●はじめに・ご挨拶

◆主催者 自己紹介
N.U.I.project  2018年結成

“いま・ここ・わたしを縫い繋ぐ” という信条を基に、音楽や映画・アート 等、あらゆる芸術文化・作品に寄り添い、さらなる価値を探求し、人々へと発信していく。
「その時・その場所・そのメンバーでしか生まれない感動を体感する」
時と場、そして人のプロデュースユニット。


●プロジェクトをやろうと思った理由

1970 年に開催された大阪万博(EXPO’ 70)の鉄鋼館で展示された、フランスの彫刻家バシェ兄弟(兄:ベルナール・バシェ、弟:フランソワ・バシェ)考案の音を奏でられる美術作品【バシェ音響彫刻】は、当時、全部で 17 基ありました。
万博終了後に解体され、そこから、EXPO’ 70 パビリオンとして鉄鋼館が大阪万博の資料館に生まれ変わる 2010 年まで、約 40 年もの間、倉庫に眠っていたというのです。

【バシェ音響彫刻】は、「どんな人でも自由に触れ、音を奏でることができる」というのが、本来の姿。
特に、子供達にとって、【バシェ音響彫刻】を体感することが、自由な感性を育てることに繋がっていくという、教育的側面を持ち合わせている美術作品です。

【バシェ音響彫刻】が持つ芸術的、音楽的可能性、後世に遺すべき価値を見出し、尽力してこられた有志の皆さまの努力によって、今現在、修復完了した【バシェ音響彫刻】は、日本国内では6基。

しかし、本来の姿として遺していくには、ただ形としての修復だけでは充分ではありません。作品から発せられる、音、響き、いわゆる音楽的側面、それに伴う空間や人との関係性も含めて遺していく必要があります。

EXPO’ 70 から 50 年の今年は、【バシェ音響彫刻】にとってもメモリアルイヤーでしたが、この度の情勢により全国で予定されていた演奏会も軒並み中止・延期されるという事態の中、【バシェ音響彫刻】が、京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA(アクア)に集まるという機会が巡ってきました。

美術 × 音楽の結晶とも言える【バシェ音響彫刻】本来の姿、存在を映像に収め、記録に遺していく事によって、次の新しい世代に「自由な感性」を伝え、繋げていけるのではと思い、このプロジェクトを始めようと思いました。


●このプロジェクトで実現したいこと

京都市立芸術大学がギャラリー @KCUA(アクア)で開催する【バシェ音響彫刻】演奏会を映像収録し、音響彫刻としてのアーカイブを遺します。
さらに多くの方々に【バシェ音響彫刻】を知って頂く為に、特別記録コンサートの収録の様子をオンライン限定にて無料 Live 配信いたします。

出演は、【バシェ音響彫刻】の普及・創作活動にも尽力されている「アンサンブル・ソノーラ」
(沢田穣治・渡辺亮・岡田加津子・北村千絵)、その他アーティストが参加予定。
【バシェ音響彫刻】に命が吹き込こまれていく稀有な空間を、可能な限り高いクオリティーで収録・録音し、多くの方にお届けする事を目標としています。

アンサンブル・ソノーラ
(写真撮影・提供/京都市立芸術大学芸術資源研究センター)


●これまでの活動

N.U.I プロジェクト主催
『アンダーグラウンドオーケストラ』35m/m 試写会

~ 外に在る" 日常" から、" 非日常" のシアターへ ~

ハリガネ造形画家 ” 升田学” 氏 作
インスタレーションアート” 井戸" をゲートとして、アンダーグラウンドなシアターへと潜り込む。

上映作品『 アンダーグラウンドオーケストラ』
監督: エディ・ホニグマン
YIDFF ( 山形国際ドキュメンタリー映画祭) 1999 年( 第6 回) 審査員特別賞作品


◆バシェ音響彫刻について


「バシェ音響彫刻」とは、フランスの彫刻家である、ベルナール・バシェ(Bernard Baschet: 1917-2015)とフランソワ・バシェ(François Baschet:1920-2014)の兄弟によって考案された、音を奏でられる美術作品。
彼らの作品は、様々なマテリアルによって構成され、美しいフォルムを魅せてくれるが、作品の素晴らしさは、それだけでは収まらない。
バシェ兄弟は、長い時間をかけ、音の実験と研究を重ね、音響学と芸術への社会的なアプローチを組み合わせた作品を創り出しました。

「Please touch!」


しかし、音響彫刻は、彼らが、単なる自己表現として創作したものではありません。誰もが触れ、音を体感し(共鳴し)、自由に楽しみ、多くの人々の創造の発端となることを目的として創られたのです。
美術館で目にする「Don’t touch!」ではなく「Please touch!」。
バシェの音響彫刻は、多くの人が自由に触れてこその存在なのです。


「私にとってこれは形、音、そして創造への大衆の参加―この三つを統合しようとする
興味ある挑戦であった。」

―フランソワ・バシェ



1970 年の大阪万博では、鉄鋼館のディレクターであった作曲家・武満徹がフランソワ・バシェを招聘し、17 点の音響彫刻を制作。
「芸術はすべての人と共有するものである」という理念を貫いた岡本太郎の《太陽の塔》とともに、多くの人々の注目を集めました。
しかし、万博終了後、音響彫刻は解体され少しずつ人々の記憶から薄れていきました。その後、鉄鋼館の倉庫で長年眠っていたバシェの作品は、2010 年万博記念公園のEXPO ‘70 パビリオンオープンの際に「池田フォーン」が修復・展示されたことをきっかけに、少しずつ修復の機運が高まります。2013 年に万博当時バシェの制作助手をした川上格知氏と、バシェの若き後継者といえるマルティ・ルイツ氏によって「川上フォーン」「高木フォーン」の2体が修復され、大阪万博EXPO ‘70 パビリオンと京都市立芸術大学で演奏会が行なわれました。

 高木フォーン(撮影/守屋友樹 Yuki Moriya)

2015 年には京都市立芸大と京都芸術センターのプロジェクトにより、松井紫朗教授の協力を得て、マルティ・ルイツ氏と学生たちによって、「桂フォーン」と「渡辺フォーン」が修復され、京都芸術センターにおいてコンサートが開かれました。このコンサートにおいては、打楽器奏者の山口恭範氏を迎え、万博当時2名で演奏された武満徹の「四季」が4名のパーカッション奏者によって再演されています。

桂フォーン(撮影/京都市立芸術大学)

渡辺フォーン(撮影/京都芸術センター)

 音響彫刻は歌う@ロームシアター京都


そして、2017 年に東京藝術大学バシェ音響彫刻修復プロジェクトとマルティ・ルイツ氏の協力により「勝原フォーン」が修復・復元されました。


勝原フォーン(撮影/東京藝術大学)



過去の遺産ではなく、常に「新しい」を生み出す

バシェの音響彫刻は、決して過去の遺産ではありません。
触れる人間(演奏家や様々なパフォーマー)によって、今も尚新しいものを生み出しています。


そもそも明確な楽譜を必要としない(予想できない、予定通りの音が出るとは限らない)、演奏方法にしてもハッキリとした正解のない音響彫刻は、奏でた(触れた)瞬間から、常に新しい『音』として、増幅していくのです。
つまり、人が触れさえすれば、常に新しい表現を魅せてくれる作品なのです。



教育用音具(パレット・ソノール)について


私たちの作品は、決して自己表現のためのものではありません。
常に教育的な要求を優先してきました。
(フランソワ・バシェ)

ベルナール・バシェは、子供たちに向けた「パレット・ソノール」を開発しました。「パレット・ソノール」は、子供達が演奏しやすく、カラフルで、普段目にする楽器とは、異なる見た目をしています。

ドレミ…でできた音楽(=狭い意味での音楽)とは違い、「叩く」「触れる」という極めてシンプルな行動から、「心の赴くままに、自由に表現する」という事を子供達は、体感します。

「音とコミュニケーション」を交し、生まれる「音」を感じることが、子供達の情操教育につながると私たちは確信しています。



◆京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)について

「@KCUA」は大学の英語表記 「Kyoto City University of Arts」 の頭文字に場所(サイト)を示す「@」を付けたもので、音読するとラテン語の「アクア=水」となります。生命を養う水のように、芸術が人々の暮らしに浸透し、創造力豊かな社会に貢献するという京都市立芸術大学の理念を表現しています。
@KCUA では当ギャラリー学芸員の企画による特別展のほか、京都市立芸術大学の研究成果発表展ならびに教員・在学生・卒業生による企画展など、年間約 15 本の展覧会を開催しています。

@KCUA には、 「教育・研究成果を広く市民へ公開すること」「芸術文化創出の人材交流の場とすること」「芸術資源の連携活用のサテライト機能を果たすこと」という期待される3つの役割があります。


京都市立芸術大学 ギャラリー@KCUA



◆ 【バシェ音響彫刻 特別企画展】企画メンバー


岡田 加津子 Kazuko Okada
作曲家、京都市立芸術大学教授

神戸生まれ。東京藝術大学作曲科卒業、同大学大学院音楽研究科修了。
2003年バロックザール賞受賞。2016年藤堂音楽賞受賞。作曲活動の一方で、
楽器を使わないで音楽する「リズミック・パフォーマンス」のワークショップを全国的に展開。2015年京都市立芸術大学においてバシェの音響彫刻の修復に立会い、強い衝撃を受ける。それ以来、音響彫刻の保存と、それらを用いた新しい創造活動、教育活動に情熱を注ぐ。京都在住。



【 バシェへの想い 】

なぜこんなにもバシェに魅入られてしまったのだろう…
2015年10月、それは突然やってきた。トラクターに載せられて、京都市立芸術大学彫刻棟に運ばれてきた金属のいろいろな断片。
何本もの棒や円錐形のラッパのような物、そして古びた鉄の枠。
それらは、大阪万博記念公園の倉庫から、いや、1970年の大阪万博そのものから45年の時を隔てて、現在へとワープしてきたものたちであった。
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かわさき よしひろ Yoshihiro Kawasaki
サウンドアーティスト・サウンドデザイナー

フィールドレコーディングの草分け的存在。
1990 年より衛星音楽放送 ST.GIGA のプロデューサとして世界中でロケし、音の収録、番組制作に従事。CD、DVD など約20作品を制作。1995 年InternetExpo を皮切りにネットワークのストリーミング作品を制作、「SoundExplorer」「Soundbum」「AquaScape」「Forest Note」などの WEB サイトに携わる。
サウンドアート作品は 96 年より、日本科学未来館「世界の音を聴こう !」21世紀美術館の「mind the world」など制作。
ドイツ、スペインなどを含め国内、海外で多数発表。
日本科学未来館のプラネタリュウム・メガスターの音を制作、谷川俊太郎氏とのコラボ作品「夜はやさしい」などがある。FM 放送 J-wave の「Blue Planet」「Voyage」などの番組制作。サウンドスケープ調査は震災後の神戸、東北沿岸部の調査など続行中。
日本サウンドスケープ協会は設立より関わり事務局長、常任理事などを歴任。
2000 年より東京藝大先端芸術表現学科、多摩美術大学などで音の表現を教え、現在、京都市立芸術大学芸術資源研究センター客員研究員、和光大学講師。
サウンドスケープ協会代議士に就任。

AMC「装置とは限らない」展
Art Media Center Open Lab 2019
“Not Necessarily a Device”


蘇った 50 年前の新しい楽器と音
〜 バシェ音響彫刻の修復、そしてコンサート 〜

今回 AMC「装置とは限らない」展において、バシェの音響彫刻「勝原フォーン」が展示され、それを使用した、コンサートが行われた。多くの人はこの音響彫刻を初めて目にし、初めてその音を聞いたかもしれない。この勝原フォーンは 2017 年に東京藝大取手校地にあるファクトリーラボでクラウドファンディングにより修復されたのだが、実はこの勝原フォーンが製作され、展示された 1970 年の大阪万博 EXPO’70 の会場、鉄鋼館では勝原フォーンは会場の天井に吊り下げられ、その音を聞くことは不可能であった。なので、今回のコンサートでその音を聞いた人は、「50 年前の新しい音」に巡り合った訳である。
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(c)cafeBeulmans yoshioka

沢田 穣治 jyoji sawada

choro club の活動を軸に、万博から始まる壮大な音楽との出会いから、規格外sawada-music を築き上げる。2020 年、日本コロムビアと連携するレーベル「Unknown Silence」創立。近年は京都芸大にてバシェ音響彫刻の研究に関わり、現代音楽及び邦楽器の室内楽作品の作曲、プロデユーサーとして「武満徹ソングブック」「No Nukes Jazz Orchestra」など制作多数。


【クラウドファンディングによせて】

少年期に「大阪万国博覧会」で出会った【バシェ音響彫刻】の音が忘れられず、40 数年がすぎた頃。京都に移住したことで、思いがけずバシェ音響彫刻の修復プロジェクトを知り、すぐ参加することになりました。

その後、「万博記念館(EXPO'70 パビリオン)」で行われた【バシェ音響彫刻】関連イベントでは、
当時、フランソワ・バシェさんのアシスタントとして、音響彫刻の制作に関わった川上格知さんにもお会いでき、素晴らしい出逢いと心の師への再会の機会を与えられました。一連の再会により音楽の出発点に戻ることになり、いま、【バシェ音響彫刻】のアーカイブの制作がライフワークになりつつあります。
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柴田 誠 Sei Shibata
映画監督・カメラマン

2002 年「雪印・牛肉偽装詐欺事件」の内部告発を行った「西宮冷蔵」を追ったドキュメント映画『ハダカの城』を製作・監督。
2007 年に東京「ポレポレ東中野」、大阪「第七藝術劇場」、札幌、山形と劇場公開。
現在は、アートイベントの記録等、様々な映像制作に携わり、このクラウドファンディングを計画する【N.U.I. project】のメンバーとして、バシェ音響彫刻に関わる映像撮影を担当している。



【バシェ音響彫刻について】

昨年、思い掛けない“音楽家・沢田穣治” 氏との出会いから、
「バシェ音響彫刻」を演奏する
“アンサンブル・ソノーラ” の映像記録を任せて頂いた。

メンバーが、手で、弦で、様々な道具で、
「バシェ音響彫刻」に触れて、振動して響く「音」。
その音が重なり、繋がって、即興で「音楽」に成ってゆく。
目に見えない「音楽が生まれる瞬間」を撮影していた。
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●資金の使い道

・演奏会・収録録音に掛かる制作費用(機材・人件費・出演料・諸経費)
・特別記録コンサートの収録の様子のオンライン限定での無料 Live 配信に掛かる費用
・その他バシェに関する映像作品の制作費
・「クラウドファンディング」手数料




●リターンについて

今回のプロジェクトでは“いま・ここ・わたしを縫い繋ぐ” というN.U.I. プロジェクトの信条を基盤に、「バシェ音響彫刻」を通じて、教育、芸術、社会を「つなげる」事を目的としております。
リターン品につきましても、「芸術と音楽」の双方を併せ持つ「バシェ音響彫刻」の存在を普及し、バシェ兄弟が本来の目的としていた「音響教育」としての可能性を次世代に繋げていく品を選考致しました。


●実施スケジュール

・10 月初旬 クラウドファンディング プロジェクト開始
・11 月 7 日 -12 月 20 日 「バシェ音響彫刻 特別企画展」開催 ギャラリー @KCUA
・12 月 05 日 オリジナル音響彫刻 製作ワークショップ 開催
・12 月 12 日 ギャラリー @KCUA 特別記録コンサート 開催 
  ( オンライン限定にて無料 Live 配信 )
・11 月 30 日以降 - 1 月末 リターン発送


●最後に

1970年大阪万博から50年。
今回、わたしたちが触れる事ができるのは、50年前に発表されたバシェ音響彫刻のすべてではなく、
それらが揃う事はまだまだ長い道のりかもしれません。
バシェ音響彫刻は、常に「新しい」音を生み出し、「未来」を繋ぐエネルギーを内包しています。
そのエネルギーが生まれる瞬間を体感し、また、より多くの方々に知ってもらう為に映像記録し、有形無形の芸術が放つ力を、未来に縫い繋いでいく活動をこれからも続けていきます。

このプロジェクトが、未来の子供達、大人達の感性の種となり、共有できる世界。
そんな未来を、あなたにも触れてほしいのです。


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