私のこと、息子のこと
はじめまして。フリーランスで編集やライターをしている佐藤 旅宇(さとう・りょう)です。
これまで約15年にわたり、自動車やアウトドア分野を中心に、専門誌やWebメディア、企業広告などのライティング業務を手掛けてきました。
その一方で、私にはもうひとつの顔があります。知的障がいのある子どもの父親としての顔です。
現在、自閉スペクトラム症の中学1年生の長男、特別支援学校に通う小学5年生の次男、そして軽度の自閉スペクトラム症があり、今春から小学校の個別支援学級に通う末っ子の長女。3人の元気すぎる子どもたちと慌ただしい日々を送っています。
11歳の次男「すさ丸」(保育園時代の友だちがつけてくれた愛称です)は、最重度の知的障がいを伴う自閉スペクトラム症と診断されています。言葉によるコミュニケーションはほとんど取れず、生活のあらゆる場面で介助が必要です。また、食事や場所などへのこだわりも非常に強く、日常生活を送るだけでも多くの困難が伴います。
すさ丸が知的障がいと診断されたのは、3歳になる直前のことでした。
同年代の子どもと比べて言葉の発達が遅いことは感じていましたが、この診断結果はまったく予想していなかったものです。また、当時の私は知的障がいについて「意思疎通が難しく、とにかく大変なもの」程度の認識しかなく、少なからず不安を覚えました。しかし、診断後に改めて彼の顔を見ると、そこには昨日までと同じ無邪気な笑顔。気持ちが前向きに変わりました。
「ああ、すさ丸は、はじめから知的障がいをもって生まれ、私はそんな君が大好きだったんだな。診断はあくまで社会的な分類であり、私もすさ丸もこれまでと何も変わらないのだ」と。
現在、特別支援学校に通っている11歳のすさ丸。慣れない場所は警戒して歩かなくなることがあり、こうして肩車で移動することも多いです。
本を執筆しようと思った理由
すさ丸との暮らしは試行錯誤の連続です。こだわりが非常に強く、日常のルーティンが崩れるとパニックを起こし、ときには私の顔をひっかいたり、叩いたりしてしまうことがあります。私はそんな彼の特性と向き合いながら濃厚な時間を共にしてきました。
入眠困難や中途覚醒といった睡眠障害は、自閉症スペクトラム症の子どもによく見られる症状のひとつ。すさ丸も夜明け前に目を覚まし、リビングをドタバタと走り回ってしまうことがよくありました。マンション住まいのため、そのままにしておくわけにもいかず、まだ真っ暗な時間帯からドライブに出かけることも。子どもが思い通りに動いてくれないことに苛立つのは人生の浪費であり、いっそ気持ちを切り替えて、どうすれば一緒に楽しめるかを考える方が有意義であると学ばせてもらいました(笑)。
私は独身時代から旅が好きで、そこから沢山の大切なことを学んできました。知的障がいのある子どもを連れて旅をすることは、日常生活以上に多くの困難を伴いますが、障がいがあるという理由だけで、すさ丸の人生に制約が生まれてしまうことに納得がいかず、できる限りのチャレンジをしてきました。移動は全国どこでもマイカーを利用し、食事の強いこだわりにも対応できるようキッチンのあるコテージで宿泊するなどしています。これまでに北海道から九州、離島まで、すさ丸と一緒に日本中を旅しています。
2024年、東京・渋谷ヒカリエで開催された写真展『その視線たちの真ん中に立つと』(Borderless Kids × Takako Noel )にモデルとして参加させていただきました。すさ丸が繋いでくれた素晴らしいご縁に感謝!
photo by Takako Noelそんな障がい児育児の日々を、多くの方にも知ってもらいたいという思いからInstagramで発信するようになりました。すさ丸の困った行動や育児中のハプニングなどを面白おかしく投稿していると、発信者が父親であることの珍しさもあってか、少しずつフォロワーが増え、次第に「前向きで元気がもらえる」という声をいただくようになりました。また、わが子の障がいを受け入れられず、孤独のなかで苦しんでいる親御さんが少なくないことも、発信を通じて知りました。
そうした状況の背景には、障がいを「特別なもの」として分け隔てがちな社会の構造があるのではと感じています。知らないことが不安や偏見を生み、結果として当事者を孤立させてしまっているのではと、すさ丸が6歳のときに下記のような文章をInstagramで投稿しました。

この投稿は、私自身の率直な気持ちを綴ったものでしたが、想像を超える大きな反響がありました。とくに印象的だったのは、障がい児育児の当事者ではない方々からも、「知的障がい者に対する見方が変わった」という声が数多く寄せられたことです。
この体験から「自分がこれまで培ってきた“言葉”の力によって、障がい児を取り巻く環境を、今より少し良いものにできるのではないか」と考えるようになりました。最重度知的障がいのある息子・すさ丸との日々を綴った本を出版したいという、今回のプロジェクトはこうした想いが原点になっています。
この本を通して皆さまに伝えたいこと
すさ丸との暮らしで得た経験や気づき、私自身の心の変化などについて、私なりの言葉で綴り、写真エッセイというかたちで出版するつもりです。
私は雑誌編集者でもありますが、こうしたメッセージを多くの方に強く伝えるのは「紙の本」に限ると思っています。 指先でページをめくり、行間からも意味を読み取ろうとする読者の積極的な姿勢は、紙の本の不思議な力があってこそです。
本の内容は、専門家による発達支援の解説書のようなものとは異なります。
「障がい児」という言葉でひとくくりにされがちですが、彼らの日常は、これまでできなかったことを一つ、そしてまた一つとクリアして積み上げていくことの連続です。いわゆる健常者に比べると歩幅はとても小さく見えるかもしれませんが、私はそこに人が生きることの純粋な輝きと光を感じています。その尊さに障がいも健常もないのです。
すさ丸は今でも公共の場で声を上げたり、手を叩きながら動き回ってしまうことがあります。しかし、それをもって普通のことが「できない」と受け取ってもらいたくないのです。これは障がい児を育てる親御さんや、福祉の現場にいる皆さんは、きっとご存じだと思います。彼らはみな、すでに沢山の「できた」を積み重ねて、今ここに生きているのです。
本では、そんな日々の暮らしの中で生まれる大小さまざまな光の瞬きを、私なりの言葉と写真で皆さまにお届けしたいと思っています。文章はInstagramの投稿を引用するのではなく、あらためて全編を書き下ろします。A5サイズ・全84ページほどの小さな本ですが、信頼できる旧知の編集者やデザイナーとチームを組み、長く手元に残してもらえるような、丁寧な本づくりを進めています。クラウドファンディング開始後に制作を本格化し、2025年6〜7月中の出版を目指しています。




画像は制作中のサンプルです
障がい児のいる父親にもエールを送りたい
この本を通して、もうひとつ伝えたい想いがあります。それは障がい児のいる父親へのメッセージです。障がい児育児は、肉体的にも精神的にも親に大きな負担がかかります。だからこそ私は、父親の積極的な育児参加は、協力ではなく、必須のものと考えています。
しかし、現実には父親の知的障がいに対する理解や関心が低い傾向にあり、育児のすべてを母親にまかせきりにしてしまう「孤育て」のケースが少なくありません。 その一因には、日本の労働環境もあるでしょう。会社員として外で働く時間が長ければ、子どもと接する機会はどうしても少なくなります。子どもの特性や大変さを肌で感じる機会がないまま、夫婦の温度差が広がり、離婚に至ってしまうケースだってあります。
ある調査では、障がい児の母親のストレス指数は定型発達児の母親と比較して母親と比較して有意に高く、とくに「配偶者からのサポート不足」がメンタルヘルス悪化の大きな要因となっているという報告もありました。また、障がい児家庭の離婚率は一般家庭より高い傾向にあるというデータもあります。ただでさえ大変な育児を母親1人で背負う、そんな過酷な境遇を考えるだけで胸が締め付けられるような思いです。
この本の執筆にあたっては、私自身の反省も含め、理想の父親のあり方について、改めて考える契機を生み出せたらと思っています。ぜひ夫婦でページをめくり、対話のきっかけにしてくれたら嬉しいです。
わが家では、すさ丸が生まれて以降、家族の食事づくりは父(私)が担当です。イベント用の特別な料理とは違い、日々の食事づくりは栄養バランスや子どもたちの好み、コストなどに配慮しながら献立を考える必要があります。最初はレパートリーも少なく苦労しましたが、次第にそこに楽しさを見いだせるようになりました。料理の腕前はいまも初心者の域を出ませんが、いまでは仕事の合間の息抜きとして台所に立っています。こうした日常のひとコマについても、本書のなかでお伝えできればと思っています。
クラウドファンディングで出版する理由
いま、紙媒体は厳しい状況にあり、出版社から本を出すこと自体が簡単ではありません。たとえ出版にこぎつけても、書店に並ぶまでには多くのコストが発生し、どうしても販売価格が高くなってしまいます。しかし、今回のプロジェクトで大切にしているのは「できるだけ多くの方にこの本を届け、障がい児への認識を変えていきたい」という想いです。そのためにも、手に取りやすい価格設定はどうしても譲れない条件でした。できる限り価格を抑え、なるべく多くの方へ届けるためにクラウドファンディングという形を選択しました。ご支援いただいた方へのお届け後は、インターネットでの一般販売も予定しています。
リターンについて
①【お礼のメッセージ】 1,000円
返礼品なしの応援プランです。感謝の気持ちを込めて、お礼状をメールでお送りします。
②【『ほしあかり』プラン】 5,000円
エッセイ本『ほしあかり』をお届けします。感謝の気持ちを込めて、プロジェクトを応援してくださっているイラストレーター・浦野周平さんデザインによる「UNIQUE KIDS IN CAR」ステッカーも同封いたします。
・『ほしあかり』1冊
・感謝の気持ちを込めて、お礼状をメールでお送りします
・「UNIQUE KIDS IN CAR」ステッカー 1枚
③【『ほしあかり』+「スサマルコーヒー」セットプラン】 10,000円
エッセイ本『ほしあかり』と、日頃すさ丸がお世話になっている福祉法人が運営する「ラ・メール/CAFE CALME」さんで焙煎された特製コーヒー豆「スサマルコーヒー」をセットにしてお届けします。
ラベルはプロジェクトを応援してくれるイラストレーター、浦野周平さんデザインしていただきました。
・『ほしあかり』(A5版/84ページ予定)1冊
・感謝の気持ちを込めたお礼状をメールにて送付
・スサマルコーヒー 1袋(200g)
・「UNIQUE KIDS IN CAR」ステッカー 1枚
④【出版記念イベントご招待プラン】 15,000円
『ほしあかり』出版記念イベント(2026年6~7月中に開催予定)へご招待します。著者&すさ丸と気軽に交流できる温かな会です。
・感謝の気持ちを込めたお礼状をメールにて送付
・『ほしあかり』(A5版/84ページ予定)1冊
・出版記念イベントにご招待(東京・渋谷区「本と喫茶パラード」にて開催予定 ドリンク&お菓子付き)
・スサマルコーヒー 1袋(200g)
・「UNIQUE KIDS IN CAR」ステッカー 1枚
⑤【巻末お名前掲載プラン】 20,000円
感謝の気持ちを込めて、『ほしあかり』の巻末にあなたのお名前を記載させていただきます。ニックネーム可。
・『ほしあかり』(A5版/84ページ予定)1冊
・感謝の気持ちを込めたお礼状をメールにて送付
・スサマルコーヒー 1袋(200g)
・「UNIQUE KIDS IN CARステッカー」1枚
◆UNIQUE KIDS IN CARステッカーについて

知的障がい児や自閉症児など、〝ユニーク”な子どもたちとのお出かけを楽しくしたいという思いで制作したステッカーです。いつも肩車で移動している私とすさ丸の姿をモチーフに、友人の人気イラストレーター、浦野周平さんにデザインしてもらいました。クルマのリアウインドウなどに貼ってご利用ください。
◆浦野周平 公式HP
https://shu-thang.com/
◆スサマルコーヒーについて

すさ丸がデイサービスなどでお世話になっている「NPO法人でっかいそら」が運営する就労継続支援B型事業所「ラ・メール」さんより、本プロジェクトのためにご用意いただいたコーヒー豆を、オリジナルパッケージ「スサマルコーヒー」としてお届けします。東ティモールやコロンビア産の豆を、利用者の方々が一粒一粒丁寧にハンドピックし、じっくりと焙煎したものです。とても美味しいコーヒーなので、ぜひ多くの方に味わっていただきたいと思い、リターンとして採用させていただきました。
◆NPO法人でっかいそら 公式HP
https://www.dekkaisora.jp/
ご支援金の使途について
いただいた支援金は下記の用途で大切に使用させていただきます。
書籍制作費(編集・デザイン・製本・印刷):約60万円(500部の場合)
リターンの制作・仕入れ費: 約15万円
CAMPFIRE手数料: 約17万円
イベント開催費:約3万円
送料:約5万円(支援者が200人の場合)
目標額を超えた場合は、増刷費用や誌面の更なる充実、今後の活動費用などに充てさせていただきます。
このプロジェクトを応援してくれる方々
福祉・アート・知育の分野で活動している仲間たちがこのプロジェクトに賛同してくれました。
(五十音順)




すべての人に「ほしあかり」が届く世界に
すさ丸との暮らしは、幸福だけど大変、ときに苦しく、障がい者を取り巻く社会環境に対して憤りを感じることも少なくありません。しかし、彼の瞳をじっと見つめれば、その奥にはいつも光が瞬いています。
すさ丸の本名は「すばる」といいます。 古くから旅人の道しるべでもあった星団から名付けたものです。 彼の放つ「ほしあかり」が、いま、どこかで頑張るあなたの希望になれますように。
皆様の温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。






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