に尽力してきた京都大学・井口正人名誉教授を火山防災専門官として登用し、桜島火山防災研究所(仮称)で取り組む研究計画の作成や体制の検討等に取り組んでいます。温泉をはじめとする火山の恵みを多くもたらす桜島と共生していくために、「大規模噴火でも犠牲者ゼロ」を実現する万全の体制を構築してまいります。
目指すところ
火山防災トップシティを目指して
桜島は、70年近くの長きにわたって火山活動を続けており、桜島及び周辺地域の住民生活をはじめ、農作物等各面にわたって大きな影響を与えています。この活火山桜島を有し、麓や対岸に合わせて約60万人の市民が生活している鹿児島市では、これまでハード・ソフトの両面から火山防災対策に取り組み、さまざまな試行錯誤を経ながらその充実に努めてきました。こうした本市の火山防災に係る取組は、長年の経験や実績に裏打ちされた実効性のある対策となっています。これらを桜島火山防災研究所(仮称)の設置により、さらにブラッシュアップし、火山防災のモデルとして世界に発信することにより、国内外の火山災害の被害軽減に寄与したいと考えています。鹿児島市では、市民と地域、事業者、研究機関・行政が一体となって、桜島に対する総合的な防災力の底上げを図るとともに、最先端の火山防災に取り組む「鹿児島市」を、火山の魅力も交えながら世界に発信し、国内外における火山防災力の向上に貢献する「火山防災トップシティ」を目指していきます。
【参考:鹿児島市HP 鹿児島市火山防災トップシティ構想】
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kikikanri/kazan/topcitykousou.html
寄付の使い道
【寄付金の使い道】
本プロジェクトでは、桜島火山防災研究所(仮称)設置のための準備費用に活用させていただきます。
・桜島火山防災研究所(仮称)設置準備事業
※目標金額に達しなかった場合、また、目標金額以上の寄付をいただいた場合でも、上記の費用及び関連する事業の費用に大切に活用させていただきます。
自治体からのメッセージ
担当者からのメッセージ(危機管理課 火山防災専門官 井口正人)
桜島の北部海域にあるマグマ溜まりの蓄積状態から今後20~30年のうちには大正噴火のような大規模噴火が起こる可能性を指摘してきました。一方、社会基盤が進化している現代社会においては、火山災害は大正時代とは比べ物にならないような複雑な発生の仕方をすることが予想されます。市民の生命の安全を確保するためには、従来の対策に加え、地域の社会基盤の特性を踏まえた独自の防災対策の研究が必要となり、この度、桜島火山防災研究所(仮称)を設置することになりました。私はこれまで京都大学防災研究所附属桜島火山観測所で長年研究を続けてきましたが、この度令和6年6月に鹿児島市火山防災専門官に就任し、桜島火山防災研究所(仮称)の設置に向けて、研究計画の策定等に取り組んでおります。市民の皆様の生命を守り、「大規模噴火でも犠牲者ゼロ」を実現するために準備を進めてまいりますので、どうか多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。
事業スケジュール
令和6年度 火山防災専門官の登用(令和6年6月に井口正人京都大学名誉教授を登用)
研究計画の作成、体制等の検討、観測データ提供の枠組み構築
令和7年度 桜島火山防災研究所(仮称)設置
研究員・助手の登用
桜島火山防災研究所(仮称)の準備として、令和6年度は、桜島で43年にわたり桜島の観測や噴火予知などの火山研究に尽力してきた京都大学・井口正人名誉教授を火山防災専門官として登用し、桜島火山防災研究所(仮称)で取り組む研究計画の作成や体制の検討等に取り組んでいます。令和7年度には、研究員と助手を登用し、桜島火山防災研究所(仮称)の運用を開始する予定です。