はじめに

 はじめまして。福岡県大川市にある桐里工房の4代目 稗田亮と申します。当プロジェクトページをご覧頂き誠にありがとうございます。

 私たちは、家具のまちとして知られる福岡県大川市で明治45年から福岡県特産工芸品である大川総桐箪笥の製作を続けております。また3代目稗田正弘の代から「桐で軽い家具を作ってほしい」とのご要望が増え、テーブル、イスやベッド、 軽くて使いやすい様々な家具も制作しています。歴代受け継いできた技術と経験を活かし、古くなった家具の修理やリメイクにも取り組んでいます。

桐里工房 福岡県大川市榎74-3 0944-86-3938      https://kirikoubou.com


プロジェクトを立ち上げた背景

 2017年から家具のまち、大川で町おこしの企画として「大川家具のネコ家具」が誕生しました。その一環として弊社でも「ネコベッド」を製作しました。職人が本気で作るネコ家具ということで世界中からたくさんのお問い合わせをいただいており、このプロジェクトをますます盛り上げていきたいと考えています。昨年の大川木工まつりでも披露されましたが、大変評判もよく今後新たな家具のジャンルが確立されると予感させられました。その後コロナウィルスの影響で予定されていた展示会などがなくなってしまい、お披露目の機会が失われてしまいました。その後、昨年10月に行われました、まるごとネコフィスティバルの展示の機会があり。そのとき改めてお客様方々から、激励のお声をいただき「もっとネコ家具を増やしたい」と感じ、新しいネコ用家具の制作を始めました。


新作ネコ仏壇

 私は幼い頃からずっとペットを飼っています。長い間ずっと一緒にいると家族と同じような親密感をいだいてきます。ですが残念なことに人とは寿命の長さが違うため、いずれお別れの時が訪れてきてしまいます。その後は人とは違い形式がないため、簡素な形で遺影を残したりしてとりあえず飾っているようなご家庭が多いのではないでしょうか?もっと大好きでいい子だったあの子をねぎらってあげたい!

 そんな思いと悩みを多くの方持っているということがわかり、なにかそれを解消できるようなものは無いのだろうか?同じ家族なのだから専用の仏壇があってもいいのではないだろうか?犬や猫、ご縁のあったいろんな 種類のペットを供養してほしい!という思いから、大川市の”市木”でもある桐を使用して「ネコ仏壇」の制作をはじめました。


商品の特徴

 まず、仏間を利用しないことを前提で考えました。最近和室が少なくなっており設置するとすればリビングが多いと思いますし、日常生活に密接した空間の方がお互いに近くに感じられ、思い出を大切にすることができると思います。それに賑やかな場所のほうが寂しい思いもさせず喜んでくれるはずでしょう。

 そこで、一見「仏壇には見えない」仏壇にしようという考えになりました。蓋を閉じるとちょっと変わった形の木の箱です。来客時に気を使わせる心配もありません。するとリビング以外の場所でも「目立つ場所にも置ける」というデザインにいたしました。

 扉が邪魔になるというのが仏壇の欠点なのですが、その邪魔なものを活用できないか?という逆転の発想で、お供え用の台になるようにしました。中身を隠すための扉、それを開くとお供え物を置く台に変身させることでコンパクトさを保持できました。

 内部は段差をつけて飾りやすくしています。二段ありますが一番上の段は取り外しが可能で、そこに骨壺も置けるようにできます。下の段には引き戸のコンパクトな収納を設置し小物が収まります。内部天井にはLEDを設置し、暗い場所でも明るく照らしてくれるようにしました。

二段の段差があります上の段は取り外し可能

 材料は国産の桐とウォールナットの無垢材を使用しています。桐は日本国内で一番軽い樹木で、水対比3:1という軽さです。「仏壇を動かしたい」と考えている人は多いようで、この小さくて軽い仏壇は非常に便利だと思われるでしょう。お部屋の模様替えをしたり、お引越しをするときなども簡単に移動することができます。また、壁掛けも可能ですので設置場所は自由に選ぶことができます。

 キズと汚れに強くするために表面を焼いて、宇造り仕上げにしています。またそうすることで色合いに濃淡ができ、木目が立体的に現れるのでとても風情を感じられる表情になります。見た目が黒っぽくなると、実際は軽いのに重厚感と高級感が出てきます。また桐の花言葉に「高尚」という言葉があり、まさに品のある穏やかさを感じさせてくれる存在となっています。表面には防水処理を施していますので水をこぼしても問題ありません。余計な装飾は付けず、できるだけシンプルにしていますので水拭きで簡単にお手入れができます。


製作風景

 丸太を製材してから、最低でも三年以上自然乾燥させます。乾燥のため外でやぐらを組んで風通しよくします。あく抜きも同時にするので雨ざらしにします。このときムラが出来ないように、定期的にすべての材料の位置、表裏をひっくり返したりを続けてじっくりと乾燥させます。

 乾燥が終わった木材から木取りです。山のように積み上げられた木材の中から、適材適所の材木を一枚ずつ探し出します。そして部材となる板一枚を作ります。切ったり、削ったりして厚さを揃え、幅、長さを合わせていきます。これで材料となる板一枚が完成します。それからやっとひとつひとつのパーツへ整形していきます。ホゾ加工(凸凹)をしますぴったりとハマるように1㎜のずれも許されません。表面をカンナで削り綺麗に仕上げます。ここまでやったのが上部の画像です。

仮組みをしながら微調整します。

 微調整を繰り返しながら順番に仮組みを仕立てていきます。

 本組する前に内側になる部材の表面だけを焼き付けていきます。このときも熟練の技術が必要でムラが出ないように均等に、火がつく直前まで加減しながら焼いていきます。

 その後宇造りを仕掛けていきます。こちらもムラが出ないように均等に力加減をしながら少しずつ、焦げた部分を落としながら木目を立たせる作業です。木目に沿って力を均等に入れて磨きます。木目1本1本が立ち、艶が出てくるまで続けます。

 内部の焼き工程が終わったら組んで接着して締めていきます。しっかりとくっついたら外側(表面)を焼いて、宇造りをかけてと同じ作業を施します。そしてまた組み上げ、締めて接着させます。最後に防水処理を施しようやく完成いたします。


桐の特性

・吸湿性、放湿性に優れている

 桐は多孔質で、まるで発泡スチロールのように気泡状の独立した組織が密集してできています。この空洞が、空気中に湿気の多い時には水分を吸い、乾燥すると水分を吐き出すという作用を行うことで湿度を調整してくれるのです。そのため外気の影響を受けにくく、保湿性・断熱性に優れています。

・湿気に強い

 桐は多孔質で水分を呼吸するように調節します。よって、桐を用いた収納具は湿度を一定に保ち中身を湿気やカビから守ります。高温多湿の日本で昔から桐箱が使われてきた理由の一つです。

・防虫効果

 桐にはタンニン・パウロニン・セサミンなどの成分が含まれており、害虫を寄せ付けません。

・燃えにくい

 桐の熱伝導率は低いうえに、着火点は425℃と高く、非常に燃えにくい木です。万が一燃えても表面が炭化しやすく、内部まで燃えるには時間がかかります。この優れた耐火性によって、桐は金庫の内張やお城の階段などに古くから利用されてきました。

・柔らかい

 桐は他の木材に比べて柔らかく、弾力性があります。柔らかな肌触りは心地よさや温もりを感じさせ、昔から裸足で履く下駄の材料としても好まれてきました。

・軽い

 桐の比重は、水を1とするとわずか0.3です。
つまり日本列島に育つあらゆる樹木の中で一番軽い木材です。

・遠赤外線効果

 桐も遠赤外線を放射しています。温度あるものは人間でも石でも遠赤外線を放射していますが、桐の遠赤外線の放射率は炭素と同等で、人体の発する遠赤外線の波長9.4μと同じだと言われております。

                       「桐の超能力」より抜粋


これまでの活動

 創業100年以上の歴史の中で培ってきた伝統的な製法ですべての家具を手作りしているため、非常に丈夫で何代にもわたって使用できます。その技術と知識を受け継ぎ伝承してきた、当工房の代表である3代目 稗田正弘は2009年に福岡県版「現代の名工」、2015年には「大川の匠」に選出されています。大川の匠大川の匠


現代の名工福岡県版 現代の名工


平成28年には1棹の古箪笥を複数に分けて新たな家具に更生するアイデア、平成30年には「ルームインルーム」と呼ばれる桐材を利用した個室空間と、桐材の中にサーモウールを閉じ込めて桐本来の力を高めることのできる「羊毛桐材」、令和元年には桐と大川組子を組み合わせた家具で実用新案を取得済みです。


私たちの地域のご紹介

 筑後川の河口にある大川市は、木材の産地日田から川を下ってくる木材の集積地であり、有明海へ向かう海上交通の要衝として重要な役割を果たしてきました。その中心が大川家具発祥の地と言われる「榎津」で、船の製造や修理をする高度な木工技術を持つ船大工たちが集住し、木材の集積地でもあったことから「榎津指物」(およそ500年前)が誕生したと言われています。

 榎津は、江戸時代中期から造船や農具の製造で木工産地として知られ、江戸時代後期になると水車、障子、戸棚、細工物が柳河藩に移出されるようになりました。その後、佐賀藩で榎津指物が販売され、京・大阪・広島と競いながら指物産地を形成していきました。

 明治以降、大川家具は全盛期を迎え、昭和10年には国鉄佐賀線の開通により販路は九州一円に拡大していきます。そして昭和30年、大阪で開かれた西日本物産展で河内諒デザインの「引き手無し箪笥」が最高賞を受賞。デザイン性と技術の高さが評価され、「家具のまち大川」として全国的に知られるようになりました。

 大川市では現在も伝統を受け継ぎ新しい取り組みが続けられています。そのひとつが、家具・建具・材木などの木工関連産業の若手経営者や技術者が組織した「大川維新の会」の取り組みです。

 「大川維新の会」では、歴史と伝統に培われた知恵と技術を結集させ、2012年より「大川匠の世界コレクション」を開催し、最先端の居住空間の提案やブランドイメージの再構築などに取り組んでいます。

 2009年に商工会議所の事業とし。てスタートした「大川コンセルヴ」は大川に蓄積された木工の技術と自然の恵みを生かし、木と食がひとつになる食卓づくりを目指した取り組みです。

 また、大川市では「大川の匠」制度を設け、木工産業の伝統と文化を支えてきた職人の中から卓越した技術者を顕彰し、匠の技と誇りの継承を図っています。


資金の使い道・実施スケジュール

 「ネコ家具」は、きっとご支援頂く皆様とペットの生活を豊かにしてくれるものと考えております。ご支援頂いた資金は工房を通じて、大川市の素晴らしい歴史、それを育て守る人々、家具を加工する職人や技術などを持続可能なものとしていくために活用されます。
 

<All-in方式>
 本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


最後に

 ここまで時間をかけて読んでいただき誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。ネコ家具は桐里工房で制作するにあたって、安心・安全をモットーに心がけております。国産材を使用し、熟練の職人の手で細部まで手をかけ時間をかけて不備のないよう取り組んでおります。今後、もっといろんなタイプのネコ家具のジャンルが確立していけるように頑張ってまいります。

桐里工房 稗田 亮 福岡県大川市榎津74-3 

https://kirikoubou.com/





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