実施理由/背景
水郷潮来の歴史を物語る財産を守りたい!
長勝寺は、文治元年(1185年)源頼朝の開基、寺号を長勝と名づけた臨済宗妙心寺派の古刹です。
元禄年間(1688~1704年)伽藍の荒廃を惜んだ徳川光圀は、堂宇を修復し、妙心寺の二五三世住持をつとめた太嶽祖清禅師を中興開山として迎えました。その後、徳川幕府から朱印十石並びに寺領地を与えられています。
老杉林立する稲荷山を背景にした境内は参道も長く、阿弥陀三尊仏を本尊とする仏殿、山門はともに豊かな唐様建築の遺構で禅寺の風格を保ち、また、中朱門の中の庫裡・書院等も元禄の建物で水戸家ゆかりの宝物を収蔵しています。寺宝第一の古鐘は北条高時の寄進、元徳二年(1330年)の鋳造。中国から来朝して鎌倉円覚寺等に住した清拙正澄禅師が由来を記し、銘にある「客船夜泊常陸蘇城」の語は、中国蘇州を彷彿させる水郷潮来の景観を伝えています。
境内には、頼朝創建の年号に因んだ文治梅と称する古木のほか、俳聖芭蕉の「旅人と我名呼ばれむ初しぐれ」の一句を刻した時雨塚、鹿島紀行で地元の自準亭松江との交流を示す連句の碑もあって一段と風趣を添えます。
プロジェクト内容説明
長勝寺仏殿茅屋根修繕
茨城県指定文化財長勝寺仏殿は、大規模解体修理を実施してから30年以上が過ぎています。
部分的に茅を補修してきましたが、茅根の傷みは著しく、特に南東側の茅の損傷は下地まで達しています。屋根の下地の茅が抜けてしまうと直接屋根板に雨水が入り、材木を傷めてしまう恐れがあり、建物内部まで損傷を受けることになります。
仏像を保護するには、屋根の修繕は必須です。
工事は、茅を補充して屋根全面の表層を葺き替えます。
また、令和元年に上陸した台風により正面中央の両扉4枚が破損し開閉不能になっています。
その他、茨城県指定文化財 長勝寺方丈、玄関、庫裡、隠寮の建物も被害を受け破損しており、修繕を行います。
長勝寺仏殿茅屋根表層葺き替え作業
既存解体面積 432平方メートル
茅 2940束
竹 15束
藁縄 2分5厘 25玉
棕櫚縄 3mm 8玉
銅線 5kg
杉皮 8束
茅葺工 430人
作業員 340人
重厚な意匠を持つ仏殿をかつての姿に。
【破損箇所】
1.長勝寺仏殿
(1)南東側の茅の一部の損傷が著しく、屋根の下地まで茅が抜けている。また、屋根全面にわたり表層の茅が抜けている。
(2)正面中央の両扉4枚破損し開閉不能になる。
(3)正面左(西)側の両扉2枚破損し開閉不能になる。
(4)正面右(東)側の両扉2枚破損し開閉不能になる。
2.長勝寺方丈(客殿)
(1)左(西)側戸袋1式破損し、内部の雨戸鴨居1式、面戸漆喰1面も破損した。
(2)軒下化粧裏板落下し、破損した。
3.長勝寺庫裡玄関
(1)正面屋根雨樋落下し、破損した。
(2)千鳥破風熨斗瓦破損し、瓦がズレる。熨斗瓦崩落し4枚破損する。
(3)玄関屋根瓦がズレる。
4.長勝寺隠寮
(1)右(東)側屋根瓦ズレて、雨漏りしている。室内の天井及び畳にまで雨が浸透している。
(2)裏側左角戸袋及び雨戸敷居1式破損した。
目指すところ
かけがえのない歴史的・文化的資産の保存、継承、振興
前回の大規模解体修繕から30年を経ていることと併せて、昨今の度重なる台風上陸による激しい風雨によって著しい損傷を受け、その姿は痛ましいものとなっており、有形文化財の指定を受けている仏殿茅葺屋根等の修繕は喫緊の課題となっています。
今回はクラウドファンディングで修繕資金の一部のご支援をいただき、創建から現在まで引き継がれた長勝寺本来の姿に復元し、後世へと継承することを目指します。
寄付の使い道
今回いただいたご寄付につきましては、茨城県指定文化財長勝寺の修繕費に活用させていただきます。
自治体からのメッセージ
ご寄付いただく皆様へ
潮来市の長勝寺に関心をお寄せいただきまして、ありがとうございます。
この取り組みを通じて、潮来市の誇る文化財の素晴らしさと歴史を知っていただき、多くの文人墨客を魅了したように、多くの方々に水郷潮来へお越しいただくことへと結びつけてまいりたいと考えております。
ご支援、応援のほどよろしくお願いいたします。
事業スケジュール
令和2年11月:建具等の修繕開始
令和2年12月:仏殿茅屋根全面葺き替え作業開始