実施理由/背景
ー室町時代の国宝、興福寺五重塔の美しく雄大な姿を次世代へ継承するー

興福寺五重塔は、天平2年(730)に創建されて以後、五度に及ぶ罹災と再建を繰り返しており、現在の塔は、応永33年(1426)に再建された六代目です。高さは約51mに及び、現在の奈良県内では最も高い建物となっています。また、現存する木造五重塔の中でも、京都の教王護国寺(東寺)五重塔に次ぐ国内第二の高塔です。
応永の再建後も、先人達による修理が適切に行われてきたことで、今日我々の世代まで保存継承されてきました。前回の大規模修理は明治34年(1901)に行われましたが、そこから120年が経過し、屋根瓦などに破損が生じていることから、令和2年(2020)から調査を開始し、令和4年(2022)から修理工事に着手しました。令和6年度に素屋根(すやね・工事を行うための覆屋)の建設が完了して五重塔の姿が見えなくなってしまいましたが、令和7年5月に現場見学会を開催し、約1000名の方にこれから修理が行われる五重塔を間近でご覧いただきました。その後、本格的な保存修理工事を進めています。
プロジェクト内容説明
ー保存修理工事の進捗と今後の予定ー

令和7年度は、屋根瓦の解体工事を行いました。約6万点を数える瓦を丁寧に屋根から降ろし、再用できる瓦と傷んだ瓦を1点1点調査しています。文化財としての価値を保存するため、再用できる瓦は可能な限り再用しますが、傷んだ瓦を無理に再用すると、雨漏りの原因となってしまい、文化財としての価値が損なわれてしまいます。そうした事態を避けるため、傷んだ瓦は新しい瓦と交換する予定です。
その後は、破損が生じている大斗(だいと・軒を支える仕組みの部材)の修理を行う計画です。この修理は、上重から大きな荷重を受けて圧壊しかけている初重の隅大斗を、補強策を講じた新しい大斗と取り替える工事です。大斗を取り替えるためには、初重から上部の五重塔全体をジャッキアップさせる必要があります。興福寺五重塔のような大きな塔をジャッキアップさせるのは簡単な工事ではありません。皆様のご協力も頂戴しながら、関係者が一丸となり力を合わせて取り組んでいきます。
素屋根の中では、このように、五重塔を適切な状態で次世代へ継承するための大切な保存修理修理工事が行われています。文化財の保存と継承に、どうぞ、ご理解とご協力を宜しくお願いします。
目指すところ
ー保存修理を実施して、その構造や美しさを継承するー

国宝興福寺五重塔は、室町時代に再建された貴重な文化財であり、古都奈良を代表するランドマークとなっています。しかし、長い年月を経る中で、風雨や自然災害による損傷は避けられません。修理を行い、その構造や美しさを維持することは、単なる建物の保全に留まらず、過去の人々の努力や信仰、技術の成果を未来へ伝える重要な行為です。次世代に継承することで、歴史的価値や学術的価値を保持するとともに、地域文化や観光資源としての意義も守ることができます。文化財は放置すれば失われてしまいます。保存修理を実施して、興福寺五重塔を適切な状態で次世代に継承することで、今日および将来の人々が歴史・文化・美学・教育・社会などの多面的な価値を享受できる機会になると考えています。
寄付の使い道
五重塔を適切な状態で次世代へ継承するための保存修理工事には、多額の費用が必要になります。国・県・市からの補助金が交付されますが、それでも所有者である興福寺様には15億円以上の自己負担が生じております。皆様からご支援いただいた寄付金は、自己負担が少しでも軽くなるよう所有者である興福寺様へお届けする予定です。。
自治体からのメッセージ
文化財の保存継承にご理解とご支援の程よろしくお願いします。

修理工事を終え、素屋根が解体されるまでのしばらくの間、奈良のランドマークである興福寺五重塔の美しく雄大な姿を目にすることができなくなっていますが、素屋根の中では貴重な文化財を次世代へ継承するための修理工事が進められています。明治時代以来120年ぶりとなる大規模な修理が行われているこの機会に、改めて興福寺五重塔に関心をお寄せいただき、文化財の保存と継承に皆様のご理解と温かいご支援をよろしくお願いします。
事業スケジュール
令和4年 修理工事の着手
令和6年 素屋根(すやね・工事を行うための覆屋)の完成
令和7年 屋根瓦の解体工事 完了
令和10年頃(予定) 大斗(だいと・軒を支える仕組みの部材)の修理 完了
令和13年頃(予定) 屋根瓦葺きの葺き直し 完了
令和16年頃(予定) 全修理工事 完了
令和4年(2022年)に修理工事に着手し、令和6年(2024年)に素屋根(すやね・工事を行うための覆屋)が完成して、五重塔がご覧いただけなくなってしまいましたが、素屋根の中では興福寺五重塔を次世代へ継承するための大切な保存修理工事が実施されています。素屋根は令和15年(2033年)頃から解体が始まり、徐々に五重塔をご覧いただける状態になっていきます。令和16年(2034年)頃に全修理工事が完了する予定です。
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