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京町家を後世に残すためのプロジェクト!

平安時代にその原形ができ、幕末~明治・大正にかけて再建された京町家は、約4万軒が現存しています。多いと思われるかも知れませんが、実は年間約1000軒が取り壊されており、数十年後には消失するという危機を迎えています。歴史・伝統を引継ぎ、世界に誇る日本の建築美を後世に残すべく、このPJを立ちあげました。

現在の支援総額

132,000

132%

目標金額は100,000円

支援者数

17

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2021/05/08に募集を開始し、 17人の支援により 132,000円の資金を集め、 2021/07/10に募集を終了しました

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京町家を後世に残すためのプロジェクト!

現在の支援総額

132,000

132%達成

終了

目標金額100,000

支援者数17

このプロジェクトは、2021/05/08に募集を開始し、 17人の支援により 132,000円の資金を集め、 2021/07/10に募集を終了しました

平安時代にその原形ができ、幕末~明治・大正にかけて再建された京町家は、約4万軒が現存しています。多いと思われるかも知れませんが、実は年間約1000軒が取り壊されており、数十年後には消失するという危機を迎えています。歴史・伝統を引継ぎ、世界に誇る日本の建築美を後世に残すべく、このPJを立ちあげました。

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京町家という建築物の素晴らしさを伝え、その魅力を活かして後世に残すきっかけをつくりたい。


初めまして。Humorと申します。
数あるプロジェクトの中からご覧いただきありがとうございます。

普段は東京でサラリーマンをしており、京都には縁もゆかりもない私が、ひょんなことから色々な偶然や出逢いが重なり、築100年にもなる京町家を購入し、多くの方の協力を得ながら、ボロボロの町家を本来の姿に戻していき、次世代へ繋ぐ架け橋を作っていくというノンフィクションのストーリーです。

ただ古い家を直すだけではなく、その歴史や文化を学び、現代の暮らし方を取り入れながら、地域に根差し、”住みながら稼ぐ”というモデルを創出していく、現在進行形のこの物語を、どうか温かく見守って頂ければ嬉しく思います。

京町家は今その存続が危ぶまれています。現代の法律や税制上では京町家という建物の価値は低く、修繕には数百万円が軽くかかり、潰すほうが安いとも言われます。

そんな中、私も1000万円以上かけて京町家を再建することになったのですが、その過程で多くの出会いがあり、家の再建を通じたくさんの気づきや学びを得、京町家はサステナブルであり、日本が世界に誇ることができる素晴らしい建築物だと感じることができました。


私としては、このお話を最後まで読んでくださり、少しでも京町家に興味を持ってもらえれば、それだけでもプロジェクトを立ち上げた意味はあるのかなと思っております。
何より、私自身が京町家に魅了されてしまったので、その魅力を少しでもお伝えできればと思い、このプロジェクトを立ち上げました。

ですので、京町家に興味が有る方も、そうでない方も、楽しみながらお読みいただければ幸甚です。


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京都に一人で暮らす母に家を買おう。

それが、僕が最初に京都と繋がりを持ったきっかけでした。

家庭の事情により母が京都の学生寮に一人で住むことになったのは2018年8月。
それまでは比較的広い家に住んでいた母は、あまりの狭さと一人の孤独さで日に日に元気をなくしており、それを見た僕は、
「母に不自由な暮らしをさせたくない。よし、京都に母の家を買おう!」
と決意し、新築マンションの資料を取寄せ調査を始めました。


京都に購入を予定していた新築マンションの模型図。45㎡で約4000万円。

20ほど物件を調べたのち、京都駅付近の新築マンションに絞った僕は、
モデルルームの下見を済ませ、手付金を払い、契約を進め、
ローン審査が下りれば購入というところまで進めていました。
審査が間もなく終わり、あとは金消契約のみというところで、思わぬ事件が起こりました。
購入予定のマンションの販売会社に不正が発覚し、
社会的信用が一気に落ちてしまったのです。

あと5ヶ月後にはマンションが竣工し入居というタイミングでの不祥事で、
僕の心は一気に揺らぎました。

現地に見に行くと、マンションはすでに建設真っ只中。大丈夫か…


「建物は大丈夫やろうか。企業の社会的信用は回復するのか 。将来売却する時に価値は下がらないか…。

 あかん、不安すぎる…」


そして、悩みに悩んだ末、このマンションの本契約をしないことに決めたのです。
不動産会社も簡単には譲らず、交渉は難航を極めましたが、事前にきっちり資料や情報を集めた結果、なんとか全額返金にてキャンセルすることができました。

この一件で、新築マンションはやめておこうという考えが僕の中に芽生えました。


2019年12月。
家探しが振り出しに戻った僕は、またインターネットで物件を探すことになりました。

検索をしている中、価格が手ごろな1軒の不動産が目に留まります。
早速不動産屋に問い合わせ、出町柳という駅付近のその物件を、母に見学してもらいに行きました。

京都によくある両側が連棟の私有地通路(行き止まり) 当然、接道幅が狭く再建築は不可築80年超、柱は傾き、2年以上人が住んでいないその町家は、随所に傷みがみられ、2階に至っては床が完全に斜めになっていました。

奥の部屋の床が波打っているのがわかりますか?

壁はもうボロボロ。床も沈んでいます

土地付き建物付きで580万円という、東京都内では破格?の戸建てですが、
修繕費用は軽く見積もって1200万以上。
自分で直すことも考えましたが、知識も経験もなく、東京に住んでいる僕では到底難しく、一旦考えますと言ったその日の午後、
なんと他の業者から買い付けが入ったと不動産屋さんから電話がありました。

「あんな建物でも買っていく人がおるんや…」

一瞬でも気持ちが揺らいだ自分を安堵させつつ、この一軒をきっかけに、
僕の京町家への興味はますます深まっていくことになります。



その後もインターネットを中心に京町家を見ている中で、
一つの物件に目が止まります。

「京町家プロフィール取得済!5K 内部比較的綺麗 静かで住みやすい地区のお家です」

前回の出町柳で京町家の実情を見ている僕には、
比較的綺麗 住みやすい といったワードは到底信じられるものではなく、
2週間ほど熟考していたのですが、他にめぼしい物件も出てこ゚ず、
母の住まいも早く確保してあげたかったため、この物件へ内見を申し込むことにしました。

内見当日は仲介業者の方が付き添ってくれました。
町家プロフィール取得済の手頃な価格の物件とのことで胸高まります。
そんな物件の画像がこちら。


玄関からの様子。京町家の典型的間取りである”うなぎの寝床”=まっすぐな部屋の配置です。


丸桟戸と呼ばれる貴重な建具もそのまま西陣織の産地とあり、織物をかける竹がそのまま残っていました

水回りはかなり昔ながらです…

水屋と呼ばれる昔からの家具この画像を見て、ちょっとおかしいと思いませんか?壁もボロボロですが、それ以上に何かこう、傾いているような…

部屋の奥から見るとはっきり分かります。
はい、家全体が傾いているのですT-T


この画像を見る限り、ボロボロ&傾きで難しいと思いますよね?みなさん。
私も京町家の初見であればそう考えて諦めていたのかもしれないのですが、なにせ前に見た物件はもっとひどかったことと、この物件もずっと探していた中ではお得なお値段だったこと、
そして何より同行した不動産の担当者が町家にとても詳しく、非常に詳しくメリット・デメリットを説明してくれたことにより、
古めかしい町家も徐々に宝の山のように見えてき(この時点でだいぶ乗せられています)、
”他にも狙っている人がいるようです”という囁きに徐々に焦りだし(今思えば恐らく嘘です)、
一旦東京に戻りましたが、日々心がざわつき、どうしようか悩んでいたところ、
インターネットで京町家文化を残そうと活動している団体を見つけ、そこに突撃で電話をしてみることにしました。

いくつかある中で、ここがいいかな?と目星をつけた先に電話をしたところ、
電話口に出てくださった女性の方(以後Kさん)が非常に親身に対応してくれ、
なんなら一緒に物件を見てあげますよ。とまで言ってくれました。



それまで京都という土地柄はよそ者を嫌うという先入観があった僕は、

「やっぱり京都の人もえぇ人ばっかりや…」

と、呆れるほど純粋に京都の人を信用することにし、その方に2回目の下見の同行をお願いすることにしました。

ちなみにKさんは中心地の大きな京町屋に住んでらっしゃるのですが、そのお宅のお庭がこちら。
この庭だけで僕が検討している家より大きいです。はぁ…


小雨が降る朝、
待ち合わせ場所に現れたのは和服姿のKさん。
その出で立ちにいささかの緊張を覚えつつ、物件の中を見てもらうことに。

「躯体はだいぶ曲がってますねぇ。連棟なんでジャッキで持ち上げて直すのもなかなか大変やし、そもそも連棟やからこの家だけ持ち上げるんは無理やねぇ。
壁もボロボロやさかい、これもある程度直さなあきませんね。
せやかて、この天井裏にある梁は中々立派やねぇ。こういう木材は現代ではもうほぼほぼ手に入らないので、これは貴重ですよ。
あとは、この建具やら飾りガラスやらも今ではもう作られへんもんやから、こういうのも磨けば光る思いますね。
天井もまだ雨漏りは少なそうやし、築100年近く経ってる割にはしっかりしてる建物や思いますよ。これならある程度直せますし、味が出る町家やとは思います。」

1時間にわたり隅から隅まで見てくださったKさんの言葉に勇気をもらった僕は、母と相談した上でこの物件を購入することにしました。

契約を済ませ、晴れて京都に町家を購入!
僕の心は京町家オーナーになったことでウキウキでしたが、
物件を前に、改めて重要なことに気付きました。
「このままやったら住まれへんから、
 これから数百万円かけて改修(リノベーション)をしていかなあかんねや…」


これまで大阪、兵庫、奈良と移り住んできた我が一家ですが、
京都には何の縁もゆかりもありません。
当然人のつてもないので、京町家についても全く知らないことばかり。。。

困った僕は、物件選びに協力してくれたKさんを再び尋ねました。
「Kさん、実は改修と言ってもどうすればよいのか分からないんです。
 予算的には500-600万円以内で収めたいとは思ってるんですけど、どうすればよいでしょうか?」
「せやねぇ。あの家は躯体もだいぶ直さなあかんし、お母さまが住まはるとなると、水回りやらいろいろ直さなあかんしねぇ。低く見ても1200、300万は掛かるんとちゃいますか。」

え、1200,300万…?
いやいや、いやいや。
もはや物件価格より高いですやん。
すんません、無理です。トイレとか壁とか無しでいいんで、600万円以内に収めたいです。

そんな心の声が喉まで出かかっていましたが、何も調べないまま一方的に伝えるのは違うと思い、一旦京町家に詳しい建築士のUさんを紹介してもらうことになりました。

建築士のUさんとの打合せで金額踏まえたデザインの要望を伝えたところ、
やはりほぼスケルトンにして一からやり直すとなると最低でも1000万円は掛かり、プラス設備(キッチンやバス)を新しく入れるとなると、1300万近くは掛かるとのことでした。

Uさんと現場で設計図を元に打ち合わせをする様子。何もわからない僕たち親子に、町家の構造や歴史などを踏まえとても丁寧に説明してくださいました。
この時はもう何が何だか分からなくなってきており、
そんなにかかるなら一瞬全部自分でやろうかという想いもよぎりましたが、その時Kさんから掛けられた言葉にはっとしたのです。

「町家言うのはね、もともとは定期的に手直しをして、200年、300年と住めるように工夫が随所に施されている建物やのよ。やから、京町家は誰でも直せるもんやないし、むしろ建築士さんや大工さんも高い技術と経験が必要なんです。
 ただ、夏は暑いし冬は寒いしで、音も響くは匂いはこもるわで、今はどんどん住む人が減ってきてますねぇ。同時に、町家を直せる人も数えるほどしかおらんくなってきて、その技術の継承も危うくなってきてるのよ。
 せやから、貴方みたいな若い方が町家を正しい姿で残してくれるのはありがたいし、大工さんや左官屋さんの技術なんかも、まさに職人技やから、お金では測れない町家の価値みたいなんは貴方をきっかけに皆に伝えていってほしいねぇ。
 私は長いこと町家に住んでますけど、町家は”住みがい”じゃなく”住みごたえ”がある家や思います。
 町家、私はほんまにえぇと思いますよ。」

この一言で、僕は決心しました。

「よし、やるからにはとことん京町家を理解して、職人をリスペクトして、母が”住みごたえ”を感じてくれる家を創ろう。」と。

まだ何もしていないのに、勝手に妄想だけ膨らみます…  ※理想の町家のイメージ図

ハシリニワ(玄関から真っ直ぐ伸びる細い廊下)とか、こんなんやったらカッコいいなぁ。。 ※理想の町家のイメージ図

そこからまず僕は、京町家の歴史や伝統を知るべく、本を買って読むことから始めました。

家のことにあまりに知識がなかった僕は、偏り過ぎず、色んな角度から理解を深めるべく、いくつかの本を並行して読み知識をつけていきました。

読み込んだ本の一部。町家の歴史や構造だけでなく、現代建築の構造や京都の文化についても勉強。
いろいろな角度から客観的に学ぶことができ、とても有意義でした!

そして、本を読み進めていくうちに気付いたこと、それは、「京町家って、なんてカッコいいんや。そして、この構造や特性をうまく活かせば、文化を継承しつつ、暮らしながらビジネスで稼ぐというモデルを作ることができるんちゃうか。」
ということでした。


詳しくはサポート頂いた方にみっちりお伝えしたいと思いますが、
まず京町家は連棟(数軒が横に連なって建築されている)や奥路地に入口があるものなど、
不動産業界で言う「再建築不可」というものが多く、僕が購入した物件も
細い路地の先にあったため、再建築不可の物件でした。
再建築不可 となると何が起こるかというと、まずは土地・建物の評価額が大きく下がります。
よって、土地・建物にかかる固定資産税/都市計画税という税金が非常に安くなるというメリットがあります。

次に、京町家の特徴として、ウナギの寝床のような、長屋の構成になっているものが多くあります。
入口付近は「ミセ(見せ・店)」と呼ばれ、他人と関わるための公的なスペースとなっています。
そこから奥に行くにつれて「ダイドコ(台所)」「オクノマ(奥の間)」「坪庭」と続くのですが、
この「ミセ」の部分は、うまく使えば商売で活用できるのではないかと睨んだのです。
ミセニワ・トオリニワと呼ばれる一直線の導線も、床はコンクリートの打ちっぱなしであることが多く、これも飲食などのビジネスには非常に相性が良いのです。
実の家として暮らしながら、仕事もできる=稼げる という可能性があることは、大きな魅力として映りました。

このように、道路側は店で、奥の間や2階は住居というのがよくある間取りです。


最後に京都という都市のポテンシャル。魅力。
1年間に国内外から5000万人もの観光客が訪れる都市は世界で見てもそう多くはありません。
そして、1000年以上前から続く伝統的な文化や建造物が織りなす京の町は、
日々進化を続け、訪れる人を魅了してやみません。
そんな京の町で目を引くと言えば、やはり京町家でしょう。
飲食店やアパレル、雑貨屋や旅館などが軒を連ね、派手な装飾や華美な設えはなくとも、
その佇まいが圧倒的な存在感を醸し出す町並みは、海外の人にとって感動のシーンです。
事実、京町家を買いたい人は世界中にいるそうで、中国・韓国だけでなく、
近年ではヨーロッパや中東の人が京町家を求めて不動産屋を訪ねているそうです。

京都のいたるところに重要文化財や世界遺産が現存しています。
コロナ前は年間5000万人も観光客がやってきていた、世界有数の観光都市でもあります。

細路地や裏路地にひっそりとあるお店が実は有名なお店だったりと、隠れ家的に飲食店が配置されているのも京の魅力の一つ。2020年度のミシュランではピブグルマンも合わせると200以上のミシュラン獲得店が!


そうなんです。京都という都市は日本の歴史上1000年以上都(みやこ)があった都市であり、
世界の歴史からみても非常に珍しい町なのです。
それゆえ、京にはさまざまな文化が発達し、建築や食などあらゆる文化が色づきました。
そんな京都に建てられた京町家は、現代の日本人から見ると古くて住みずらいボロ建物でも、
海外の人からみると、100年近く前から存在する日本を象徴する歴史的建築物で、
「私、JapanのKyotoに築100年の家を持っているのよね」
というのが、セレブ界隈で抜群の評判になるのです!
つまり、正しく価値を磨けば、需要はあるということなんです。

海外の富裕層から見れば京都の物件は世界と比較しまだまだ格安。
億越えの物件でも現金でドンっと買われる方も多いそう! ※写真はイメージ図

こうして、調べれば調べるほど京町家の魅力に惹き込まれていった僕は、
建築士さんと幾度もの打合せを重ね、大枠の構想を完成させます。
そして、その内容に沿って一人の大工さん(工務店の社長さん)に白羽の矢が立ちます。
その大工さんはMさんという方で、京町家の界隈では非常に有名な方であり、
現存する数少ない京町家修繕のスペシャリストなのです。

こうして、色々な縁が繋がり、我が京町家再建の陣営が揃い、
いよいよプロジェクトがスタートしました。

息子とプロジェクトがうまくいくことを祈念しにいった寂光院の写真。
「そうだ、京都行こう。」をイメージしています。


暑い夏場を避け、プロジェクトは秋口からスタート。
今回はほぼ全体をフルリノベーションするため、まずは中をスケルトンにするところから始まります。

ほぼフルスケルトンの状態。階段が浮いているのが印象的。

奥の間の天井を抜いた画像。天井を抜くと冷暖房の効率がとても悪くなるので一瞬迷いましたが、この立派な梁を出さないのはあり得ないと思い、全てぶち抜いてもらいました。

ぶち抜き後の梁を横から見た絵。このコントラストがたまりません。
梁に使われる大型の木材は切り出してから100年後くらいが最も強度がある時期。
つまり人間でいうと20代くらいなのです。300年近くはもつのが木材の魅力でもあり、木造建築である町家は手入れをしながら300年以上引き継いでいけることが本来の魅力でもあります。

歴史を感じる梁の煤


土壁は自然素材のみで形成されており、家とともに呼吸をします。その分、煤(すす)などで汚れています。

解体は手伝いさん(てったいさんと読みます)が執り仕切ってくれます。貴重な文化物のため、大工さんが教えている建築学校の学生も週に一度手伝いに来て勉強をしてくれていました。学生さんが水平を取る様子


数週間で解体作業が終わると、そこから次々と家を創る作業が始まっていきます。

たくさんの木材が運び込まれ、完成から逆算して組み立てられていく姿は、見ていて圧巻。
寸分の狂いもなく、完璧な仕事を積み重ねていく大工さんの段取りや技術は、横で見ていても全く飽きません♪


こうやってみると、いかに傾いているかがよく分かるかと思います…
この斜めの壁をどうやって整えるかというと・・・

このように、垂直な柱を立て、真っ直ぐな壁を作るのです。こうすることにより、家のサイズは15cmほど小さくなりますが、視覚的にも真っ直ぐな壁が出来上がります。このような要領で、家全体を整えながら作り上げていきます。
画像右手前にも新しい柱が立っていますが、元々あった柱が傾斜していたため、それを新たに支える柱を別途取り付けています。


何より驚いたのが、大工さんの熟練の技による手仕事。
機械も使いますが、細かなところは全て手のこや鉋(かんな)で整えていきます。
mm単位の精確な仕事にはただただ驚くばかりですし、その技術を支える道具を何より丁寧に扱い、しっかりと道具の能力を引き出す技は感嘆の連続でした。

Sさんの手仕事風景。この方は京都御所の修繕なども経験された素晴らしい大工さんです。


50年以上使われている鑿(のみ)。
かっこいいを通り越して、もはや美しい。


町家という建物は、自然のものを使って建てられているため、非常にサステナブルです。
また、建てる段階で完全に完成させるわけではなく、生活様式や時代に合わせて造り替えができるよう、様々な工夫が施されています。
何より素晴らしいのは、木や石、土などの素材の特性を把握し、最大限活かしていること。
木材は材質によって暴れ(曲がり)やくせがあるので、それを見抜いて使い分けられていますし、
土壁や天井裏の木材は呼吸をしているため、湿気が溜まりにくく、空気が循環する構造になっています。

昔の古民家に囲炉裏や火鉢が据えられているのはそのためなんですね。
(空気が循環するため一酸化炭素中毒になりづらい)

このように、京間の畳の中心に炭を入れるスペースがあるのも町家ならでは

そして、うなぎの寝床と呼ばれる縦長の間取りは、もともと間口の大きさで税額が決まっていた時代の名残で縦長に建てられたものが多いようですが、
この間取りは商売と住居の区分けが非常にし易いというのも大きな特徴です。

道路に面しているところに土間がある風景がよくあると思いますが、
土間の部分は見世(みせ)と呼ばれ、現代の店(みせ)に通じています。

そこから奥は建具で仕切られ、住居スペースになっていくというのも町家ならではの構造です。僕の構想(戦略)では、伝統を重んじつつ、町家の特徴を最大限活かすことにより、暮らしながらそこで仕事もし、豊かに暮らすことができると考えています。
その家単体ではなく、所属する地域に貢献し、町の価値を高め、
町家という建物、暮らしが素晴らしいものとして伝わっていき、
京町家に興味を持ってくれる人が少しでも増えればと思い、この企画を立ち上げました。

多くの協力や支えを得ながら、2021年2月、ついにリノベーションが完了しました。
その写真がこちらです。

1部屋をつぶし土間へ変更。ここで母とお惣菜屋を営む予定です。

建具は基本的に既存のものを修復して再利用。
一部京都の建具屋で手配したり、サイズによっては福島県から取り寄せたものも。

料理が得意な母のためにキッチンは2400の大型ステンレス製を新調。
タイルは一目惚れした多治見焼のインディゴ調のものを手配。

奥の間=リビング。床材はこだわりの果林(かりん)を注文。数十万しましたが、抜群の存在感で大満足です!

建具を開けると視界が開け、非常にゆとりがあるスペースになるのも京町家魅力。
クローゼットの引き戸は丸桟戸という貴重な建具。


改修では、隠れていた梁を前面に出し、その抜群の存在感を感じられるようにしつつ、
古い建具や躯体はそのままに、水回りやキッチンを新しくし、暮らしやすさも求めています。
ミセの1部屋(6畳)をなくし、土間にすることでビジネスができる空間を作り、
暮らしながら稼ぐというモデルもしっかり進める予定です。

ここでは伝えきれないプロジェクトの全貌をリターンで説明させてもらいたいと思っております。
携わっていただいた職人や関係者の皆さんもお招きしながら、みなさんに京町家の魅力や改築の裏話など、ざっくばらんにお話しできればと思います。
その上で、どのように暮らしながら稼ぐのか、その戦略やビジョンについてもぜひお伝えしたいと思います!


【お金の使い道】
集めさせていただいたお金は、基本的にリターンの準備(動画や資料の作成、各種職人さんの手配)に使わせていただく予定です。
京町家という文化を伝え、その魅力を感じてもらい、何かしらのアクションに繋がるきっかけとなればとの想いではじめたものなので、ご理解賜れますと幸いです。


【リターン】
京町家の実情を知ってもらい、その魅力を少しでも繋いでくれる人が出てきてくれれば、
私のトライアルとしては成功だと思っています。

その上で、今考えているリターンとしては以下です。

①京都に来てもらった際は、家の中を自由に見学可能+母が粗茶を提供(日程は要調整)

②全ての費用の公開、Before・afterや職人技の紹介、描いているビジネスプラン、行政との補助金の
 苦労話(これが本当に大変でした…)などをオンラインで講話

③京町家の活用や購入をされる方がいらっしゃった際は全力フォロー(物件探しから改修、資金調達の金融機関の紹介、行政都の橋渡し、稼ぐビジネスモデル作りまで、ご要望ある限り頑張ります!)


どれもこれも、全て実体験に基づいてお話しますので、
リアルかつそれなりに面白いコンテンツにはなると思います。

将来的には、集まれる人で京都に集まって町家で宴を開いたり、
地域の人と交流して京都に第二の家を持つ。みたいな取組みができればいいなと思っています。


ということで、私と母の物語はここから第二章へと続いていきます。

ぜひ皆さんに京町家の魅力を伝え、新しいきっかけが生まれることを期待しておりますので、興味を持っていただいた方は方はぜひお力添えを賜れますと幸甚です!

宜しくお願い致します。

最新の活動報告

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  • ご支援いただいた皆様こんにちは!この度は当方のプロジェクトにご支援いただき誠にありがとうございます。おかげさまで開始早々に目標金額は達成(といってもお金集めが主目的ではないため少額ではございましたが…汗)しまして、その後も地道に啓蒙活動をしておりました。あと残り少しとなりましたが、CAMPFIREのプロジェクト終了後も、私の活動は続けて参ります。この母の京町家は惣菜屋さんの許可も取得しており、そのビジネスが年内にいよいよ動き出しますが、それと並行し、土間スペースでの物販(古物商取得済)や野菜の直販(仕入れ先確保!)など、様々なトライアルを並行して行い、”豊かに暮らしながら豊かに稼ぐ”をコンセプトとしたライフスタイルを目指します。この流れの発展形で、飲食や養鶏、旅館といった複合的な施設の構想も進めており、拡がりを持たせていきますので、乞うご期待ください☆写真は、予算の関係で手をつけられなかった坪庭を、とある作戦を使い格安でプロに仕上げてもらった経過報告です☆このプロの方とは今も様々なお付き合いがありまして、そのあたりのお話も、リターンの際に余すところなくお伝えできればと思います!残りわずかとなりましたが、一人でも多くの方にこのプロジェクトが伝われば嬉しく思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします! もっと見る

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