こんにちは。大阪八尾にある株式会社WINGED WHEELの別所由加です。
私は5代目であり、代表取締役兼、日本で最後のランプ職人です。
大正13年から続く当社のランプ作りは、
当時世界中で使用されたハリケーンランプから始まりました。
ハリケーンランプとは、その名の通り「嵐の中でも消えないランプ」で、
馬小屋やビニールハウスなどで使用されており、
北海道の馬小屋では、繊細な馬が夜中に風に吹かれ暴れるランプの炎に怯える為、
安定した炎で照らす当社のものに全て変更し使用されたという逸話があります。
その安定した灯を生み出す当社のハリケーンランプは
その性能から「完成された形」と言われ
創業から今日まで一度も形状の変更はありません。
ハリケーンランプの製造はブリキの一枚板からプレス工程を経て、
当社専用の機械と手加工で各パーツを組み立てていき、
全行程数は約300程あると言われています。
今回私がクラウドファンディングに挑戦したのは、
唯一の日本製であるハリケーンランプを守っていく為です。
▲ハリケーンランプ
実はハリケーンランプ作りのノウハウは記録として一切残っておらず、
私は昭和25年に当社に入社した工場長から教わり、
それでも分からないことは自分自身で試行錯誤し、解明しなければなりませんでした。
代表取締役に就任してから今日まで、
私はハリケーンランプのパーツを組み立てる作業のみを行ってきました。
というのも昔ランプが大量生産大量消費だった時に作られていたパーツが大量にあった為、私の代まではパーツ製造は必要なかったのです。
しかし遂に各パーツが底をついてきました。
そこで問題になってきたのが製造の要であるプレス金型です。
いざ作業をしようと金型を見れば深絞りと呼ばれる、
作業としては非常に難しい、品物を深く絞る金型に
ガイド(金型の上と下を正確に取り付ける為の案内)はなく、
しかも以前の職人によって破壊されているものや、刃がかけているものまで出てきたのです。
▲ガイド付き金型例
▲ガイドなし金型
▲ガイドなし金型がこんなにもたくさんあります。
今後、ハリケーンランプを製造し続けるのに、
これらの金型の修復が、必要不可欠です。
しかし、この修復は専門の方でも手を上げてしまうほど困難なもので、
費用も通常より多くかかってしまい、
当社だけではまかないきれない額となってしまいました。
その修復費を、皆さまのご支援でお助けいただけませんでしょうか?
▲修復が必要な金型一覧
全部で30点あり、当初450万円ほどを想定していましたが、
最終的に約800万円かかるということが明らかになってきました。
今回は、特に修復が急務の13点に絞り、
修復に取り掛かりたいと考えています。
現在3年もの間納品を待っていただいてるお客様がいます。
OnlineShopでは50人のお客様に半年待ちでご予約いただいております。
金型を改善することにより、以前より作業をスムースに行うことが出来るようになり、
製造数量をふやすことができ、
このようにお待たせしてしまう状況が改善されます。
当社では現在ハリケーンランプのみならず、
洋燈と呼ばれるランプのバーナーや、オイルランプといったランプ製品全般を製造しています。
▲オイルランプ(左)・バーナー(洋燈)(右)
どうしてハリケーンランプ屋だった当社が他のランプ作りを行うことになったのか。
それはランプ作りが大阪の地場産業であった時代、
しかし電気の台頭で次々に同業者が廃業されていった時の事です。
その当時ランプ屋はハリケーンランプ屋とバーナー屋がありました。
あるバーナー会社の社長が当社に訪れ、
「お前のとこはハリケーンランプがあるから生き残っていけるやろう。
どうかランプの炎を絶やさないでほしい」と金型を当社に託していったのです。
そこから3代目が更に改良を重ね、
ハリケーンランプと同様に安定した美しい炎を生み出すバーナーの製造を開始しました。
ランプはガスとバーナーいう2つの技術を組み合わせて製造する為、
両方ノウハウを持つ当社はハリケーンランプから洋燈・オイルランプと
様々なランプ作りが可能でした。
ハリケーンランプには私の先祖の強い意志が、
そして当社の機械や金型には大阪のランプ屋の願いが宿っているのです。
暗闇に炎があると人は自然に炎の周りに集い合い
恋人たちは炎の揺らめきが映った瞳に恋をする
家族は時々電気を消してらんぷの炎を見つめながら語り合えば良い
きっと素敵な家族になれる
三代目の言葉
これから先もランプのファンの皆さまや直火の灯に魅力を感じて下さる方がいる限り、
WINGED WHEELはランプの製造を続けていきます。
日本唯一のハリケーンランプを守るため、
皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします!
FAAVO大阪手数料分を除く全てを金型修理費用
メール wingedwheel.b@gmail.com もしくは
弊社Facebookページよりメッセージをお願いします。
▲#500(左)と#350(右) 番号の違いは大きさの違いです。
#350はもう二度と作ることができない貴重な品です。
オイルボトル仕様とは?
その名の通り、オイルボトルを本体に挿入する仕様です。
◯お手入れが楽!
本体に直接注ぐわけではないので、本体が汚れず、お手入れが楽です!
◯炎が形が違う
平芯とは炎の形が違う事。(※画像参照。平芯→平らな炎)
◯構造上、塗装ではなくメッキ加工が可能
▲オイルボトル仕様の炎(左)と平芯の炎(右)
大阪府よろず支援拠点 チーフコーディネーター 北口祐規子さん
別所さんとは、よろず支援拠点が設置されて間もない2014年6月に相談の電話をいただいたのが最初のきっかけでした。
先々代にあたる祖父が言い遺した「直火のランプの炎の良さ」を伝えるために、何とかしてハリケーンランプを作り続けたいと、職人さんの技術を学ぶところから始めた20代半ばの若い女性社長の熱意に何とか応えたいと、スタッフとともに約2年間事業の様々な課題について継続的な支援を続けています。
彼女のブレない信念と努力の甲斐があって、この間テレビ出演をはじめメディアに取り上げられることも多くなり、徐々に認知度が高まってきましたが、今は手作業に限りがあるため、ご注文いただいたお客様にお届けするのをお待ちいただいている状況です。
今回は、そう言ったより多くのお客さまに「ランプの炎のゆらぎを通じた家族や友人のコミュニケーション」をお届けするために、先代から受け継いだ金型を修復してよりお客様にご満足いただける製品を作り続けたいという取り組みです。
よろず支援拠点のスタッフももちろん全員応援しています!
主な掲載
2013年8月1日 NHKTV「ニューステラス関西」特集「明かりふたたび」
2014年11月25日 テレビ大阪「和風総本家」特別版「誰も知らない大阪の職人探しの旅」
2016年2月29日 日本経済新聞「ここに技あり」
▲おかげさまで33ものメディアに掲載いただきました。
ハリケーンランプに灯を灯しましょう。
起案者情報
株式会社WINGED WHEEL(ウィングドウィール)
代表取締役 別所由加
【HP】http://www.lanterns.jp/wingedwheel/
【facebook】https://www.facebook.com/WingedWeel/