私が仁木文庫を守り育てていく理由
皆さん、こんにちは。仁木文庫館長の仁木義邦です。
私は37年間、学校の先生として子どもたちと向き合ってきました。そして退職したあと、スクールカウンセラーとして、500人を超える子どもや保護者の相談を受けてきました。その中で、ずっと感じてきたことがあります。
子どもたちに本当に必要なのは、学力だけではないということです。
もちろん勉強は大切です。でも、それ以上に、「どう生きるか」「困った時にどうするか」「自分を大切にするにはどうしたらいいか」、そんな『こころの軸』や『生きる軸』が必要なのではないかと思うようになりました。

この「君はどう生きるか」のスライドは、中学生に話した「SOSの出し方教育」の授業の最初の1枚です。
私は子どもたちにこう伝えています。「SOSを出していい。」「一人で悩まなくていい。」「一緒に考えよう。」
実は、この言葉は子どもだけでなく、大人にも必要なのかもしれません。
戦前の知の遺産(約1,000冊の本)を未来へ
そんな私が出会ったのが、仁木の本家の仁木邸と仁木文庫でした。


ここには約1,000冊の本があります。
100年前の先生たちは、「人はどう生きるか。」「どうすればよい社会になるのか。」「子どもをどう育てるのか。」このことを真剣に考えておられたと感じました。
今の時代だからこそ、その言葉にもう一度耳を傾ける意味があると思っています。

これらの本は、国語教育、修身、日本の精神文化、教育思想、などについて書かれています。戦争が終わってから、多くの本は捨てられたり、失われたりしました。しかし仁木文庫には、それらがまとまった形で残っていました。私は、「これは自分のものではない。」と思いました。
未来の子どもたちに渡すべき宝物だと思ったのです。
仁木文庫が戦前の文献を保存・研究する目的は、当時の価値観をそのまま肯定したり、特定の思想を広めたりすることではありません。
国語教育、修身、教育思想、日本の精神文化などについて、当時実際に使われ、読まれていた原資料を保存し、「当時の人々は何を考え、何を子どもたちに伝えようとしていたのか」を歴史的・教育的な視点から学び直すことを目的としています。
過去を知ることは、過去に戻ることではありません。
100年前の人々の問いや考えに向き合うことで、現代を見つめ、これからの社会や教育、そして「私たちはどう生きるのか」を考える材料にしていきたいと考えています。
仁木邸が担う役割
仁木邸は明治21年の建設で、築138年になります。山口県の棟梁を迎えて建てられ、江戸の建築様式の名残を見ることができる、建築史的にも価値ある建物です。〔国の登録有形文化財(建造物)〕の登録申請を進めており、11月に文化庁の現地確認会を迎える予定です。
この家は明治時代から地域を見守ってきました。建物だけではありません。この場所には、人の思いや歴史が残っています。私はこの場所を、「心が休まる場所」にしたいと思っています。
直面する課題
しかし、今、失われようとしています。
〔建物の劣化〕〔文献の消失〕〔地域の記憶の喪失〕です。
現実は厳しいです。壁は傷み、シロアリもあり、本も湿気や虫で傷んでいます。もし何もしなければ、築138年の家も、1,000冊の本も、失われてしまいます。

未来へ残せるか。それとも失ってしまうのか。
その別れ道が、まさに今なのです。
実現する三つのプロジェクト
私たちは三つのことに取り組みます。
一つ目、本をデータベース化すること。 二つ目、データベース化作業で学んだことを研究発表会を通して伝えること。 三つ目。仁木邸を再生すること。
実は、一つ目と二つ目はすでに始めています。
でも、三つ目の仁木邸の改修には、皆さんの力が必要です。
健康で豊かな文化空間へ
仁木文庫は、ただ古い本を並べる場所ではありません。ここへ来ると、なんだか安心する。ほっとする。元気になる。そんな場所を目指しています。
改修には、株式会社カイケンコーポレーションの〔幻の漆喰〕や〔音響熟成木材〕といった健康住宅素材を、(株)日新商会を通じて使用する予定です。化学物質を出さない、呼吸する建材で、訪れる人が心地よく過ごせる環境を整えます。
仁木文庫は、単なる保存施設ではなく、「ここへ来ると、なんだか安心する。ほっとする。元気になる。」という時空間となり、日本の精神文化について学び、研究する拠点になることを目指します。
研究発表会を通じた継承
研究会も5回開催しました。3か月ごとに〔仁木文庫データベース化プロジェクト研究会〕を開催しています。
本を読むだけではなく、みんなで考える、語り合う、そして、こう思うという〔感情の交流〕も生まれています。
R8年11月25日(水)午後に6回目を開催いたします。
日本の教育や文化の歴史に関心のある方、昔の本から現代を考えてみたい方、そして「人はどう生きるのか」という問いに関心のある方。
ぜひ仁木文庫の研究発表会に参加してみませんか。
100年前の本を読みながら、過去を知り、現在を考え、未来について語り合う。
そんな時間を、皆さまと一緒につくっていきたいと思っています。
研究冊子の出版
研究発表会ごとに、発表資料をKindle Direct Publishingで書籍化。仁木文庫の1冊1冊の紹介や、日本のこころ・社会情勢への思いを真摯にまとめています。
出版物は研究成果の記録であると同時に、より多くの人々が仁木文庫の価値に触れるための入口となっています。発表と出版の繰り返しが、知の継承の循環を生み出します。

支援者の皆さまへ
今回のクラウドファンディングでは、仁木文庫・仁木邸を未来へ残していくための「第一期整備」として、1,000万円を目標としています。
皆さまからご支援いただいた資金は、主に次の活動に大切に活用させていただきます。
1.築138年の仁木邸を守る
明治21年に建てられた仁木邸は、築138年を迎えています。
長い年月を経た建物には、壁の傷み、シロアリ、湿気などへの対策が必要です。
今後、本格的な保存・改修を進めていくための建物調査、補修、環境整備などに活用します。
2.約1,000冊の文献を未来へ残す
仁木文庫には、戦前・戦中を中心とする約1,000冊の文献が残されています。
これらについて、書誌情報の整理、データベース化、撮影・デジタル保存などを進めます。
紙の本として大切に保存すると同時に、次の世代が研究や教育に活用できる形でも残していきます。
さらに、子ども達や若い世代にも読んでもらえるよう、古い文体や表現を現代語に置き換え、内容を分かりやすく伝えていく作業にも力を入れていきます。
「保存する」だけではなく、「読める」「学べる」「次の世代へ伝わる」文献にしていくことも、仁木文庫の大切な役割だと考えています。
3.貴重な本を守る保存環境を整える
古い本にとって、湿気、虫害、温度変化は大きな脅威です。
文献を長期的に保存するため、書棚や保存設備、除湿・防虫などの環境整備を進めます。
4.研究し、伝え、社会に生かす
仁木文庫では、文献を「保存するだけ」で終わらせません。
研究発表会の開催、研究資料の制作、研究冊子の出版、情報発信などを継続し、文献の中に残された知恵や問いを現代、そして未来へ伝えていきます。
「保存する・研究する・伝える・生かす」
ここまでを、仁木文庫の大切な活動と考えています。
5.仁木邸を文化交流の拠点へ
将来的には仁木邸を、文献を保存するだけの施設ではなく、研究者、地域の方々、子どもたちなどが訪れ、
「学び、語り合い、新しい知恵が生まれる文化拠点」
として整備していきたいと考えています。
6.クラウドファンディング実施に必要な経費
CAMPFIREの手数料、リターンの制作・発送費、広報費など、今回のクラウドファンディングを実施するために必要となる経費にも充当させていただきます。
今回の1,000万円は「最初の1,000万円」です。
仁木文庫・仁木邸の再生には、今後、総額約3,000万円規模の事業を想定しています。
今回お願いする1,000万円は、
「すべてを完成させるための1,000万円」ではありません。
約1,000冊の文献と、築138年の仁木邸を失わないために、まず保存と再生の土台をつくる、「最初の1,000万円」です。
100年以上の時を超えて残されてきた建物と本を、私たちの世代で失わせるのではなく、次の100年へ手渡していきたい。
皆さまからいただいたご支援を、一つひとつ確かな形に変えてまいります。
支援金の使途や事業の進捗についても、CAMPFIREの活動報告や仁木文庫からの情報発信を通して、できる限り具体的にご報告いたします。
仁木文庫が目指す未来
私たちが目指しているのは、本や建物をただ保存することではありません。
築138年の仁木邸と、約1,000冊の文献を守り、そこに残された知恵や問いを、今を生きる私たち、そして次の世代へつないでいくことです。
ここを訪れた人が、学び、語り合い、自分自身の生き方を見つめ直すことができる。
そして子どもたちが、「どう生きるか」「困ったときにどうするか」「自分を大切にするとはどういうことか」を考えるきっかけを得られる。
そんな文化と学びの場所として、仁木文庫・仁木邸を未来へ育てていきたいと考えています。
100年前の人たちが残してくれた言葉を、100年後の子どもたちへ。
その橋渡しをすることが、仁木文庫の役割だと考えています。
未来をつくる仲間になってください
築138年の仁木邸。
そこに残された約1,000冊の本。
この建物も、この文献も、一度失われてしまえば、もう元に戻すことはできません。
だからこそ、今、残したい。
守るだけではなく、読み、研究し、伝え、次の世代が活用できる文化遺産として未来へ手渡したい。
この挑戦は、私一人では実現できません。
1,000円のご支援も、3,000円のご支援も、そして、このプロジェクトを誰か一人に伝えていただくことも、すべて仁木文庫を未来へ残す力になります。
100年前から受け取ったものを、次の100年へ。
どうか、仁木文庫・仁木邸とともに、より善き未来をつくる仲間になってください。
仁木文庫館長
仁木義邦




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