岐阜県関市。鎌倉時代から室町時代初期にかけて、関鍛冶の刀祖とされる「元重」と「金重」が関に移住したことにより、800年以上も続く「関の刃物」の歴史が始まったと伝えられています。

「日本刀を作り上げる鋼の技術」をルーツに持つ関市の刃物づくり。近年では熟練した職人たちの技術とノウハウを精密機械技術と融合させた刃物づくりへと進化しています。


関の刃物産業は古くから分業制で成り立っており、ブレード(刀身)を製造するだけでも下記のような複数の工程をそれぞれの専門業者いわゆる「職人」さん達によって支えられてきました。


(注)上記の生産工程はわかりやすく簡素化したものであり、全ての刃物がこの工程で製造されるわけではありません。


関の刃物が世界的に評価され出荷額が増加に転じる一方で、生産を下支えする職人は減少傾向にあり高齢化が進むにつれて危機的な状況を生む可能性があります。

関の刃物をもっとたくさんの人に買ってほしい(販売したい)という意図は、残念ながら買ってくださる消費者と刃物職人との想いを遠ざけてしまっているのが現状です。商社、刃物メーカー、下請け業者、そして各工程を担っている職人の間では価格競争により過度な相見積が繰り返され、人件費を抑えることでギリギリの経営を強いられている職人さんも少なくありません。

実際に私が請け負っている「自研」の工程も、できるだけ工賃を抑えてほしいという要望に対して、どうにか応えようと努力を重ねたものの、設備の老朽化対策に費やす経費などが経営を圧迫し、廃業を考えざるを得ない状況にあります。

職人さんの多くは使っていただく人の気持ちになり一本一本心を込めて丁寧に作ることにやりがいを感じて仕事をしてきましたが、技術に対する評価(工賃)が低く抑えられたままでは、職人の数はどんどん減少し、関の刃物・地域産業にとって大きな打撃となってしまいます。


心を込めて丁寧に作るという目には見えない付加価値を伝えることは非常に難しい。デザインによる差別化や機能性も重視しないと、他の商品と比べて割高な印象を持たれるだけで、職人さんのやりがいにつなげることも難しい。



いざプロジェクトを立ち上げようと思い立ったものの、もちろんすぐにアイデアが浮かんだわけではありません。関の刃物がよく切れるのは当たり前であり、切れ味といったパフォーマンスで大きな差別化を図るのはとても難しい事にも気づかされました。

何か新商品開発のヒントはないか?休日に市場調査を兼ねて家族でショッピングモールを訪れると、私一人を包丁コーナーに置き去りにしてすぐに娘たちは別行動。

ひっそりと静まり返った包丁コーナーで気がつけば数時間。他のお客さんから見ればかなり怪しい人物と思われても致し方ないですが、よくよく考えたら他のお客さんがほとんどいないことに気づきました。

なぜ他の調理器具を扱う雑貨屋さんは若い女性で賑わいを見せているのに、包丁コーナーにはほとんど立ち寄る気配がないのか?

娘たちの回答はズバリ「可愛くない」の一言。

であるならば娘たちに認められる包丁を作ってみよう。そこから誕生したのがこの包丁です。

「良い物をできるだけ安く」というニーズに応えることも必要ですが、それだけでは職人さんは良い物を作っても安くないと評価してもらえないため、設備投資や若手の育成などがどんどん疎かになってしまいます。「こんな包丁が欲しい」という使い手のニーズに応えることで、過度なコスト削減を要求する必要がなくなれば、職人さんにもやりがいを持って仕事をしてもらえると考えております。


鎚目模様は玉鋼の鍛錬という伝統的な工法を彷彿させる伝統美として海外からも高く評価されています。日本の伝統イメージにあえて遊び心を取り入れ、老舗のメーカーでは出せない伝統美と遊び心を融合させたデザインが、料理が苦手な方でも料理が楽しくなる演出をしてくれます。



真っ直ぐ切ったようで思うように切れていない。料理を始めて間もない方からそういった感想をよく耳にします。人間の目には右利き左利きがあるように「利き目」というものがあります。対象物との距離や形を見極める目と、色などを補足的に見る目が重なり合っているため、切り初めの位置は目で確認できても切っている間は感覚」に頼ることが多いのです。初心者にありがちな問題点だからこそ、既製品でコストを削減するのではなく7角形のオリジナルハンドルを特注して、包丁の角度を感じやすい設計にしてあります。

三徳包丁は刃渡り180mmが一般的ですが、近年では核家族化や一人暮らしの割合が高く、食材もそれに応じて小さめにカットされたものが多いので、それに合うよう刃渡りは165mmと少し短めにしております。重量は約140gと軽く操作性に優れています。

材質はお手入れの手間があまりかからないよう、見た目を重視したダマスカス鋼などの高級素材ではなく、実用的な1K6のステンレスを使用しています。無酸化による特殊な焼入れを施すことで硬さに必要な炭素の含有率を高めており硬度は56ほどありますので切れ味も長続きします。


心のこもったモノづくりとそれを表現したハートのデザインはどこにでもある包丁と違いプレゼントとしても喜ばれるアイテムになると思います。

また、日頃の感謝や愛情を表現するためのプレゼントとして相応しい商品にするためにも、どこを削るか?どこで安く加工するか?よりも、心を込めて作るという本来のモノづくりが重要視されるものと考えております。

(注)商品を梱包する箱は試作品のため、配送には安全に配慮した素材や形状に変更する場合がございます。


職人さんの多くは買って良かったと言って頂ける物を作りたいと思っています。逆に言えば買っていただく消費者が丁寧なものづくりを評価しているのに、それに応える余裕がない状態が一番つらいのです。後継者を育成するにはコストも時間もかかりますし設備投資ができないと事業を継続することも難しい。中には職人は頭が悪い人がする仕事だから収入が低くても当然なんだという認識を持っている方もみえます。仮に誰でも簡単にできる簡単な仕事ですというなら簡単に職人さんの数は増えるでしょうが、需要があるのに職人が減少してる現状が解決できないのは、育成や設備投資に関わる費用も含めて利益が分配されていないだけなのです。このプロジェクトが今まで遠ざかっていた消費者と職人の距離を縮めるきっかけになれば、地域産業が抱える課題解決に一歩近づけるのではと考えております。

1万円もする包丁などなかなか買ってもらえないから少しでも安くしなければと工賃を下げることばかりに目を向けられますが、包丁の平均的な寿命6年で換算すれば一月あたり150円ほどであり、その中で製造原価が占める割合で言えば30円程度です。この30円に10人の職人さん関わっていたと仮定すれば職人さん一人当たり3円です。つまり消費者が安さで満足を得ることと職人さんの工賃を削ることは全く関係がないわけです。

一月数円の工賃をどうにかするより、少しくらい工賃を上げたほうが丁寧なものづくりができるのです。職人さんの気持ちがわかるからこそコストパフォーマンスではなくベストパフォーマンスを目指したい。



目標金額の内訳は下記の通りとなります。

① 量産化に関わる金型などの初期費用 約25万円

② 広報費及び事務手数料などの諸経費 約25万円

③ 職人さんの想いを伝えるプロモーション動画の作成費用 約15万円 


令和3年 10月末 クラウドファンディング開始

令和3年 10月末 リターンの制作開始

令和3年 12月末 クラウドファンディング終了

令和4年 4月 リターンの発送

令和4年 5月 ホームページ開設 一般販売開始

※ 私が請け負っている自研工程の開始の際に活動報告として進捗状況なども合わせてお知らせいたします。自然災害などの不可抗力や資材の調達、加工業者の生産状況により、スケジュールが遅れる場合も活動報告でお知らせいたします。


■特定商取引法に関する記載 

●販売事業者名:アナザークリエイト

●設立年月:2021年 6月

●代表者:横山浩充

●事業者の住所/所在地:〒501-3216 岐阜県関市水ノ輪町76 

●事業者の電話番号:Tel: 0575-38-9138

●送料:送料込み

●銃刀法に関わる注意

正当な理由なく刃物を携帯する行為は、銃砲刀剣類所持等取締法第22条及び軽犯罪法第1条第2号により禁止されています。また18歳未満の方は本プロジェクトを支援することはできません。

●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。 

●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。




<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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