映画「エレファントの叫び」の主な舞台「エレファント・ネーチャーパーク」には、タイ国内の象観光施設から救助保護された104頭が暮らしている。写真は1歳4ヶ月の子象ワンマイとその家族。

<はじめに>

 初めまして。ドキュメンタリー写真家、映像制作者の奥野安彦と申します。2004年からタイのチェンマイを拠点に映像制作の仕事をしています。今回、自主制作のドキュメンタリー映画「エレファントの叫び 〜 Roars of the Elephant」のプロジェクトを立ち上げました。タイの観光業で苦難の道を歩んできたアジア象と象を守る人々の物語を通して自然、動物、人間のつながりを見直す映画を目指しています。

 この映画は現場に継続的に通って象と人の深い関係を映像化するプロジェクトで日本人、タイ人、カナダ人の混成チームで2021年4月から調査と撮影を始めました。2022年半ばのクランクアップ、2023年の完成、国際映画祭参加を目標に現在もチェンマイ周辺とタイ各地で撮影を続けています。

 自然環境や野生動物の保護と同時に近年、動物園のあり方や動物全般に対する保護意識も国際的に高まってきています。人間とともに生きてきたアジア象たちが今、コロナ禍で苦しんでいます。日本の方々にも映画「エレファントの叫び」に関心をもっていただき、身近なところから自然、動物、人間のつながりを考えていただければと思います。映画制作へのご支援、ご協力どうぞよろしくお願いいたします。ご支援いただく費用の使途や今後の撮影内容は本ページの後半をお読みください。ではまずドキュメンタリー映画「エレファントの叫び」の予告編をご覧下さい。

 ドキュメンタリー映画の主な舞台は、タイ北部にある象の保護観光施設エレファント・ネーチャーパーク(ENP)」です。ここには104頭の象をはじめ、洪水や動物売買の市場から救助された約5000匹もの動物たちがくらし、250人ほどのタイ、ミャンマー、少数民族の人々が働いています。観光客の入場料収入で運営の大半がまかなわれていた同施設も昨年3月から、コロナ禍で窮状が続いています。

 苦しい運営状況を乗り越えながら、象や動物たちの救助と保護に奮闘し続けているのがエレファント・ネーチャーパーク(ENP)と「セーブエレファント財団」の創設者であり、映画「エレファントの叫び」の主人公でもあるタイ人女性、サンドゥアン・レック・チャイラート氏(以後、レックさん)です。

 象を守ることに人生を捧げるレックさん、象の保護活動を舞台裏で支える飼育師、獣医師のほか、祖父母から受け継いだ象を大切に守りながら有機農業で苦境を生き延びるカレン族の象の所有者、経営難で象を手放す象観光施設の経営者など、カメラはコロナ禍による象の窮状と象とともに生きる人々の日常や肉声に迫りながら、象と人間の物語を描き出していきます。さて、ここで映画の中心舞台となるエレファント・ネーチャーパークをショートビデオでご紹介します。

<チェンマイから60キロ北にあるエレファント・ネーチャーパーク>

アジア象の基礎情報、撮影の進行状況、撮影映像の一部は以下でご覧いただけます。

「エレファントの叫び」映画制作サイト

「エレファントの叫び」インスタグラム


<タイ、チェンマイから象のトンイーとご挨拶>

 改めまして、ドキュメンタリー映画「エレファントの叫び」の監督の奥野安彦です。私の詳しい経歴は本ページの最後、または映画サイトをお読みいただくとして、少しだけ私とパートナーの佐保美恵子の紹介をさせてください。

人なつっこい7歳の雌象トンイーは奥野に興味津々で、ENPで撮影すると必ず近寄ってくる。1歳で母象から離され、観光地での物乞いと曲芸が「仕事」だった。トンイーの歓迎キスは毎回強烈!

 私たちは2004年に横浜からタイのチェンマイに拠点を移し、翌年、映像制作会社を立ち上げて日本やタイのNGO、日系企業のPRビデオなどを制作してきました。2014年から5年間はタイ人向けに、日本の観光促進のテレビ番組を企画制作しました。2020年以降はドキュメンタリーを主軸にNHK WORLDの「Direct Talk」「Side by Side」の企画、撮影を担当しています。
 私自身は20代からドキュメンタリー写真家として活動し、1994年の南アフリカ、ネルソン・マンデラ大統領による黒人政権樹立、1995年の阪神淡路大震災とその後の10年間、1996 年長野冬季パラリンピックから2000年までパラリンピックアスリートを写真で記録してきました。タイに移住後は映像制作に移行し、2013年にはアフリカで「国境なき医師団」の現地活動の映像撮影も担当しました。 

 仕事のパートナーで妻でもある佐保美恵子はもともとドキュメンタリーのライター、編集者で、現在は映像編集やNHK WORLD「Direct Talk」のインタビューを担当しています。自然保護、動物保護に強い関心をもつ彼女は映画「エレファントの叫び」の企画者で、撮影現場では関係者とのコミュニケーター役と写真記録で走り回っています。

800キロ離れた象観光施設からセーブエレファント財団が救助した高齢の雌象カイムックと佐保。同財団代表のレックさんとともに搬送トラックに同乗して取材した。

<コロナ禍の今、なぜ象のドキュメンタリー映画なのか?>

16年前にさかのぼる象との出会い 

 ではチェンマイを拠点としてきた私たちがなぜ今、象のドキュメンタリー映画の制作プロジェクトを立ち上げたのか…。その理由は16年前の私たちと象の出会いまでさかのぼります。

 2004年、私と佐保はCSテレビ放送の特派員として11歳の娘と4歳の息子を連れて、家族4人で北タイのチェンマイに移り住みました。タイで真っ先に取材したのが、観光業で働く象と少数高地民カレン族の象飼育師一家の物語です。3トンもの体躯をもち人間と関係の深いアジア象は、私たちにとって摩訶不思議で興味をそそられる存在でした。撮影後、その家族を何度か訪ね、象の背中に乗って山や川を歩き子供たちとワクワクしたことを覚えています。当時の私たちは観光の背後にある象の虐待問題について知識がなく、象に乗る観光スタイルに疑問を抱くこともありませんでした。

4世代にわたって象を育ててきたカレン族一家と私たち家族。左端の二人が佐保と当時11歳の娘、象にふれる男性が奥野、子犬を抱く幼児が当時4歳の息子(2004年)。

観光を支える象の苦難と象の保護に人生を捧げるタイ人女性

 私たちがアジア象の問題と出会ったのは2009年、エレファント・ネーチャーパーク創設者サンドゥアン・レック・チャイラート氏(レックさん)の取材がきっかけでした。少数高地民カム族の出身で幼い頃から森や川や野生動物と身近に接してきた彼女は、観光ビジネスの背後にある象の虐待にタイ人で初めて異論を唱えた、国際的に有名な動物保護活動家です。セーブエレファント財団の創設者でもあり、その革新的な保護活動は欧米のメディアで多数取り上げられてきました。(詳細は本ページ後半の、レックさんのプロフィールをご覧ください)

2000年初めから本格的に象の保護活動を始め、タイ国内の象観光関係者から大反発を受けつつも海外から支援を得て象のために闘い続けてきたレックさん。(Photo:Save Elephant Foundation)

北タイ山間部の谷間に広がる100ヘクタールのエレファント・ネーチャーパーク。2009年、私たちが最初に訪ねた時、ケガや高齢で観光現場から救助保護された象が30頭ほど暮らしていた。

 2009年、レックさんのオフィスで見た子象の調教映像はあまりに残酷で衝撃的でした。以来、私たちは観光業で働くアジア象の問題や彼女の活動に注目し始めます。同じ頃、日本では絵を描くチェンマイの象がテレビやCMで紹介されて話題を呼んでいました。チェンマイに暮らす私たちが知った象の苦難と、鼻に筆を持たされて絵を描く象の姿は表裏一体なのに、それを知る人は少ないという日本の現実...。日本人として一体何ができるのか...。私たちの中でそんな問いかけが始まりますが、当時はまだ漠然としたものでした。

エレファントキャンプ(象観光施設)で鎖に繋がれた生後2ヶ月の子象。母象も係留されていた。

 動物保護やアニマルウェルフェア(動物福祉)の意識が広がる欧米を中心に近年、動物園、サーカス、動物ショーのあり方が問題視されています。そんな中、日本の動物園や水族館も今、転換期を迎えています。親子の絆が強く、群れで暮らすのが象の本来の姿です。しかし観光ビジネスのために母子が引き離され、過酷な訓練を受け、観光の「仕事」を終えると鎖で繋がれるアジア象たち…。タイの象乗りやショーも海外のメディアから長年、批判されてきました。その結果、タイでは象に乗らずにその生態をゆっくり観察する新しい観光スタイルが4、5年前から増え始めています。そうした動きを20年かけて醸成してきたのが動物保護活動家のレックさんです。

象の自然な姿を観察できる小さな保護施設「カレン・エレファントホーム」の兄弟象、クンムン(左)と弟のドド。クンムンは子象時代に曲芸で働き、実は日本の象の映画にも出演した。

コロナ禍で病気や飢餓に苦しむ3700頭のアジア象たち

 苦難の道を生きてきた象たちを今、さらに苦しめているのが新型コロナの影響です。観光収入を失ったエレファントキャンプ(象観光施設)の大半が、2021年10月現在も閉鎖されたままです。政府からの援助はほとんどなく、象の飼育師たちも失業状態が続いています。3700頭余りと推定される「観光象」の多くが鎖で繋がれ、十分な餌やケアもなく飢餓や病気で苦しんでいます。国内外の複数の団体がアジア象の支援に動いており、レックさんが創設したセーブエレファント財団も保護活動の先頭を走っています。自分が代表を務めるエレファント・ネーチャーパークも打撃を受けているにもかかわらず、彼女はセーブエレファント財団を通じて海外、国内から寄付を集めて物販や啓蒙活動も展開し、タイ各地の象や飼育師の支援に乗り出します。2020年4月から2021年10月まで同財団がエレファント・ネーチャーパークに搬送保護した象は70頭、餌や援助金で支援した象は1899頭、飼育師は1601人に上ります。

閉鎖の続くエレファントキャンプでは飼育師も失職、離職し、象の飼育管理状況も悪化している。象たちは運動量も餌の量も限定され、死亡するケースも少なくない。

この子は2歳で母象と引き離され曲芸を仕込まれた。同じ施設内の母象に引き合わせても、お互いに親子だともう認識できないという。1日数時間散歩できるが、残りはずっと鎖に繋がれたままだ。

人に虐待された象たちが人の心を癒してくれる

 新型コロナで世界中が甚大な影響を受け、私たちの仕事も先の見えない状況が続いています。この静かな時期、長年チェンマイを拠点としてきた自分たちが取り組めること、映像で伝えるべきことは何かをずっと模索していました。そんな折、2020年7月に取材でレックさんと再会し、久しぶりにエレファント・ネーチャーパークを訪ねました。観光客のいない施設はひっそりと静まり返っていましたが、緑豊かな敷地では象たちが、大小の群れをつくって生き生きと暮らしていました。不透明で不確実な時代にあって、自由を得た象たちの姿を眺めているだけで私たちは心が癒されていくのを感じました。

象は水が好き。雨の日のエレファント・ネーチャーパークでは、水溜りで泥遊びを楽しむ象の姿をあちこちで見かける。保護された104頭の象が象らしく暮らす姿をゆっくり観察できる。

エレファント・ネーチャーパークには高齢や障害をもつ象も保護されている。41歳の雌象メードウは材木運搬中に腰骨を骨折。飼育師の孫たちが喉の渇いたメードウに話しかけながら水を与える。

メードウは盲目の雌象スックジャイと暮らす。飼育師も2頭のスローペースに合わせて世話をする。

「どんな生きものにも役割があり、存在する意味がある。これまでの人間中心、経済優先の社会が新型コロナの問題を引き起こした。コロナ禍のアジアゾウや動物たちの窮状を通して、私たちは自然と動物と人の関係を真剣に問い直すべきだと思う」〜サンドゥアン・レック・チャイラート〜

 レックさんのこの言葉が、模索していた映像制作のヒントとなりました。エレファント・ネーチャーパークは我が家から車でわずか1時間。いつでも駆けつけることができ、長期的かつ継続的にタイの象の姿を観察できます。私たちはレックさんに相談して、観光客の途絶えたネーチャーパークに定期的に通い、象と象を守る人々の日常をカメラで記録し始めました。コロナ禍の中で浮かび上がるテーマ、次の世代に伝えたい大切なものがそこにあると直感したからです。

象の保護で国際的に活躍するレックさん。タイ国会の動物保護諮問委員会のメンバーだが「観光ビジネスが関わるだけに意識改革の道はまだ険しい」と語る。(Photo:Save Elephant Foundation)

人間中心社会の効率主義が切り捨ててきた「つながり」

 何度も通ううちに象の飼育師や医療チームと親しくなり、彼らの日常にもカメラを向け始めました。象の顔と名前が少しずつ一致するようになり、何頭かは私たちを見つけると近寄ってくるようになりました。そんな時、名前を呼んで話しかけると、耳をパタパタと動かしながら大きな体を擦り寄せてきます。人間から過酷な扱いを受けてきた象たちが、ここで人間への信頼を回復している...。科学的根拠はありませんが、そんなことを感じる象との不思議なコミュニケーションを私たちは何度も体験しました。

2017年に保護された雌象ジェニーは佐保のことを認識していて、撮影に行くと必ずスーッと近寄ってきてしばらく彼女のそばから離れない。

おちゃめな7歳の子象トンイーは毎回、奥野を熱烈歓迎!

 豪快に餌を食べる象の群れ、川で水浴びを楽しむ若い象たち、象を見守る飼育師たち、飼育師と協力して象を治療する医療チーム…。エレファント・ネーチャーパークには効率主義とは対照的な象と人のやさしい関係があり、ゆったりとした「象の時間」が流れています。そんな光景を眺め、時にはその一部になるうちに日本の方々にも、ぜひ象の苦難と象を守る人々の物語を伝えたいと思ったのです。

7頭の群れで暮らすエレファント・ネーチャーパークのファーマイ一家。彼女たちは別々の象観光施設から保護され、ここで出会って母系の群れをつくり、一緒に子育てもしてきた。

エレファント・ネーチャーパークの専任獣医師、看護師が飼育師の協力を得て点滴中。巨体だけに象の治療では関係者の安全確保も重要。好物の果物を与えて象を落ち着かせながら治療を進める。

北タイの象観光施設から母象とともに救助保護された雌象ピーマイ(1歳)と飼育師のソートーコ。遊び好きな子象は動き回るので専任飼育師は体力のある若者が多い。左は乳母象のディーマックス。

撮影チームは10月6日、レックさんの誕生日と功績を同施設のスタッフとともに祝った。レックさん、彼女を母親のように慕う雌象ファーマイ(12歳)と佐保の特別ショット。

同施設では早朝、各群れが担当飼育師と各テリトリーに移動して1日を過ごし、夕方、象舎に戻る。

 大量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造に組み込まれた私たちは、半世紀以上前から地球温暖化や環境破壊の課題を突きつけられています。野生動物の絶滅や観光で酷使されるアジア象の問題も、ルーツを辿れば人間の限りない欲望につながり、新型コロナがその事実をあぶり出したともいえます。映画「エレファントの叫び」の目的は、タイの象の問題を描き出すことだけではありません。象と象を守る人々の物語を通して、それぞれの地域やくらしの中で自然、動物、人間のつながりについて改めて考えてみる。そんなきっかけを提供できる映画を制作し、象をはじめとした動物への支援の輪も広げられればと考えています。

今年8月に救助されたチャバ(2021年6月生まれ)と母象ブンマ。栄養補給とマッサージで母乳の量も増え、チャバは象舎を出て敷地内を散策するほど成長した。

水浴びを初めて体験した生後3ヶ月の頃のチャバ。成長の過程を観察しながら、子象のいる群れとの交流を少しずつ試みる予定だ。

 映画制作の背景紹介の最後に、チンパンジーの研究で世界的に有名な動物行動学者で国連平和大使のジェーン・グドール博士の言葉をご紹介したいと思います。

「私にできること、それは自分たちで声を発することができない存在のために、声を上げて語り続けることです」

 ドキュメンタリー「エレファントの叫び〜Roars of the Elephant」もそういう映画を目指して、これからも撮影取材を続けてまいります。


<ぜひご支援、ご協力をお願いいたします!>

 国際映画祭への出品を目指して、2021年4月から長期の撮影に取り組んでいます。コロナ禍で苦しむ象の現状、その救助搬送、保護された象が変わっていく様子などこれまでの取材活動は、弊社K.M.Tomyam Co., Ltd. の自己資金で進めてきました。撮影は2022年後半まで続き、編集完了まで含めると2023年までの長期プロジェクトとなります。自己資金だけでは限界があるため、2021年10月から日本でクラウドファンディングを始めています。皆様にはクラウドファンディングを通じて、または映画サイトに直接でも結構ですので、ぜひご支援とご協力をお願いできれば幸いです。

制作目標金額は150万円です。まずこれをクリアーできればタイ国内の移動費、宿泊費、撮影関係の人件費、撮影に伴う材料費や諸経費を最低限まかなえます。撮影のためにタイ全土を車で移動します。

  • 今後の撮影内容
  • 1)レックさんやセーブエレファント財団の活動(タイ北部)
  • 2)野生象の撮影(タイ南部)
  • 3)森林破壊の現状の撮影&空撮(タイ東北部)
  • 4)カレン族の人々の象との暮らし、象を讃える伝統行事の撮影(タイ西部ターク県)
  • 5)象を育て有機農業を営む「カレン・エレファントホーム」運営者の撮影(タイ北部)
  • 6)象の保護活動を進める人々のインタビュー(タイ北部が中心)
  • 7)象観光ビジネス関係者のインタビュー(タイ北部とタイ中部)
  • 8)象に関する有識者、専門家のインタビュー(タイ国内全域)
  • 上記撮影は2022年7月にクランクアップ予定。

 なおご支援に対するみなさまへのお礼は「リターン」のページに詳しく紹介していますが、リターンの内容にはタイの象の支援につながるメニューを準備いたしました。お礼のメールとPC用のデスクトップ写真以外の、Tシャツや「象支援のサプライズケーキ」等はすべてセーブエレファント財団を通して象の支援に使われます。

 編集が本格的に始まる2022年4月には、第2弾のクラウドファンディングを予定しています。第2弾の費用は海外の専門編集チームによる編集作業、音響や色調整等にかかるポストプロダクション全般に当てる計画です。撮影の進行状況や舞台裏でのハプニングなどはソーシャルメディアや映画専用サイトで随時、ご報告していきますので、引き続きご支援、応援のほどよろしくお願いいたします。


映画の主な登場人物

<動物保護活動家:サンドゥアン・レック・チャイラート>

 少数高地民カム族の出身で1961年、北部タイの山深い村で生まれた。地域のシャーマンだった祖父から自然について多くを学び、森の動物たちを身近に感じて成長する。子ども時代の自然や動物とのふれあい、森林伐採の現場で重労働にあえぐ象を見たことから、個人的に象の保護活動を始める。1996年、観光向けの象施設「エレファント・ネイチャーパーク」を開設し、2000年代に動物保護をポリシーとする運営に移行。同施設には104頭のゾウ、犬、ネコ、馬、水牛、猿など約5000匹の動物たちが保護されている。

  セーブ・エレファント財団の創設者でもある同氏は、絶滅危惧種でもあるアジア象の保護のために海外から支援を得て積極的な活動を展開。歴史的に象を家畜化してきたタイでは、ゾウに対する意識変革は容易ではない。しかしその地道な努力はナショナルジオグラフィック、BBC等で伝えられ、2005年にはタイム誌「アジアのヒーロー」、2010年には当時のヒラリー・クリントン国務長官から「地球環境保全の6人の女性ヒーロー」に選出されるなど、国際的に高い評価を得ている。現在はタイ国会内の動物保護諮問委員会の副代表を務め、野生象、使役象(観光象)の保護や提言を進めると同時に、オンラインメディアを通じて世界の人々に象や動物たちの現状、自然保護の重要性を伝え続けている。

上記ビデオは私たちが同行撮影した象の救助保護活動の一部です。映画「エレファントの叫び」のインスタグラムで「自由への旅、カイムックとパイリン物語」10回シリーズをご覧いただけます。

「カレン・エレファントホーム」運営者で象の飼育師:クリアンクライ・ディヌ>

 少数高地民カレン族出身で3世代にわたって象を飼育している。象の認定飼育師の資格を取り、祖父母から受け継いだ象とともに複数のエレファントキャンプ(象観光施設)で出稼ぎ飼育師として働いた。2018年に亡くなった母象メートーコーの子供たちが現在、ともに暮らしている兄弟象クンムンとドド。

 出稼ぎ飼育師の仕事に疲れ、象の酷使にも疑問を抱いていた時、セーブエレファント財団の考え方に賛同して独立を決意。2017年、同財団の支援を受けながら、出身の村で自然と象の保護を重視した小さなエレファントキャンプ「カレン・エレファントホーム」を立ち上げた。

 その運営がようやく軌道に乗り始めた2020年、コロナ禍で観光客が途絶える。クリアンクライ氏は同財団の支援を受けつつも、有機農業で自給自足の道を探りながら、2頭の兄弟象を大事に育てている。「山の木を切れば水がなくなり、木と水がなくなったら動物も人間も生きていけない。すべてはつながっている」と同氏は自然の大切さを語る。

    

<「エレファントの叫び」プロジェクトチーム>

 写真家、映像ダイレクターの奥野安彦が2005年、タイ・チェンマイで設立した映像制作会社K.M.Tomyam Co.,Ltd.が「エレファントの叫び」の映画制作を進めている。同社は設立以来、在タイ日系企業やNGO、JETROのPRビデオなどの制作を担当。2014 - 2019年は日本各地の地方自治体の協力を得ながら、タイ人向け日本の旅促進番組を多数制作し、タイのTV局で日本の旅情報発信にも取り組んできた。

 現在は自然保護やサステイナビリティをテーマにしたドキュメンタリー取材に重点を置き、NHK ワールドの多言語放送番組「Direct Talk」、「Side by Side」の企画、撮影取材を担当している。ドキュメンタリー映画「エレファントの叫び」のプロジェクトを奥野と佐保が立ち上げ日本人、タイ人、カナダ人の混成チームで撮影を進めている。


<監督&カメラマン:奥野安彦>

 1987年に写真家として独立し翌年、ソウルオリンピックを取材。1988年から1994年まで南アフリカで、マンデラ大統領誕生までを写真と映像で取材し、日本の新聞、雑誌、朝日新聞系CS 放送「朝日ニュースター」で映像ジャーナリストとしてリポートする。1995年の発生直後から阪神淡路大震災とその後を記録し、「アエラ」「アサヒグラフ」などで発表。 1998年からパラリンピックアスリートの写真記録を始め、長野とシドニーのパラリンピックを日本の雑誌多数で発表。2005年、映像制作会社K.M.Tomyam Co.,Ltd. をタイで設立し、以来、東南アジアを中心に映像制作に取り組む。2013年、「国境なき医師団(スイス、日本合同チーム)」の映像制作プロジェクトでアフリカのスワジランドに1ヶ月滞在し、現地のHIVの現状を記録。 写真集に「ウブントゥ〜南アフリカに生きる」(第三書館) 、「瓦礫の風貌〜阪神淡路第震災の記録」(リトル・モア)、 「BODY~パラリンピックアスリート」(リトル・モア) 、共著に「ガジュマルの木の下で〜HIIV感染孤児と暮らすミワ母さんの物語」(岩波書店)、「てつびん物語〜阪神淡路大震災のある被災者の記録」(偕成社)ほか


<映画企画&編集総括:佐保美恵子>

 学習院大学フランス文学科卒業。1980年代にファション雑誌、編集プロダクション勤務後、フリライターに。1988年から6年間、激動する南アフリカで同国の社会、文化を奥野安彦とともに取材し、日本の雑誌や朝日新聞系CS放送で映像リポートする。奥野と結婚後、子ども2人を育てながら「アエラ〜現代の肖像」「コスモポリタンジャパン」などで活躍。2000年からチェンマイにあるHIVの影響を受けた子供たちの施設「バーンロムサイ」と創設者の名取美和氏を取材し、雑誌等でリポート。2010年前後から環境問題、自然保護、サステイナビィティに関するテーマに強い関心をもつ。著作に「マリーの選択~アパルトヘイトを超えた愛」(文藝春秋)、 「生きるって素敵なこと(名取美和とバーンロムサイの子どもたち)」(講談社)、「千の風にいやされて」(講談社)など。


<第一カメラマン:アヌポン(通称ヌック)>

象がまだ少し怖く近寄るのは苦手だが、撮影と編集を支える心優しいタイ人カメラマン。タイのテレビ番組制作で奥野と日本各地を取材撮影して以来、日本の大ファン。今回のプロジェクトで初めてタイの象の現状を知った。6年間、奥野とコンビを組んでいる。自然とキャンプが好きな2児の父。


<制作アシスタント:リーラー・セラクン>

スイス系カナダ人の父とタイ人の母をもち、カナダとタイでモデルの仕事をしていた。自然と動物が大好きで、エレファント・ネーチャーパークで1年間ボランティアとして働く。カナダで映画制作を学んだことから「エレファントの叫び」に興味をもち制作チームに参加。陽気で行動的で冒険好きな20代。


<プロジェクトオーナーについて(特商法上の表記)>

■特定商取引法に関する記載
●販売事業者名:請求があり次第提供致しますので、必要な方はメッセージ機能にてご連絡ください。
●事業者の住所/所在地:請求があり次第提供致しますので、必要な方はメッセージ機能にてご連絡ください。
●事業者の電話番号:請求があり次第提供致しますので、必要な方はメッセージ機能にてご連絡ください。
●送料:送料込み(離島価格など例外がある場合には記載)
●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
●ソフトウェアに係る取引である場合のソフトウェアの動作環境:該当なし
●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、
計画を実行し、リターンをお届けします。


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