はじめに・ご挨拶
はじめまして。Nroom labo株式会社の前原と申します。
早稲田大学の大学院で美術史とキュレーションを学び、個人レベルで現代アートギャラリーNroom artspaceの運営と若手アーティスト支援を行ってきました。一方でビジネスへの技術応用の軸で、東大系の統計学の研究者の先生、早稲田大学の先進理工学研究科、立教大学人工知能科学研究科、国立産総研等様々な箇所で先端技術を学び、AIやデータサイエンスをはじめとしたIT業界でのエンジニアとコンサルタントの仕事もしてきました。現在このふたつのバックグラウンドを組み合わせて、法人として今アートとテクノロジーをミックスしたArt-techの取り組みを進めています。
このプロジェクトで実現したいこと
「アーティストの約9割はアートで生計を立てられていない」 その現状をご存じでしょうか?(参照:Casieの2021年インターネット調査)その理由のひとつは欧米と比べて、日本のアートマーケットが小さいこと。日本のマーケットシェアはグローバル全体の1%未満。72%を占める欧米が主流でアジアでは中国が20%でトップです。日本の1%未満は先進国としてはかなり少ない数値です。(参照:「The Art Basel and UBS Global Art Market Report」)近年日本では、若いスタートアップの起業家をエンジェル投資家が積極的に財政支援しています。20代の若い人でも経済的な心配なしに起業し、会社を維持していける。それはとても喜ばしいことです。ですが、若手起業家と同年代の若手アーティストに投資してくれる人はほとんどいません。
一方で、既に有名になった高額アーティストの作品は日本でも投資の対象となっていますが、これから磨けば光りそうな宝石の原石のような、若手の無名のアーティストの作品は、あまり投資対象とは見てもらえません。またアートマーケットでの投資の対象は、通常作品という「モノ」であって、アーティストという「ヒト」ではありません。欧米では一般の方がインテリアの一部として、また大切な人へのプレゼントとして日常的にアート作品を購入したり、富裕層がアーティストを支援し成長を見守る習慣があります。日本でも作品という「モノ」だけでなく、アーティストという「ヒト」に支援・投資して頂いて、長い目でアーティストを見守って頂きたい。そして他の職業と同じように、アーティストも仕事としてアートで生計を立てられるようになってもらいたい。
そんな理想の状態に少しでも近づくためにオンライン上で、アーティストとアーティストを支援・応援してくださる方達が出会えて、永続的に応援したいアーティストの作品を買い足していって頂ける、 コミュニティアプリの開発の構想を進めています。
プロジェクトをやろうと思ったきっかけ
最近素敵な若いアーティストさんと出会いました。中国から日本の美大に留学しているリナさんです。
若い時に中国で80歳くらいのおじいちゃん先生の元で伝統的な水墨画を学んだそうです。そこで中国古来の伝統的な水墨画の技法を習得しましたが、でもリナさんは内心「私はまだ若いから、もっと若い感覚で新しい絵が描きたい!」と思っていたそうです。そんな気持ちを抱えて、日本の美大に留学して現在日本画の制作を行っています。
日本画の伝統的な画材である岩絵具に魅了され、岩絵具を使いながら、新しい若い感覚で日本画の絵を描く。それが今のリナさんのスタイルです。
西洋絵画の油絵やアクリルと比べて、静的な質感の出る岩絵具ですが、リナさんの作品は若いエネルギーに溢れています。大学のアトリエでの制作風景、日常的なちょっとしたイベントや人との交流。現実と想像が入り混じったような夢日記のような作品は、リナさんのアーティストとしての日々の成長が垣間見られるようにも感じられ、新しい作品を見るのもとても楽しみになります。
そんなリナさんが時々ポツリと言う言葉。
「今の世の中では、職業としてアーティストになるのは難しい」「美大卒業後もアーティスト活動を続けていくには、経済的な問題をどうしたらよいのか・・」
ちょっとはにかむような表情を見せながら「でも、アーティストは自分で選んだ道だから」と自分に言い聞かせるような、意志の強さを見せる言葉がそれに続きます。
私個人は大学院で美術史を学びキュレーターの資格を取得した後、細々と個人で現代アートギャラリーをやっていました。いわば、アーティストを支援して応援する側の立場です。そして、当時からリナさんのような若手アーティストさんを沢山見てきました。美大を卒業しても、アーティスト活動を続けていくには、経済的な問題が常に伴います。そしてほとんどの人はアーティスト活動を続けるために、何かしらのアルバイトや兼業をしています。
周囲のアーティストさん達にも聞いてみましたが、40代位のベテランの方でも状況はあまり変わらないそうで、作品の制作だけで生活していけるのはほんの一握りの人だそうです。美術館に作品を展示するようなレベルのアーティストの方でも、それでも アートだけで生活するのは難しいそうで、ベテランアーティストとしても「アートで生計を立てられるアーティストは全体の1割程度」というのは肌感的にも妥当に感じると仰っていました。
アーティストとして生きるためには、いろいろな犠牲も伴います。経済的な困難はまるで踏み絵のように、アート領域では当たり前になっていますが、少し視点を変えて一般社会と比べてみると、ある意味専門職の人がその専門領域のことで40歳、50歳になっても生活ができない、というのはおかしなことですよね。
アート業界とビジネス業界の格差
近年ビジネス界では、スタートアップへエンジェル投資家の方が資金提供することが定着し、若い人でも才能や能力があれば、ビジネスが始められる世の中になってきました。オンライン上でのスタートアップとエンジェル投資家のマッチングプラットホームサービスは大盛況です。
それを横目にしながらふと思うのは、スタートアップに投資する方はたくさんいても、若いアーティストに投資してくれる人はあまり見たことがない、ということ。ビジネスやテクノロジーの領域とアートの領域で、同じ年代の若手への支援の状況がこんなに違うんだ・・。近年、格差社会という言葉をよく聞きますが、この経済的な支援面でのアンバランスさは、少し目立って見えてきてしまいます。
一方で最近はオンライン上のアート購入サービスで、少額からできる共同購入でのアートへの投資が盛んになってきています。小さな額からアートが購入できるようになり、アート愛好が広く一般化すること自体は、とても喜ばしいことなのですが、投資の対象は既に有名になっている高額作品アーティストで、若手の無名のアーティストではありません。また投資の対象はアーティストという「人」ではなく、作品という「モノ」です。
アートが盛んな欧米では裕福な人がアーティストのスポンサーになり経済的に無償で支援するのはよく見る光景ですが、日本ではそのような習慣はまだまだ少ないように感じます。若いスタートアップを支援して育てたいと思ってくださるような、温かい心を持つエンジェル投資家の方たちが沢山いらっしゃる日本で、同じように若いアーティストにも少しだけ支援の気持ちを分けて頂きたい。
そのような思いから、このプロジェクトが立ち上がりました。現在まだ無名のアーティストとそんなアーティストを支援してくださる支援家の方が繋がれるオンライン上でのマッチングサイトの準備を進めています。
これまでの活動
私個人は、大学院で美術史を学びキュレーターの資格を取得したあと、特に後ろ盾もなくゼロから個人レベルで小さなギャラリーを始めました。 古い借家を借りて自宅を開放するお家ギャラリーとして、自分が出来る範囲のスタイルでアートのキュレーター活動を開始しました。ギャラリストなので、いわばアーティストを支援する側です。
「コンセプトは生活の中にアートを」
アート鑑賞が好きな方などから、銀座の画廊は敷居が高くて入りづらい、という声もよく聞いていましたので、あえて東京郊外のファミリー世帯の多い奥まった住宅地で、庶民的なスタイルのギャラリーにしました。目印も少ない住宅地なので、たどり着くまでに道に迷う人も多く、まるで隠れ家のようなギャラリーでした。
ヨーロッパの各都市へ海外展開をしたり、一方でお膝下の地元の東京都練馬区の小学校でボランティアでアーティストさん達と一緒に、お子さん向けのアートワークショップを開催したり、徐々に国内外でアートを通じていろんな人と交流するようになりました 。大事なのは「アクション」や「思い」で、ギャラリーの箱の規模や立地はあまり関係ないのだな、と実感しました。
リンクは過去のお気に入りのお子さん向けのアートワークショップイベントのひとつです(http://nroom-artspace.com/2010onisho.html) 。練馬区大泉の小学校の体育館で、地域のお祭りのためにボランティアで企画・開催した、お子さんに体全体を使って遊んで頂けるワークショップです。アーティストさんに即興で似顔絵を描いてもらったり、段ボールでお家や迷路を作ったり、とても楽しいイベントでした。コロナ以降は密なイベントは難しくなったので、現在はテクノロジーを活用してオンラインでも場所を選ばずに安全にご参加頂ける新しい形でのオンラインワークショップの開催プランにも取り組んでいます。
そして今、ひたむきに制作活動を続ける若いアーティストのリナさんに出会いました。
遠い中国からアーティストになるために日本に来て、卒業後にアーティスト活動を続けていくために、経済的な問題をどう解決すればよいのか。小さな不安を抱えている若いアーティストさんを見て、日本でも美大を卒業しても若いアーティストがアーティスト活動を諦めずに続けていける世の中になって欲しい、と強く思うようになりました。
現在は私個人のもうひとつのバックグラウンドのAIや先端技術と掛け合わせて、様々なアート×テクノロジーの試みを進めています。子供の頃には両親が買ってくれた文学全集が本棚にデンと構えていましたが、現代社会の忙しくてなかなか本を丸々1冊読む時間は取れない方にも、物語のエッセンスを楽しんで欲しい。そんな思いで、テクノロジーを活用して、大人と子供が一緒に楽しめる「字で見る絵本」、「字で見る文学集」の作成にも過去に取り組みました。コロナ以降は観覧者の方がオンライン上で自由に歩き回れるような、バーチャルギャラリースペースや展示会場を作る構想も進めています。
関わってくださっている方のご紹介
現在、アーティストさんやエンジニアさんなどと一緒に、アーティストと支援家・投資家の方が繋がれるオンラインプラットホーム"TANIMACHI"の作成を進めています。左の写真は「生涯現役!?」がモットーの現在も現役で生き生きと活躍されているエンジニアリング担当の島貫さんです。
アーティストさん側では、右の写真の版画作家さん山路さんに、ご協力頂いています!アーティストさん目線でいろんな角度からご意見を頂いています。
合田徹郎さんは、歴史上の僧侶や聖人を現代風に再解釈して描く、若手仏画家の方です。和室にも洋室にも合うモダンなインテリアにもなる手作り1点ものの掛軸や屏風などの制作も得意です。伝統的な日本の調度品と若い感覚がコラボレーションした素敵な作品を展開されていて、これからが楽しみな若手アーティストさんのひとりです。
アーティストと支援家が繋がれるオンラインプラットホーム
TANIMACHIとは?
「タニマチ」は日本の粋な古き良き文化です。大相撲や歌舞伎でひいきを無償で支援するように芸術も支援して欲しい。"TANIMACHI"は現代アートアーティストと応援してくれる支援家やスポンサーが出会えるオンライン上のコミュニティサイトです(画像はテスト用のサイトになります)
このような思いで作っています。
・現代アーティストがアートで生計を立てる支援をして欲しい
・アーティストの作品を購入することが、直接的なアーティスト支援になると知ってもらいたい
・作品という「モノ」だけでなく、アーティストという「ヒト」にも注目してほしい
・既存の有名な高額アーティストだけでなく、今は無名でもこれから光るアーティストにも着目して欲しい
・お子さんを育てるのと同じように、お気に入りのアーティストを見つけて、中長期的に育てて応援して欲しい
TANIMACHIで出来ること
・アーティストの個展開催の際などの画材代の支援(1000円位からの小口で応援頂ける形式で検討しています)
・アート作品の購入(小品~大型作品まで)
・アーティストが作成した、ちょっとした小物やインテリアにもなる調度品などの作品購入
・企業様のエントランスや各会議室等へのオーダーメイドでの作品発注
・お子さんやご家族、ペットの肖像画、美人画などをアーティストに注文できます
・アーティストトーク:アーティストと支援家の方との交流の場をご提供します
・自分でもアートを作ってみたい、お子さんや大人のためのアートワークショップを開催します
資金の使い道
オンラインプラットホームの開発費・人件費:200万円
リターンについて
2023年1月頃:α版プロトタイプリリース予定
2023年1月頃:今回ご支援を頂いた方を一般公開前のプレオープンにご招待します。
作品購入割引クーポンはこちらでご利用頂けます。
その後随時:プロジェクトの進捗のご報告
オンラインでのアーティストトークやギャラリートークへのご案内
アーティストによるワークショップのご案内(世の中の状況に応じてリアル・オンラインハイブリッド想定)
お子さん向けアートワークショップのご案内(世の中の状況に応じてリアル・オンラインハイブリッド想定)
実施スケジュール
8月下旬 クラウドファンディング開始
9月25日 クラウドファンディング終了
10月以降 リターン送付開始(既成作品等)
11月・12月以降 リターン送付開始(オーダーメイド作品)
2023年1月~ 一般公開に先駆けて、VIP様向けの限定公開でプラットホームへご招待します。
割引券のリターンを作品購入にご利用頂けます
2023年1月~3月位まで α版でのトライアル運用予定 (期間は多少変更する場合もございます)
2023年4月以降 β版での一般運用予定(時期は多少変更する場合もございます)
実物の作品を見てみたい方へ
今回のアーティストさん達のリターン作品については、東京近郊の方やご足労頂ける方には一部実物も見て頂けるように、当ギャラリースペースで展示も行うことを検討しております(申し訳ありませんが、全作品の展示ではございません) 。場所は埼玉県新座市、東武東上線志木駅南口徒歩1分です。基本的にクラウドファンディングの公開期間中、土日を中心に公開を想定しています(入場は無料です)。
開廊日のスケジュールは不定期となる予定ですので、随時こちらのサイトでも告知させて頂きたいと思います。作品に関するご質問やご要望等も随時メッセージでお気軽にご連絡ください。
応援の声
"しゃべった内容がリアルタイムでイラストに変換されるシステムpiglyph(ピグリフ)は現代アーティストを応援しています!"
株式会社リコー TRIBUS推進室 チーム”piglyph(ピグリフ)” ご担当者の内藤拓朗様はじめ、チームの皆さまより。piglyph website(https://accelerator.ricoh/piglyph/)
コロナ禍でも場所を選ばずオンラインでもご参加頂けるような、アートとテクノロジーを融合させたお子さん向けのワークショップの企画に取り組んでおります。リコー様が開発された”piglyph(ピグリフ)” も、その一貫として活用させて頂いております。今回のお絵描きワークショップでは、”piglyph(ピグリフ)” の楽しさを体験して頂けます。
"アートとテクノロジーの融合って面白い取り組みだと思ってます!是非頑張って下さい。"
株式会社D4cプレミアム(データサイエンス事業会社様) 和田勉様より。
株式会社D4cプレミアム website (https://www.data4cs.co.jp/)
AIやデータサイエンスのIT領域で、日頃から協業させて頂いているIT業界側での同業の企業様です。
"なぜ現代美術を見るのでしょうか。その理由は、作品だけでなくアーティストに出会えることも理由の1つです。これまで批評家、キュレーターとして数多くの作家との出会いは、美術の見方や思考を深めるだけでなく、人生観にさえ影響を与える経験となりました。
このアーティストは未来に何を作るのだろう。仕事や義理でもなく、作品を見続けたいアーティストに出会えることは、美術を見続ける原動力になり、未来を生きる力を与えてくれます。新たに生まれる「TANIMACHI」を通じて、多くの方がアーティストと出会い、未来の可能性を楽しむ場になればと期待しています。"
美術評論家 平田剛志様より。
個人で現代アートギャラリーの運営を始めた10年以上前からお付き合いさせて頂いている、アートの専門領域の方です。
最後に
アーティスト・ギャラリスト共々ぜひ末永く応援してください!
プラットホームへ出展希望のアーティストの方、Art-techにご興味のあるボランティアの方や、協業頂ける法人の方も歓迎です。お気軽にメッセージお送りください。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
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