【著者は当事者!"親子引き離し"ミステリー】文庫出版プロジェクト!!

社会から不当な"親子引き離し"をなくしたい!!そのために国際問題となっている"親子引き離し"を世に知っていただく必要があります。"親子引き離し"をテーマにしたミステリー『夕暮れのやじろべえ』を文庫出版し、一人でも多くの方にこの問題の理不尽さ、子どもへの深刻な影響について周知したいです。

現在の支援総額

790,155

158%

目標金額は500,000円

支援者数

53

募集終了まで残り

32

【著者は当事者!"親子引き離し"ミステリー】文庫出版プロジェクト!!

現在の支援総額

790,155

158%達成

あと 32

目標金額500,000

支援者数53

社会から不当な"親子引き離し"をなくしたい!!そのために国際問題となっている"親子引き離し"を世に知っていただく必要があります。"親子引き離し"をテーマにしたミステリー『夕暮れのやじろべえ』を文庫出版し、一人でも多くの方にこの問題の理不尽さ、子どもへの深刻な影響について周知したいです。

ありがとうございます㊗️目標達成記念!!冒頭パート大公開!!

本プロジェクトを開始させていただいたのは、2025年11月11日(火)の20時でした。多くの皆様から多大なるご支援をいただき、目標を達成することができました。心より感謝申し上げます。

発刊まで、今しばらくお時間をいただきますため、支援いただいた方も、これからの方も、まずは冒頭パートをお読みいただき、『夕暮れのやじろべえ』の世界観に触れていただけましたら嬉しいです。

では、どうぞ....🐧

1 三田村 茜

 「いらっしゃいませ。空いているお席へどうぞー」入り口の自動ドアが開く音に反応して、三田村茜は言った。平日の朝8時。駅から少し距離のある喫茶店「メロウ」に、この時間に訪れる客は少なく、大半が近所の常連さんである。少なくとも今いるお客さんについて、茜は全員の名前を言える。

メロウはマスター夫妻が趣味の延長でやっているような個人の喫茶店だ。売りは、桜並木通りに面した窓以外、特にない。こぢんまりした喫茶店で、バイトしている側から言わせてもらえば「ちょうどいい」お店だ。毎日、朝昼夜にそれぞれ学生バイトが一人ずつ入いるが、茜がいる朝シフトが一番楽なのだそうだ。そう言われてみると、茜はバイト中のほとんどの時間をマスターの宮國泰男とおしゃべりして過ごしている。こんな経営状態で、利益が出ているのだろうか。茜は、ひとりの親戚として気になるのだった。 

マスターの泰男は、茜の母親の弟である。つまり叔父にあたる人物だ。若い頃は仕事が長続きしなかったようで、今も喫茶店をさほど真面目にやっているようではない。子どもはおらず、ひたすら妻の美穂には苦労をかけっぱなしのようだが、夫妻揃って明るい性格なので茜は好きだ。「茜、クライさん来てるわよ」美穂がバックヤードでこっそり教えてくれた。美穂は別にメロウで働いている訳ではないのだが、毎朝必ず顔を出し、BLTサンド用のトマトや、生クリームなど、何かしら足りないものを買ってきてくれるし、混雑時にはレジも担当する。要するにお店が好きで、結局マスターの事を心配してしまうタチなのだと思う。「マスター、買い出し自分でやってよね。もう、私がいないとどうなるんですか?」と美穂が少し怒ったふりをしてマスターに詰め寄っても、マスターは「へい。助かりやす。そこ置いといて。えーと、ピクルスはどこだったかなぁ」と、どこ吹く風だ。それでも二人は結婚して30年近いと聞いている。継続には、適度な距離感が必要なのかな、と二人を見て茜は思うのだった。

「分かりました。私行きますね」そう言うと、茜は水の入ったグラスとおしぼり、メニュー表をトレンチに乗せて件の男性客のテーブルの方へ歩き出した。茜は平日の週4日、この店の朝シフトで勤務している。朝シフトは、7時30分から13時までだ。そこで昼シフトと交代する。本来はそうなのだが、3年勤めているうちに、ランチの忙しいピークが落ち着くまでは、残ってあげることがいつの間にか慣例になってしまっていた。残業代は出ないが、マスターから頼られるのは何となく気分がいいし、時々ハーゲンダッツアイスやドーナツなんかを奢ってもらえるから、茜は良しとしていた。 

窓側の席に腰かけたクライは、30代の男性だ。「クライ」というのは美穂が勝手に付けたあだ名で、本名は分からない。クライが「メロウ」に現れ始めたのは半年くらい前からだろう。平日は毎朝8時少し前に来店し、決まって大きな窓側の席を選ぶ。注文はホットコーヒーのみ。そして、毎回10分程度滞在して帰っていく。他の客のようにPCを開いたり、新聞を読んだりということもない。茜は平日の週4日勤務なので毎日顔を合わせるようになったが、最初は普通の常連さんなのだと思っていた。しかしある日、クライの横を通った時、外を見ながら泣いているのが見えた。茜も思わず窓の外を見たが、等間隔に桜の木が植えてある道路とその向こうに住宅が広がっているだけだった。以降、毎朝やって来るクライを観察していると、時折外を見ながらブツブツ呟いたり、やはり泣いたりしていることが分かった。結果として男には「泣く」=CRY=クライと、不名誉なあだ名を美穂によってつけられたのだった。「もしクライさんと呼んでいるのが聞こえちゃったとしても、勝手に『倉井さん』って脳内で変換されるからセーフっしょ」というのは、美穂の勝手な言い分である。 

ある日、いつも通り茜がスプーンやフォーク等のシルバー類の仕分けをしていると、美穂がこちらにやってきた。クライはいつも通りにやってきて、既に退店した後だった。今日は、マスターが家の鍵を忘れて出勤してしまったため、外出できなくなることを嫌がった美穂が店まで鍵を届けに来た、というところらしい。

「私、今日の午後友達と会う約束があるから出かけるってずっと言ってたのに。茜ちゃんは、しっかりした男性を見つけるのよ」美穂がマスターを見ながら、聞こえるような声で言った。茜がマスターを見ると、聞こえていなかったようでせわしなくコーヒーカップを洗っている。・・いや、聞こえていたみたいだ。よく見るとその表情が若干悲しげに変わっていった。

「それはそうと茜、すごいことが発覚しました!」そんなマスターを尻目に美穂が言った。「何ですか?」手を止めずに、茜は聞いた。カチャカチャ、という金属同士が触れる小気味良い音が店内に鳴り響いている。「私、昨日夕方にたまたまお店に寄ったんだけど、クライさんは4時頃かな、夕方にも来てたのよ」

「えー?1日2回来たってことですか?そんなことがあるんですね」

「それがさ、昼シフトのカナちゃんに聞いたら、何か月か前から平日決まった時間に来てるって言うのよ。で、外見てブツブツ言って泣いているんだってー。もう私怖くなっちゃってさー」美穂は話を盛り上げようと、茜に顔を近づけて言った。

「ただ単にうちのコーヒーがすごい好きなお客さんなんじゃ?」シルバーの仕分けが済んだので、茜はレジ下のショーケースの掃除をするため、スプレーとダスターを持って移動した。美穂は、その後をついてきた。

「私も最初そう思ったのよ。でも、窓側の席が埋まっている時は、他に空席があっても帰っちゃうんだって!夕方にそれが何度かあったみたい。あと、泰男さんには悪いけど、うちのコーヒーは普通だよ。これと言って特徴もないし」美穂は、コーヒーカップに汚れが残っていないかチェックしているマスターの方を見ながら、小声で言った。

「窓の外の桜がどうしても見たいとか?」「それって今の時期だけだし、泣いている理由が説明つかないじゃん」「そうですね・・・」茜は言った。とはいえ、『すみません、何で泣いているんですか?』と聞けるわけがない。もし言えるとしたら『大丈夫ですか?どこか具合でも悪いですか?』くらいだろう。それも、散々目撃している後ゆえに、白々しい感じが出てしまう気がする。しばらく考えた末、茜は「よし、じゃあ明日私がクライさんに何となく理由を聞いてみます」と宣言した。「さすが、メロウのバイトの星!」美穂はどことなく楽しんでいるようで、そう言うと去って言った。美穂がいなくなったのを見て、今度はマスターの泰男が茜の近くまで来た。「茜ちゃん。相手は1日2回も来店して下さるありがたーいお客様だ。世間話をする分には構わないが、くれぐれも失礼をして、来なくなるなんて事態が起こらないよう、細心の注意を払ってくれたまえ。いいね?」泰男は、トレードマークである口髭を触りながらそれだけ言うと、再び食材の棚卸し作業に戻っていった。 

クライの対応をするのは、朝に関しては茜しかいない。「このままじゃ、何だか私も気分がスッキリしないし・・」茜は自らに言い訳をするかのように、呟いた。 

翌日の朝8時。クライは店に現れず、以降一度もメロウを訪れることはなかった。

(2 木下 道子 へ続く)


プロジェクトの実行者について

私『こうてつ』は、不当な"親子引き離し"問題に心を痛めている父親です。自身も被害に遭って以来、複数年にわたりこの問題に取り組んでおります。多くの当事者と出会い、また、議員陳情や勉強会等に参加していく中で様々な知見に触れ、『これを何らかの形にしたい』という思いが強くなっていきました。改正民法施行間近なこのタイミングでの本プロジェクトを通じて、さらに多くの人々にこの問題を知ってもらい、社会の変革を促進したいと考えています。

このプロジェクトで実現したいこと

このプロジェクトの目的は、不当な"親子引き離し"問題の認知を広げることです。(敢えて過激な呼び方をしますと)【実子誘拐】をテーマにしたミステリー小説『夕暮れのやじろべえ』を文庫として出版し、多くの読者にこの問題の理不尽さと子どもたちへの深刻な影響を理解していただきたいと考えています。物語を通じて、誰にでも起こり得る"親子引き離し"がもたらす現実を身近に感じてもらい、共感を呼び起こすことを目指しています。

プロジェクト立ち上げの背景

"親子引き離し"は、国際的にも重要視されている社会問題です。特に日本においては、法律や制度の不備が原因で、多くの親子が不当な"親子引き離し"に苦しんでいます。この問題を解決するためには、まず広く社会に認知されることが必要です。そこで、物語の力を借りて、より多くの人々にこの問題の存在を知ってもらうことを決意しました。『夕暮れのやじろべえ』は、何気ない日常に潜むちょっとしたミステリーを通じて、読後には読者に強烈なメッセージを届けられるものと確信しています。

これまでの活動と準備状況

私はこれまで、主にXで"親子引き離し"問題に関する情報発信を続けてきました。『夕暮れのやじろべえ』の執筆にあたっては、私自身を含む様々な当事者の経験を取り入れ、リアリティのあるストーリーを構築しました。出版に向けての準備も着々と進めており、皆様からのご支援をもとに、さらに活動を加速させたいと考えています。


スケジュール

2025.10月 契約完了
2026.  1月 クラウドファンディング終了
           6月 "親子引き離し"ミステリー「夕暮れのやじろべえ」出版予定

最後に

"親子引き離し"問題は、決して他人事ではありません。誰もが直面する可能性のあるこの問題に、一人でも多くの方が関心を寄せ、共に解決に向けて動き出すことができればと願っています。『夕暮れのやじろべえ』はその一歩となることを目指しています。皆様のご支援が、このプロジェクトを成功に導く力となります。どうか、私たちと共に、この重要な一歩を踏み出してください。

支援金の使い道

集まった支援金は以下に使用する予定です。

  • 『夕暮れのやじろべえ』出版費用に充当します。

※目標金額を超えた場合はプロジェクトの運営費に充てさせていただきます。

支援に関するよくある質問

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