●ご挨拶

 はじめまして。仙台けやきユニオン(総合サポートユニオン仙台支部)代表の森進生と申します。私たちは仙台を拠点に活動する個人加盟ユニオン(労働組合)です。仙台市を中心に、宮城県全域の労働相談を受け付けています。正社員・非正規雇用や業種・職種を問わず、どんな方でも加入できます。一人ひとりの問題を解決しつつ、ブラック企業をなくすことを目指し、地域に根差しながら活動を続けてきました。

 仙台けやきユニオンは今年から、同じく宮城県内で活動する「仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)」と「ふうどばんく東北AGAIN」との共催で、「子ども食堂」ならぬ、「大人食堂」を開催しています。大人食堂は、栄養素を考慮した温かい食事を無料で提供し、同時に労働問題や貧困問題を抱えた参加者の相談支援を行う取り組みで、学生やユニオンの組合員もボランティアとして参加しています。

 今回、みなさんにお願いしたいのは、この「大人食堂」の取り組みに対するご支援です。「ブラック企業」や非正規雇用で働く「働いていても食うに困る」人たちに“食事と居場所”を提供し、相談支援に結びつけ、日本社会から貧困問題をなくしていくために、ぜひご協力ください。


●拡大する「働いていても食うに困る=ワーキングプア」

 現在、日本では貧困問題が拡大し続けています。生活保護の最低生活費を基準とし、収入がそれに満たない人を貧困とすると、およそ3000万人、実に4人に1人が貧困状態にあることがわかっています(図)。無貯蓄世帯も2010年の10.4%から2016年には15.7%に増え(国民生活基礎調査)、将来に向けて貯蓄できる世代は減少しています。

 貧困による結婚・子育ての困難も広がっています。2015年には、40歳代男性のうち「夫婦で子育て」をしているのは約半数にとどまり、単身世帯の割合や子どもがいない世帯の割合が増えています(国勢調査)。子育て世帯も貧困化しており、1997年から2015年にかけて、子どもがいる世帯の実質可処分所得は平均で97万円減少し(「国民生活基礎調査」2010年物価基準)、40歳代世帯主の子育て世帯では世帯年収400万円未満が15%から21%に増えています(参考:『闘わなければ社会は壊れる』岩波書店2019の第3章)

出典:福祉国家構想研究会blog(http://welfare.fem.jp/?p=77)。「国民生活基礎調査」各年データより作成(最低生活費は前年のもの)。直接の引用は、反貧困みやぎネットワークHP(http://hhmnet.wordpress.com/workingpoor/)より。 ※2013年から2016年にかけて貧困人口が減少しているのは、生活保護費の引き下げにより、基準となる最低生活費が低下したためです。2013年の最低生活費を基準に試算すると、貧困人口はむしろ増加しており、3000万人を超えています。

 日本の貧困問題の最大の特徴は、「働いていても食うに困る=ワーキングプア」が膨大にいることです日本の最低賃金は、主婦パートや学生アルバイトといった「家計補助」を前提としているため、その賃金だけで生活を成り立たせられる水準には達していません。しかし、いま、こうした最低賃金レベルの仕事で生活を成り立たせなければならない人たちが増大し、多くの労働者が「働いていても食うに困る=ワーキングプア」に陥っているのです。

 現在、非正規雇用労働者の数は、全労働者の37.3%、人数にして2036万人まで増加していますが(平成29年労働力調査)、その収入は非常に低く抑えられています。フルタイムで働く非正規労働者の賃金は男女平均で210.6万円、月収で換算すると平均17.6万円です。さらに、ここから税金や、人によっては奨学金も引かれることになり、生活はとても苦しいものになります。

 ワーキングプアは、「正社員」にも広がっています。「ブラック企業」で働く労働者は、正社員として長時間働いているにもかかわらず、賃金は低く、昇給もほとんど望めません。


●見過ごされてきた「大人の貧困」に取り組む

 昨今、貧困問題として「子どもの貧困」が大々的に注目され、それを支援する「子ども食堂」が全国的な広がりを見せています。子どもたちに温かく栄養のある食事と居場所を提供するこうした取り組みじたいは、とても意義のあるものです。

 しかし、「子どもの貧困」ばかりに焦点が当てられ、「大人の貧困」が見過ごされがちな傾向は否めません。悲惨な子どもの窮状や児童虐待の数々が報じられる中で、「ちゃんと育てられない親」をことさらに問題視し、すでに苦しい状況に置かれている「大人」をさらに追い詰めるような論調もよく目にします。

 そもそも、「子どもの貧困」の背景には、その子どもたちを育てる親の貧困問題・労働問題、すなわち「大人の貧困」があります。「子ども」にフォーカスするばかりでは、こうした事実が覆い隠され、かえって貧困問題の対策を遅らせることになりかねません。いま、「大人の貧困」を可視化し、それに立ち向かう取り組みが必要とされています。


●これまでの実績 非正規雇用労働者・失業者たちが集う「大人食堂」

 大型連休で仕事が途絶えやすい5月のGWに、はじめて「大人食堂」を開催しました。

 これまで、およそ1月に1回の頻度で、5月1日、5月4日、6月30日、7月26日、8月29日の計5回開催しています。初回の5月1日の参加者は数名でしたが、それ以降は毎回10名程度の方にご参加いただいています。そのほとんどが非正規雇用労働者・失業者の人たちです。参加者が置かれている状況を、一部紹介します。

▽参加者(1)40代女性、派遣社員

 最近、派遣会社からの提案で他県から仙台に来た。4月末から1ヶ月契約の仕事を見つけたが、GW中は仕事がなく、生活が困窮。何日もカップラーメンしか食べられず、「大人食堂」が、久しぶりのまともな食事だった。所持金は1000円ほどしかなく、職場への交通費でほとんど消えてしまう。
 実家の家族とは関係が悪く、虐待を受けたこともあり、実家には帰れない状態であった。

▽参加者(2)50代女性、派遣社員

 仙台市内で、成人している娘2人と暮らしている。3人とも非正規雇用で、それぞれ、月収は10~15万円程度。娘の学費として借りた奨学金や生活福祉資金など、1000万円超の借金がある。毎月少しずつ返済しているが生活は苦しく、昨年から住民税を滞納。また、手足の継続的な治療が必要だが、お金がないため通院もできていない。
 派遣の契約期間も切れてしまいそうで、生活をどう立て直せばいいか分からない。

 このように、働いていながら、いままさに生活に困窮している人たちが、大人食堂に参加してくれました。こうした人たちは、その場で非常食を渡したり、後日、生活保護の利用申請に同行したり、違法な解雇を撤回させるべく会社と交渉するなど、その後の支援・相談につながっています。

 また、そこまで生活が切迫していなくても、職場や生活上の悩みを抱えている人たちも多くいました。始まったばかりの大人食堂ですが、まさしくワーキングプアの人たちが集まる場となっています。

学生やユニオンの組合員が、参加者と一緒のご飯を食べながらお話を聞きます。


●ワーキングプアの人たちに“食事と居場所”を提供する大人食堂の必要性

 参加者の状況からも分かるように、栄養ある食事や誰かと一緒に食卓を囲む時間は、子どもだけでなく、「大人」からも剥奪されています。

 「安いお米を買って、毎日、焼きおにぎりばかり食べている。」

 「野菜は高くて買えない。」

 「ここ数日、カップラーメンしか食べられなかった。」

 多くの「働いていても食うに困る人たち」が大人食堂を訪れています。

 大人食堂に参加した人たちは、仕事や生活の悩み・不安について、「今まで誰にも話せなかった」と言っています。とくに、非正規雇用で働く人たちは、職場で理不尽な目に遭っても上司は取り合ってくれず、非正規雇用のために労働組合にも入れなかった、という経験をしています。「いつまで非正規で働いているんだ」という視線を家族や知人から向けられ、孤立を感じている人たちも少なくありません。

 だからこそ、栄養ある食事を食べながら、仕事や生活の悩み、苦しい生活を送ってきた共通の経験を語り合える「大人」たちの居場所が必要とされています。参加者からも、「野菜がたくさん食べられてうれしい」、「誰にも話せなかった仕事の悩みを話せてよかった」、「大人食堂に行くのが楽しみになっている」などの感想をいただいています。


●「大人の貧困」を解消する第一歩にも―権利行使の実施、運営への参加

 大人食堂に参加した方たちは、自分の今の環境を変える一歩を踏み出しています。大人食堂に労働相談に訪れ、労働組合で会社と闘った経験を持つ私たちの組合員と交流することで、自分も未払い賃金の請求などのために労働組合を利用しようと決めた人もいました。また、大人食堂で人の温かみに触れ、自分が助けてもらうだけでなく他の人の助けにもなろうと、運営スタッフに回ってくれた人もいます。

 このように、支援の場につながることで、違法行為や職場での孤立感に悩み、ワーキングプア状態を抜け出せず、社会に希望を持てなかった現状を変える可能性が生まれます。大人食堂を通じてこうしたつながりを持つ人が増えていくことが、「大人の貧困」の解消に向けた第一歩になると、私たちは考えています。


●資金の使い道

 継続的な居場所づくりのために、今後も月1回のペースで大人食堂を開催してきたいと考えています。しかし、大人食堂の運営は、カンパや食材の寄付も一部いただいていますが、基本的には運営団体の持ち出しでおこなっているのが現状です。大人食堂の取り組みを継続し、ワーキングプアの人たちに“食事と居場所”を提供していくためには、みなさんからのご支援が必要です。

 みなさんからのご支援は、食材費や施設利用料などの運営費用に充てられます。大人食堂では、主菜とご飯に加えて、みそ汁や小鉢のサラダ、デザートなども付いた定食スタイルで食事を提供しています。野菜たっぷりのメニューは、参加者からも大変好評です。1口3000円のご支援で、およそ10人に栄養ある食事を提供することができます!そして、目標額が達成できれば、1年から2年程度(参加人数による)は支援を継続できます。

大人食堂で提供している食事。どれも野菜たっぷりです。


●支援金の具体的な使用用途

1.運営実費

・食材費

・備品購入費(食品保管用冷蔵庫など含む)

・施設利用料

・ボランティア保険加入費用


2.相談・アウトリーチ活動に関する費用

・宣伝チラシ印刷費

・宣伝用動画作成に関わる費用(ビデオや映像編集ソフトなど)

・ボランティア交通費

・報告イベント開催費

など


3.手数料

・GoodMorning掲載手数料

・GoodMorning決済利用手数


※この大人食堂は3団体が協力して運営しており、協力団体であるNPO法人POSSEはこの大人食堂事業で「公益財団法人公益推進協会」の助成金も受けております。この助成金により、食費等は一定程度確保していますが、助成金ではカバーできていない部分も多く、そちらに対して今回のクラウドファンディングによる支援金を活用させていただきます。


●最後に

 大人食堂には、5月に初めて開催して以降、現在では毎回10人前後の方が参加しています。参加者と話していると、「大人」への支援の切実なニーズがあり、継続的な取り組みが不可欠であると実感します。

 この取り組みで、下記のようなことを達成したいと思います。


①大人食堂による場づくり通じて、ワーキングプアの方たちに居場所を提供すること

②大人の食堂に訪れた人達の相談を受け、貧困状態を解消する支援を行うこと

③ワーキングプア問題改善の世論を盛り上げ、大人の貧困問題がなくなる社会をつくること


「大人食堂」へのご支援を、ぜひ、お願いします!



●協力団体

「大人食堂」は、以下の2団体との共催で実施しています。

NPO法人POSSE仙台支部

労働相談、労働法教育、調査活動、政策研究・提言を若者自身の手で行うNPO法人POSSE(ポッセ)の仙台支部。労働相談、生活相談を受け付けている。2010年3月に発足し、東日本大震災後には、仮設住宅の送迎支援や就学支援など、被災地支援にも取り組んだ。 

ふうどばんく東北AGAIN

さまざまな理由で発生する食品廃棄物のうち、可食部分(食品ロス部分)について、食品関連事業者や一般家庭などから寄贈を受け、それを地域の福祉的な利益のため再活用する「フードバンク活動」をおこなう宮城県の団体。 就労支援事業やネットワーク事業などにも取り組んでいる。


●メディア情報

「大人食堂」の取り組みは、メディアでも多数取り上げられています。その一部をご紹介します。

「【仙台発】ついに「大人食堂」 食べられなくなった非正規労働者」田中龍作ジャーナル2019年5月1日

「仙台市に「大人食堂」開設 食事無料、労働相談も」日本経済新聞2019年7月25日

「所持金1200円の女性ら中年フリーターが「大人食堂」に集まる理由」週刊女性2019年9月17日号

「[安心の設計 みんなで未来へ]安全網を考える<1>「大人食堂」に救われた」読売新聞2019年9月23日

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