■はじめに
子どもたちの基礎運動能力の低下。これが私たちのプロジェクトのスタートでした。
GROUND PROJECTは、裸足トレーニングが運動能力向上・ボールコントロール能力向上にもたらす影響を、科学的に検証する12週間の研究プロジェクトになります。小学生サッカー選手40名を対象に、裸足群とシューズ群に分けトレーニングを行い、アジリティ、バランス、スプリント、ジャンプ、姿勢・柔軟性、ボールコントロールの6つの能力の向上率を比較検証します。
■失われた運動習慣
私は小学2年生でサッカーを始め、高校卒業後にプロサッカー選手となりました。30歳まで現役としてプレーし、引退後は小学生年代から成人まで幅広い世代の指導に携わっています。
今から約30年前、私が子どもの頃の学校では、裸足でかけっこをするのが当たり前でした。運動会では裸足で行うプログラムが多く、鉄棒や登り棒やジャングルジムといった遊具で遊ぶのはもちろん、木登りなども裸足で行うことが珍しくありませんでした。
当時の子どもたちは、自分の足で地面を感じながら遊び、走り、登り、跳び回っていました。そうした経験の中で、足裏からの感覚刺激を自然に受け取りながら、バランス能力や身体操作能力といった基礎的な運動能力を身につけていったのです。

■今、何が起きているのか
しかし現代の子どもたちは、基礎的な運動能力に課題を抱えているケースが増えています。実際の調査データでも、小学生から中学生年代にかけての基礎運動能力の低下が指摘されています。
私自身、育成年代の指導現場に立つ中で強く感じているのは、年齢が上がっていても、いわゆる“基礎的な身体の使い方”が十分に身についていない子どもが想像以上に多いということです。
例えば、高学年であっても「前転がぎこちない」「縄跳びをリズム良く跳べない」「雲梯や登り棒に苦手意識がある」「逆上がりができない」といったケースは珍しくありません。
もちろんサッカーの技術指導をしていると見落とされがちですが、実際にはこれらの動作は身体操作能力・バランス・リズム・協調性といった、プレーの土台そのものに直結しています。
現場にいる指導者ほど感じていると思いますが、“技術以前の部分”の差が、そのままプレーの伸びしろや運動学習スピードに影響している場面は少なくありません。
生活環境の変化、運動環境の変化。そして何より、かつて子どもたちが遊びの中で自然に身につけていた運動能力が、時代とともに失われつつあります。
もしこの基礎が育たないまま成長してしまえば、将来チャレンジできるスポーツや身体活動の選択肢を、自ら狭めてしまうことにも繋がりかねません。
だからこそ本プロジェクトでは、サッカーの技術強化だけでなく、こうした基礎運動の再構築にも意図的に取り組み、子どもたちの成長の土台を整えることを重視しています。
今、子どもたちの身体に起きているこの変化に、私たち大人が目を向ける必要があると感じています。

■足裏から始まる身体の覚醒
足裏には多くの感覚受容体(メカノレセプター)が存在しています。靴を脱ぎ、地面を直接感じることで、子どもたちの神経系はより多くの情報を受け取るようになります。
足裏から入る刺激は、脳へと伝わり、身体のコントロール機能を高めます。その結果、バランス感覚が研ぎ澄まされ、反応速度が高まり、体幹の安定にもつながっていきます。
運動領域の指導者やスポーツ科学の研究者たちも、足裏への刺激が身体機能の向上に寄与する可能性について、さまざまな研究の中で言及しています。
例えば南米では、ストリートサッカーの文化の中で、裸足でボールに触れることが珍しくありません。足裏からの感覚を大切にする環境の中で、多くの優れた選手たちが育ってきました。
しかし日本の運動環境では、こうした取り組みはほとんど行われていないのが現状です。
だからこそ、私たちは、
裸足での運動が本当に子どもたちの能力を高めるのか。
もしその効果があるのなら、それを感覚や経験だけではなく、科学的に検証する必要があるのではないか。
と強く感じました。
今回のプロジェクトは、サッカーを行う小学生を対象とした、日本で初めての試みとなる可能性があります。
もしこの取り組みによって、裸足での運動が子どもたちの身体能力の向上に有効であることが示されれば、それはサッカーだけにとどまらず、さまざまなスポーツの育成環境に大きな影響を与えるかもしれません。
この小さな挑戦が、日本の子どもたちの運動環境を変えるきっかけになる。そんな可能性を秘めたプロジェクトだと、私は考えています。

■プロジェクトの概要
一般社団法人Suginami sports innovationが委託を受けた高三サッカークラブと、株式会社LOOPZのVALORISEが共同で実施するプロジェクトになります。
対象は、小学生(中学年から高学年)のサッカー選手。20名ずつ、2つのグループに分かれてトレーニングを行います。
トレーニングの頻度も内容も、すべて同じ。ただ一つ違うのは、「裸足で行うか」「靴を履いて行うか」という点だけです。
この“わずかな違い”が、12週間後、子どもたちの身体にどのような変化をもたらすのか。
バランス能力、アジリティ、スプリント、ジャンプ、身体操作。これらの指標をもとに、感覚ではなく、数値として可視化していきます。
私たちはこれまで、「裸足は良い」と言われてきたことを、なんとなく理解してきました。しかし、それを明確なデータとして示した事例は、決して多くありません。
だからこそ、この検証には大きな意味があります。
もし結果として、裸足でのトレーニングが有効であることが示されれば――それは現場の指導だけでなく、日本の子どもたちの運動環境そのものを見直すきっかけになるかもしれません。
そして何より、「本当に効果があるのか?」という問いに対する答えを、自分たちの手で明らかにします。
そのプロセスと結果は、指導者、保護者、そして子どもたちにとって、非常に価値のあるエビデンスになるはずです。
この12週間の挑戦が、どんな結果を生むのか。ぜひ、その答えを一緒に見届けていただきたいと思っています。

■測定項目
私たちが検証するのは、子どもたちが将来どのスポーツに取り組む場合でも必要となる基礎的な運動能力です。
具体的には、素早い方向転換能力を示すアジリティ、身体のぶれを制御するバランス能力、短距離を全力で走るスプリント能力、そして高く跳ぶためのジャンプ力。
さらに、身体の土台となる姿勢と柔軟性、そしてサッカー選手に欠かせないボールコントロール能力も測定対象とします。
これら6つの運動能力が、12週間のトレーニングによってどのように変化するのか。感覚や印象ではなく、専門の測定機器と科学的な測定方法を用いて数値として可視化し、検証していきます。
この検証によって、裸足での運動が子どもたちの身体能力にどのような影響を与えるのか、その可能性を明らかにしていきます。

■子どもたちの可能性を広げたい
基礎運動能力が高い子どもは、その後のスポーツ人生において、より多くの選択肢を持つことができます。サッカーでも、野球でも、バスケットボールでも、陸上でも、体操でも。
身体を思い通りに動かす力という「土台」がしっかりしていれば、どのスポーツにも挑戦できる可能性が広がります。
反対に、この土台が十分に育たないまま成長してしまうと、本来持っているはずの才能や興味があっても、挑戦する前に壁を感じてしまうことがあります。
私たちが本当に届けたいのは、単なる運動能力の向上ではありません。
子どもたちの未来の可能性を広げること。
どんなスポーツにも活きる基礎体力と身体感覚を身につけることで、子どもたちは自分の好きなことに思いきり挑戦できるようになります。
「やってみたい!」と思ったときに、体がそれに応えられる。そんな土台を育ててあげたい。
その想いから、このプロジェクトは始まりました。
失われつつある基礎運動能力を取り戻すこと。それは単なる運動能力の向上ではなく、
子どもたちの未来の選択肢を広げ、可能性を解き放つことにつながると信じています。

■研究成果の活用と社会への還元
12週間の研究終了後、私たちは育成年代の指導者や保護者の皆さまに向けて、その結果を報告する予定です。
もし、科学的根拠に基づいた「裸足トレーニングの効果」が明らかになれば、それは子どもたちの運動環境を見直す一つの大きなヒントになるかもしれません。
保護者と指導者が共通の理解を持ち、子どもたちの身体づくりについて連携していく。そして、その知見が教育現場や地域のスポーツ活動の中で活用されていく。
私たちは、そのような広がりを目指しています。
また、この研究の成果は、さまざまな自治体にとっても、小学生年代の運動環境を考える上での参考になる可能性があります。
日本全国の子どもたちの運動環境をより良いものへと変えていく。
そんな未来につながる可能性を、このプロジェクトは秘めています。

■あなたの支援で実現すること
このプロジェクトを実施するためには、測定機器の導入、専門家によるデータ分析、そして研究結果を広く伝えるための資料作成など、さまざまな準備が必要です。
皆さまからいただく支援は、子どもたちの未来の可能性を広げるための、直接的な力になります。
この研究によって、もし裸足トレーニングの効果が科学的に示されれば、それはサッカーだけでなく、さまざまなスポーツの育成環境に新しい視点をもたらすかもしれません。
そしてその知見は、保護者、指導者、教育現場、さらには自治体へと広がり、日本の子どもたちの運動環境をより良いものへと変えていく可能性を秘めています。
小学生サッカー選手の保護者の皆さま。日々子どもたちを指導しているスポーツ指導者の皆さま。教育に関わる皆さま、そして地域の未来を考える自治体の皆さま。
この小さな挑戦が、子どもたちの未来を変える一歩になるかもしれません。
その第一歩を、ぜひ一緒に踏み出していただけたら嬉しいです。
■最後に
この研究がきっかけとなり、子どもたちがもっと自由に、もっと自信を持って体を動かせる社会が広がっていくことを、心から願っています。
もし裸足トレーニングの有効性が実証されたとき、その価値はきっと多くの人に届き、日本全国の子どもたちの運動環境にも新しい可能性が生まれるはずです。
子どもたちの未来のために。この一歩を、皆さんと一緒に踏み出せたら嬉しく思います。
ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。





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