◆ はじめに ◆

はじめまして。NPO法人アットリンク奈良の理事長、竹谷栄美と申します。私達のプロジェクトページをご覧いただきありがとうございます。


私達は奈良県で、性暴力被害者支援や性暴力の予防・啓発に取り組んでいる団体です。主なメンバーは、奈良県の性暴力被害者サポートセンター(ワンストップ支援センター)開設当初から、支援員として性暴力被害者支援に携わってきました。


しかし、被害者が受けられる支援には回数や対象者に条件があり、トラウマを抱えたままの相談者を次につなぐ先がないという無力感を度々味わい、行政の枠に捉われない柔軟で自由度の高い支援の必要性を痛感してきました。そこで任意団体の頃から、性暴力被害者の自助グループ「Me tooの会」を毎月開催し、フラワーデモなどの性暴力予防啓発活動を行ってきましたが、それだけにとどまらず、「被害者の方々が少しでも楽に生きられるようにサポートしたい」、さらには「心的外傷後ストレス障害(PTSD)で苦しむ人達のトラウマケアまでできるようになりたい」という強い思いから、私達は2021年10月にNPO法人アットリンク奈良を立ち上げました。


ここで、性暴力被害とはどういうものか、またその現状についてご説明したいと思います。

◆ 性暴力はあなたの身近にあります ◆

性暴力とは、同意に基づかず、対等でない、強要された性的な行為や発言をいいます。性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる重大な人権侵害であり、「魂の殺人」と呼ばれています。

強制性交(レイプ)、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノ、痴漢、盗撮等の性犯罪や、セクシュアルハラスメント、AV出演の強要やストーカー行為、デートDVなどの他、相手が望まない性的行為はすべて性暴力です。


たとえば次のようなデータがあります。

●女性の約 14 人に1人が無理やりに性交等をされた被害経験がある 

●被害にあった時期は「小学校入学前」8.5%、「小学生のとき」11.3%

●加害者の8割近くが配偶者や交際相手、顔見知り

●18 歳未満に被害を受けた人の約1割は監護する者(実父や祖父、継父)から被害を受けた経験がある
*いずれも内閣府「男女間における暴力に関する調査」(令和2年度及び3年度)より

このような現状を踏まえて、平成30年には全国に性暴力被害者サポートセンター(ワンストップ支援センター)が設置され、急性期と言われる性暴力被害直後の支援体制はほぼ整いました。しかし、性暴力被害を受けた女性の約6割、男性の約7割は、どこにも相談していないことがわかっています。

内閣府「男女間における暴力に関する調査」(令和2年度)より 

このように、支援に繋がれず十分なサポートを受けられないまま、長年トラウマ(心的外傷)による恐怖や混乱を抱えて苦しんでいる人は大勢います。性暴力に対する社会の認識の低さや偏見を考えれば、未だに声を上げられない潜在的な性暴力被害の多さは容易に想像できます。
こうした過去の被害による中長期の被害者がトラウマから回復するためのサポート体制は、全国的にみてもまだまだ不十分なのが実状です。


ここで、ワンストップ支援センターでの支援状況についてのデータも、いくつかご紹介します。
(*内閣府「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査 報告書」(令和2年3月)より)

電話相談・面談までの時間】
被害を受けてからワンストップ支援センターの電話相談に至るまでの時間は、72時間以内が14.7%、1年~10年未満が15.2%、10年以上が11.1%となっています。中には、幼児期や若い頃の被害を、何十年も誰にも話せずに苦しんできた高齢の相談者もおられ、相談までに長期間を要するケースも少なくありません。



【被害者の年齢】
性暴力被害の相談者は若い人ばかりではありません。電話相談では20歳代が24.2%と最も多く、次いで30歳代が15.5%、中学卒業以上19歳以下が13.5%、40歳以上が11.7%です。電話相談の段階では年齢を言わない人や聞けない場合もあり、不明は25.9%となっています。

面談では20歳代が31.3%と最も多く、次いで中学卒業以上19歳以下が22.3%、30歳代が15.2%です。19歳以下が面談全体の約4割を占める一方で、40歳以上も1割以上あり、幅広い年齢層の被害者が相談に来ていることがわかります。


【警察への相談状況】
ワンストップ支援センターに電話相談する以前に警察に相談した人は18.9%、センター相談後に警察に相談したことが確認できた人は3.9%で、合計22.8%です。残りの77.2%は「相談なし又は不明」(センター相談後に警察に相談をしているかどうかフォローできていない場合を含む)となっており、性暴力被害を受けても警察に相談するのをためらう人が多いことが伺えます。


◆ アットリンク奈良が目指すもの ◆

こうしたデータからもわかるように、性暴力被害によるトラウマのせいで、何年たっても生き辛さを抱えて苦しんでいる人は多く、心を病んでしまう人も大勢います。
性暴力に遭ったことは他人には相談しにくく、周囲にもなかなか理解してもらえません。勇気を出して話しても、心ない言葉で二次被害を受けることさえ多々あります。

このような現状の中、私達アットリンク奈良はこれまでの支援経験を活かし、性暴力被害を受けた方が安心・安全な環境の中で悩みを話せる場を作り、傷ついた被害者の心理的な孤立や回復を支えていきたいと考えています。そして、トラウマケアを含めて、その人その人に合った必要な支援が受けられるクライシスサポートセンターになることをめざしています。

また、被害者の心身のケアと回復には、人と人との心のつながり、そして社会とのつながりが何より大切だと考えます。人生のあらゆる場面で人は他者とつながり、助け合いながら生きていくものであり、どんな人でもどんな状況であっても、孤立化・孤独化を防ぐことが、安心・安全な社会を築く上で何より重要だと思うからです。


法人名「At Link」には、性暴力被害の有無に関わらず、人と人とがゆるくつながっていける場所や機会をつくりたい、という私達の想いが込められています。それを実現化するために、私達は今回、本プロジェクトをスタートしました。


◆ このプロジェクトで実現したいこと ◆

アットリンク奈良では電話相談・メール相談・面接相談の他、場合に応じて病院や警察、弁護士等への同行支援も行います。さらに、これからも研修を重ねてスキルアップし、全国的に数少ないトラウマケアまでできる支援団体をめざしています。

一方、現代においてもなお、女性にとって生き辛い社会であることには変わりがありません。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといった人権侵害を受けることも多く、ストレスを抱えて苦しんでいる女性達は今も大勢います。そうした方々の心の疲れや生き辛さを軽減し、前向きに毎日を過ごすきっかけづくりの場として、様々なセミナーやワークショップ(アットリンク・カフェ) 、講演会等の開催も予定しています。


被害者の方や苦しんでいる方の相談スペースとして、また様々な機会を通じて人と人とがゆるくつながるための心の居場所として、安心・安全な拠点がどうしても必要です。
このプロジェクトを通して、被害者の方達に安心して相談・来所してもらえる拠点を作り、生きづらさを抱える女性を1人でも多く支えて行きたいと思っています。



◆ 支援金の使い道 ◆

今回、皆様からいただいたご支援は、相談拠点(クライシスサポートセンター)づくりと、2022年度の運営費に使わせていただきます。

・相談拠点開設費(家賃、敷金・礼金、駐車場代等): 約135万円
・備品取得費:約65万円
・通信費、水道光熱費:約30万円
・事務費、雑費等:約7万円
・クラウドファンディング手数料+税:約23万円 

合計 約260万円

これ以外に電話相談やメール相談、面接相談、病院や警察への同行といった支援活動のための人件費(非常勤の支援員・スタッフの1年間の賃金を想定)を加えると、見通しとして約500万円ほど必要になります。このうち、今回はまず相談拠点を確保するための目標金額である260万円のご支援を、皆様にお願いできればと考えています。
性暴力被害者の方を必要な支援につなぐために、ぜひあなたのお力をお貸しください!


◆ 今後のスケジュール ◆

5月31日 クラウドファンディング終了
6月上旬 相談拠点開設及び相談業務開始
7月中旬 リターン発送


◆ リターンについて ◆

活動の性質上、リターンとして提供できる商品などはありません。
また、商品等による返礼にかかる費用は、性暴力被害者支援のために全て使わせていただきます。

ご支援いただいた方には、
①感謝の気持ちを込めて、お礼のメールをお送りします。
②活動報告としてニューズレターをメールにてお送りします。(年度末)
③希望される方は、当法人のホームページにて掲載させていただきます。(文言のみ。プロジェクト終了後〜令和5年年度末)支援時、必ず備考欄に掲載を希望されるお名前をご記入ください。(法人名も可)


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合もプロジェクトを実行し、リターンをお届けします。


◆ 最後に ◆

私達は現在、奈良県で性暴力被害者支援をしている唯一の民間団体です。まだ立ち上がったばかりのささやかな組織ですが、被害直後の急性期の被害者だけではなく、トラウマを抱えて何十年も苦しんでいる中長期の被害者の方達の心の叫びにも、少しでも応えられるようになりたいと思っています。
将来的には、性暴力被害者のトラウマケアまでできるクライシスサポートセンターとして、相談者に適切な支援を提供していきます。
このような当法人の性暴力被害者支援や性暴力予防啓発活動と、女性の生き辛さを軽減するためのさまざまな活動を実現化し継続するために、皆様の暖かいご支援を心からお願い申し上げます。



◆ これまでの活動実績 ◆

【メール相談】 63件(延べ件数)(2019年4月〜2022年4月 総受益者数23名)
【自助会(Me Tooの会)及び個別相談】 延べ35回(2019年4月〜2022年4月 毎月1回 総受益者数70名)
【フラワーデモ(奈良市)】 於JR奈良駅前 通算13回 (2021年4月〜2022年4月 毎月1回)
【講演活動】
・2019年11月28日 於きれんセンター 部落解放同盟奈良県連合会男女平等社会推進本部主催学習会                
「当事者と支援員の両方からみた性暴力」講師
・2022年3月3日 於かしはらナビプラザ 橿原市人権政策課主催
「私たちの身近にある性暴力〜もしあなたが相談を受けたら〜」講師
【メディア出演】
・ 2021年8月26日 新潟放送局 BSNNEWS 「"魂の殺人"性暴力被害者の苦しみ」
性暴力被害者支援に携わるコメンテーターとして出演
【新聞取材】
・2020年1月12日 朝日新聞奈良版掲載 「性暴力根絶 声をあげよう」
・2020年3月8日 朝日新聞奈良版掲載 「性被害者へ あなたは悪くない」
・2022年4月15日 奈良新聞掲載 「SNS性被害防止へ 講演会」
【情報誌取材】
・2021年7月2日北和版、8月6日中和版奈良リビング 「性暴力のない社会へ、世間の無関心は悲しい」 
【ホームページURL】 https://www.atlinknara.org


アットリンク奈良は非営利法人ですが、このクラウドファンディングを支援することで、個人の支援者が税制上の優遇を受けることはありません。

  • 2022/07/15 16:05

    ご支援のお礼こんにちは、NPO法人アットリンク奈良の代表をしております竹谷です。この度は、私どもの活動にご賛同、ご協力いただき、感謝の気持ちでいっぱいです♡ありがとうございました。今回のプロジェクトでは残念ながら目標達成には遠く及びませんでしたが、6月1日には、性暴力被害の相談拠点『At Li...

  • 2022/05/26 21:33

    来週、30日(月)から性暴力被害に関する電話相談を開始します。電話のシステム調整等で大幅に遅れていましたが、いよいよスタート!偶然にもこの日は新月で、新しく物ごとを始めるのにふさわしい日です。限られた時間ではありますが、しっかりお話をお聴きしたいと思います。電話相談の実施日時は、HPのカレン...

  • 2022/05/25 08:00

    性暴力被害は普通の被害とは違ってなかなか相談しにくく、相談しても必ずしも理解してもらえるとは限りません。逆に相談することで傷ついたという方も大勢いらっしゃいます。だからこそ、私どものような性暴力被害に特化した相談窓口が求められていることを、日々痛感しています。しかし、今週から電話相談を始める予...

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