オゾンと放射線の関わりを解き明かす|ANCO-Project
~学生によるスペースバルーンプロジェクト~


ページをご覧いただき、誠にありがとうございます。名古屋大学宇宙開発チームNAFT スペースバルーン班プロジェクトマネージャーの足立です。ここでは ANCO-Project の紹介と、その目標についてお伝えします。

簡単にいうと、ANCO-Project は、「スペースバルーンで成層圏に装置を打ち上げ、オゾンと放射線の関係を解明する」プロジェクトです。私たちとともに、宇宙の渚を目指しませんか。


スペースバルーンとは?

スペースバルーンとは観測機器やカメラの入った箱をヘリウムを入れた巨大な風船にぶら下げて上空に放つことで高度30㎞付近 (成層圏) でのデータを取る方法を指します。文字で見ると一見簡単そうですが、実際には熱制御・低圧対策・リアルタイム通信といった様々な工夫と技術が詰め込まれることで成功します。

昨年度の係留気球実験 (高度50m) の様子

 

学生が行う共同プロジェクト ANCO-Project 
−AKTK × NAFT Collaboration Project−

ANCOプロジェクトは、名古屋大学宇宙開発チームNAFTと埼玉大学宇宙工学サークルあかときが共同で行う研究プロジェクトです。

コロナ禍の影響もあり、これまでの2年間、満足いく活動は出来ていませんでした。
しかし、互いのチームの強みを活かしながら、自分たちの力を十分に出して成層圏に挑戦したいと考えました。加えて、オンライン会議中心の開発によって、制約の壁を乗り越えながら良いものを作り出せるのではないかと考えました。2021年夏、あかときとNAFT共同での開発・打上げを決意し、ANCO-Project は動き始めました。

現在も2拠点で分担し、9/18~9/25開催のえひめ宇宙フェス in なんよ* での打上げに向け開発を進めています。NAFTのスペースバルーン打上げ経験と、あかときの放射線測定機器の開発技術を結集させて行うのがANCO-Projectです。

*専門家の監督のもと、適正な申請手続きを経て打上げを行います。

ミッション:”オゾン濃度”と”宇宙や大気の放射線”を測定する

私たちは気球を使って実験装置を打ち上げ、高度10〜30 kmの成層圏においてオゾンの量と自然界に存在する放射線の強さを測定します。オゾン層のある成層圏でオゾン量と放射線強度の関係を明らかにすることで、これらの話題をより身近なものとし、オゾン量減少の実態や放射線に関する正しい理解に貢献できることが期待されます。

きっかけ:オゾンに関する知見の現状

オゾンは紫外線から私たちを守ってくれる物質として知られていますが、近年その量の全地球的な減少が指摘されています。よくある説明では、これは私たち人間の活動によりオゾンを壊す原因物質が大気中にまき散らされたからだと言われています。

一方ここ数年の研究で、あと数十年すればオゾン量は回復するとの見方も出てきていて、素人である私たちからすると何が正しいのか分かりづらくなっています。そこで、オゾンや自然放射線についてのデータを自らの手で取得することに挑戦し、環境問題も視野に入れて考えようと思ったのが、ANCO-Project のきっかけです。

高エネルギー粒子とオゾンの密接な関係

オゾンは主に大気中の酸素に紫外線が当たることで生まれ、また紫外線を吸収して壊れます。しかしオゾンに関係するのは紫外線だけではありません。一般に「高エネルギーをもつ粒子」が、オゾンの生成・消滅に関わっています。オゾン量の動向を正しく理解するには、大きく関わる紫外線のみならず、他の高エネルギー粒子を知ることも必要なのです。

オゾンと自然放射線の関係に着目

そこで、私たちはオゾン層周辺の成層圏における自然放射線に注目します。自然放射線にはいくつかの種類があり、大気に含まれるラドンなどの放射性元素を由来とするもの、また地球外からやってくる宇宙放射線(宇宙線) などが含まれます。

自然放射線のエネルギーは紫外線のエネルギーよりも遥かに大きく、頻度は紫外線より少ないながらオゾンの生成・消滅に関わっていると考えられます。特に、大部分の紫外線が吸収されるオゾン層の下部では、自然放射線によるオゾン量への影響が大きく表れると予想されます。 

研究の手法

私たちは、「オゾン層の下部では、自然放射線によるオゾン量への影響が大きく表れる」という予想を確かめるために、オゾン検出器と放射線検出器を気球に搭載し、オゾン層のある成層圏(高度約30km) でオゾン量と自然放射線強度を測定します。

放射線検出器には「シンチレーター」と「MPPC」を使用し、放射線から受け取ったエネルギーを光に変換して、光の強さに応じた信号を測定することで放射線のエネルギーと個数を記録します。オゾンの検出には「MQ131」というガスセンサーを用い、酸化スズの導電率の変化をもとに濃度を検出しています。ヒーターで温度を上昇させることでこの感度を上げています。同時に高度などの基本的なデータも測定し、オゾン量や放射線強度が高度でどのように変化するのかを明らかにするとともに、得られたデータからオゾン量と放射線強度の相関関係を解析・考察します。また、大気中の放射性元素や宇宙線を識別することができたかどうか解析を行ないます。

成層圏での放射線観測実験の概要図

スケジュール

本プロジェクトの今後の予定は、8月上旬までに機体の製作を終わらし、8月中旬に水密試験や通信試験を行い、えひめ宇宙フェス in なんよの運営に提出します。その後、9月上旬までは打上げ手順の念入りな打合せを行い、9月18日~25日に愛媛県宇和島市にて打上げを行います。

※コロナウイルスの感染状況を踏まえ、スケジュールに変更が起こる可能性がございます。ご了承ください。

ANCO-Project がめざす姿

人工衛星など大きなプロジェクトでないと到達できない宇宙空間とは異なり、成層圏は学生でもアクセスできる身近な実験環境であること、そして本格的な学術研究に気軽に挑戦できる開かれた環境だと示すことを目指します。

さらに、ANCO-Project は、1回のスペースバルーン打上げにとどまりません。オゾンと宇宙線の反応の素過程を解き明かすべく、半年ごとの打上げで異なる時期のデータ収集を計画しています。その中で、日々取得データの精度向上や装置スペックを追求します。

将来的には、宇宙線の粒子識別や到来方向の推定、そして宇宙線を介した暗黒物質(ダークマター) の探索などを目指します。宇宙物理学の研究にスペースバルーンという方法によって挑戦できたらと考えています。

最後に

私たちはNAFT、あかとき互いの強みを活かし、組み合わせながら宇宙の渚、成層圏を追い求めます。そして、研究を通して社会貢献につなげていきます。ぜひ、応援をよろしくお願いします。


団体紹介:NAFT

NAFT(: Nagoya University Aerospace Flight Technology) は2011年に「飛行機からも眺めることが出来ない、宇宙の風景を撮りたい」という想いから創設された名古屋大学の公認サークルです。現在、Link Space −宇宙を身近に− をモットーに、活動を行っています。

活動内容

  • 様々な分野にわたる技術開発
    現在、NAFTはスペースバルーン・ロケット・宇宙教育・CanSat・宇宙エレベーターの、5つのプロジェクトを行っており、総勢
    約70人が各プロジェクトに分かれて活動しています。

  • 定期的なスペースバルーン打上げ
    NAFT スペースバルーン班は、「宇宙の風景を撮りたい」という創設の意志を引き継ぎながら、2021年度までに9回の打上げを
    してきました。これまでは、成層圏の映像撮影を目標とし、様々なアイデアを取り入れながら打上げを成功させてきました。

活動実績

2011年度        学生団体初のスペースバルーン打上げ成功
2012-2018年度    複数回のスペースバルーン打上げ成功
2019年度        宮古スペースバルーンコンテスト 最優秀賞・ベストチーム賞・宮古島市賞受賞
2020年度        Earth Light Project参加中、学生団体初の中気球打上げ成功

展望

今後は、これまで培ったスペースバルーン打上げの経験をバネにして、学術的な意義のあるプロジェクトに挑戦していきます。特に、このANCO-Projectでは理学研究ミッションを掲げています。これをきっかけにノウハウを一歩前に進めて、今後さらなる学術研究につながるプロジェクトを行いたいと考えています。

団体ホームページ

名古屋大学宇宙開発チームNAFT


団体紹介:あかとき

本サークルは埼玉大学の学生主体による宇宙開発・研究を行うことを目的とし、学生の自由な発想に基づいた独創性を尊重して進め、人工衛星や探査機、飛翔体技術に関わる開発・研究を行っています。

活動内容

  • 模擬人工衛星(CanSat) の開発
    どんな機体を作製したいかをプロジェクトごとに話し合い、機体の設計、電子回路、プログラムまで1からCanSatの作製を行って
    います。多くの人が初心者なので、先輩方のアドバイスを参考にしながら活動しています。

  • 学術研究プロジェクトへの取り組み
    宇宙放射線の測定を行ったり、CanSatで採取した土壌の成分評価を行ったりするなど学術的に意義のあるミッションを考案し、
    取り組んでいます。

  • 知見の継承
    大学院生を含めたメンバーでサークル活動を行い、これまで獲得してきた高い知識を継承し、他団体・大学・企業と共同で
    プロジェクトを進行したり、技術協力して頂いたりと、日々知識を深めその共有を行っています。

活動実績

2018年度        第15回種子島ロケットコンテスト参加、公認サークル化
2019年度        第15回能代宇宙イベント参加
2020年度        第16回能代宇宙イベント参加、第10回サイエンス・インカレ石井浩介賞・関電工賞ダブル受賞、第17回種子島ロケットコンテスト優勝、御宿共同打上げ実験参加
2021年度        第18回種子島ロケットコンテスト参加
2022年度        第18回能代宇宙イベント参加予定

展望

今後の活動として、宇宙イベントやロケットコンテストなどへの参加を通して自らの知識や技術を高めることを目指します。その目標として、大会での入賞を掲げ開発していきます。また他団体との交流も積極的に行い、スペースバルーンプロジェクトのように自らプロジェクトを立ち上げ、人工衛星や探査機、飛翔体技術に関わる開発・研究を行っていきます。

団体ホームページ

埼玉大学宇宙工学サークルあかとき


頂いた支援金の用途内訳

必要経費:535,000円
 機体開発費                            125,000円
 放射線検出器開発費               30,000円
 打上げ必要経費 (ヘリウム等)    85,000円
 保険費用                               15,000円
 交通費                         200,000円
 消耗品費               35,000円
 その他(事務費等)                    45,000円    

調達済金額:  335,000円
未調達金額:  200,000円

   


リターン

1,000円 
・寄附受領証明書
・活動報告書
・ありがとうメール

2,000円
・寄附受領証明書
・活動報告書
・ありがとうメール
・打上げ直後の写真
※コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校側のイベント参加許可が下りなかった場合、イベントが中止となった場合には、お届け予定で感謝のメール・受領証明書を送らせていただきます。その後、打ち上げ予定日から1年以内に打上げを実施、実施後2か月以内にその他リターンの送付・配布を予定しております。また、その際はご登録されたメールにその旨をご連絡させていただきます。ご了承ください。

5,000円
・寄附受領証明書
・活動報告書
・ありがとうメール
・成層圏の画像配布(商業的な使用も可)
・NAFT公式HPに支援者様としてお名前を掲載(希望者のみ)
※ご希望の際は備考欄に「掲載希望」、不要の際は「不要」とご記載ください。またその場合は必ず、掲載を希望されるお名前を併せてご記入ください。掲載期間は今年度中とさせていただきます。
※コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校側のイベント参加許可が下りなかった場合、イベントが中止となった場合、画像撮影に失敗した場合には、お届け予定で感謝のメール・受領証明書を送らせていただきます。その後、打ち上げ予定日から1年以内に打上げを実施、実施後2か月以内にその他リターンの送付・配布を予定しております。また、その際はご登録されたメールにその旨をご連絡させていただきます。ご了承ください。 

10,000円
・寄附受領証明書
・活動報告書
・ありがとうメール
・成層圏の画像配布 (商業的な使用も可)
・成層圏の動画配布 (商業的な使用も可)
・NAFT公式HPに支援者様としてお名前を掲載(希望者のみ)
※ご希望の際は備考欄に「掲載希望」、不要の際は「不要」とご記載ください。またその場合は必ず、掲載を希望されるお名前を併せてご記入ください。掲載期間は今年度中とさせていただきます。
※コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校側のイベント参加許可が下りなかった場合、イベントが中止となった場合、画像撮影に失敗した場合には、お届け予定で感謝のメール・受領証明書を送らせていただきます。その後、打ち上げ予定日から1年以内に打上げを実施、実施後2か月以内にその他リターンの送付・配布を予定しております。また、その際はご登録されたメールにその旨をご連絡させていただきます。ご了承ください。

募集方式

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターン品をお届けします。


税制控除について

名古屋大学へのご寄附については、税制上の優遇措置が受けられます。
なお、寄附金受領証明書は株式会社CAMPFIREを通じて寄附金が名古屋大学に入金された日付で発
行いたします。
「寄附金控除」をお受けいただくためには、確定申告の際に、名古屋大学が発行した領収証をもって確定申告をしていただく必要がございます。

※名古屋大学への入金は募集終了の翌月末になりますので、ご注意ください。
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例:2022年8月12日にご寄附いただいたプロジェクトの募集終了が2022年8月31日の場合
→名古屋大学への入金は2022年9月末
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<個人の皆様>
■所得税(所得控除)
寄附金額が年間2,000円を超える分について、所得控除を受けることができます。
寄附金額 - 2,000円 = 所得控除額
 (控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の40%です)

■住民税
本学を「寄附金税額控除対象法人等」として指定している都道府県・市区町村にお住まいの寄
附者様の皆様は、所得控除に加えて、翌年の個人住民税が軽減されます。控除対象の地方自治
体については、愛知県内の条例指定状況(外部リンク PDF)よりご確認ください。
(寄附金額 - 2,000円) × 4~10% = 住民税控除額
(控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の30%です)
※上記の計算式の4~10%について
 ・都道府県が指定した寄附金は4%
 ・市区町村が指定した寄附金は6%
 (都道府県と市区町村双方が指定した寄附金の場合は10%)

<法人様>
 寄附金の全額を損金算入することができます。




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