はじめに・ご挨拶

旅行添乗員兼アーティストのナルコと申します。COVID-19の影響をいち早く受け、最後まで影響が尾を引く旅行・観光業界を通してこれからの旅のあり方について検証したいと考えています。
アーティスト活動としては、2016年から約4年間台湾での現地調査を重ねておりその調査記録をまとめた拙著を、2021年2月に自費出版で「台灣黑暗觀光指南(台湾ダークツーリズムガイドブック)」として刊行する運びとなりました。

現在は2021年1月より台湾で行われるアーティスト・イン・レジデンスという、現地で滞在制作を行うプログラムに参加しております。防疫対策に成功している台湾で、日常から見えにくくなった歴史や人々に焦点を当てる、そんなダークツーリズムツアーを構想しています。

ダークツーリズムの一般的な概念は、戦争や災害をはじめとする人類の悲しみの記憶を辿る旅です。これに加えて私は対象を現在進行形で歴史の中で否定されているモニュメントや土地とし、ダークツーリズムツアーは日常から見えにくくなった歴史や人々に焦点を当てて学ぶ手段であると定義します。


蒋介石像の製作者のアトリエを訪問した際の様子
※掲載画像に関して。撮影者の名前が明記していないもの以外は全て企画者及び同行者撮影です。
画像の無断転載・複製を固く禁じます。

このプロジェクトで実現したいこと

パンデミックを乗り越えようとする台湾社会で、日常から見えにくい歴史や人々に出会い、学びを持ち帰るダークツーリズムツアーを台湾現地で開催します。その後は日本でこのツアーを疑似体験できるイベントへと発展させたいです。
実践はひとつの手法にこだわらず、台湾滞在中から書籍刊行や映像配信にオンラインイベントの開催など、様々な可能性を試していきます。

パンデミック以前から取り組んできた台湾ダークツーリズムは過去を通して現代を見る試みでした。今後は現代の台湾を通して過去を学び、他者である私たち日本人を見つめ直して議論を呼び起こすような試みとなるよう目指します。


戒厳令下に人々が収容されていた監獄にて

プロジェクトをやろうと思った理由

2020年から現在に至るこの移動ができない期間に、旅行業界最弱の立場である旅行添乗員全国1万人以上の方が、会社からの補償もなく政府の支援対象にもならず生き延びねばなりませんでした。そこで救済案でもあるGoToトラベルという事業が立ち上がりましたが、従来の旅行や観光にはウイルスの伝搬や感染拡大という負のイメージが払拭されず、混乱の中事業自体は現在停止しています。もちろん旅行添乗員の本来の仕事も立ち消えました。

日本の危機的状況とはおよそ正反対である、防疫対策が功を奏している台湾に現在滞在していることは、パンデミックの影響を受けて滞在時期が遅延したお陰でもあります。この機会を通して、これからの旅はどのようなあり方だと享受できるのか。どのような体験となるのかを実践していきたいと思います。

圓山大飯店の宿泊者限定ツアーより、有事の際の脱出用トンネル

このプロジェクトの遂行には、私自身が旅行業に従事する人間であるという面と、一方でアーティストでもあるという二面性を相互作用させて、パンデミック以降の旅行・観光に対する価値観を転換させ受け入れたいという思いが含まれます。
今まで出来ていた旅はもう出来ないということ。それが従来の旅の現状です。では、これからの旅はどう姿を変え提供・享受できるのか。防疫対策に成果を上げている台湾では、国内旅行の熱が高まっています。防疫対策を組み込んだ国内旅行事情を取材し、自ら企画するツアーに取り入れ実施すること。
そのツアーモデルを日本で応用することができれば、将来的に旅行・観光業従事者や旅に出たい人々にとって、今までの旅が出来ないという現状を打破することが可能になるかもしれません。
そして今後また起こりうるパンデミックの際に、次世代へと繋げるデータとして活用ができると考えます。これがプロジェクトを実施したい理由の1つです。

日常から見えにくいという意味では、出入国における2週間の「隔離」という時間もまた、今だから存在するダークツーリズムのひとつと言えるかもしれません。構想中の台湾ダークツーリズムツアーでは、この「隔離」のプロセスもまた1つのテーマとして組み込みたいと思います。

歴史の中で忘却されたり否定されて日常から見えにくくなってしまった出来事や人々、土地そしてモニュメントを通して学ぶことは、今の社会を中立の視点で見つめ直し、今後どのような社会で生きていきたいのかを考えることに繋がっていきます。
台湾現地で開催されるダークツーリズムツアーに日本で暮らす方が様々な手段を用いて関わることで、台湾と日本それぞれの日常からとりこぼされてるものは何なのか、という視点の獲得が可能になると考えています。これからの旅の姿を考えることと、台湾のダークツーリズムに参加すること。この2点を繋げるべくプロジェクトを実施したいと考えました。


衛生福利部の方が隔離期間中に差し入れてくれた防疫アイテムたち

これまでの活動

[主な展示]

2017「す地平せん」(野方の空白、東京)
2016「BOYS LOVE」(新宿眼科画廊、東京)
2015「前線」(ナオナカムラ、東京)
2014「キャラクラッシュ!」(東京)

[主な受賞]

2017「第20回岡本太郎現代芸術賞展」(岡本太郎美術館、東京)

[台湾ダークツーリズムに関する活動]

2020年8月 台湾ダークツーリズムのウェブサイト立ち上げ
台灣黑暗觀光
同年11月 「静粛的雕像」(TAV GALLERY、東京)
ナルコ 個展「静粛的雕像」[ 11/20 (fri) – 12/6 (sun) ]

2021年1〜3月 アーティストインレジデンス参加(寶藏巖國際藝術村、台北)
同年5月〜9月 台湾で開催される芸術祭に参加 ※詳細は後日ご報告します


個展「静粛的雕像」TAV GALLERY
Courtesy by TAV GALLERY/Photoed by SAKAI Toru

資金の使い道・実施内容・スケジュール

ご協力いただいた支援金の使い道
・2月に刊行する「台灣黑暗觀光指南」の制作費
・3月に台湾現地で行う台湾ダークツーリズムツアーの運営費用(移動手段の確保や記録係の方やガイドの方、通訳の方へのお支払い)
・リターンの冊子や記録集、シリコン製蒋介石像の制作費
・GoodMorning様への手数料

実施スケジュール
2月 クラウドファンディング終了
同月【リターン】 「台灣黑暗觀光指南」の順次発送
同月末〜3月半ば 台湾ダークツーリズムツアー実施
3月末 【リターン】ツアーのビデオアーカイブ及びしおりの送付
同月末 レジデンスプログラム終了
4月 【リターン】ミニ冊子の発送開始
4月末 【リターン】シリコン製手のひら蒋介石像順次発送
5月〜 台湾で開催される芸術祭に参加
6月末 【リターン】芸術祭のアーカイブ送付
8月 【リターン】記録集の順次発送

「台灣黑暗觀光指南」は2021年1月後半に納品され、ご支援いただいた方へは2月より順次発送させていただきます。

私自身がアテンドするツアーでは、台湾現地に住んでいる方が参加します。2月末〜3月半ばにかけて複数回行われる予定です。
ツアーは1日毎にテーマを設けた日帰りツアーとして運行します。
貸切バスを使用し、添乗員である私と各訪問地にいる現地ガイドの案内によって台北市内/台北郊外を中心に周遊します。現地ガイドの方は取材中に出会った協力者の方や施設の方です。施設見学の他に、レクチャーの時間や意見交換の場を設けた構成でお送りする予定です。

本の中の旅としてこれまでの私のリサーチの記録を楽しんでもらい、今後行われる現地ツアーのアーカイブもまた楽しんでいただけるようにしたいと思っています。


リターンについて

台湾現地に滞在している間も取材を続けます。取材の様子をお楽しみいただけるプランを中心にご用意させていただきました。
また私の制作の背景だけでなく、台湾の防疫事情などの参考になる情報や、次に台湾に訪れた時に行ってみたくなる飲食店や街も合わせてご紹介させていただくプランもあります。
去年開催した個展「静粛的雕像」に出展した作品を手のひらサイズで作り直した、シリコン製手のひら蒋介石像1体をお届けするプランもぜひ合わせてご覧ください。


最後に

本プロジェクトページを最後までお読みいただきありがとうございました。
先の見通しがつきづらい日々でありますが、旅に出たい。という気持ちを軸に、これからの旅のあり方をぜひ、今一度検証するためにお力添えいただけましたら幸いです。
防疫に成功している台湾社会がたどった歴史を知ることで、改めて他者を見る観光客の視点を獲得していただくこと。私たちが暮らす日本での日常に観光客の視点を持ち込むこと。今までの旅ではない、これからの旅について皆様と共に考えられるよう繋げていきたいです。皆様ご支援どうぞよろしくお願い申し上げます。


<All-in方式の場合>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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