インド出身の世界的小説家 アミタヴ・ゴーシュの名作 the Hungry Tide『飢えた潮』を、未知谷様から出版します!

インド ガンガーの河口に広がる大マングローブ地帯シュンドルボン
潮の力が産み出した輝かしい生態系と、
この地に流れ込む多様な人々の巡り合い・せめぎ合いを背景に、
神話・地質学・歴史・宗教・政治・動物行動学・気象・災害・言語学、 
すべてを包み込み、途方もないスケールで展開される21世紀世界文学の名作、
アミタヴ・ゴーシュ the Hungry Tide『飢えた潮』
ゴーシュにしか書けない、世界中で愛読される、特別な物語。
日本の本棚におさまりきらなかったこの作品を、日本の読者にお届けします。

 

クラウド・ファンディングで実現したいこと 

世界中で愛読されている最先端・最高峰の世界文学を、お手頃な価格で日本の読者にお届けしたい!

東京の大書店に行けば、海外の小説も沢山ならんでいて、世界中の名作が漏れなく並んでいるようにも見えますが、昨今の出版業界をとりまく状況は本当に厳しいです。優れた作品でも、日本の読者にとって馴染みがない場合は採算の見通しが立たない。したがって、出版そのものをあきらめてしまうか、出版しても、極めて高額な価格設定になってしまいます。そうなると、結局出版されてもほとんど人目につかず、話題にもならぬまま終わってしまいます。

「そんな、日本人がほとんど知らない物好きな作品をなぜ日本で出版しようとするんだ?」という声も聞こえてきそうです。

でも、本当は、今まで読んだことのない、違和感のある、新しい作品こそ、積極的に読む価値があるのではないでしょうか?今の読者にとって古典となっている作品の多くも、きっと発表当時、読者を「!?」と戸惑わせたと思います。「よくまあこんなことを想いつき、書いたものだ」と読者を驚かせ、呆れさせる。それこそ、読書の醍醐味ではないでしょうか。

そして、世界には、そんな読むべき作品が、まだまだ沢山あります。それなのに、日本では読むことができない―そんな作品を、出版・流通させる突破口を開くことが、今回クラウド・ファンディングに挑戦する目的です。刊行前に一定の資金を集めることで、書籍の単価を下げ、手に取りやすい価格で発行できることになります。それができれば、本作品だけでなく、日本で紹介される日を待ち続けているその他の世界文学の名作にも道を開くことができると思っています。



著者 アミタヴ・ゴーシュ/Amitav Ghoshについて

インド出身の世界的英語小説家。 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%82%BF%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5
1956年、インド カルカッタ(現在のコルカタ)生まれ。インド、バングラデシュ、スリランカ育ち。現在はニューヨーク在住。オクスフォード大学で文化人類学博士号を取得。その後、インド・インド洋の人々の歴史・社会・生活に着想を得た一連の小説を発表し、世界的人気作家となる。英語・ヒンディー語・ベンガル語・アラビア語など多彩な言語能力、豊かな歴史学・人類学の知識を駆使して、唯一無二の小説世界を描き出す。
代表作:The Shadow Lines (1988年 邦訳『シャドウ・ラインズ:語られなかったインド』井坂理穂訳、2004年 而立書房) The Glass Palace (2000年、邦訳『ガラスの宮殿』小沢自然、小野正嗣訳、2007年、新潮クレスト・ブックス)など。
近年は、気候変動・環境問題という大きなテーマを、どのようにして文学で受け止めることができるのか、自らの作品を通して挑戦を重ねている。2022年10月には、気候変動に対する「文学の責任」を論じたエッセイ『大いなる錯乱―気候変動と<思考しえぬもの>』が日本でも出版され、話題を呼んでいます。
2019年の米『フォーリン・ポリシー』誌で「過去10年のグローバル思想家100人」にも選ばれたゴーシュの著書は、二十を超える言語に次々と翻訳されており、世界中で愛読されています。

The Hungry Tide 『飢えた潮』について

ドラマチックな展開・緻密な構成を持つ名作として今なお人気の高い作品です。人間と生態系との関り、難民問題、増大する自然災害の脅威を背景とする本作は、発表後約二十年を経て、ますます価値を高めています。

『大いなる錯乱』の訳者 三原芳秋先生は、the Hungry Tideについて、

シュンドルボンを舞台とし、インドとパキスタンというふたつの国家のはざまで難民化し打ち捨てられた人びとが、その湿地 帯の劣悪な環境のなかで自分たちが作りあげた共同体を気候変動の脅威と国家権力の暴力から守りぬこうと闘い、そして敗れ去るという事件―公的な<歴史>によって忘却の淵に沈められた事件―を中核に据えながら、現代その土地にたまたま集ったさまざまな背景を持つ登場人物たちの物語がシュンドルボンの河川さながらにもつれあいながら大きな物語をなしていく、『飢えた潮』という掛け値なしの名作がある。

という評価をされています。


ゴーシュ、the Hungry Tide『飢えた潮』との出会い

7年ほど前、マレーシアに住んでいた頃に、私はゴーシュの作品と出会いました。当時の私は、マレーシアの発電プラント工事で働いていて、日々、インド系、マレー系、中華系などさまざまなパートナーと一緒に仕事をしていました。休みになると、LCCに乗って、中国、ミャンマー、インド…と旅行に出ました。最初に読んだゴーシュ作品『ガラスの宮殿』は、英国植民地時代のマレーシア、インド、ミャンマーを舞台に、さまざまなバックグラウンドの登場人物が巻き起こす壮大な大河小説で、まさにその地域を根城にし、その地域の人々と日々仕事をしていた私は、すっかりゴーシュ作品を愛読するようになりました。


その後、インドへの関心が深まった私は、機会を得てインドで働くようになり、そこで本作 the Hungry Tide『飢えた潮』を手に取りました。

和洋中こだわらずなんでも読み散らしている私ですが、本作は圧倒的に面白かった。あまりの面白さに、実際のシュンドルボンを見に行ったくらいです。ゴーシュはインドでは誰でも知っている作家なので、これほど有名な英語作家の代表作は、日本語版も出ているだろうと当然のように思っていたので、調べてみて、日本語版が出ていないことを知ったときはとても驚きました。

その後、ゴーシュをきっかけとして、Arundhati Roy、Qiu Xiaolong、Rohinton Mistry、Balli Kaur Jaswalなどアジア発の英語作家作品を愛読するようになったのですが、これほどの作品群が、現代の名作として世界的にゆるぎない評価を得て愛読されているにもかかわらず、日本でほとんど紹介されないままになっていることにも問題意識を持つようになりました。

インドから日本に帰国する前に、少し自由な時間があったので、思い立って、the Hungry Tideの翻訳を始めました。帰国後、沢山の出版社に本作の出版をもちかけましたが、「採算の見通しが立たない」とのことで連戦連敗、あっという間に二年半が過ぎてしまいました。その後、ご縁があって、これが最後という思いで提案した未知谷様に「面白い、やってみよう」という言葉をいただき、ようやくプロジェクトとして形になろうとしています。

 

シュンドルボンについて

ガンガー・ブラマプトラ両大河の河口、インド・バングラデシュ両国にまたがって広がる巨大なマングローブ地域です。今では、インド側、バングラデシュ側それぞれが、UNESCO世界遺産にも登録されています。

広大なマングローブには、ベンガルタイガーやカワイルカなど、多種多様な動植物が生息しており、干満の差の激しいマングローブの自然環境に適応した独特の生態系を築き上げています。例えば、この地のベンガルタイガーは、UNESCOによれば、「長距離を泳ぎ、魚・蟹・蜥蜴類を捕食する両生類的とさえいえる生態」を持っている―その生態系の独特さ・豊かさが、本作の主人公のひとり、インド系アメリカ人の海棲哺乳類学者ピヤをこの地に惹きつけることになります。

ただし、自然豊かな「辺境」と見られがちなこの地は、「インドの東玄関」でもあり、様々な人々が集う土地でもありました。飛行機の出現以前は、カルカッタ、そしてその先の北インド平原を目指す旅人は、シュンドルボンを通ってインドに足を踏み入れたからです。したがって、この地は、ヒンドゥー、イスラーム問わず、さまざまな人々の文化・信仰・習俗が混じり合う、文明の十字路でもありました。本作の後半では、思わぬ登場人物が、文明の十字路シュンドルボンの文化の精髄を見事に受け継いでいることが明らかになっていきます。

さらに、シュンドルボンは、豊かなベンガル平原をサイクロンから守る、巨大な防潮堤の役割も果たしています。「災害・防災」は、本作の一つのテーマでもあり、主役の一人、教養豊かなニルマルが、シュンドルボンxベンガルxサイクロンの関係を、じっくり説き明かしてくれるでしょう。

そして最後に― インド洋に面した巨大な低地でもあるシュンドルボンは、気候変動による海面上昇の影響を、真っ先に受けることになる土地でもあります。2004年に書かれた本作では、気候変動・環境問題は、まだうっすら背景に出てくるテーマに過ぎませんが、本作の続編ともいえる the Gun Island『銃の島』(2019年)では、今度は、真正面から気候変動が小説のテーマとして取りあげられ、シュンドルボン、ヴェネチア、カリフォルニアをつなぐ壮大な「環境文学」が実現されています。こちらも、the Hungry Tideのプロジェクトが成功したら、いつかご紹介したい作品です。


出版社:未知谷

http://www.michitani.com/
いまだきわまるをしらず 。常に無限の未知を探求する、出版社です。
今回the Hungry Tideの翻訳をお読みいただき、日本での出版に協力してくださいます。
世界中の名作を出版されているほか、日本では出版機会が少ない、ポーランドなど中東欧の文学作品も精力的に紹介されています。

主な受賞作品:
第75回毎日出版文化賞特別賞  工藤正廣 著『チェーホフの山』
第2回須賀敦子翻訳賞  カルミネ・アバーテ / 栗原俊秀 訳 『偉大なる時のモザイク』
第31回 日本翻訳出版文化賞 ギヨーム・ド・ロリス、ジャン・ド・マン/見目誠 訳『薔薇物語』 
第42回 日本翻訳出版文化賞 チェスワフ・ミウォシュ / 関口時正ほか 訳『ポーランド文学史』
第69回読売文学賞 / 第4回日本翻訳大賞 ボレスワフ・プルス / 関口時正 訳『人形』

訳者(プロジェクト・オーナー):岩堀 兼一郎

2007年東京大学地域文化研究科(アジア科)卒業2009年東京大学大学院総合文化研究科アジア地域文化研究専攻修士課程修了その後、シンガポール、マレーシアに約6年在住してインフラ建設プロジェクトなどを経験したのち、2017年より二年間、独立行政法人国際協力機構(JICA)インド事務所で、インド各地の給水・送電・防災プロジェクトなどを担当。英語のほか、本作の翻訳に必要となるヒンディー語を習得しており、ゴーシュから、「まさに翻訳適任者」と応援/お墨付き(?)を得て、本書の翻訳出版に取り組んでいます。

(訳者、インド勤務時の一枚)


資金の使い道

頂いた支援金は、以下を除き、全額未知谷様にお渡しし、出版費用として使用されます。

出版費用以外の資金使途
・CAMPFIRE手数料(支援金額の17%)
・リターン準備費用


リターンについて

以下の返礼品の組み合わせで、いくつかのコースを設定しています。
【基本セット:全てのリターンに共通】
① 書籍『飢えた潮』
出版社 未知谷:四六判 約500頁前後
2023年5月上旬 現品郵送 

② 専門家解説
複数分野の専門家3名によるクラファン限定の解説文です。
2023年5月上旬 Emailにて送付(PDFファイル A4 3-4頁x3ファイル)

③ 絵葉書 
表紙挿画を予定しているインドやネパールなど南アジアを舞台にした作品を出版してきた絵本作家の金田卓也氏が描く『飢えた潮』のオリジナル・イメージ画絵葉書 5枚
2023年5月上旬 現品郵送

【オプショナルリターン】
① オンライン読書会参加(限定25名)
「おそい読書体験」を提供されている the Five Books様のプラットフォームをお借りして、90分x3回の訳者主催読書会を開催します。
https://www.the-five-books.com/#home
2023年5月13日(土)10:30-12:00、2023年5月20日(土)10:30-12:00、2023年5月27日(土)10:30-12:00、
*ZOOM, SLACKを使用します。PCでのご参加をお勧めします。アプリのダウンロード等は必要ありませんが、動作環境をご確認下さい。
(開催日程については、万一やむを得ない事由が生じた際は日程を変更させていただく可能性がございます)

② 本格ベンガル料理食事会体験(限定10名)
東京都内の某ベンガルレストランにて、訳者主催のベンガル食事会にご参加いただけます。作品にも出てくる本物のベンガル料理を堪能いただけます。
2023年5月27日(土)18:00~
東京都23区内のレストランですので、首都圏以外に在住の方は、充分ご注意ください。
(開催日程については、万一やむを得ない事由が生じた際は日程を変更させていただく可能性がございます)

③ 絵本作家 金田卓也氏によるオリジナル・イメージ画(原画)
表紙挿画を予定しているインドやネパールなど南アジアを舞台にした作品を出版してきた絵本作家の金田卓也氏が描く『飢えた潮』のオリジナル・イメージ画をプレゼント。 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%94%B0%E5%8D%93%E4%B9%9F

・オプション1:水彩画(葉書サイズ100×148mm)額付き 限定10点 
・オプション2:水彩画(240×158mm)  限定3点 
・オプション3:アクリル画(ベルギー製サムホール・キャンバス227×158mm)  限定2点 
2023年5月上旬 現品郵送 


実施スケジュール

翻訳自体はほぼ完了していますので、クラウドファンディング完了後、3カ月程度での出版を見込んでいます。
2023年5月上旬に、皆様のお手元に本書をお届けできると考えています。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/04/14 20:00

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2023/03/21 23:00

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2023/02/21 13:00

    初校の確認が終わりました。ここしばらく、活動報告が止まっていましたが、別にさぼっていたわけではありません。出版社から、仮刷りをいただき、いただいた校正コメントの確認に加えて、私自身も細かくチェックを繰り返していたのです。これまでにも、自分のみならず、数人の方々にお願いしてアラ探しをしてもらい、...

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