はじめまして。村松啓市(むらまつけいいち)と申します。私はこれまで18年間、ファッションデザイナーとして活動してきました。
ファッションを学んでいた学生時代、イタリアの老舗糸メーカー「リネアピウ」社に特待生として留学する機会をいただき、世界トップクラスのニットデザインが集まる環境でファッションを学びました。そして、ファッションデザイナーとしてブランドを立ち上げて以来、私はニットの専門知識を強みにして、ファッション業界での活動を続けてきました。
ブランドの立ち上げ以降ずっと東京で活動していましたが、2011年に発生した東日本大震災の直後、私は青山に構えていた店舗を閉めて地元静岡に戻る決心をしました。当時からアパレル業界が抱えるさまざまな問題について「自分にできることは何か?」を考えていた私は、茶畑に囲まれた山間に小さなアトリエを作るところから、その一歩を踏み出すことにしました。
現在は「muuc(ムーク)」というファッションブランドと、「AND WOOL(アンドウール)」というニット専門のブランドの2つを運営しながら、このアトリエを拠点にさまざまな活動を行なっています。
アパレル業界は今、さまざまな問題を抱えています。私はファッションデザイナーとして、一部の人のための特別な服を単にデザインするだけではなく、服を取り巻く環境や関わる人たちの暮らしなど、その周辺にあるすべてのものや仕組みをデザインする必要があると考えています。
そのような思いから取り組んでいる活動の1つに「雇用創出プロジェクト」があります。
この取り組みは、さまざまな事情から外に働きに出ることができない人に「在宅ワーク」のお仕事を提供したり、工賃が低価格に設定されることの多い就労支援事業所さんに適正価格でのお仕事を発注したりするものです。
今回のクラウドファンディングへの挑戦を通して私が一番伝えたいことが、この「雇用創出プロジェクト」についてです。製品の予約販売を行うことで、私たちの活動をより多くの方に知っていただき、お仕事を必要としている人に雇用を提供できればと思っています。
●「在宅ワーク」を必要とする人にお仕事の提供
私たちは、さまざまな事情から外に働きに出ることができない人、例えば
・幼いお子さんがいる主婦の方
・定年を迎え自分のペースで働きたい方
・
病気や障害と付き合いながら働きたい方
などに「在宅ワーク」のお仕事を提供する取り組みを行なっています。
●「就労支援事業所」さんへのお仕事発注
さらに、工賃が低価格に設定されている場合が多い「就労支援事業所」さんに、適正価格でのお仕事を発注しています。誰が作業をしても仕上がりのクオリティに影響が出ないような単純作業(例えば、編み機のレバーを左右に動かすだけ、糸にビーズを通すだけ、など)を、製品製造の工程から抜き出してお願いしています。
●私たちがこのプロジェクトを行う理由
私たちの活動の背景には、ファッションアパレルが抱える「職人不足・後継者不足」の問題があります。年々、技術の高い職人の数は減少し、思うような服作りができなくなってきています。技術力のある職人を育てるには時間もかかり、この問題はファッション業界において非常に深刻です。
私たちは社会貢献や人助けのためだけにこの活動を続けているのではなく、自分たち自身のためにやっています。これからも皆様に愛していただけるような上質な製品を提供できるブランドであるためには、必要不可欠な活動だと考えています。
●3回のクラウドファンディングへの挑戦を通して
私たちはこれまでに3回、クラウドファンディングに挑戦しています。
▼2019年夏/支援額:1,134,520円/支援者数:66人
みんなを幸せにする【魔法のストール】の予約販売で在宅ワークの雇用創出をしたい!
▼2020年夏/支援額:3,015,850円/支援者数:165人
みんなを幸せにする【魔法のストール】で在宅ワークの雇用創出をしたい!2020
▼2021年春/支援額:1,197,260円/支援者数:59人
みんなを幸せにする【魔法のストール】で在宅ワークの雇用創出をしたい!2021
いつも挑戦を見守ってくださっている方からは、「きっと成功するよ」と毎回とてもあたたかい言葉をかけていただきました。しかし、私を含むスタッフ一同「今回はきっと無理だな……」と、不安な気持ちで最終日までの時間を過ごしていました。3年連続で目標金額を達成できたことは奇跡のようなことだと思っていますし、応援してくださる皆様のおかげだったと思っています。本当にありがとうございました。
●私たちが抱えている課題
3年で少しずつ育ってきている活動ですが、まだまだ「仕事を必要としている人に対して仕事のほうが圧倒的に不足している」という状況は続いています。さらに、私たちのような「小さなアパレルブランドが上質な素材を調達して多くの在庫を抱えることが難しい」状況も変わってはいません。
今年もクラウドファンディングに挑戦して予約販売を行いたい……しかし4回目の挑戦です。製品の品質は高いですが決して安価ではありませんし、1つ持っていれば長年ご愛用いただける上質な製品でもあります。新しく私たちの活動を知ってくださる方を増やしたい気持ちはありますが、いつも私たちを応援してくださる皆様に度重なる支援や購入を呼びかけることを心苦しくも思っています。
そこで私たちは「新しく知ってくださる方々にも、いつも私たちを応援してくださる皆様にも、より手に届きやすく楽しんで参加してもらえる形でクラウドファンディングに挑戦できる方法はないか?」話し合いを重ねながら考えました。そして、これまでの3回の挑戦とはメインのリターン品を変更して臨もうと決めました。
新商品として私たちが開発したのが「魔法のセーター」です。
●関わる人みんなを幸せにする「魔法のセーター」
「雇用創出プロジェクト」をより多くの方に知っていただきたい……、そんな思いから関わる人みんなを幸せにできるようなセーターを作りました。
▼「ジャパンウールプロジェクト」から生まれた糸を素材に使用しました!
「魔法のセーター」には「ジャパンウール」という国産羊毛から作られた糸を使用しています。
20年ほど前までは日本でもウール糸の製造が行われていましたが、環境汚染の問題などもあり、海外の上質で安い輸入品が使われるようになりました。加工場の閉鎖などから、国産羊毛は活用できない状況が長く続き、仕方なく廃棄処分されていました。
羊毛の廃棄や輸入のエネルギー負荷の観点から、今、「国産のウールを復活させよう!」という取り組みが始まっています。それが「ジャパンウールプロジェクト」です。
今回、私たちもご縁があってこの取り組みの一部に参加させていただけることになり、「魔法のセーター」はこのプロジェクトを通して生まれたウール糸(※国産羊毛含有率30%)を使わせていただいて制作しました。
▼製造は福島県の老舗ニット工場「木幡メリヤス」にお願いしました!
「魔法のセーター」の製造は福島県伊達市の老舗ニット工場「木幡メリヤス」にお願いしています。
長い歴史をもつニット工場ですが、2011年に起こった東日本大震災の影響で工場の一部を放棄せざるを得ない状況になり、工員さんもずいぶん減ってしまったそうです。
木幡メリヤスでは、ニットを「服の形に編み上げてリンキングという技法で編みつなげる」という製造方法がとられています。デザインの自由度が高く縫製をきれいに仕上げることができますが、非常に手間がかかり、このような作り方をしている工場は他にありません。
規模は小さくなったものの、高い技術と情熱をもってニットを作り続けている職人さんのいる工場です。私たちブランドにとって絶対に失いたくない工場さんが、今回「魔法のセーター」の製造を担ってくれることになりました。
▼就労支援事業所さんに「レザータグ付け」のお仕事を発注しました!
「魔法のセーター」の裾部分には「レザータグ」が付いています。タグ付けの作業は就労支援B型事業所さんにお願いしていて、セーターが購入される度にお仕事が発生する仕組みになっています。
このレザータグが付いた製品を身に付けていただくことが「雇用創出プロジェクト」にご協力いただいた「しるし」になるように、ちょうど赤い羽根共同募金の「赤い羽根」のような役割をこのタグが果たしてくれればいいと思って考えました。
▼プロジェクトに参加しながら品質の高いニットを体験してください!
「魔法のセーター」は、ニットを得意とする私たちのブランドの専門知識と職人さんたちの高い技術を集結させて仕上げています。
国産羊毛の特長でもあるコシの強さを残しつつ、近年好まれる傾向にある「やわらかいニット」に仕上げるために、オーストラリアのメリルウール羊毛を70%ほど糸に混ぜる調整をしています。カシミヤのようなふわふわでやわらかいニットとは異なり、シルエットがしっかりでるので、カジュアルになりすぎずビジネスシーンでもスタイルよく着ていただけると思います。
衿の高さや肩、袖回りのシルエットにこだわった上品なデザインを意識しながら、衿や裾に模様編みを入れることで、シンプルな中に控えめで主張しすぎない個性も表現しました。また、カシミヤよりも手が届きやすい価格に抑えることができました。
そして、「魔法のセーター」と同じ作りの「魔法のニットベスト」もご用意しました。
●スケジュールについて
今回のクラウドファンディングにご支援いただいた皆様には、下記のスケジュールでリターン品をお届けいたします。尚、こちらの製品は9月中旬以降順次、各取引先販売店・オンラインショップ等への納品を予定しております。一般販売開始後のお届けになる場合もございますので、何卒ご了承ください。
・6月29日 クラウドファンディング終了
・7月上旬 生産準備開始(糸の仕入れ・お仕事の発注)
・7月上旬 リターン「御礼のメール」送信
・9月下旬 リターン「魔法のセーター・ニットベスト」発送
・9月下旬 リターン「カシミヤストール大判・細巾」発送
・9月下旬 リターン「カシミヤスヌード」発送
・9月下旬 リターン「カシミヤアームウォーマー」発送
・11月下旬 リターン「カシミヤセーター」発送
●資金の使い道について
目標金額100万円を達成した場合、いただいた支援金は「雇用創出プロジェクト」における人件費(作業者工賃)を中心に、大切に使わせていただきます。主な内訳は下記になります。
・運営費・人件費:約30万円
・材料費:22〜35万円(※アイテムにより変動)
・設備費:13万1千円
・商品開発費:10万円
・広報費:8万円
・梱包消耗品・送料:5万円
・キャンプファイヤー手数料・決済手数料:9万9千円(※税込)
▼魔法のセーター/魔法のニットベスト ジャパンウール
国産羊毛の特長でもあるコシの強さを残しつつ、近年好まれる傾向にある「やわらかいニット」に仕上げるために、オーストラリアのメリルウール羊毛を70%ほど糸に混ぜる調整をしました。型崩れしづらくシルエットがしっかり出るので、カジュアルになりすぎずビジネスシーンでもご着用いただけます。衿や裾には個性的な模様編みを入れました。
▼カシミヤ100% 手編み機で作るアームウォーマー
私たちがいつもお世話になっている就労支援B型事業所さんと一緒に商品開発して作った、カシミヤ100%の糸で作る非常に繊細で滑らかな肌触りのアームウォーマーです。就労支援B型事業所さんにお仕事をお願いできることに加え、製品としても「高品質で最高のものを」という想いで何度も試行錯誤を繰り返して完成させました。
▼カシミヤ100% 手編み機で作るストール / スヌード
上質なホワイトカシミヤ100%を使用した、首周りをやさしくあたたかく包むストール(大幅・細巾)とスヌードです。昔ながらの「手編み機」と呼ばれる機械を使って、1枚1枚手仕事で編み上げています。大量生産はできませんが、オートメーションの機械による製品にはない、たっぷりと空気を含んだ軽くてやわらかい仕上がりになっています。
▼カシミヤ100% 手編み機で作るセーター
ホワイトカシミヤ100%の糸で作る、非常にやわらかくて肌触りもすばらしいセーターです。私たちのブランドの中でも技術力の高いニット職人さんが、1枚1枚手編み機を使って仕上げています。全体的にゆとりをもたせた作りになっていますので、男女問わず幅広くお楽しみいただけるアイテムです。カシミヤの着心地、その軽さとあたたかさを一度皆様に味わっていただきたいです。
私はこれまでの3回のクラウドファンディングへの挑戦を通して、「作る人・売る人・買う人」みんなが幸せになれる仕組みをなんとか実現したいと考えてきました。それが、今回の4回目の挑戦では、さらに広い範囲の人たちを幸せにできる仕組みを、いつの間にか実現できるようになりました。
素材にご協力いただいた「ジャパンウールプロジェクト」の皆様、製造にご協力いただいたニット工場「木幡メリヤス」の皆様、タグ付けのお仕事を発注させていただいた就労支援事業所の皆様、そして、いつも私たちの活動を支えてくださる皆様。感謝の気持ちでいっぱいです。
変化の激しい時代の中にあって、今の正解がいつまで正解のままか、私にもわかりません。私は変化することが悪いことだとは思っていません。
新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックが起こって以降、アパレル業界は過去にない苦境に立たされていますが、だからこそ、私が東京を離れて静岡に拠点を移したときに考えていた「一部の人のための特別な服をデザインするのではなく、服を取り巻く環境や関わる人の暮らしなど、すべてを仕組みからデザインすること」が、今こそ必要だと感じています。
どうぞこれからも私たちの活動を見守っていていただければと思います。ここまで丁寧に育ててきたつながりを、これからも大切にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ファッションデザイナー
村松啓市
クラウドファンディングの開始直後から応援してくださっている皆様、本当にどうもありがとうございます。試行錯誤しながら続けている活動を応援してくださる皆様のおかげで、ここまで継続することができています。
この度、新たに追加のリターン品をご用意させていただきました。気になるものがありましたら、ぜひチェックしてみてください。引き続き私たちの挑戦を、楽しみながらあたたかく見守っていていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
▼日本蜜蜂のハチミツ
静岡県牧之原市にある貴重な日本蜜蜂の養蜂園「大上養蜂」さんのハチミツです。日本蜜蜂は西洋蜜蜂と比べて養蜂が難しく、突然巣箱を放棄していなくなってしまったりするため、そのハチミツは大変貴重なものです。
私たちのプロジェクトにご賛同くださった「大上養蜂」さんから提供していただきました。
▼日本蜜蜂のハチミツ石鹸
静岡県牧之原市の養蜂園「大上養蜂」さんに提供していただいたハチミツを、静岡県島田市にある就労支援事業所の「りなむ」さんで、「ハチミツ石鹸」にする取り組みをスタートしました。この度、製品化が叶いましたので追加のリターン品として限定数でご用意しました。
貴重な日本蜜蜂のハチミツから生まれた肌に優しい石鹸は、ほのかなウッディの香りで癒しも与えてくれます。
オーガニックコットンのボデータオルや洗顔ミトンとのセットもご用意しましたので、ぜひ合わせてお楽しみいただければと思います。自然の恵みの豊かさを感じていただけると思います。
▼ボディタオル/洗顔用ミトン オーガニックコットン
私たちのブランドが仕入れている上質な「オーガニックコットン糸」を使用して、肌にやさしいボディタオルと洗顔用ミトンを作りました。こちらは1つ1つ「手編み機」と呼ばれる昔ながらの機械を使って、手仕事で編み上げています。
毎日アトリエに通って製造の担い手となってくれているニット職人の皆さんが、案を出し合いながら試行錯誤をして完成させた製品です。体にも顔にも使用できるように、編み方を工夫してやさしく気持ちのよい肌触りになるように調整を繰り返しました。ぜひお試しいただきたいです。
▼玄米カイロ ジャパンウールニットカバー付き
静岡産の玄米が中に入っている、電子レンジであたためることで繰り返し使えるカイロを作りました。玄米が入っている内袋は綿100%、外袋のニットは「魔法のセーター」に使用しているのと同じジャパンウールの糸で作りました。
玄米の中にため込まれた熱がじわじわと体を芯から温めてくれます。あたたかさは30分ほど持続しますので、首・腰・お腹などをやさしくゆっくり温めるのにいいです。使い終わった後は、外気中の湿気を吸った玄米が再び水分を溜めるので、何度も使用できます。
中に入れている玄米は、既製品の規格から外れてしまった米の粒を地元の農家さんから分けていただいたものです。外袋のニットは「手編み機」を使って1つ1つ編み上げています。繰り返し使っても型崩れをしないように編み方を工夫しました。
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