
ページをご覧いただきありがとうございます。
NPO法人日本障がい者レスリング連盟 代表の谷津嘉章と申します。

元プロレスラーです。
2019年に糖尿病で右足を切断しました。
絶望の底にいた私は、そこから義足で東京オリンピックの聖火を繋ぎ、プロレスのリングに再デビューし、今、世界で誰もやったことのない挑戦をしています。
パラリンピックに、レスリング種目を作る。
その挑戦を支えていただくため、今回のクラウドファンディングを立ち上げました。
どうか最後までお読みください。


皆さん、ご存知でしたか。
パラリンピックには、レスリング種目がありません。
車いすバスケットボール、車いすテニス、水泳、陸上、柔道。
多くの競技がパラリンピックの正式種目として存在する中で、レスリングだけは今も採用されていないのです。

世界には、紛争地域で手足を失ったレスリング経験者がたくさんいます。
イラン、トルコ、ジョージアなど、レスリングが国技として根付いている国々です。
戦争で四肢を失い、それでももう一度マットに立ちたいと願っている人たちがいる。
しかしその舞台がどこにもない。
私自身も、パラリンピアンになりたかった一人です。
右足を失った後、「もう一度世界の舞台に立ちたい」と思いました。
でも、レスリングで出場できるパラリンピック種目は存在しないのです。
2019年6月のことです。
松山への遠征中に、足に異変が起きました。
壊疽を起こしていたのです。
診断を受けたわずか1週間後に切断手術が決まりました。
体が大きいこともあり、手術には8時間かかりました。
プロレスラーとして何十年も体を張り続けてきた人間が、ある日突然、片足を失う。
絶望の底でした。
何も考えられず、自分はもう終わったんだという気持ちしかありませんでした。
そんなときに、自分の気持ちを大きく突き動かしてくれるものがありました。
TOKYO2020の聖火ランナーの募集です。

ダメもとで、担当の理学療法士にこう言いました。
「半年後に聖火ランナーになるから、走らせてくれ」
あの時の理学療法士の先生の表情は忘れられません。

これは自分の性なのでしょうね、
足を切断した直後なのにじっとしていられませんでした。

幸運なことにTOKYO2020は1年間の延期が決まりましたから、しっかりとリハビリをして聖火ランナーとして走ることができました。
2021年3月28日、栃木県足利市。
特注の義足で聖火を繋ぎました。
足を切断してから約2年。
あの日、沿道の声援を浴びながら走ったとき「まだやれる」という実感が全身に広がりました。
そうして、その次に決めたのは、プロレスのリングに戻ることでした。
義足でプロレスをやるというのは、想像以上に危険なことです。
全身で受け身を取り、投げられ、叩きつけられる。
片足が義足の状態でそれをやれば、常に怪我のリスクと隣り合わせです。
それでも、リングに上がりました。闘い、観客の前で体を張りました。
義足のプロレスラーとしてリングに立つ。「足がなくても闘える。足がなくてもできる」ということを自分の体で証明したかったんです。

以前、山下泰裕会長が「幻のオリンピアン」について語っているのを聞いたことがあります。
政治的な理由やさまざまな事情でオリンピックに出場できなかった選手たちのことです。
自分もその一人だと気づきました。
パラリンピアンとして闘いたい。
しかしパラリンピックにレスリング種目がない。
闘う舞台そのものが存在しない。
自分の夢は叶わないかもしれませんが、若い世代に舞台を繋ぐことはできる。
私がパラリンピアンになれなかったとしても、次の世代が立てる場所を作ることはできるはずです。
その想いで、2023年3月にNPO法人「日本障がい者レスリング連盟」を設立しました。
障がい者の体幹力向上にはレスリング競技が最も適したスポーツであるという確証をもとに、レスリングを普及させ、障がい者の自立した生活の実現に貢献する。
そして将来的には、パラリンピック正式種目採用を目指していきます。


パラリンピック正式種目にするためには、まず競技として成立させなければなりません。
しかし障がい者レスリングは世界にまだ存在しない取り組みです。
参考にできる前例がどこにもない。
ルールもカテゴリーも、審判の基準も、すべてをゼロから作る必要がありました。

最も難しかったのは、障がいの種類と程度に応じた公平なルール作りです。
視覚障がい、聴覚障がい、上肢切断、下腿切断、知的障がい。
それぞれの障がいに応じて、競技エリアであるパッシビティーゾーンの大きさを変えました。
青は6m、緑は7m、赤は9m。
最も困難な障がいを持つ選手から優先的に小さいゾーンで競技を行う設計です。

また異なる障がいの選手同士が対戦する場合のハンディ戦のポイント制度も設計しました。
例えば、視覚障がい者が下腿切断者を7mのゾーン外に出せばポイント付与。
下腿切断者が視覚障がい者を6mのゾーン外に出せばポイント付与。
障がいの度合いを考慮し、公平にルールを組み上げています。
レフェリーの対応も障がいごとに異なります。
聴覚障がい者の試合ではホイッスルに加えてリフトバンドで視覚的に指示を出し、視覚障がい者の試合ではセコンドと共に中央で握手してから開始します。
一つひとつの動作に安全と公平が組み込まれています。

ルールだけでは競技は成立しません。正式な競技として認められるためには、組織としての体制が不可欠です。
審判委員会とメディカル委員会を設置し、試合前にカテゴリー検査とメディカルチェックを行う体制を整えました。
レフェリーの育成も進めています。
障がい者競技のレフェリーには、通常のレスリング審判とは異なる知識と感覚が求められるからです。

このルールブックは、令和9年度版として発行した初版です。
これから教室形式の体験会や大会を重ねながら、反省材料を溜め、改善を続けていきます。
世界で初めて障がい者レスリングの正式なルールを明文化した一冊であることは間違いありません。
私はこのルールブックが、いつか世界のバイブルになると思っています。


なぜレスリングなのか。
レスリングは全身を使って相手と組み合うスポーツです。
体幹を強化し、バランス感覚を養い、身体能力を総合的に高めることができます。
障がい者スポーツの中において、社会復帰に必要な基礎体幹力を鍛えるのに最も適した種目の一つです。
リハビリテーションの医学的観点からもその効果は認められており、身体的なリハビリだけでなく、精神的な自信や達成感、目標を持つ力を育むことにもつながります。
現在、障がい者がレスリングを体験できる場はほとんど存在しません。
だからこそ、まず受け皿を作ることが必要なのです。
私たちは今、教室形式で障がい者にレスリングを体験してもらうことから始めています。
選手を集めるのは一番最後。
まずは「楽しかった」「自分にもできた」と感じてもらえる場を全国に作ることが、最初の一歩だと考えています。


この挑戦には、日本国内だけにとどまらず、さらなる可能性があると考えています。
ウクライナ、ロシア、アメリカ、モンゴル、イラン、トルコ、ジョージア。
レスリングが国技として深く根付いている国の多くは、紛争が繰り返されてきた地域でもあります。
戦争によって手足を失ったレスリング経験者が、これらの国には大勢います。
もしパラリンピックにレスリング種目が加われば、かつてマットの上で闘い、戦場で体の一部を失った人たちが、もう一度世界最高峰の舞台に立つ道が開かれます。
障がい者レスリングが世界に広がるということは、紛争で傷ついた人間に、もう一度目標と誇りを取り戻す手段を届けることでもあると考えています。


今回のクラウドファンディングでは、障がい者レスリングの認知拡大と競技基盤の整備に向けて
まず、障がい者を対象としたレスリング体験イベントを開催します。
実際にマットの上で体を動かし、レスリングの楽しさと可能性を体感していただく場を作ります。
このイベントを通じて参加者の声を集め、ルールの改善にも反映していきます。
同時に、公益財団法人への移行を視野に入れた体制整備を進めます。
パラリンピック正式種目化という大きな目標に向けて、組織としての信頼性と実績を積み上げていくための重要な一歩です。
今後はレスリング出身者の理事就任も進め、競技の質をさらに高めていきます。

パラリンピック正式種目化までの道のりは、長く険しいものです。しかしすべての大きな挑戦は一歩目から始まると信じ、邁進します。


ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
2019年に足を切断したとき、もう何もできないと思いました。
しかし聖火を繋ぎ、リングにも戻りました。
そして今、世界で誰もやったことのない挑戦をしています。
正直に言えば、私自身がパラリンピアンとして闘いたかったのですが、それは叶わないかもしれません。
だからこそ若い世代にこの舞台を繋ぎたいのです。障がい者レスリングという、世界にまだ存在しない競技。
そのルールを作り、組織を立ち上げ、選手を育て、いつかパラリンピックの舞台で日本の選手がマットに立つ日を実現する。
この挑戦は、まだ始まったばかりレスリングの歴史を、一緒に作ってください。
皆様のご支援を、心よりお待ちしております。
NPO法人日本障がい者レスリング連盟
代表 谷津 嘉章

NPO法人日本障がい者レスリング連盟(NCWA)Nippon Challenged Wrestling Association
設立:2023年3月
公式サイト:https://ncwa.or.jp/

9月10日:クラウドファンディング開始
10月18日:第二回 イベント開催
10月31日:クラウドファンディング終了

皆様からいただいた大切な資金は、活動費・出版印刷物・啓発イベントにおいて大切に活用させていただきます。
応援いただき本当にありがとうございます。




