このプロジェクトは、南米パラグアイの農村部にバイオトイレを建設し、農家さんが抱える問題を解決するための事業です。認定NPO法人 ミタイ・ミタクニャイ子ども基金(以下、ミタイ基金)とパラグアイのカアグアス国立大学が実施します。

 バイオトイレとは、糞尿を分離してそれぞれ必要な処理を施し堆肥(糞や落ち葉などの有機物を微生物によって分解・発酵した肥料)にするトイレです。

 バイオトイレを使用することで、水の使用を減らすとともに水質汚染を防ぐことができるので、水源を守り、農村部において深刻となっている水不足の解決を目指します。また、堆肥を生産できることから、肥料の経費削減や収量の増加が見込めるので家計の助けになります。環境を守りながら、農家の生活を衛生的かつ、より豊かにすることができます。

 この度、パラグアイ農村部の人たちの生活改善および環境意識の向上への第一歩として、2基のバイオトイレをパラグアイ農村部で建設するためにクラウドファンディングを立ち上げました!

 どうか皆様、ご支援、応援のほどよろしくお願い申し上げます!

 ページをご覧いただきありがとうございます。

 私は横浜国立大学3年、ミタイ基金学生インターンの江藤克です。このバイオトイレプロジェクトの学生リーダーを務めています。私はまだパラグアイに行ったことがありませんが、パラグアイにはとても興味を持って活動しています。大学のプログラムを通じてパラグアイに行かれた先輩方の話を伺ったり、授業でパラグアイの方々と学術交流をしたりするなかで、パラグアイの方々の優しい人柄をどんどん好きになりました。
 同時に、現地の方々が抱える課題を学びました。そして、現地の方の未来のために何をできるか考え、現地の大学の先生や村人との意見交換を通じ、このバイオトイレ建設のプロジェクトを立ち上げました。

 私がインターンとして活動しているミタイ基金は、これまで28年間にわたりパラグアイで主に子どもや女性を対象とした教育や、ジェンダー問題に関する国際協力事業およびフェアトレード事業を行ってきました。特にパラグアイ農村部で現地の方たちと常にコミュニケーションを取りながら、学校建設や生活改善のプロジェクトを進めています。

 パラグアイの農村部では水不足が深刻な問題になっています。2020年に50年振りの大旱魃に見舞われるなど水の量は以前よりも減っており、農業で生計を立てている農民は壊滅的な打撃を受けています。飲料用の水はなんとか確保できても、農業用水が不足しているコミュニティが多数あります。特にコミュニティ付近に小川などの自然の水源がない地域では水不足が深刻です。
 さらに農村では、無計画に穴掘り式のいわゆる「ぼっとん式トイレ」を設置することから、土壌および小川や井戸水の汚染などが起きています。

 水は、全ての人が生きるために必要なものです。農業国であるパラグアイでは多くの方が農業に従事しています。それゆえ、水は彼らの生活にとって不可欠なものです。 
 農業用水の不足は、農作物の収穫量や品質にも悪影響を及ぼします。生活用水の不足は、汚染された水の利用につながり、感染症のリスクがあります。現地からの支援のニーズの声が上がっています。

 そこで私たちは、パラグアイ農村部の水不足の問題を解決するために、村人と話し合い、バイオトイレのプロジェクトを立ち上げました。私たちは、水を使わず排泄物を適切に処理することができるバイオトイレを用いて、今ある水資源を守りながら、さらに彼らの生計向上を目指します。

​ミタイ基金​(提供:ミタイ基金)

 パラグアイ農村部には「水」「トイレ」に関して複合的な課題が存在していると私たちは考えています。

 大きな課題は、土壌汚染の問題です。
 パラグアイの農村で使われているトイレは、素掘りトイレという地面に掘った穴の上に穴の開いた板を乗せたものです。周囲はあり合わせの木の板などの資材で囲んだものを使用している家庭が多いのが現状です。

 素掘りトイレは、糞尿が穴の中に溜まります。私たち人間の糞尿に含まれる物質が、その穴から周囲の土壌へ浸透し、土壌汚染を発生させます。便の細菌の死骸などの物質の他に、無機質が含まれています。適度な量の無機質なら土壌内の微生物が分解してくれますが、糞尿が集中する素堀りトイレの穴の中では分解が追いつかず、その周りの土壌や地下水・小川が無機質によって汚染されてしまいます。その結果、井戸や小川が汚染され、生態系をはじめとした環境や健康に悪影響を及ぼします。

 また、経済的に余裕のある家庭では水洗トイレが設置されているものの、下水処理のシステムが十分ではなく、下水が庭に垂れ流されているので汚染が発生しています。排泄物の処理に関して意識を変える必要があります。


村に設置してあるトイレ
(提供:カアグアス国立大学)

村に流れる小川
(提供:カアグアス国立大学)

経済的な問題も農村には存在しています。パラグアイの都市部と農村部の間には経済的な格差があり、パラグアイ都市部の貧困率が17.5%に対し、農村部では33.4%にのぼります(DGEEC,2019)。また、パラグアイ統計局の調査によると農業従事者の平均月収はインフォーマル業を除き、その他の職業と比べて最も低いことが示されています(DGEEC,2017)。農業大国であるパラグアイでは、首都アスンシオンとその近郊に住む人以外の多くは農業に従事しています。

 本基金が活動を行っている農村でも多くの住民が農業を生業としています。一般的な家庭にはトイレを新設するための資金はなく、改修することが必須でもないため後回しにされがちです。住民から「現状のトイレを改善したいが、生活に余裕がないことから手を付けられずにいる」という声も聞いています。


穴の周囲が汚れている様子
(提供:カアグアス国立大学)

 また他にも、プライバシーに関する問題もあります。トイレの周囲の囲いは人の高さ程度であり、隙間もあります。入り口に何のカバーもないトイレもあり、周囲からの視線を防ぎきれません。屋外にありながら屋根もなく、使うのには不便です。レイプなどの性犯罪にある危険性もあります。

 以上の問題に対して解決策を提示するのが、バイオトイレです。

 ここで、本プロジェクトで建設するバイオトイレについて紹介いたします。バイオトイレは、糞尿を分離してそれぞれ必要な処理を施し堆肥化*1 できるトイレです。尿は水で薄めて畑に散布できる液肥にします。便は灰やマテ茶の葉等の有機物と混ぜ、発酵サイトという別の場所に移動させます。そこで集めた便を6ヶ月かけて発酵・分解し肥料として利用します。

*1堆肥化…便を細菌により発酵・分解させることにより肥料を作ること。

 バイオトイレは排泄物をその場で発酵させて堆肥にします。既述の通り、農村部では排泄物の処理が課題です。発酵させる過程で、便に含まれる環境に負荷をかける物質は分解されるので周囲の環境を汚染しません。感染症の病原菌や寄生虫も死滅するので、感染が広がる可能性が減少します。これがバイオトイレの大きなメリットの一つです。

 水洗トイレと違い、水を多く使わない点も水不足の地域においてメリットです。またプライバシーの面でも、レンガ造りによって人目を避けることができ、レイプ等の性犯罪からも守られます。

 さらに、農村住民の生業である農業への良い影響もあります。堆肥を利用することで菜園の収量の増加が見込まれます。また、これまで購入していた化学肥料の使用量が減少するので家計への負担軽減にもつながります。住民の生活の改善にも寄与することができます。

 また、本プロジェクトを実施する地域では、当基金が関係機関として実施しているパラグアイ農村女性生活改善プロジェクト*²で、農作物の食品加工技術や販売技術を指導するプロジェクトを行っております。そのプロジェクトの受益者である女性たちがバイオトイレから作られた堆肥を使って農作物を栽培し、受益者女性たちが付加価値をつけて販売することで、大きな価値を生み出す好循環が生まれます。

*2 パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト…食品加工の技術や販売にかかるマーケティングなどの知識を獲得し、ジャムやケーキ、タルトなどの加工食品の販売を通じた生計向上ならびに生活改善に寄与するプロジェクト。

 本プロジェクトでは、バイオトイレと堆肥を発酵するための建物(発酵サイト)をそれぞれ2基建設します。ひとつはパラグアイ共和国カアグアス県コロネル・オビエド市農村部、もうひとつはカアグアス国立大学キャンパス内の農地に建設します。

建設予定の3Dモデル
(作成:伊吹・クリストファー・コントレーラ・健)

 農村部に建てるトイレは、女性宅の庭に設置します。女性の家族主体で維持管理をしていただき、そこで作った堆肥を女性の農地で活用していただきます。女性は先に紹介した「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト」で加工食品の講習に参加し、そこで学んだ知識や技術を活用してケーキやタルトを販売しています。女性とはオンラインですでに打ち合わせを重ねております。

女性との打ち合わせの様子。左上がその女性
(提供:ミタイ基金)

  カアグアス国立大学の農地に建設するトイレでは、生産学部の講師が研究を行います。カアグアス国立大学とミタイ基金は連携協定を結んでおり、連携して女性宅に建設するトイレも含め、2つのトイレの建設から維持管理まで担当していただきます。カアグアス国立大学所有の農地に建設することは、現地講師の提案であり、合意がなされております。管理は、カアグアス国立大学の先生が現地での担当をします。

 日本からは、トイレの使い方の資料などをカアグアス国立大学の先生に送付し、適切にトイレを建設から使用、維持管理できるよう力を合わせます。また、定期的なオンラインでのMTGや写真での観察と聞き取りをすることで、現状に合わせた対応をします。

 パラグアイの水不足の原因のひとつには気候変動の問題が起因しています。そこには日本の私たちを含めた地球上の全ての人の行動が影響を与えています。そして結果として、真っ先にネガティブな影響を受けるのがパラグアイの農家さんたちをはじめとする途上国の人たちです。

 バイオトイレは貴重な資源である水を消費しないだけでなく、資源を循環させて活用することができます。ただエネルギーを消費する社会は持続可能な社会ではありません。私たちが生活をするなかで地球や自然にかける負荷を今一度考える必要に迫られています。住む場所はパラグアイから遠く離れていますが、同じ地球に住むなかで、今回のパラグアイでのプロジェクトに触れることで、環境について考えるきっかけを作ることで、このバイオトイレは重要な価値を発揮すると考えています。

 私たちがこの地球に長く住み続けるために、地域に合わせた新たなモデルを実現する。それが、私たちに求められていることであり、このプロジェクトの意義だと思っています。

*本基金は受益者のプライバシーと意思を尊重し、使用している写真は本人の許可をいただいております。未成年の方の写真は、保護者と本人の同意をいただいて使用しております。

    

 みなさま、こんにちは。私たちはこれまで28年間にわたり、パラグアイ農村地域において生活改善事業を行ってきました。
 昨年、2020年の夏、パラグアイは猛暑に襲われました。パラグアイは、南半球に位置しますので9月は春ですが、国内最高気温を更新し、42度を超える暑さとなりました。地球環境が悲鳴を上げているのだと思います。猛暑のため、農村地域は深刻な水不足に陥りました。農村の人々は、大切な水をCOVID-19対策のため手洗い、うがい用や農業につかうために、生活排水を極力減らしたいと考えています。村では素掘りトイレを使っていますが、近年、水洗トイレを導入する世帯も増加してきています。今後もこのような水不足が心配されることから、村人と話し合い、バイオトイレの導入を決断しました。
 バイオトイレを使用することにより、大切な水は手洗い・うがいや農業に使用することができます。また、バイオトイレからは堆肥もできますので、堆肥を購入するお金も節約できます。さらに、農家の方々が環境について考えるきっかけにもなりますので持続可能な農業が実現します。
 本プロジェクトを通し、農村の人々の生活改善に貢献できるのみならず、環境問題や地球温暖化問題に取り組むことが可能となります。
 村の方々と話し合ってきた本プロジェクトを実現したく、皆様のお力をお貸しください。ご支援を頂きたく、どうかよろしくお願い申し上げます。

藤掛洋子
認定・特定非営利活動法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金理事長(横浜国立大学教授)

資金使途

バイオトイレ本体(2基)4.25万×2=8.5万円
発酵サイト(2基)1万×2=2万円
建設人件費 10万円
現地調整スタッフ費用 10万円
諸経費(運搬費など)10万円
日本側事務局運営費(広報費、通信費など)15万円

campfire手数料:60万×9%=5.4万円

合計:60万4千円

スケジュール

2021年11,12月:資材の購入や輸送
2022年1月:第1フェーズ:建設と建設と使い方の教育
2022年2~4月:第2フェーズ:継続的な視察と維持管理

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

< 税制上の優遇措置について>
特定非営利活動法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金は認定NPO法人です。このプロジェクトへのご支援は寄付金控除の対象となります。本基金が寄付金の受付及び領収証発行を行います。
「寄附金控除」「税額控除」 をお受けいただくためには、確定申告の際に本基金が発行する寄付金控除の領収書(寄付金受領証明書)の提出が必要となります。領収書は、本基金より2022年1月に発行・郵送いたします。すぐに領収書が必要な方はご連絡ください。
当該制度についてより詳しくは、国税庁のHPをご覧いただくか、所轄の税務署や国税庁にお問い合わせください。なお、CAMPFIREはこれに関して一切の責を負いません。
*寄付金受領証明書郵送のため、リターンの選択の際に住所をお聞きしております。

・3,000円&5,000円のリターン
 ①現地より感謝を込めたお礼のメッセージ(メール)
 ②プロジェクトの活動報告(PDFデータの送信、メール)
 ③寄付金受領証明書
 *活動報告は、プロジェクト終了後に一度送付します。その他、ミタイ基金のニュースレター(半年に一度発行)を郵送します。

・10,000円&30,000円のリターン
 ①~③に加え、
 ④プロジェクト報告会へご招待
 *活動報告は、プロジェクト終了後に一度送付します。その他、ミタイ基金のニュースレター(半年に一度発行)を郵送します。
 *プロジェクト報告会は、横浜市内で2022年6月頃開催予定です。現地までの交通費や滞在費は自己負担でお願いします。新型コロナウィルス感染症の状況によりオンラインでの実施に変更のおそれがあります。

・50,000円のリターン
 ①~④に加え、
 ⑤A~Cのいずれか1つ
 A:現地よりビデオメッセージ(メール)
 B:現地より感謝を込めた手紙(郵送)
 C:【法人向け】ホームページ記載
 *活動報告は、プロジェクト終了後に一度送付します。その他、ミタイ基金のニュースレター(半年に一度発行)を郵送します。
 *プロジェクト報告会は、横浜市内で2022年6月頃開催予定です。現地までの交通費や滞在費は自己負担でお願いします。新型コロナウィルス感染症の状況によりオンラインでの実施に変更のおそれがあります。
 *備考欄はへの入力は必須です。ホームページ記載を希望される方は必ず備考欄にご希望のお名前をご記入ください。それ以外の方は、「なし」とご記入ください。

・100,000円のリターン
 ①~④に加え、
 ⑥バーチャルツアー
 ⑦A~Cのいずれか1つ
 A:現地よりビデオメッセージ(メール)
 B:現地より感謝を込めた手紙(郵送)
 C:【法人向け】ホームページ記載&名入れ
 *活動報告は、プロジェクト終了後に一度送付します。その他、ミタイ基金のニュースレター(半年に一度発行)を郵送します。
 *プロジェクト報告会は、横浜市内で2022年6月頃開催予定です。現地までの交通費や滞在費は自己負担でお願いします。新型コロナウィルス感染症の状況によりオンラインでの実施に変更のおそれがあります。
 *バーチャルツアーは、オンライン上で2022年7月頃開催予定です。
 *備考欄はへの入力は必須です。ホームページ記載&名入れを希望される方は必ず備考欄にご希望のお名前をご記入ください。それ以外の方は、「なし」とご記入ください。

・500,000円のリターン
 ①~④, ⑥に加え、
 ⑧A,Bのいずれか1つ
 A:現地よりビデオメッセージ(メール)
 B:現地より感謝を込めた手紙(郵送)
 ⑨zoomで現地の方と交流(クローズド)
 *活動報告は、プロジェクト終了後に一度送付します。その他、ミタイ基金のニュースレター(半年に一度発行)を郵送します。
 *プロジェクト報告会は、横浜市内で2022年6月頃開催予定です。現地までの交通費や滞在費は自己負担でお願いします。新型コロナウィルス感染症の状況によりオンラインでの実施に変更のおそれがあります。
 *バーチャルツアー、zoomで現地の方と交流は、オンライン上で2022年7月頃開催予定です。

これまで28年にわたり、南米パラグアイや日本で活動を行なっています。
パラグアイにて、学校建設を含む教育支援事業、スラム地域における生活改善事業、伝統工芸品のフェアトレード事業を行っています。日本では子どもの居場所作りの事業や経済的に困難な状況にある女性の「生理の貧困」問題に対する支援を行なっています。
出身やジェンダー、障害の有無に関わらず「みんなに優しい社会」を創るべく活動を展開しています。
ミタイ・ミタクニャイ子ども基金ホームページ:https://mitai-mitakunai.com/


参考文献
DGEEC(2017) Principales Resultados EPH 2017 Total País Incluye a Boquerón y Alto Paraguay y Toda la Población Indígena Encuesta Permanente de Hogares https://www.ine.gov.py/Publicaciones/Biblioteca/Resultados%20EPH/PRINCIPALES%20RESULTADOS%20EPH%202017.pdf (参照:2021年9月22日)
DGEEC(2019) Principales Resultados de Pobreza Monetaria y Distribución de Ingreso EPHC2019 https://www.ine.gov.py/Publicaciones/Biblioteca/documento/5781_Pobreza%20Monetaria%202019_Boletin.pdf(参照:2021年9月22日)

Nancy G McGehee et al.(2004) “Gender and motivation for agri-tourism entrepreneurship” p.281

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