開催報告を掲載いたしました。
皆様のお力で開催することができた『いわき回転やぐら盆踊り大会』を今一度じっくりとご覧になっていただけると幸いです。
いわき回転やぐら盆踊り大会実施ご報告
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こんにちは! わたしたちは、総勢70名で活動している「いわき回転櫓(かいてんやぐら)盆踊大会実委員会」と申します。わたしたちは、いわきの夏を彩る踊盆(おどりぼん)の文化を、「いわき回転やぐら」と共に後世に繋いでいくことを目的として発足しました。 回転やぐらを使った盆踊り大会は昭和27年(1952年)から続く地域の伝統行事です。老朽化した回転やぐらを新たに製作する準備を進めてきましたが、本年、4代目となる『日本で唯一回転するやぐら*』のお披露目ができることとなったことから、「新やぐら完成記念第62回いわき回転やぐら盆踊り大会」の運営費用と新櫓の装飾費用としてみなさまのご支援をお願いいたします。
『いわきの踊盆』と『回転やぐら』について、この機会に皆さまにご紹介したいと思います。
*大会実行委員会調べ。
いわきの踊盆(おどりぼん)
福島県の東南部に位置するいわき市には、古くから伝わる『じゃんがら念仏踊り』があります。8月の旧暦のお盆に新盆の家庭を廻り、太鼓と鐘のリズムに合わせて独特の節を唱えながら、仏さまを供養し家族を慰めるものとして、地域の青年団に受け継がれてきました。
江戸時代にいわき四倉出身の名僧祐天上人(ゆうてんしょうにん)が、信仰心の薄いこの地方の庶民に誰でもわかりやすく念仏を唱えさせようと「南無阿弥陀仏」の言葉を歌の節にあわせて唱えさせたのが始まりといわれていて、現在いわき市内には100を越える団体がこの伝統芸能を継承しています。いわき回転やぐら盆踊り大会でも、昔は炭坑事故の、最近では東日本大震災で亡くなった方々の供養を、として披露されています。
▲じゃんがら念仏踊り
▲櫓の上のお囃子に合わせて踊ります
60年前から回り続ける回転やぐら
毎年8月13日から15日の3日間、「いわき踊盆」の中心にあるのが『いわき回転やぐら』です。この回転やぐらは60数年の間、地域の人々のこころを繋いできました。
皆さん、映画「フラガール」(李相日監督・2006年9月公開)はご存知ですか?
国の基幹エネルギーが石炭から石油へと転換する時代、最盛期には全国の10%・420万トンの石炭を産出した常磐炭田の山々も閉山を余儀なくされ、そこで働く炭鉱マンとその家族たちが「一山一家」の精神の許、温泉レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を立ち上げる物語です。
いわき回転やぐら盆踊大会が行われる、いわき市内郷は常磐炭田発祥の地です。
「フラガール」より少し前、まだ炭鉱が地域の一大産業だった昭和27年。炭坑事故で亡くなった人達の慰霊とふるさとを離れてお盆に帰省してくる家族や友人が集う行事にと、現在の内郷二中のグラウンドに櫓(やぐら)を建て、いまに続く盆踊りをスタートさせました。
盆踊りの櫓を回転させようとのアイデアを出したのは、常磐炭礦株式会社土建課内郷土建係の羽重田政門係長で、その指揮のもと常磐炭礦㈱の気鋭のメンバーが製作に加わりました。
そして作られた櫓は、3層の大屋根を持ち、建て面積約200㎡、高さ約20メートルの2階建て、これに300個の電球が灯されるという豪華絢爛なものでした。
当初は力自慢の炭坑夫らが中心になって人力で櫓を回していました。
▲初代の「回転やぐら」
昭和34年(1959年)、盆踊りの回転やぐらは、それまでの人力式から電動式に変わります。盆踊り会場にモーター駆動の電動式回転櫓が組み立てられ、静かに櫓が回転し始めると、見ていた何人もの人が『万歳』を叫んだといいます。(下段、「盆踊りの歴史②」を参照ください)
▲2代目の回転やぐら ~とにかく大きい!これが回るんです!
今回のプロジェクト
休みなく毎年回ってきた三代目の櫓も老朽化に伴い、途中で回らなくなることも起こるようになりました。先人たちを供養する舞台となる回転やぐらをここで無くす訳にはいかない!その思いで新しい回転やぐらを製作しようとプロジェクトは動き始めました。
内郷地区も他の地域同様、住民の減少と高齢化がすすみ、新櫓製作と盆踊り大会の開催費用を地域だけで準備するのは年々厳しくなる状況です。 県や市からの助成金のほかコツコツと積み立ててきた基金はあるものの、地域から集まる協賛金にも限度があります。
かつて炭鉱で働いた方あるいはそのお子さんやお孫さん、映画「フラガール」を観て炭坑とその時代に興味を持って下さった方、回転するやぐらを直に見たいと思われた方々…、地域を越えたみなさんのお力をお貸しください。
盆踊りが開催される日程は、故郷へ帰省したいわき縁(ゆかり)の方々が懐かしい友人たちと再会したり、ご先祖さまを思い出すお盆の8月13日・14日・15日です。『日本中探しても、ここ、いわき市内郷だけにしかない回転やぐら』をぜひ見に来てください。ご支援いただいた皆さんへのお礼の中には、新しいやぐらを手押しできる、という体験型のお返し品も用意しました。
▲2015年いわき回転やぐら盆踊り大会から ~右奥が3代目の「回転やぐら」
「いわき回転やぐら盆踊り大会」の歴史①
昭和26年(1951年)8月16日付の地元紙「いわき民報」にはこのような記事が掲載されています。
『盛大な盆踊り 炭鉱のプラン決まる
炭鉱の旧盆休みは16、17日の両日と常磐、古河好間などは18日特別休暇を入れて3日間、各山ではこの盆休み、それぞれ素人のど自慢コンクールや映画祭、盆踊りなどで大賑いを演ずるが、常磐炭鉱では16、17日の両日、常磐小学校、内郷二中の校庭、磐崎グランド、鹿島亀ノ尾広場、川平グランド、平発電所(16日だけ)の6カ所にやぐらをたてて盛大な盆踊りを行い、初日には懸賞付仮装盆踊りが行われるが、盆用の特配酒1人当り焼酎5合、酒1升が配給になるので、全山これ盆踊りの波で渦まく盛況さが予想される』…このころは地域ごとに「踊盆(おどりぼん)」がおこなわれていたようです。
いわき市内郷宮町の金坂グランド(現在の市立内郷第二中学校の校庭)で、盆踊りの櫓が初めて回転したのは、その翌年、昭和27年(1952年)のことでした。この時の櫓は人力によって回すものでした。
▲初代のやぐら当時のチラシ ~『夢の廻転盆櫓』の文字が見えます
昭和30年当時の常磐炭礦㈱が全国の盆踊り櫓の大きさを調べたところ、金坂グランドの盆踊り櫓が日本一であることが判明しました。こうして昭和30年(1955年)以降、「日本一の回転やぐら」と称していくようになります。
昭和32年(1957年)8月10日付の『いわき民報』には、「内郷市の盆踊りは恒例により3層の回転やぐらに踊子が集り、炭鉱景気をおう歌して、10日の夜はとくに翌朝の3時まで時間延長をするという近来にない盛況が予想される」とあります。
「いわき回転やぐら盆踊り大会」の歴史②
ところが、昭和33年(1958年)内郷宮町の金坂グランドに名物『日本一の回転やぐら』は資金難のため建てられず、普通の櫓に姿を変えてしまいました。落胆する市民の声を受け、当時の内郷市(現在のいわき市内郷)は盆踊りの会場を金坂グランドから現在のJR常磐線・内郷駅前広場に移し、回転やぐらを、それまでの人力式から電動式に作り替える計画をすすめていきます。
翌、昭和34年(1959年)、盆踊り会場にはモーター駆動の電動式回転やぐらが組み立てられ、モーターのスイッチが入れられました。静かに回転し始める櫓を見て『万歳』を叫んだ人が出たほど、地域の人が待ち焦がれた瞬間でした。
それ以降は現在の形で開催されています。
▲パンフ『いわき回転やぐら盆踊り大会の歩み』 ~委員会では大会の歴史を伝えています
プロジェクトのスケジュール
今年の盆踊り大会に間に合わせるため、プロジェクトは短期集中になります。
平成28年6月 新回転やぐら製作開始
平成28年7月 新回転やぐら完成(予定)
平成28年8月 いわき回転やぐら盆踊り大会(新やぐらのお披露目式)
▲今年の盆踊り大会ポスター ~8月13日、14日、15日の3日間開催します
集まった支援の用途とその内訳
みなさまからご支援いただく620,000円は、新やぐらの装飾工事及び大会運営費用の一部に使わせていただきます。
詳しい金額内訳は以下のとおりです。新しい『日本一の回転やぐら』を使った記念の盆踊り大会を開催させてください。
費用内訳
■新櫓工事(本体) 16,000,000円
■新櫓(装飾/電気) 5,000,000円
■新櫓(安全管理/運営/お披露目式) 2,020,000円
合 計 23,020,000円
調達内訳
■助成金(県・市から) 10,400,000円
■積立してきた基金 6,000,000円
■協賛金 6,000,000円
■クラウドファンディング 620,000円 ☜ 今回のプロジェクトです
合 計 23,020,000円
▲新しい櫓の設計図 ~後世に残すために細部にこだわりました!
わたしたちの夢
私達の更なる大きな夢は、この回転やぐらを平成32年(2020年)、東京オリンピックの年に東京まで持って行くことです。
回転やぐらを東京に‼
支援をして下さった皆さんはじめ世界中の皆さんへ「フクシマはこんなに元気になりました。本当にありがとうございました。」と、回転やぐらとともにいわきの踊盆を通してお礼を伝えたいという夢を描いております。
どうぞ私達の夢にご支援をお願い致します。
▲2015年いわき回転やぐら盆踊り大会から ~今年はいわき市政50周年。記念の大会はその節目にもあたっています。