ごあいさつ
私たちブラジル俳句選集編纂委員会は、日本人のブラジル移住120周年を迎える2028年を機に、流派の垣根を越えた初の『ブラジル俳句選集』の出版を目指しています。
ブラジルでは、移住者たちによって俳句が詠まれ始めて以来、百年以上にわたり、その文化が大切に受け継がれてきました。異国の風土や自然、人々の暮らし、そして時代とともに変化する心の風景。そこには、ブラジルならではの風土に根差した俳句と、幾世代にもわたる人々の思いが刻まれています。
私たちは、このかけがえのない俳句の文化と作品を一冊にまとめ、次の世代、そして未来へと伝えていきたいと考えています。
(編纂委員会のメンバー。1,2世を中心に約15人で活動しています)
始まりの一句

1908年、笠戸丸に乗った日本からの移民が、ブラジルの地に初めて降り立ちました。
その航海に移民総監督として同乗していた上塚周平(俳号・上塚瓢骨)が詠んだとされるのが、
「涸滝を見上げて着きぬ移民船」
という一句です。ブラジルで詠まれた最初の俳句であると言われています。見知らぬ土地へ向かう心の高鳴が、十七音に凝縮されています。
ブラジル日系俳句とは
ブラジルの俳句は、日本からの移民によって持ち込まれ、コロニア(移民社会)の各地で句会が開かれるなかで発展してきました。
句会は、単に俳句を詠み、互いの作品を批評し合う場にとどまりません。日本語や日本文化を次の世代へと受け継ぎ、移民同士が交流を深める大切な場でもありました。
現在もブラジル各地に句会が点在し、百年以上にわたる俳句文化が受け継がれています。また、サンパウロのブラジル日本文化福祉協会(文協)が主催する全伯俳句大会や、邦字紙「ブラジル日報」の俳壇が、ブラジル各地の俳句活動をつなぐ重要な役割を担っています。
【年表略歴】
1908 移民俳句開始
1927 佐藤念腹(代表的な俳人は佐藤念腹(1898-1979、ホトトギス同人、俳誌「木陰」主宰))渡伯、おかぼ会
(移民俳句草創期)
1937 三水会『南十字星』創刊
1948 俳誌『木蔭』創刊
1953 星野立子来伯*最盛期
1979 佐藤念腹没
1981 梶本北民『ブラジル季寄せ』
1995 増田恆河『自然諷詠』
2006 佐藤牛童子『ブラジル歳時記』
日系俳句の一句を説明する編纂委員会の吉田しのぶさん(1世)【動画リンク】
このプロジェクトが目指すもの
ブラジルで詠まれた俳句には、移民社会ならではの物語と人々の心情が息づいています。開拓の日々の記録、異国の風物への驚き、遠く離れた故郷への想い――。そこには、ブラジルの地で暮らし、時代を切り拓いてきた人々の歩みが刻まれています。
私たちは、こうした情感豊かな俳句を一冊にまとめ、日本の読者にも届けられる形で後世に残したいと考えています。この選集を通じて、日本とブラジルが育んできた文化交流の歩みを、形あるものとして未来へつないでいきます。
なぜ、今なのか。
今年8月に開催された全国ブラジル俳句大会の参加者は、約30人でした。20年前には約300人が参加していたことを思うと、その減少は決して小さくありません。背景には、日系社会の高齢化があり、当時の移民の暮らしや俳句文化を知る一世・二世の方々が、年齢を重ね、句会や大会への参加が難しくなっている現状があります。
俳句を詠み、受け継いできた人々の記憶や証言は、時間とともに失われていきます。作品だけでなく、その背景にある歴史や思いを記録し、後世に伝えることができるのは、まさに今です。

(今年8月に行われた全伯俳句大会での集合写真)
編纂委員会のこれまでの歩み
編纂委員会は2024年5月にブラジル・サンパウロで発足し、流派を超えた俳人たちが集い、選句作業を重ねてきました。どの句を選び、どう構成するか、活発な議論が続いています。
編纂委員会の発足を報じた記事(ブラジル日報記事のリンクはこちらから)

ご支援いただくことの意味
今回のご支援は、一冊の本を世に送り出すことにとどまらず、ブラジル移民の歴史を記録し、文化交流の証を未来へ残す取り組みそのものです。支援してくださる皆さまには、出版という喜びをともに味わっていただけます。
只今編集の段階で、以下のような俳句が選出されております。


リターンについて
今回のクラウドファンディングでは、プロジェクトを応援してくださる方向けのプランに加え、完成した『ブラジル俳句選集』をお届けするプラン、日系俳句オンラインによる移民1世や2世らへの俳人インタビューを視聴できるプランなど、複数のリターンをご用意します。
書籍は四六判ハードカバー約400ページを予定しています。装丁は出版社・水声社にて、ふさわしいブックデザイナーへ依頼する予定です。
また、ラテンアメリカ俳句研究会(代表=白石佳和先生・松蔭大学教授、「ブラジル移民と五七五」著者)によるオンラインイベント「日系俳句オンライン」では、ブラジルの移民1世や2世らへの俳人インタビューを視聴できます。聞き役は俳人で結社「藍花」主宰の大高翔さんが務め、それぞれの人生や俳句への想いを1人あたり40分程度話していただいています。
【現在作成中の目次】

[日系俳句オンラインによる俳人インタビューの様子]

(2026年10月、ブラジル・サンパウロで。2026年11月現在、4人のインタビューが行われました)

今後のスケジュール
現在は最終選句の段階にあり、出版に必要な資金は、200万円から300万円の見積もりです。
クラウドファンディング終了後は、装丁の決定、印刷、製本を経て、2027年中にブラジルと日本の支援者の皆さまへお届けする予定です。
最後に
ブラジルの地で詠まれた俳句は、移民たちの魂の記録です。この貴重な文化遺産を、皆さまのお力をお借りして、確かな形で後世に残していきます。
このプロジェクトへのご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。皆さまとともに、日本とブラジルをつなぐ文化の架け橋を築けることを、楽しみにしております。
【推薦コメント】
俳句研究 白石佳和 氏

俳人 大高翔 氏

社会学者 アンジェロ・イシ氏

歌人 小塩卓哉氏




