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 はじめに・ご挨拶

当プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。私たちは、九州を拠点に、戦後生まれた前衛美術集団「九州派」を広める活動をしています。1950年代から60年代にかけて反芸術がうたわれ、日本各地で「具体美術」「ネオ・ダダ」「もの派」などの前衛美術集団が誕生しました。前述の美術集団の名称を聞いたり、作品を見たりした方もいらっしゃるかと思いますが、「九州派」という集団や作家、作品をご存じの方はどれほどいらっしゃるでしょうか。「具体美術」「ネオ・ダダ」「もの派」に比べ認知度が高いと言えない「九州派」ですが、当時「九州派が日本の現代アートの先頭を走っている」と言った有識者もおり、日本における現代美術に「九州派」が与えた影響は大きいと考えています。特に「九州派」の実質的リーダー、桜井孝身は哲学を「九州派」の活動のフレームワークと位置づけ実証しました。

「芸術は哲学の唯一真にして永遠なる道具にしてかつ証書である」(フリードリヒ・シェリング)といわれるほどに「芸術は哲学になった」という言葉は今では自明のものになっています。私たちは、「九州派」の実質的リーダーであった「桜井孝身の九州派」を手掛かりに、「九州派」の本質を探ると共に、桜井孝身が生涯をかけて追いかけていた芸術とは何であったかの探究をしたいと思います。また、そこから生まれた櫻井共和へ繋がる現代美術の道も再確認出来ればと考えております。

当プロジェクトで九州派作家の作品を読み解く作品集を制作することで、九州派をより多くの方に知って頂く一歩にしたいと考えております。是非応援いただけますよう、よろしくお願いいたします。


晩年の桜井孝身と1950年代から1990年代の作品
このプロジェクトで実現したいこと

桜井孝身及び櫻井共和の作品掲載を中心としながら、彼らと親交があった美術記者や哲学者、美術学芸員の寄稿文等により、学術書にはない、これまでとは違った切り口で九州派の実態に迫ると共に、それらの中心的存在で牽引していった桜井孝身とその系譜を継ぐ櫻井共和の姿を明らかにしたいと考えます。

作品集は桜井孝身、櫻井共和の展覧会、また九州派メンバーの展覧会が行われる際に活用し、多くの人に九州派を知って頂く手がかりにしたいと考えています。また、英語翻訳をし、海外の方々から問い合わせがあった際も資料として提供したいと思います。

<作品集の内容> ※日英の2言語で掲載
●「九州派を作った者・生まれた者」について
●寄稿文
●作品掲載(桜井孝身、櫻井共和、石橋泰幸、大黒愛子、尾花成春、小幡英資、斎藤秀三郎、磨墨静量、田部光子、寺田健一郎、宮崎準之助、山内重太郎、米倉徳)

櫻井共和作品 

 

掲載予定作品。上石橋泰幸、宮崎準之助、小幡英資、尾花成春、磨墨静量、山内重太郎
「九州派」とは?

九州派は「反中央」「反権威」「反芸術」 の3つのキーワードから知ることができます。

【反中央】
1950年代後半から60年代初めは、国内外において芸術の変革が叫ばれ、多種多様な美術が登場。東京だけでなく各地方都市で様々な前衛美術グループが結成されました。東京の「ネオ・ダダ」や関西の「具体美術協会」などがその代表ですが、とりわけ異彩を放っているのが福岡市で結成された「九州派」でした。

【反権威】
各地方都市で結成された前衛美術グループは、既存の公募団体によって作り上げられた美術システムに不満を抱いていました。九州派も無審査の公募展「読売アンデパンダン展」や作品展示に向かない屋外などを舞台にして作品を発表していきます。1958 年、東京都美術館で開かれていた「読売アンデパンダン展」に共同作品を出品。その中に制作途中で出たゴミをアスファルトで固め、ムシロでくるみ、縄で縛ったものがありました。それは同展の出品拒否第一号になります。

【反芸術】
九州派はメンバーのほとんどが専門的な美術教育を受けておらず、画家とあると同時に「生活者(労働者)」でした。当時の福岡県内には三井三池争議に代表される労働組合運動が盛り上がっており、その活動動機は当時の社会背景とも密接に結びついています。九州派作家たちは廃材やごみを作品素材として用いましたが、最も特徴的なものがアスファルトです。光沢のある黒という色が日本の近代化を支えた三池の石炭と労働者のエネルギーを連想させたため、アスファルトが九州派のトレードマークになりました。

※参考文献:九州派大全(福岡市文化芸術振興財団発行)

▶▶九州派についての詳細はこちらからもご覧頂けます 


会費を払えば誰でも入れる、酒盛り好きな一面も。  

1955年、桜井孝身は前衛美術集団「九州派」を結成します。それは序列がなく、会費を払えば誰でも入れる集団で、「お酒を飲むために入っていた」というメンバーも。「大激論の末、芸術論争は酒の飲み比べで決着する」「時に手が出る激しい内部抗争」などの何とも人間くさい逸話も残されています。

1961年9月14日~19日に開催された銀座画廊「九州派展」のポスター。芝居のどさ回りの雰囲気で、米倉徳とオチオサムによる制作。

アート業界からも熱視線が注がれています

大戦からの復興、そして高度成長へと向けた槌音が響き渡る1957年、桜井孝身とオチオサムの邂逅から結成された「九州派」。熱き抽象、そしてアンフォルメルの受容、更には反芸術へと疾駆する日本美術界にあって、コールタールやアスファルト、麻袋などの産業素材を用い、リーダーを置かないホモクラシー型の組織によって共同制作を行う彼らの存在は、異彩を放っていました。「具体」や「もの派」をはじめとする1950〜70年代における「日本の前衛」が世界中で注目を集める今、九州派時代のみならず68年以降のメンバー個々による作品についても、その全貌解明が待たれています。今回の作品集刊行は、必ずや大きな第一歩となることでしょう。官製による現在の”脱東京”や”地方創生”が霞むほどに、生活者視点から地域の社会状況を捉えた九州派を再評価する、今回の意義深いプロジェクトを応援します。


九州派は、戦後日本のグループの中で革新的なグループのひとつと言えますが、確固たる枠組みが無かった為評価をする機会が乏しかったといえます。1957年結成された九州派は、永続的な芸術作品の制作に反対し、壊れた機械、アスファルト、摩耗したタイヤなど、日常的なものから芸術を生み出すことができると主張しました。その素材は、鉱山や農村の貧困、東京の急速な近代化などの社会的背景を反映したものでした。2013年にはグッゲンハイム美術館での具体展など、日本の戦後芸術運動は海外でも評価されております。時代の評価にはまず俯瞰できる資料は不可欠です。このプロジェクトが新たな評価へとつながることを信じています。

これまでの活動

2020年10月13日~10月18日、博多阪急8階で「異彩を放つ九州派 ~それから~」展覧会を開催。また、冊子を自費制作したり、SNSを運営し、作品を国内外に発信しています。

展覧会の様子はVRでご覧いただけます

資金の使い道

デザイン費、翻訳費、印刷費、取材交通費、撮影費、取材謝礼
リターン制作費、リターン配送費、CAMPFIRE手数料:全体の17%+税 
に大切に使わせて頂きます。

リターンについて

①5,000円 /作品集名入れ権利
※作品集の最後にご協力者様のお名前またはロゴをを掲載させて頂きます。
※記載を希望するお名前(ニックネーム可)を20文字以内でご記載ください。
※作品集をご希望の方は別途作品集の含まれるリターンをお申し込みください。
②5,000円 /作品集
③7,000円/作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード
④10,000円/作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード、オリジナルTシャツ
⑤15,000円/作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード、オリジナルTシャツ、九州派×Saredo Coffeeコラボオリジナルコーヒー「異彩」
⑥30,000円/作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード、オリジナルTシャツ、九州派×Saredo Coffeeコラボオリジナルコーヒー「異彩」、桜井孝身編集・執筆「英雄たちの報告書 九州派」
⑦10万円(限定数4) /作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード、オリジナルTシャツ、九州派×Saredo Coffeeコラボオリジナルコーヒー「異彩」、桜井孝身編集・執筆「英雄たちの報告書 九州派」、櫻井共和オリジナル作品<23㎝×18㎝ /メゾチント/2019年/額装あり>
⑧15万円(限定数3) /作品集、九州派作家作品のオリジナルポストカード、オリジナルTシャツ、九州派×Saredo Coffeeコラボオリジナルコーヒー「異彩」、桜井孝身編集・執筆「英雄たちの報告書 九州派」、櫻井共和オリジナル作品<18㎝×18㎝/ウッドパネル、アクリル絵具/2020-2021年> 
※3作品の中から1作品を当方にてお選びし、お送りいたします。
※ご希望の作品はご指定いただけませんので、ご了承ください。

実施スケジュール

・ 6月なかば〜9月中旬/作品集制作
・ 9月下旬/印刷
・ 9月中/作品集完成
・ 10月/リターン発送

メッセージ

人は決して無から創造することはできない。作家は、作品を作るきっかけや気づきを過去の多くの作家の営みの中の呼びかけを聞き、それらに応答しつつ、まだ見ぬ未来の作家に対しての呼びかけや応答を想像しながら、自らの新たな作品世界を探究するものではないか。私にとって1950年代から60年代にかけて「前衛」と呼ばれた反芸術集団の歴史は、日本の現代美術の出発点としての個別的過去の歴史のみではない。私はそれらが生んだ過去の様々な作品の片隅に現れたアクセントを見つけ、それにより新しい作品を作り出す。だから私が今作ろうとしている作品は過去の多くの作家との共同作業である。私はこの共同作業を通じて、私の現代美術家としてのアイデンティティーがここに在ることを知る。今、日本で現代美術家として生きている人たちも、私の状況と同じようなものではないかと感じる。

戦後日本のアバンギャルドを知ることは、その作品の共同作業者と最終作業者となる享受者が日本の現代美術の始まりを知ることでもあると思います。そして小誌を、これから作られるであろう作品の、共同作業者を見つける手がかりの一つに加えていただければ幸いです。

最後に

2022年1月5日(水)〜3月21日(月)、福岡市美術館で九州派メンバーの一人である田部光子の展覧会、田部光子展「希望を捨てるわけにはいかない」が開催されました。
女性として社会のさまざまな障壁に立ち向かい、不平等に抗いながらも世の中を変革しようとした気概にあふれた作品にはエネルギーが宿り、今の時代を生きる私たちに強く訴えかけるものがありました。

激動の戦後を生きた九州派作家たちを知ることは、九州人、ひいては日本人としての私たちのアイデンティティを探る手掛かりのひとつとなり、グローバル化を生きる今こそ意味深いことだと感じています。

ぜひ皆様のお力をお借りし、「九州派」を日本が誇る美術集団として認知されるムーブメントを起こしていきたいと思います。このプロジェクトはそのスタートになると考えております。
応援のほど、よろしくお願いいたします。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2022/08/24 17:45

    ご支援頂きました皆様へこの度は私たちのプロジェクトにご賛同頂き、ご支援頂きましたこと、心より御礼を申し上げます。10月の完成に向けて、印刷所との打ち合わせ、掲載作品セレクト、寄稿文の翻訳など準備を進めております。先日、制作チームが櫻井共和さんのご自宅でお話を伺った際、桜井孝身さんと共和さんが西...

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