10年かけて描く “まちと漁港の未来の記憶“
― 沖縄・与根漁港を希望のミュージアムにする「壁画プロジェクト」 ―
(壁画をペイントする座安小学校の子どもたちを見守る海人)
沖縄県豊見城市にある与根漁港の護岸。
この地で、10年後の未来を見据えたプロジェクトが静かに始まっており、主役は私の母校である座安小学校6年生の子どもたちです。
毎年、「豊見城・与根の海」をテーマに子どもたちが描いた原画を、地元の海人(漁師)、クリエイター、保護者がサポートし、護岸に一枚ずつ壁画として刻んでいく。
この活動は、単なるアート制作ではなく、
「子どもたちに、地元の海への誇りと、大人になっても色褪せない原体験を届けたい」
「未来の担い手の笑顔と熱意で、漁港を地域に開かれた希望の場所にしたい」
その想いから生まれたこの取り組みは、おかげさまで今年で4年目を迎えます。
10年計画で約900名の子どもたちの夢と記憶が彩るこの場所は、豊見城を象徴する地域の宝となるでしょう。
私たちと一緒に豊見城の豊かな海と、子どもたちの未来を描く壮大なチャレンジにご参加いただけませんか?
自己紹介
生まれ育った地元、与根漁港をより明るくしたい
はじめまして。
沖縄県豊見城市にある糸満漁業協同組合与根支部(与根漁港)与根漁港壁画プロジェクト実行責任者の大城和也と申します。2020年5月に23年勤めていた前職(看護師:集中治療室)を退職し、父と漁業(小型定置網漁と素潜り漁)をしながら、漁港の事務・運営サポートをしています。
(豊見城市役所ホームページより)

(写真上は小型定置網からの甲イカ(方言:クブシミ)を持っている父と私、写真下は素潜り漁でタコを捕っている私になります)
与根漁港の漁業者(海人:うみんちゅ)は30人程で平均年齢は61歳。パヤオ(人工浮き漁礁)でのマグロ1本釣り漁や近海魚の1本釣り漁、刺し網漁、小型定置網漁、素潜り漁、電灯潜り漁をしている豊見城市唯一の漁港になりますが、課題感もあります。


(与根漁港風景)
課題感としては、、、
課題1:漁港と子ども達の距離:
10年以上前から鮮魚直売会や稚魚放流を開催し地域交流を図り、子どもたちが地元の海や漁業の営みを「知る機会」はあったかと思いますが、充分でなかった可能性があります。
課題2:漁港の閉鎖性:
豊見城市で唯一の漁港である与根漁港ですが、後継者不足や認知度の低さという課題を抱えています。
2020年時で最年少の若手海人は30歳代で1名のみで20歳代は不在でした。





(与根の海人たち)

(閑散としている漁港)
課題がある中でも、徐々に若い海人も増えてきています。
与根漁港の海人たちが主体となり、魚食育普及を目的とした鮮魚直売会や他イベント、市内小中学校での講話を通して、少しずつ地域の方々との交流も増えてきています。
子どもの頃(小・中・高校)から社会人となった後も、休日は祖父や父の小型定置網の洗浄・網干作業、海藻の水揚げ仕分け作業をしていたこともあり、
与根漁港の雰囲気を「より明るくしたい」「人が入りやすい雰囲気の漁港にならないかな」という想いが涌いてきました。
そこで、この課題に関連して壁画(アート)を通して教育にもつなげていければと考えており、
また、取り組みを通して、漁港・漁業を知るところから興味/関心へ、将来的に「漁業関連へ就く」子どもたちが増えてきてくれればという想いもあります。
(与根漁港鮮魚直売会での海人集合写真)
(与根漁港鮮魚直売会での魚食普及活動)
(市内小中学校で講話をしている私)
デザイナー夫婦との出逢いが「想い」を「教育プログラム」へ
「漁港の雰囲気を明るくしたい」「壁画とかできたら...」
漠然とした私の想いに、与根在住のデザイナーご夫婦(デコールデザイン瑞慶山さん、南風さん)が賛同してくれました。
そして、「ただの壁画」ではなく「10年かけて子どもたちの成長と共に歴史を刻む教育プログラム」として構想を練り上げました。
地域/学校、行政との度重なる調整を経て、2022年に母校の座安小学校6年生を巻き込む形で「与根漁港壁画プロジェクト」がスタートしました。
地域全体を巻き込んだ教育事業に進化を遂げた瞬間です。
壁画構想は…
・1面横幅10m間隔の護岸2面(20m)を1年ごとに壁画を描いていく。
・壁画は毎年テーマを変えて「豊見城/与根の海に関すること」で描いていく。
・護岸の数的に10年分あるため10年後に完成。

(与根漁港 護岸の一部)
(豊見城市立座安小学校)
与根漁港×座安小学校×クリエイターの協働・共創
ただ単に護岸を彩っていくのではなく、
- ①「与根漁港の活性化・魅力づくり発信」
- ②「地場産業に触れる機会の創出とアート制作を通して児童のキャリア教育に繋げる」
- ③「プロジェクトへの参加協力を通して地域住民の交流・繋がりづくり」
を目的に開催していくことにしました。
●壁画制作の流れ
①今年の壁画テーマ発表:
プロジェクトではまず毎年9月に座安小学校へ出向き、6年生を対象に「豊見城市/与根の海に関するテーマ発表」を行っています。テーマは毎年変更し、地域学習へと結びつけています。
②漁港フィールドワーク:
子どもたちに壁画の原案をイメージしてもらえるように与根漁港でフィールドワークを実施。普段食卓で海産物が食べれていることが「当たり前」ではないこと、海の命の尊さ、自然の厳しさなども子どもたちに伝えています。
③原画制作:
それぞれテーマに沿った原画を一人ひとりに描いてもらいます。子どもたちの感性やイメージを大切にしていきいので、子どもたちが描くデザインに制限はかけません。
④壁画デザイン(デザイナー):
子どもたちが描いてくれた原画を元に、実際の壁画になるイメージをデザインします。
⑤壁画制作:
与根漁港にて6年生全員による壁画の制作を行います。
⑥漁港ミュージアムの開催:
6年生全員の原画展を実施します。






子どもたちの感性やイメージを大切にしていきい考えがあったので、子どもたちが描くデザインに制限はかけませんでした。
ですが、
全ての原画を壁画にしていくことは、護岸のスペース問題や壁画にしたときにデザイン性が損なわれることを考えなければなりません。そのため、瑞慶山ご夫婦に原画の配置をパソコンでしてもらい、壁画にしたときのデザインを構成して頂いています。

(子どもたちの原画:与根から水揚げされる魚たち)
護岸へ壁画を実施した子どもたちからは「あっ、俺の絵だ!」「自分の絵が壁画になってずっと残るのが嬉しい!」「もっと塗りたい!」と様々な反応がありました。
また、髪の毛に洋服に脚にペンキが付くのは気にせず楽しみながら一生懸命にペイントしてくれました。
(壁画完成イメージの提示)
原画をもとに壁画へ
原画の色合いを忠実にペイント
(2022年 第1回目の壁画完成:20m)
漁港ミュージアムの開催と教育の伝承
子どもたちの感性を地域で分かち合う場として壁画制作終了後に1ヶ月間「漁港ミュージアム」を開催しています。この原画展は壁画に採用されなかった子どもたちの原画も含めた全原画の展示会になり、皆で壁画制作しているという一体感を感じてもらいたいという願いのほかに、
教育の伝承:次年度の参加者や親御さんたちにプロジェクトの精神とテーマを伝える
という、願いも込めています。
漁港を訪れた地域の方々が、子どもの豊かな発想力に触れ「これが私たちの地元の海だ」と誇りを感じてもらい、漁港活性化にも繋げていければと考えています。


2年目、3年目の壁画と漁港ミュージアムも実施できました!
1年目と同様に座安小学校でテーマ発表、与根漁港でのフィールドワーク後に、
2023年11月、2年目テーマ「大漁旗をデザインしよう」
2024 年10月、3年目テーマ「守ろう!豊見城の海」
で壁画を実施することができました。
実施前、子どもたちからは「俺の絵は採用されている⁈」などの声が聞こえたり、実施後は漁港に来て自分たちの壁画を家族で観に来たりと、年を追うごとに子どもたちの壁画への関心度が高まっているのを感じています。
壁画実施後、海人からは「漁港が明るくなる」「ちびらーさん(綺麗)」「(子どもたち)絵上手」「来年のテーマは何⁈」と関心度も増してきているのも感じています。
そして、3年目も「漁港ミュージアム」原画展を開催することができました。
壁画を実施する座安小学校の協力も得ることもできたこと、そして多数の親御さんのサポートや各自治会、事業者さん、個人、豊見城市からのご支援も頂けたことに感謝しています。

原画の色合いを忠実にペイント
(2023年 第2回目の壁画完成:20m)

原画の色合いを忠実にペイント
(2024年 第3回目の壁画完成:20m)
オリジナルグッズの制作
同じく与根在住で想いに賛同してくれた、嘉手納さん(CHIP×CHIP:Tシャツ屋さん)にも加わって頂き、オリジナルグッズ制作に取りかかりました。
原画をグッズ化していくことは、子どもたちにとってもなかなか出来ない良い経験/刺激になると考えたからです。
座安小学校との調整を重ね、子どもたちが描いた原画を基にTシャツやトートバッグ/Lineスタンプのオリジナルグッズを制作しました。
描いた絵が公共の場の壁画になるだけでなく、商品化されることで、町を歩く人が自分の描いたイラストのTシャツを着けているかもしれない。そして、誰かがLineスタンプを活用してくれているかもしれない。
このプロジェクトは壁画だけで完結するのではなく、地域と子どもたちの思考や言動にプラス要素としても繋がっていければ良いなと思っています。

このプロジェクトで実現したいこと
このチャレンジで実現したいこと
10年先のことは誰にもわかりません。
でも、続けることができれば風景だけでなく、漁港も地域もおもしろいことになっていると思いますし、
10年間で約900名の子ども達が壁画を経験することができます。
子どもたち本人や家族にとって思い出深い場所となることはもちろん、壁画目的で漁港に訪れる方達も含めて関係人口づくりに繋がります。
これまでの3年間、多数の皆様のサポートで継続させて頂くことがきました。
10年先の与根漁港の風景を創るため、子どもたちとの「与根漁港壁画プロジェクト」を実現させたいです!
(2024年 第3回与根漁港壁画プロジェクト 座安小学校6年生たち)
応援コメント
●豊見城市立座安小学校校長:城間修司
地域と子供たちの未来をつなぐ「与根漁港壁画プロジェクト」は、子供たち一人一人が、自分の力で地域・社会をよりよい環境に変えていけるという自信と郷土への誇りを育む貴重な体験の場であると考えています。このような素晴らしいプロジェクトが持続可能な教育活動の一環として末永く継続できることを心から願っています。

●豊見城市立座安小学校PTA会長:平良満
座安小学校PTA会長として、(座安小学校×与根漁港壁画プロジェクト)を心から応援してます。座安っこ達が地域の皆さんと一緒に創りあげる壁画は、座安小区域、与根地区のきっと新しいシンボルとなるでしょう。この取り組みを通して、座安っこ達が自分たちのまちを誇りに思い、未来への希望を描いていくことを願っています。皆さまの温かいご支援を、どうぞよろしくお願い致します。

●豊見城市長:徳元次人
「与根漁港壁画プロジェクト」は、与根漁港の活性化・魅力発信、子どもたちが地場産業に触れる機会の創出、そしてアート制作を通じたキャリア教育を目的として掲げられおり、漁港内の護岸を子どもたちの壁画で彩る10 年がかりの壮大な計画でございます。
与根漁港の護岸を彩るこの取り組みは、子どもたちの豊かな感性によって地域の景観がより一層美しく彩られ、未来へと繋がる郷土愛を育む、誠に意義深いプロジェクトであると高く評価しております。
本プロジェクトの成功はもとより、この取り組みが継続的に地域に貢献していくことを期待するとともに、一人でも多くの方にご賛同いただき、温かいご支援を賜れますよう、心よりお願い申し上げます。

●忠孝酒造株式会社社長:大城勤
豊見城の海人・与根漁港さんと、私たち蔵人・忠孝酒造。海底泡盛プロジェクトで紡いだ絆が、今回の壁画プロジェクトへとつながり、その一助となれていることを心から嬉しく思います。子供たちの豊かな感受性で描かれるアートが、私たち豊見城の誇りとなりますように。この素晴らしい取り組みを、心から応援しています。

●デコールデザイン:南風あや子 瑞慶山成人
子どもたちが夢中で絵を描く姿を見ていると、この瞬間がきっと、大人になっても心に残るんだろうなと思います。
「自分たちのまちを、自分たちの手で彩る」
そんな経験を通して、子どもたちは少しずつ地域を好きになっていきます。
壁画はただの絵ではなく、子どもたちの“今”と“未来”をつなぐ記念写真のようなもの。
私たち大人ができることは、その時間を一緒に支え、見届けること。
10年後、家族でこの場所を訪れたとき、「この色はあの時の自分が塗ったんだよ」と笑顔で話せる未来を思い描いています。

●活動の具体的な価値
①「記憶に残る漁港の創出」:
子どもたちの手で漁港を「地域に開かれた希望のミュージアム」に変え、新しい賑わいと交流を生み出します。
②「未来の海人(うみんちゅ)を育む原体験」:
フィールドワークやアート制作を通じて、子どもたちに海への深い愛着と、キャリアを考えるきっかけを届けます。
③「世代と地域を結ぶ絆づくり」:
海人・デザイナー・保護者・卒業生が協力し、地域全体で子どもたちの未来を応援する温かい土壌を耕します。
過去3年間の与根漁港壁画プロジェクト日程およびメディア掲載
1)2022.12.19 第1回与根壁画プロジェクト実施 「テーマ:与根の海の生き物」
2023.1.22 第1回漁港ミュージアム開催
琉球新報:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1638281.html
豊見城市 市民団体活動支援事業補助金を受給し実施
2)2023.11.10 第2回壁画プロジェクト実施 「テーマ:大漁旗をデザインしよう」
2024.1..21 第2回漁港ミュージアム開催
豊見城市:広報とみぐすく 2024年1月号
沖縄タイムス:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1302311
豊見城市 市民団体活動支援事業補助金を受給し実施
3)2024.11.20 第3回与根漁港壁画プロジェクト実施 「テーマ:守ろう!豊見城の海」
2025.1.19 第3回漁港ミュージアム開催
豊見城市:広報とみぐすく 2025年1月号
琉球新報:https://ryukyushimpo.jp/news/region/entry-3711741.html
沖縄タイムス:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1484421
校区内各自治会、地域事業者、個人より支援金を頂きながら実施
リターンについて
プロジェクトの募集終了後、各リターン品に設定した月に発送を予定しています。ただし、リターン品によっては発送が遅れる場合もありますので、ご理解ください。また、発送先の住所・氏名、電話番号を正しく記載して頂きますようお願い申し上げます。
スケジュールおよび資金の使い道
スケジュール
2025年9月24日 座安小学校にて第4回与根漁港壁画プロジェクト「テーマ発表」(終了)
2025年9月29日 与根漁港にてフィールドワーク/児童による原画制作開始(終了)
2025年11月1日頃 クラウドファンディング開始
2025年11月24日 児童たちと壁画制作
2025年12月25日 クラウドファンディング終了
順次リターン発送
2026年1月25日 第4回 漁港ミュージアム開催
資金の使い道
このプロジェクトは、10年後の未来を創るための教育と文化への投資です。
目標金額は、子どもたちが安全に、そして誇りを持って活動を続けられるための「記憶の壁画」制作費に、大切に使わせていただきます。
その他、地域関係事業者や一般からの寄付を募っている最中です。
※目標設定:1,500,000円
▼▼
・未来を繋ぐ安心の環境整備:下準備(シーラー塗装、下書き、養⽣) 仕上げ(仕上げ直し、保護塗料 塗)
・消耗品費
・講師費/デザイン費
・フォトサポート費
・リターン製作費、送料
・キャンプファイヤー手数料
●フォトサポート●
子ども達が「自然体」で取り組む様子を記録撮影して頂いてます!
最後に
与根漁港壁画プロジェクトが始動し、今年で4年目になります。
本プロジェクトの最大の魅力は、海人、デザイナー、団体など地域の大人が子どもたちの「先生」となっていることです。
●与根漁港の活性化・魅力発信
●地場産業に触れる機会の創出とアート制作を通して児童のキャリア教育に繋げる
●プロジェクトへの参加協力を通して地域住民の交流・繋がりづくり
壁画を通してより明るい漁港、地域のスポットにもなっていくことも考えながら、10年かけて次世代につないでいきますので、皆様の暖かいご支援・ご協力を何卒よろしくお願い致します。
(実行委員 左端より CHIP×CHIP:嘉手納さん、 私、 デコールデザイン:瑞慶山さん 南風さん)
与根漁港壁画プロジェクト実行委員長
糸満漁業協同組合与根支部
大城和也
最新の活動報告
もっと見る完成が楽しみです!
2025/12/01 20:402025年11月28日(金)に座安っ子たちが壁画を描いてくれました。完成が待ち遠しいです! もっと見る
お茶目な船長があなたを待っています!
2025/11/30 20:28お茶目な船長が近海/五目釣りのスポットへあなたをご案内!那覇空港や高速道路からもアクセスが良い与根漁港から出港してみませんか! もっと見る
豊見城市発祥!爬龍船を描こう!
2025/11/29 20:192025年11月28日(金)多数の保護者さん、校長先生や教頭先生、豊見城市長や豊見城市教育長も一緒になって4年目の壁画も無事に行うことができました!子どもたちが描いた1つひとつの原画が、一枚の壁画になっていきます!ペンキの汚れを気にすることもなく、色合いを確認しながら、慎重にかつ大胆にペイントしてくれました!子どもとたちの「笑顔」「声」にと活気溢れた空間となりました!今日で壁画は完成していないので、これから1カ月ほどかけ、子どもたちと週末に壁画を仕上げていきます。引き続き活動報告をあげさせて頂きますので、壁画の完成までどうぞお付き合い下さい! もっと見る









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