はじめに・ご挨拶
初めまして、京都工芸繊維大学修士一年の柳沢大地と申します。プロジェクトページをご覧いただいてありがとうございます。
建築を学ぶ学生の僕が京都で出会ったのは推定築100年の空き家となった長屋でした。建物は長い期間空き家だったこともあり、深刻な老朽化が進行しています。しかし、こういった古い建物を大切にし活用したいという思いから集まったメンバーによって、次の時代に建物を引き継ぐための改修が始まりました!そして改修後には、誰でも無料で使える、自由なものづくりのための場、地域に開かれた工作室を作ります!ものづくりを通じて多様な人々が交流できる場所を目指します!集まった資金は主に老朽化した長屋の改修費用などに使われます。
またこのクラウドファンディングは私たちの考えに共感し、活動に参加してくれる方々と出会うためのものでもあります。たとえ少人数であってもその出会いを大切にしたいという思いから、今回はAll in方式を採用しています。ぜひ皆さんの力を貸してください!
資金の使い道
クラウドファンディングで集まった資金は、主に長屋の改修費用に充てられます。
すでに行われている改修費用は京都市の補助金などで賄っておりますが、十分ではありません。不足分に皆様の支援で集まったお金が使われます。
<<100万円の内訳>>
65万円:建物の改修費用
20万円:設備改修費用
15万円:クラウドファンディング手数料+リターン準備費用
※なお、目標金額に到達しなかった場合でも、自己資金でプロジェクトの達成を目指します。その場合、スケジュールに遅れが生じる場合がございます。ご了承ください。
以下、少し長くなりますが、プロジェクトに至る経緯や思いを共にするメンバーについて、何故工作室なのか、私たちの考え、思い、をお話させてください。
古い建物を残し、活用したいという思いから広がっていったプロジェクトの輪
僕は建築家を志し、大学で建築の勉強をしてきました。その中で古い建物がもつ価値や魅力を知り、そうした建物を再生し、活用することで長く使うことができないかと考えるようになりました。そして、身近なところから実践をしてみたいと思いました。
京都市ではいま7軒に1軒以上もの家屋が空き家となっていると言われています。その多くは、築100年を超える歴史的価値のある「京町家」。しかし、そんな京町家が使われないまま老朽化し続けていると言います。建築を学ぶものとして、ここで何かできることはないか。そんなことを思い、京都にある空き家を探していたときに出会ったのが今回のプロジェクトメンバーの一人、空き家バンク京都の代表をされている鈴木一輝さんでした。
鈴木さんは負の遺産と呼ばれる空き家に価値を生み出したいという思いから、京都に数多く存在する空き家の改修・再生、シェアハウスや宿の運営・管理を行う空き家バンク京都を立ち上げ、活動されています。
僕たちは「古い建物がもつ価値を残したい!」という共通の思いを持っていたことから意気投合しました。そして鈴木さんからこの建物を使ってみないかと紹介されたのが今回改修を行う長屋でした。
三条大橋にほど近い路地奥にあるこの建物はおそらく築100年超の老朽化した建物で、増改築された形跡がありましたが、長い時間を経てきたものが持つ独特の風情があります。この「長屋」と呼ばれる古い形式の建物は、通りから延びる細い路地を複数の建物で共有していて、長屋はかつて庶民の一般的な生活の場でした。老朽化は進んでいながらも、どこか特有の風情を残した長屋。しかも連棟となった隣やその奥の長屋たちも、現在シェアキッチンやアートギャラリーへと再生活用への計画が進んでいると言います。初めて建物を訪れたときにすぐ、この建物をきちんと再生して、活用してあげたいと強く思いました。
しかし、建物の老朽化は思っていたよりも深刻に進行していました。柱が何本も腐っていたり、土壁がはがれていたり、屋根の重みで家自体が傾いているといったような非常に危険な状態でした。大学で建築を勉強していたとはいえ、僕一人ではどうすることもできないような状態で、途方にくれるしかありませんでした。
しかし、そんな時偶然出会ったのが、プロジェクトメンバーに参加していただいた西村めぐみさん、佐野春仁さん、久保亮太さんでした。
西村さんは普段、まつはという町家を改修したカフェを営んでおられて、偶然同じようなタイミングでお隣の長屋の改修を始めようとしておられました。佐野さんは京都建築専門学校の校長先生で、これまで数多くの町家、古民家の改修を手がけられてきた方で、西村さんの紹介で知り合うことができました。また久保さんは京都の工務店、久保工務店の棟梁で、京都の伝統建築の改修に長い間かかわられていた宮大工です。久保さんは佐野さんと同じ京都建築専門学校で教えている縁からご紹介いただきました。
こうして路地の縁で知り合った方々とお話する中で、僕や鈴木さんと同じように「古い建物がもつ価値を残したい!」という考えを皆がもっていることがわかり、であれば一緒に協力してこの老朽化した長屋を再生しよう!と、プロジェクトのメンバーに加わっていただきました。
また、いろいろな学校の学生もメンバーとして改修のお手伝いに来てくれています。彼らもこういった古い建物を自分たちの手で直して使っていくことに興味を持ち、私たちの考えに共感して、プロジェクトに参加してくれました。
僕一人では決して、プロジェクトをスタートすることすらできなかったと思います。最初は一人で考えていたことが、いろんなメンバーと出会い、同じ思いを共有することで、実際のプロジェクトのスタートにまでこぎつけることができました。今回クラウドファンディングをやろうと思ったのも、同じように皆さんと思いを共有し、支援していただくことでプロジェクトを前進させるための、メンバーに加わっていただきたいと思ったからです。
既存部分を大切にした改修を行い、建物を次の時代に引き継ぐ
今回の改修は佐野さん、久保さんの指導のもと、学生が中心となって改修を行っています。
すでに危険な状態にあった構造部分の工事がスタートしており、できるだけ元の状態を大切に残しながらも、安全で、この先の長い時間建物が残っていくような改修を行っています。
長屋は深刻な老朽化が進んでいます。長屋というのは古来から庶民の生活の場でした。そのため、いろいろな材料を流用したりしながら簡素な作りで作られています。そのため作りのしっかりした町家と比べると改修が難しく、細い路地の奥にあるので、大規模な工事がやりにくい状況です。実際このような背景から、京都には同じように老朽化し、空き家となった長屋が数多く存在します。そのうえ、こうした路地奥の敷地は現状の法律では新しく建物を建てることができないため、老朽化が放置されてしまうのです。
しかし、路地や長屋も京都のまちの魅力につながる大切な要素です。根気強く改修を行い、長屋を再生していくことは、結果的にまちの魅力や、次の世代の資産となります。私たちは、この試みがいまの状況が改善されていくきっかけになればいいなと考え、改修を行っています。
誰でも無料で使える、自由なものづくりのための場所、地域に開かれた工作室
ぼくは建築を学ぶ以前から、絵をかいたり、diyで家具を作ったり、ものづくりをすることが好きでした。それは、ものを作ることを通して、自分自身を知ったり、他人とつながったりすることが楽しかったからです。この体験をもっといろんな人と共有したいと思い、地域に開かれた工作室を作ろう!と思いました。
工作室は様々な工具がおいてあって、誰でもその工具を使いものづくりが無料でできる場所です。家具を作ったり、絵をかいたり、家電を修理したり、、、ものづくりを通じて子供から大人まで、多様な人々が交流できるような場所です。
自分の工具を工作室に預けてみんなとシェアしたり、廃材などもシェアできます。
工作室が利用者に何かを強制することはほとんどありません。友達とおしゃべりしたり、本をよんだり、自由な使い方で工作室を楽しむことができます。無理にコミュニケーションをとったり、何かを作らなければいけない!ということもありません。公園のように自由にいられる場所です。
※工作室の運営に関しては、利益を得ることが目的ではなく、実際にどのように場が機能するかを観察する社会実験の意味合いもあるため、利用者は無料で利用できます。最低限必要な家賃、光熱費、工具代等についてはイベントでの収益や寄付によって賄われます。
また定期的にワークショップやイベントを企画します。(こちらは参加費をいただく場合があります。)
現在計画中のものでいうと
・古材活用ワークショップ:改修で解体された古い木材をつかって、家具や小物を作ってみよう!
・お絵描きワークショップ:自分でキャンバスを作って絵をかいてみよう!
・古着リメイクワークショップ:捨ててしまう服や端切れの布をつかって自分だけの服を作ってみよう!
などがあります。ほかにも、ライブやフリーマーケット、周辺のお店などと連携したイベントなども構想中です。また今回のワークショップ・イベント開催権のリターンで支援してくれた方々と共に、様々な企画を開催します!ぜひ楽しみにしていてください!
私達にとって必要なもの、見過ごされてきたものに目を向ける
世界中がコロナ禍となってもう一年近くになります。まだ世界がどうなっていくかわからない中で、こういう場づくりのようなことが意味があるのか、自問自答しながら今も改修を行っています。
コロナウイルスによって、いまの社会の持つ分断や格差、これまで見過ごされてきたものが顕在化したと思います。ここまで複雑に発達した社会では、大きな枠組みだけではどうしても個人の感情や事情というものとは切り離されたものになってしまいます。そうした中で、たとえつたなくとも、自分たちの手の届く範囲からオルタナティブな社会を生み出し、拡張していけないか。そういう思いがぼくの原動力となっています。
すごく便利な場所や、にぎやかな場所をつくろうとしているわけではありません。でも、その場所があるということによって誰かにとって救いとなったり、希望となったり、未来になったりする。そういう場所が作れたらいいなと思っています。
ここまで、つたないぼくの文章を読んでいただきありがとうございました。もし、読んでいる中で、共感したり、応援したいなと思っていただけましたら、ぜひ支援や拡散をお願いいたします。皆様の力をお貸しください!
SHARE HOUSE の住人です。SHARE WORKSHOP も面白い発想ですね。木工のほかにも、自転車修理など出来たらいいな。