描くことは知的障害があり、言葉をもたないfuco:にとってコミュニケーションであり、社会と繋がる手段の一つ。
今回は、彼女のアート作品をつかった、初めての完全オリジナルプロダクトです。

デザイナーさんとコラボすることで、アートは全く新しいデザインとなり、今までとまた違った場所に置いていただくことでまだ出会っていなかった人たちにつながる、彼女もプロダクトと共に新しい場所にどんどん出向いていく。
靴下を履いた人たち同士は、意外な場所で意外な人と嬉しい「おんなじ」を共有する。
そんな誰にとっても新しい、ワクワクする靴下を作ってみたいのです!



はじめにご挨拶

はじめまして、本プロジェクトページをご覧いただき、ありがとうございます。
この度クラウドファンディングを利用させていただきます、fuco:の母yasuco:です。
これまで、マルやシカク、サンカクなどのシンプルなモチーフを描いていた彼女を、アートが新しい世界へと広く繋いでくれました。
学生さんとのイベントや作品展、SNSでの交流、アートを製品化していただくことも。

私たちはいつも彼女本人に伝わる実感を大事にしています。
「一緒につくる、お届けする、出かけていって交流する」
更にもっと深い実感を彼女と、そして見てくださる方々と楽しみたい。

そんな自分たちの想いものせつつ、一層新しい視点でお届けできるように、この度プロダクトブランドfuco:labo」を立ち上げました。
その第一弾として、アート靴下を絶賛制作中なのです!


自閉症アーティストfuco:(フーコ)について

知的障害を伴う重度自閉症で、言葉によるコミュニケーションは普段ほとんどありません。
それまで絵を描くことはありませんでしたが、高一の時、暇つぶしに母が何気なく「マル描いて」と紙とペンを渡したところ、大量のマルを描き始めます。
アートから少しでも彼女の世界が広がればと、その後「マルツナガル」という活動を家族で始めました。
活動テーマは「胸の内から溢れひしめく小さなマルで、世界とつながる、世界が広がる」。
現在佐賀市在住。2000年生まれ。



fuco:のアートとこれまで

初めはマルから始まったアートですが、数年をかけてサンカクやシカクなどへとバリエーションは広がっていきます。
人の顔などと違って彼女がイメージしやすいモチーフで、エネルギッシュでスピーディに描きたい彼女とぴたりとあったら、新しいモチーフの始まり。
それはモチーフだけでなく、水彩ペンやクーピー、鉛筆と画材が変わったり、10メートルの紙に描いていったり、紙でなく刺繍になったり、次々と変化を遂げていきます。
それはいつも「そうなるか!」という意外さの連続で、まだ知らなかった彼女自身の発見でもあります。



2022年、そんな彼女のアートが、HERALBONY×HANDのアートドレスに採用されました。
「異彩を纏え」と、色彩を忠実に転写されたドレスは着ている人だけでなく、その場全体をも明るく照らす圧倒的な美しさ。
また9月の渋谷スクランブルスクエアの販売開始イベントには彼女自身も参加しました。
多くのHERALBONYファンが訪れたその場で、サインをしたり握手をしたり、大いに楽しんだのです。



また同じく2022年9月には、かねてから原画を展示頂き、ドリップコーヒーのパッケージデザインに採用頂いていた、三重県いなべ市桐林館喫茶室にて、fuco:も一日在廊し、作品展「CONNECT:」を開催いたしました。
2年間数点の原画が飾られ続けていたこの場は、初めて訪れたと思えないほど、彼女、新たに展示した作品たち、そしてそこに集まる人たちが調和しており、温かく豊かな時間を過ごしました。



プロジェクトをやってみようと思ったきっかけ

2019年、SANC(佐賀県芸術活動支援センター)の企画で、マグカップを作っていただき、「がばいアーティスト展」にて販売したのを始まりに、ドリップコーヒーやアートドレス、企業様の会社封筒と次々と採用していただきました。
次第に1から自分たちで、お手軽ではない何かホンモノを作ってみたいと思っていたところに、デザインユニットtuiiさんと出会い、話していくうちに、まず「fuco:labo」が生まれたのです。

これまでのグッズはあくまで、自閉症のfuco:が描いたアートがお客様に手に取っていただく入り口でした。
fuco:laboでは、入口をあえてfuco:自身ではなくプロダクトへ。
単純に「いいな」と思って手に取っていただけたプロダクトから入ることで、自閉症の彼女という入口から入ってくださった方より、もっと多様で多くの方とツナガルこともできると思ったのが始まりです。


fuco:laboロゴ、fuco:のアートが、デザイナーやモノづくりメーカーとコラボすることで、一人の作家の枠を超えて、視点を変えて身近なプロダクトとして形となる。新しい発見をしていく。fuco:laboはそんな実験的なプロダクトブランドです。

その第一弾として「靴下」を選びました。
日々身につけることのできるこのアイテムで、ちょっと元気になったり、気分良くなって欲しかったこと。
購入しやすく、気軽にプレゼントできること。
地元佐賀県に靴下メーカーさんがいらっしゃること。
以上の理由からアート靴下は生まれました。
また、靴下が覆う「足」が「歩み寄る、一歩踏み出す、動き出す」も、イメージとして22歳の彼女にピッタリでした。


デザインユニットtuiiとコラボレーションの始まり

アート作品を単にプロダクトに載せるのではなく、tuiiのお二人とfuco:の関係は一緒の時間を過ごす、一緒に描いてみる、話しかけてみる、そんな時間を少しずつ重ねるところから始めました。
「彼女の未来がどうなったら幸せか」時にはそんな話もしながら、少しずつこの必然的なデザインは生まれていったのです。

対対/tuii
2020年設立。佐賀市を拠点に活動する田中淳と伊藤友紀によるデザインユニット。場所や人の記憶から物事の魅力を拾い上げて形にすることや、社会や自然と共存するクリエイションを大切にしている。まちなかの小さなビルをリノベーションし、事務所を構えながら、2022年9月に書店「tuii books」をスタート。グラフィック・空間を横断的にデザインすることで、地域の人や場所を顕在化し、新しい体験や交流がうまれることを目指して活動を進めている。



アート靴下のデザインイメージ


デザインは3種。ピンク:踊るシカク、グレー:痕跡(こんせき)、グリーン:広がる森。

パンツの裾から覗かせてアクセントになる色合い、男性も女性もはけるデザインにこだわりました。
普段洋服はベーシックカラーが多い方も、たまには足元にいつもより思いきったカラフルをちょっとだけ試していただきたいです。
少し長めなので、ブーツを履いてもリブ部分がチラリと見えます。履き口は編み目を減らし、締め付けがなく、やわらかい履き心地です。


デザインコンセプト「曖昧な境界線」が生まれるまで

fuco:の作品はその色使いが特徴的ですが、今回のデザインはあえて色ではなく「カタチ」に着目しています。

デザインユニットtuiiが作品と本人に触れて感じたこと。
それは彼女は重度自閉症で言葉によるコミュニケーションは難しいのだけど、人と接する時の距離感、場の雰囲気をとても敏感に感じとっていて、常にその関係性とバランスを探っているということでした。
作品中でも、そのモチーフの一つ一つが、どんな形を次に描くか、どこに伸びていくか、一瞬ごとにそのモチーフと全体との「関係性」をfuco:の感覚で感じて、表現していくのです。

それはまるで自然の中の森のようでもあります。
森は木が生えて、隣に木があったら避けたり、日の当たる方向に伸びていったり、周りとの「関係性」の連続で形作られていきます。
fuco:のアートも、木々が葉っぱを伸ばし、森となっていくように、一つ一つの形が重なり、場所を探して、全体を作っているのではと感じたそうです。



このfuco:の本質を今までと少し違う視点で表現するため、あえて色ではなく、「構造」に視点を置いてデザインすることに。構造を知るため、まず輪郭をとります。
これによって一つ一つのモチーフの重なり方、関係性がわかります。

輪郭は、沢山の作品の中から、形や並び方に力を感じるものを選んで、デザインソフトに取り込み、一つ一つペンタブレットで型取りました。そのまま忠実になぞるのではなく、あえてデザイナーの感覚も入れて、輪郭をとりながら自分にとって心地よい線や形も意識し、自由さも残してなぞっていきました。

それを続けるうちに、デザイナーさん、不思議な感覚を味わったそうです。
一つずつのモチーフを丁寧に気持ちを入れて描こうとすることで、まるで自分がfuco:になったような、次はどこに描こうかな、どんな大きさにしようか、くっつけようか離そうか。
言葉にならないような感覚でワクワクし、子供の頃にかえったような、描きながら元気になっていく感じだったと。

こうしてなぞった作品の輪郭を元に、靴下のサンプル画像をグラフィックとして抽出し、デザインしていきました。



そんな関係性を意識したことから、今回のアート靴下のテーマは「曖昧な境界線」となりました。
他人と自分の違い、男か女か、障害があるかないか、住んでいる場所はどこか、何歳か、どんな職業か、身近にある無数の境界線。
そして、できないと思い込んでいる自分自身の限界線。
そんな無数のラインを超えたいときに、皆さまにもどうぞ履いて欲しいのです。


創業100年の老舗靴下メーカー、イイダ靴下さんのご協力

デザインを形にしてくださるパートナーとして、佐賀県杵島郡江北町に本社、工場を構えるイイダ靴下さんにご相談。
fuco:laboの想いを親身になって聞いてくださり、小ロットでの生産にご協力いただけることになりました。

網み立てから縫製まで、一貫体制での靴下生産をされているイイダ靴下さん、佐賀県の老舗靴下メーカーで、技術面に優れた靴下を数多く作られています。
糸を選ぶところから始まり、はじめに技術サンプルを作って形や編み方、履き心地を確認し、再度色や形の検討を行い、修正サンプルを作成。
柄の出方、フィット感など一つ一つ確認していきます。
生産前のサンプルができたら、いよいよ生産工程です。


協力
イイダ靴下株式会社/佐賀県杵島郡江北町山口1619


このプロジェクトでご支援いただきたいこと

ご支援いただきたい2つのこと、①アート靴下作りにかかる経費の一部、②特別支援学校高等部全3年生503名への卒業ギフトの費用


初めて1から自分たちでつくる、この靴下作りにかかる経費の一部(デザイン料、製作費、パッキングや宛名書き、ネット関連の外注費など)をご支援いただけたらありがたいです。
事業所や企業でなく、一個人でモノづくりを本気でするのはかなり経費がかかります。

もしご支援いただけましたら、皆さんのご支援の一部を佐賀県立特別支援学校9校高等部の全3年生(498名)に、靴下を卒業ギフトにしたいと思っています。

なぜ彼らへのギフトにしたいかというと、
①fuco:も在籍していた当時から思いもかけない今があり、皆さんにも想像以上に輝かしい未来にエールを贈りたい
②今後ハイセンスなショップで販売されていくだろうこの靴下だから、皆んなに履いて欲しい!きっとどこかで素敵な「おんなじ」(おんなじ靴下履いてますね!)に出会うだろう
③これからも人生を楽しくするオシャレをずっと楽しんで欲しい!からです。

旅立ちの日に境界線も限界線も軽やかに超えていけるように、このアート靴下を皆さんと一緒に是非贈らせていただきたいです。

寄贈先の一覧

・佐賀県立盲学校
・佐賀県立ろう学校
・佐賀県立金立特別支援学校
・佐賀県立大和特別支援学校
・佐賀県立中原特別支援学校
・佐賀県立伊万里特別支援学校
・佐賀県立うれしの特別支援学校
・佐賀大学教育学部附属特別支援学校
・佐賀県立唐津特別支援学校

寄贈のスケジュール

各特別支援学校の卒業式(3/11〜3/14)の前日までに郵送、またはfuco:本人が持参します。


ご支援に対する返礼品のご準備

【靴下1足と特製ステッカー】‥3,000円

靴下のデザインの元になったfuco:のアートをカラーで楽しめるステッカー2種と、fuco:手書き文字のオリジナルフォントの「nebulous border(曖昧な境界線)」を、靴下のデザインをしてくださったtuiiが、特製ステッカーにしました。
屋外でも使用できる、耐久性に優れた素材で、スマホは勿論、車や傘にも使用可能な3枚が1セットとなっています。


【靴下1足とwhat’s coffee?ギフトセット】‥5,000円

kinariドリップコーヒーの焙煎をしているのは愛知県岡崎市にあるwhat’s coffee?。
バリスタ柴田恭兵さんの焙煎は、コーヒーが苦手な人にも美味しく飲んでいただけるよう、浅煎りを中心に甘味豊かなコーヒーにとなっており、多くのファンを持っています。
今回は特別に中国雲南珈琲豆150グラムとドリップパック5個セットをご提供いただきました。


【靴下1足とマルツナガルマグカップ1個&ドリップコーヒー3袋セット】‥6,000円

4年前の販売から全国でご愛用いただいているマグカップと、アートが採用された「kinari iroiro」からのドリップパックをセットでお届けします。
コーヒーは麻袋に入っており、マグと共にちょっとしたプレゼントにもぴったりです。ホッとしたいひとときにどうぞ。


【靴下1足とfuco:手書き文字フォント(仮名)】‥6,000円

奈良のイラストレーター、カトウシンヤさん作成。
これはフォントのために書いた文字ではなく、計算されてもなく、整ってもない「いつものfuco:の文字」です。だからこそタノシイ、オモシロイ!
このフォントで綴ったとっておきの言葉と毎日を共にしていただきたいです。ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字対応。


【靴下3足(全てサイズM、または全てサイズL)と特製ステッカー3セット】‥8,000円

3種類の柄が全て入っており、1足ずつよりまとめた分だけお得なセットになっておりますので、お友達などと分けていただくのもオススメです。


【靴下6足(全て)とマルツナガルストーリー講話&ワークショップ】‥100,000円

マルツナガルのこれまでの活動や自閉症の彼女の生い立ちなどを、おこがましくもリアルストーリーとしてお伝えいたします。彼女との参加者の皆さんとのワークショップも行います。内容等はご依頼先とご相談させていただきながら柔軟に対応、交通費は二人で5万円を超える場合のみ、それ以上をご負担くださいませ。
※お届け予定は仮に6月としていますが、具体的な日取りはご相談させてください。


なお、靴下は3柄ございますが、クラファンではサイズのみ指定で、柄はこちらで選ばせていただきたいと思います(「開けてみてのお楽しみ!」に)。
なお、複数ご注文いただきました場合は、異なる柄を発送させていただきます。ご了承くださいませ。
また、今回はプロジェクトの応援ということへの返礼品となりますので、心から感謝申し上げながらも、ご希望にそえないこちらからの我儘もご容赦くださいましたら幸いです。


※原材料等の食品表示はお届け商品のラベルに表記されます。商品開封前には必ずお届けのリターンに貼付されたラベルや注意書きをご確認ください。
※実際にお届けするリターンとパッケージ等のデザインが異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。


その先の未来

今回のfuco:laboプロダクト第一弾が成功したら、今後もあちこちのメーカーさんとモノづくりをしてみたいです。
その度に出会った方達が彼女のアートに新しい視点を与えてくださることで、更に世界は広がるでしょう。
彼女も今回のように打ち合わせや営業に出かけていき、新しい経験をたくさんしていくことでしょう。

家族とだけでなく、ヘルパーさんだったり、親しい人たちと全国をスタンプラリーのように旅できたらいいなと思います。
将来的に海外にも行ってみたいです。彼女は全く生活環境も言葉も違う外国をどう感じるのでしょうか。

プロダクトがそんな風にグングン遠くまで彼女を引っ張っていくのです。
街で靴下など同じプロダクトを目にしたら、その人たち同士も自然に「おっ!」という視線を交わし、新しい関係性を作っていくはずです。
コンビニ店員さんとおんなじだったり、先生と生徒がおんなじだったり、車椅子ユーザーとアスリートがおんなじだったり。

そうやって、彼女のアートから生まれた嬉しい「おんなじ」でたくさんのボーダーが自然にどんどんと曖昧になっていったら、やっぱり愉快で楽しいなと思うのです。



クラファンでご支援いただいて完成したこの靴下は、これからアートをのせてどんどん遠くへと広がっていくはずです。
そんなとびきり夢のある出来事は一人では決して成し遂げられないこと、だからこそ幸せだなとしみじみ思います。
どうぞこの出来事を私たちと一緒に成し遂げるご支援をいただけたら幸いです。

「このワクワクをこれから先もご一緒に!」


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

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