はじめに・ご挨拶

阪神・淡路淡路大震災以降、大学生や高校生と一緒に被災地支援活動を行ってきた大学やNPOのスタッフを中心に、「学生災害ボランティア支援の会」(任意団体・大学やNPOの約50名の呼びかけ人で構成)を作りました。代表は、兵庫県立大学減災復興政策研究科長の室崎益輝です。

新型コロナの影響で、県外からの災害ボランティアの支援が得られず、深刻な状況にある被災地を、県内の学生ボランティアの輪を広げることで、展望を切り開きたいと考えました。


このプロジェクトで実現したいこと

被災地の復旧で欠かせない災害ボランティアの確保をはかるために、被災地の中での学生ボランティアの積極的な参加を財政面からの支援で促し、被災地と被災者の迅速な復興をはかる。支援活動に参加する学生たちの、移動交通費や資材購入費を支えます。


プロジェクトを立ち上げた背景

新型コロナの影響で、熊本の被災地には県外から災害ボランティアが駆け付けることができず、支援のマンパワーが決定的に不足する状況で、被災地と被災者は困り果てています。

被災者は、壊れた住家の2階などに寝起きして、自力で後片付けをしていますがはかどりません。1ヵ月を経過した現在、疲労が蓄積し、健康を害する人も少なくありません。関連死のリスクも増大しています。

この危機的状況を乗り越えるには、若い力の広がりに期待するしかありません。ところが学生たちも、新型コロナの影響で生活にゆとりがなく、経済面のサポートがないと支援に出かけられない状況にあることも明らかになっています。

こうした状況が、被災現場と全国の防災関係者とのオンラインワークショップで、明らかになりました。その中で、被災地内の学生ボランティアを励ます支援基金を作って、支援の輪を広げようということになりました。


これまでの活動

プロジェクト代表の室崎益輝です

私は建築のデザインや都市のまちづくりの研究をしていたのですが、大学院生の時に有馬温泉のホテル火災が発生した現場を見て、建築のデザイナーが人を殺したと思いました。

迷路のようなデザインが、逃げ遅れを生んだと思ったからです。それで、大学院の途中から、建築の防火避難の研究をするようになりました。

<研究室にて 前列中央が室崎)>


これまで、神戸大学教授、独立行政法人消防研究所理事長、関西学院大学教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長を務め、兵庫県立大学減災復興政策研究科長と現在に至っています。

1980年代初めから、国土庁などの委託を受けて、災害ボランティア活動の研究に取り組むようになりました。

そんな中、私の研究人生を大きく左右する出来事がありました。

1995年の阪神淡路大震災です。

当時、国の災害復興の委員会に属していた関係で、全国の防災関係の大学の先生方が、ゼミの学生を私の研究室に派遣していただき, 学生ボランティアを50名程度受け入れることになりました。

その学生たちと 大学の教室に寝泊まりし、避難所や仮設住宅の支援に関わりました。その支援ボランティアの学生の中から、現在の第一線の防災研究者がたくさん生まれています。

その時、全国の研究仲間や市民から、たくさんのカンパをいただきました。それで、調査と支援に欠かせないコピー機や自転車を購入するとともに、学生ボランティアに食事や入浴を提供することができました。ボランティアには「軍資金」がいるということを、この時学びました。

<当時の災害支援を共にした学生とともに 後列中央が室崎>


これまで、中越地震、能登半島地震、中越沖地震、佐用水害、東日本大震災、十津川水害、丹波水害、熊本地震、九州北部豪雨、常総水害、西日本豪雨、東日本台風などの災害の支援に、学生たちと一緒に取り組んできました。

<2018年 広島県坂町にて>


学生達は被災地で被災者に温かく迎えられ、大きく成長してゆきました。学生が、泥の中から亡くなった娘さんの写真を拾い出し、それを綺麗に拭って手渡しをし、そのお母さんと学生が抱き合って泣いていた光景は忘れられません。そのような学生の姿を見て、若者は被災地復興の力であること、未来社会づくりの力であることを実感しました。

<東北震災支援を共にした学生たち 前列右端が室崎>

 現在私は,災害ボランティア関係では内閣府災害ボランティア検討会委員、内閣府防災ボランティア活動の環境整備に関する委員会委員長、兵庫県ボランタリープラザ所長、JVOAD顧問,などを務めています。


学生ボランティアとその経済的支援の原点は、阪神淡路大震災です。多くのお金が被災地の大学に寄せられ、それが学生の支援活動を支えることになりました。この、被災地の学生の支援活動とそれを支える支援金との関係は、最近の熊本地震や西日本豪雨でも確認することができます。最近の西日本豪雨では、私の兵庫県立大学の学生が、フェースブックを通しての寄付金をいただき、半年間に渡って被災地に常駐して、支援活動を行っています。

学生ボランティアを支援するために作られた「支援する会」は、阪神・淡路大震災以降、学生たちとボランティア活動を共にしてきた、大学のボランティア支援室やボランティアセンターの代表、学生たちと被災地で滑動してきたNPOの代表、約50名で構成されています。大学の関係者が35名、NPO関係者が15名です。今回は、被災地の最前線で支援活動に取り組まれている、熊本大学、熊本学園大学、熊本県立大学、佐賀大学、北九州市立大学、西南学院大学のメンバーが参加しています。


資金の使い道・実施スケジュール

災害支援を行っている熊本大学、熊本学園大学、熊本県立大学などの学生ボランティア支援室や若者を中心に結成されたボランティア団体に応募を募り、支援活動に3人以上が参画していることを条件に、私たちの支援する会の配分委員会(毎月オンラインで開催・委員長高林秀明熊本学園大学教授)の審査を踏まえて、支援に参加する学生数や支援活動内容に応じて、団体からの支援にかかった必要経費の請求を領収書等により審査の上、毎月「支援金」を提供します。

被災に必要な資材の購入、被災地までまでの交通費、被災現場での活動経費等に使っていただきます。1申請活動あたり上限20万円、少なくとも25活動プロジェクトに支援したいと考えています。

8月から、1カ月ごとに2021年1月まで支援金の請求を受け付け、大学のボランティアセンターや学生ボランティア団体に、請求書に基づいて支援金を支給します。寄付金の総額から、報告書の作成費と本サイトの手数料を除いた全額を、寄付金の続く限り支援金を配分します。

2020年9月末 クラウドファンディングによる支援金募集終了

2020年10月上旬 毎月上旬に支援金配布

2020年3月下旬 報告会開催 報告書発送


リターンのご紹介

豪雨被災地の復興と支援に関する報告冊子を作成してメールでお送りします。報告書は、災害と支援の第一線の専門家と支援活動に参加した学生たちの共同作業で作成します。

また、プロジェクト代表の室崎または呼びかけ人が支援者のご希望に応じた研修を実施します。


最後に

苦しんでいる被災者を思い、必死で活動してくれる学生を思い、物心両面からボランティア活動を支えてください。若者は、被災地復興の力です。未来社会づくりの力です。

このプロジェクトは多数の呼びかけ人の思いがつまっています。

呼びかけ人(順不同)

安部美和(熊本大学) 天野和彦(福島大学) 荒木裕子(名古屋大学) 石川永子(横浜市立大学) 磯打千雅子(香川大学) 稲垣文彦(中越防災安全推進機構) 鍵屋一(跡見学園女子大学) 片岡奈津子(NPO法人そーる) 神原咲子(高知県立大学) 木村佐枝子(常葉大学) 小山真紀(岐阜大学) 酒井明子(福井大学) 阪本真由美(兵庫県立大学) 佐藤翔輔(東北大学) 柴田祐(熊本県立大学) 菅磨志保(関西大学) 菅野拓(京都経済短期大学) 杉浦健(共働プラットホーム) 鈴木智惠子(佐賀大学) 高木亨(熊本学園大学) 高橋真里(香川大学) 高林秀明(熊本学園大学) 田中純一(北陸学院大学) 竹内裕希子(熊本大学) 田中尚人(熊本大学) 津田由起子(ぶどうの家) 東末真紀(神戸大学) 湯井恵美子(福祉防災コミュニティ協会) 長谷川順一(建物修復支援ネットワーク) 藤室玲治(被災地に学ぶ会) 増野園恵(兵庫県立大学) みえ防災市民会議 宮定章(まちコミュニケーション) 村江史年(北九州市立大学) 村松淳司(東北大学) 室崎益輝(兵庫県立大学) 安富信(神戸学院大学) 山口由美子(西南学院大学) 山中弓子(NPO法人そーる) 山本克彦(日本福祉大学) 山本康史 吉椿雅道(CODE海外災害援助市民センター) 李永俊(弘前大学) 李仁鉄




  • 2022/01/15 11:01

    1月23日NHK総合「明日をまもるナビ」(全国放送)で、昨年1月に関西で放送された当クラウドファンディングについてのVTRを取り上げてくださるそうです.熊本の秀岳館高校の生徒さんのボランティアの様子、当クラウドファンディング代表室﨑教授へのインタビューご紹介くださります.放送は、1月23日(日...

  • 2021/10/29 09:21

    令和2年の豪雨災害から1年と3か月を経過しました。学生ボランティア支援を始めてから1年と2か月を経過しました。被災者の皆さんの涙ぐましい復興への取り組みによって、被災地は明るさを取り戻しつつあります。ただ、被災者の多くはまだ仮住まいで、被災地に戻ることができていない方も少なくありません。「復興...

  • 2021/09/22 13:23

    学生ボランティアを支援する会の室崎としては、しばらくご無沙汰をしていました。といって、私が手を抜いていても、全国の学生の皆さんが、コロナ禍の中でも知恵を出し汗を流して、災害支援活動を展開されています。今日は、関西学院大学の学生ボランティアの皆さんが4年にわたって取り組んでこられた、熊本地震被災...

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