【はじめに・ご挨拶】

この度は、本プロジェクトをご覧頂き誠にありがとうございます。
箱根塔ノ沢温泉にございます旅館、元湯環翠楼五代目若旦那の梅村哲と申します。
現在の環翠楼は、大正8年建築の本館北棟、大正13年建築の本館南棟、明治時代の建物を移築し2019年11月にリニューアルした環翠楼別館の3棟からなります。
国道一号線沿いに建っております木造建築の、3棟すべてが国の登録有形文化財に指定されてございます。


▼当館HP
https://www.kansuiro.co.jp/


■元湯環翠楼五代目 梅村哲 プロフィール
神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤で昭和63年に生まれ、幼少期の頃は小田原市で育ちました。
大学は東海大学にて興味のあった建築について学び、卒業後東京YMCA国際ホテル専門学校のホテル旅館経営学科1年制に就学。
その後、旅館の現場を学ぶために岐阜県高山市にある旅館にて3年間修業。
修業の後、実家塔ノ沢温泉元湯環翠楼に戻ってまいりました。


【このプロジェクトで実現したいこと】

当旅館には、大広間「神代閣」を代表する壁2面に広がる襖画がございます。その修復作業に伴う修繕費の一部をご支援頂けないかと考え、本プロジェクトを起案いたしました。

大広間「神代閣」襖画

環翠楼には多くの政界人、文化人等がお越し頂いていた時代がございます。
そのため、たくさんの墨跡品々が館内に残されております。中でも圧巻の作品が大広間「神代閣」にございます襖画です。
大正14年初冬に鳥の鵜の画を、大正最後の年、15年初夏に白梅の画を、製作期間およそ1年、仙田菱畝によって大広間の壁2面に渡り描かれました。元号が大正から昭和に代わる、大正時代最後の作品となり、昭和の時代になってからは、数々の人気作品を世に出した漫画集団もまたこの大広間で大宴会を催し、楽しい一夜を明かしたそうです。
また、かつては伊藤博文氏も当館を定宿として度々訪れ、酒宴を催しました。
(実は「環翠楼」という名前は伊藤博文氏に命名して頂いております。)

そんな時代と共に歩んできた襖画も、現在は
「だいぶ傷んでますね~」「破けちゃっててもったいないですね~」
そんなお声を多く耳にしており、劣化し、破れてしまったり、色が落ちてしまったりと大変傷んできております。
「どれだけ立派な物であったとしても、これほどまでに傷ついてしまっていると、せっかく見に来ていただけたのに一見する価値が大きく落ちてしまうのではないか」
と、日々の悩みの一つとなってしまっておりました。

傷んでしまっている箇所の一部

「どうにかして修復し、後世に残したい。これからも多くの方に見て頂きたい、感動を伝えたい。失ってしまっては二度と戻らない。あの時何か手を講じていればよかったと、後悔だけはしたくない」
そんな考えを持ち続けていた折に、とある表具師の方と御縁がありました。
表具師の方からは、
「これを直せる技術を持った職人はだいぶ減ってきてしまった。もし直す気持ちがあるのであれば可能な限り早いほうが良い。タイミングを逃すと直すのが難しくなってきてしまう」
このようなお話を受け、修復し、後世に残したいという思いが、より一層強くなりました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言発令に伴う行動の自粛、旅行に対する不安感、そんな状況下ではございます。正直に申し上げますと、当館も大きく売り上げを落としてしまっております。そんな中での2,000万円を超える修繕費は、不安がないと言えば嘘になります。
ただ、「売上がないからやらない」のではなく、ここは金融機関に借り入れをしてでも直さなくてはならないと考えております。日々劣化していってしまっている襖画を見るたびに、「なんとかしたい。旅館と共に歴史を歩んできたこの作品を、後世にも残さなければ」と強く感じております。

その思いより、2000万円を超える費用のうち500万円を目標にクラウドファンディングでご支援を募ろうと決意いたしました。


【襖画の修復作業の工程】

3月中頃より作業が開始いたします。1枚の襖におよそ1か月弱程度かかり、同じ作業を14枚繰り返し行ってまいります。工程は下記のような流れです。

1. 枠部分や引手を外し、襖より作品の画をはがします。
2. 作品裏面についた下貼紙を剥離させ清水にて吸い取り洗いを行います。
3. 欠落部分や、裂けてしまっている部分を丁寧に修理等施していきます。
4. 襖の骨組みを新規に入れ替え、反りやねじれがないように調節していきます。
5. 下貼工程では片面11枚を重ねていきます。
6. 廊下面の襖もまた貼り直しとなります。

以上の工程をおよそ1年かけて執り行ってまいります。


【当館について】

環翠楼は国内外の多くの文化人や政財界の方々が定宿とした歴史に加え、皇女和宮様がお亡くなりになった終焉の地でもあります。

和宮様没後50年が経った際の慰霊碑

明治から大正の時代に入り、団体客を見越した先代が建物を一新し今の姿となりました。大広間の襖画もまた、そのタイミングで描かれたものとなっております。
現在大広間の使用用途といたしましては、襖画をご覧いただくために開放し、本来の用途とは別な役割を担っておりますが、団体客の多かった当時は大広間を埋め尽くすほどの宴会が開かれていたと聞いております。圧巻の襖画を眺めながらの宴会はさぞ盛り上がったことと思われます。



【最後に】

現存する木造4階建ての建築は珍しく、建物に関心あるお客様方が多くお越し頂けております。私自身も建築に関心を持ち、大学の卒業論文では環翠楼の大広間を中心とした論文の作成をした経歴があります。
見学ポイントの多い当館は時に、「泊まれる博物館」のようだとおっしゃられる方もいらっしゃいます。
お金では決して買うことのできない、今日まで続く先代達より紡がれてきた歴史を守っていきたいと強く思っております。
無くなってから気づかされることは多くあります。あの時何かできていれば、もっと向き合っていたら。そんな後悔をしないためにも今できることは何なのか、信念を胸に前に進む勇気をもって取り組んでいきたいと考えております。
生まれ変わる画をぜひご覧頂きたい。感動を共に共感したい。畳の広がる大広間は想像以上に広く、座ってみますとさらに広く感じます。襖もまた通常のサイズと異なり、特注のサイズとなっており大変に大きなものとなっております。その圧巻さは実際にご覧頂けてこそ感じられるのではないでしょうか。座ってみるだけで言葉がいらない、私はそう感じております。

リターンの中には、通常ではご提供していない特別プランとして、「少人数(もしくは御一人様)でこの大広間を貸し切り、ゆったりとお食事をしていただけるプラン」もご用意いたしました。まるでお殿様になったかのような贅沢さをご体験いただければと思います。

厚かましいお願いかとは存じますが、ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。


箱根塔ノ沢温泉 元湯 環翠楼
〒250-0315 神奈川県足柄下郡箱根町塔之沢88
TEL : 0460-85-5511 FAX : 0460-85-5856


<All-in方式の場合>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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