このプロジェクトについて
私たちピアノショップいわきは、東日本大震災で津波被害を受けながらも懸命な修復によって蘇った『奇跡のピアノ』(YAMAHA C5, No5834252)を、これまで15年近く守り続けてきました。このピアノは現在、震災遺構として位置付けられ、多くの人々に希望と感動を届け続けています。しかし今、このピアノが再び深刻な危機に直面しており、皆様のお力をお借りして、2026年3月11日の追悼企画ミニコンサートに向けて大規模修復を実施したいと考えております。
このピアノは、1999年(平成11年)9月、四家広松(丸徳四家広松商店 元会長)が、自身の孫が通う豊間中学校へ寄贈したものである。震災後、同中学体育館に設置されていたピアノを、瓦礫撤去で指揮をとっていた自衛隊の山口勇3等陸佐(当時)が復興のシンボルとしてピアノを救いたいと考え、処分せずに残した。その後、調律師でピアノショップいわき代表 遠藤洋へ同市から所有権が移され、引き取り、家族総出で修理に当たった。同年10月に修理を始め、終了は年末で、直後のNHK紅白歌合戦でアイドルグループ嵐が「奇跡のピアノ」を紹介し、櫻井翔の伴奏で「ふるさと」が合唱された。(出典:ウィキペディア『奇跡のピアノ』)
About This Project
The “Kiseki-no-Piano” (meaning “Miracle Piano”; YAMAHA C5, No. 5834252), which survived the tsunami during the Great East Japan Earthquake (March 11, 2011), continues to suffer from salt damage. We are undertaking a full-scale restoration of this piano so that it can once again deliver the sound of hope at the Memorial Project Mini Concert on March 11, 2026.
The “Kiseki-no-Piano” was donated in 1999 by Hiromatsu Shike to Toyoma Junior High School, where his grandchild studied. After the 2011 tsunami, it was saved from disposal by JSDF Captain Isamu Yamaguchi, who saw it as a symbol of recovery. The city later transferred ownership to piano tuner Hiroshi Endo, who restored it with his family. Repairs were completed by year’s end, and the piano was soon featured on NHK’s Kōhaku Uta Gassen, where Arashi introduced it and Sho Sakurai accompanied a performance of “Furusato.” (Source: Japanese Wikipedia, “Kiseki-no-Piano”)
なぜ今このプロジェクトが必要なのか
津波で被災したこのピアノは、修復後もなお、駒(こま:弦の振動を響板に伝える最重要部品)に浸み込んだ塩分の影響により、弦(ピアノ線)の腐食が進行しています。通常のピアノでは、弦の張り替えは30〜35年に1度程度ですが、このピアノではすでに5回の張り替えを行っており、150年以上前のピアノと同等な状態です。現在の対症療法的な修理では限界が近づいており、このままではピアノ本体の維持が困難になる恐れがあります。
震災から15年という節目を迎える2026年3月11日、いわき震災伝承みらい館で開催される追悼企画ミニコンサートにて、再びこのピアノの美しい音色を響かせるためには、駒の交換を含む根本的かつ大規模な修復が必要です。
弦の腐食状況 〔ピアノ内部の駒(弦の下にある横長の木材)、弦止め(弦を駒に固定する金属部品)、および弦(塩分の影響により腐食が進行)の様子〕
プロジェクトが目指す未来
この修復により、『奇跡のピアノ』は震災の記憶と復興への希望を象徴する楽器として、今後も長期にわたって多くの人々に音楽を届け続けることができます。西村由紀江さん、キロロの金城綾乃さん、作曲家の千住明さん、岸谷香さん(元プリンセス プリンセスの奥居香さん)など、多くの演奏家の方々がこのピアノで演奏を重ねてくださり、その音色は被災地の希望の象徴となってきました。
私たちが目指すのは、単なるピアノの修復ではありません。震災で失われたものの記憶を音楽という形で未来へ継承し、復興への歩みを支え続ける文化的な基盤を守ることなのです。
『奇跡のピアノ』を演奏している西村由紀江さん
私たちについて
ピアノショップいわきは、福島県いわき市で長年ピアノの販売・調律・メンテナンスを手掛けてきた専門店です。代表の遠藤洋をはじめとする調律師が、スタインウェイ、ベヒシュタイン、ファツィオリ、ヤマハ、カワイなどの高級ピアノから一般家庭のピアノまで、幅広く対応してまいりました。
東日本大震災発生時には、多くの学校や施設のピアノが被害を受ける中、私たちは地域の音楽文化を守るため、被災したピアノの修復に全力で取り組みました。その中でも最も困難だったのが、この『奇跡のピアノ』の修復でした。塩水に浸かったピアノの修復は、通常の技術だけでは対応できず、通常は決して行わない「水洗い」や「洗浄」、「錆止め剤の塗布」など、さまざまな試行錯誤を重ねた結果、何とか音を取り戻すことができました。
これまでの取り組み
震災以降、私たちは継続的にこのピアノの維持管理を行い、数多くのコンサートやイベントで演奏できる状態を保ってきました。その度重なる修理の経験から、根本的な解決のためには駒の交換が不可欠であることが明らかになりました。
また、共同通信、新聞・TV各社、髙島屋広報など様々なメディアを通じて、このピアノの存在と意義を広く伝える活動も続けてきました。多くの方々に支えられながら、震災の記憶を音楽とともに未来へ繋ぐ使命を果たしてまいりました。
奇跡のピアノミニコンサート
(ピアノ:西村由紀恵さん、フルート:遠藤優衣さん、2025年3月11日)
プロジェクトの社会的価値
このプロジェクトは単なるピアノ修理を超えた深い意義があります。震災から15年という節目に、被災の記憶と復興への想いを音楽という普遍的な言語で表現し、次世代へ継承する文化的価値があります。
皆様からのご支援は、震災遺構として位置づけられたこのピアノを通じて、災害の記憶を風化させることなく、希望の音色とともに未来へ伝えていく活動への参加を意味します。お一人お一人のご支援が、この特別なピアノの命を延ばし、多くの人々に感動を与え続ける力となります。
修復作業(洗浄)
リターン
ご支援いただいた皆様には、このプロジェクトの進捗報告や修復完了後のコンサート映像、修復されたピアノの演奏を収録したCDやYouTube配信など、『奇跡のピアノ』の美しい音色を体感していただけるリターンをご用意いたします。また、コンサートへのご招待や、ピアノに関連した記念品もご用意しております。詳しくはリターン欄をご覧ください。
スケジュール
本プロジェクトは、2025年11月中旬に開始し、2026年3月11日に開催される追悼企画ミニコンサートに向けて、修復作業の完了を目指しています。目標金額は合計290万円ですが、目標に達しない場合でも修復は実施いたします。皆様からのご支援により、より質の高い修復が可能となります。
今回の修復では、塩分が依然として浸み込んでおり、かつ強固に固定されている駒(本来は交換を想定していない部品)の一部を除去し、新たに特注した駒を取り付ける方法を採用しました。ただし、この方法の採用にあたっては、事前に短駒を用いて、試験的に取り付けを実施し、音色の変化などを継続的に調査・検証しました。短駒については、試験的な交換作業をすでに完了しています。
2026年3月11日コンサート会場(写真:いわき震災伝承みらい館ホームページより)
最後に
『奇跡のピアノ』は、震災によって多くを失った人々の心を、音楽の力で癒し、希望を届けてきました。その音色は、単なる楽器の響きではなく、支え合いながら生き抜いた人々の記憶、そして“希望”を語り継ぐ復興の歩みそのものです。
皆様のお力をお借りして、2026年3月11日という特別な日に、再びこのピアノの美しい音色を響かせることができれば、これほど嬉しいことはありません。震災の記憶と復興への想いを、音楽とともに未来へ繋いでいく。そんな意義深いプロジェクトに、ぜひご参加いただければと思います。
再生の音を未来へつなぐため、皆さまのお力をお貸しください。どうぞ温かいご支援をお願いいたします。

プロジェクト実行者の遠藤洋代表(写真:産経新聞より)









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