はじめまして。衣類を粉砕して作る「PANECO(パネコ)」と呼ばれる繊維リサイクルボードを開発した、 株式会社ワークスタジオ 代表取締役の原です。
ワークスタジオは20年以上にわたり、アパレル・コスメ・家電量販店等の店舗ディスプレイに携わり、主に什器のデザインと製作を行ってきた会社です。
アパレルの什器製作を行ってきたことで、ファッション業界との関わりが深く、洋服の大量生産・大量廃棄を繰り返す現状も目の当たりにしてきました。
そのようなアパレル業界の持病について考えるきっかけもあり、2019年にPANECOの開発をスタートさせました。
今は什器の製作も行いつつ、PANECOをより多くの人や場所で使っていただくために更なる研究開発と繊維リサイクル事業の促進に取り組んでいます。
私は収入のほとんどをファッションにつぎ込むいわゆる「ファッションオタク」です。
だからこそ、廃棄される衣類が大量に存在することが社会課題として深刻化していることを痛いほどわかっていました。
環境省のデータによると、日本では1日当たり平均で大型トラック約130台分の服が焼却・埋め立て処分されているといわれています。
衣類は廃棄する際だけでなく、製造時に与える環境負荷も大きいことからファッション業界が環境問題で頻繁に引き合いにされています。
その傍ら、ワークススタジオでは什器のデザイン・製作を行い、常にその材料として木材などの板材を使っていました。
また、ポップアップなどのイベント用に制作したものが使用後1週間ほどで壊されるのも見てきたこともあり、「廃棄衣類から板を作れたらうちで使えるし、サステナブルに什器を作ることができるのでは?」と考え始めるようになりました。
そんなシンプルな結び付けがPANECO開発のきっかけとなったのです。
しかし、私自身は産廃業者でもなければ素材メーカーでもなく、デザイン・製作を生業とする人間ですので実現には苦戦の連続でした。
“とりあえずやってみて、解決策を見出す”を繰り返しながら、ひとつひとつ実現可能な形へと組み立てていく日々。
素材の開発には膨大な資本を必要とするうえ採算が合うのは相当先になるので、まるで日々札束を窓から投げ捨てるような感覚でした。
それでもPANECOの開発を続けられた原動力は、サステナビリティへの熱意や使命といったきれいごとだけではなく、何より「オタク」とも呼べるほどのファッションへの強い想いでした。
2019年5月PANECO®の開発を始めてから完成までの2年間、「どうやったら服を木材のような使いやすいボードにできるのか?」それを考える中で2度大きな挫折がありました。
1度目は、初めて服がボードになったものの廃棄衣類を30%しか含むことができず、PANECOそのものを再リサイクルできる素材にならなかった時でした。
樹脂を多く含むため重くて加工しづらい上に価格が非常に高く、コスト・使い勝手の両面から商品化するのにはほど遠い素材だったのです。
うまく板にすることができず1度は頓挫してしまいましたが、まだまだ諦める訳にはいかないので加工できる会社に何十社と電話で問い合わせた末、やっと協力してくれる会社が1社見つかりました。
2020年5月、ようやく今のPANECOに近い30cm角ボードを作ることができ、ボードのかわいさと廃棄衣類の含有率の高さから「これはいける!」とその場にいた全員が確信し、耐久性や大きさを広げるためのテストを進めました。
何回も試作をくりかえした2020年9月、現場で使えるサイズである90cm角のサンプルが出来上がりました。
耐久性・大きさの基準をクリアするPANECOができてすぐ、問題に直面します。
協力していただいている会社の工場の規模が非常に大きく、当初から想定していたPANECOの生産量の50倍ほど製造しないとコストが合わないことが分かったのです。
ようやく理想のPANECOを実現させられた工場での生産を断念せざるを得なくなったことが2度目の挫折でした。
しかし、ご厚意でサンプルができた時の配合比率や製造方法などを伝授していただくことができ、それをもとにPANECOを実際に販売するために新しい会社を探す日々が始まりました。
協力してくれる会社が見つかるまで何も進めない訳にはいかなかったので、必要な機械のスペックを作るために自作で機械を作ったこともありました。
素材・制作会社・必要な機械のスペックを探すところから再出発し、何十社も問い合わせた結果、今PANECO®を製造いただいている会社とご一緒することとなりました。
こうして2020年12月に初めて今のPANECOが完成し、什器などとして販売するための準備を急ピッチで進めました。
開発から約2年後の2021年3月、PANECOの販売を正式にスタートさせることができたのです。
新宿NEWoManさんの廃棄される運命にある制服とロスフラワーをアップサイクルして、館内プランターカバーやコースターをを制作しました。
販売できなくなったドライフラワー×PANECOで新たな価値へとアップサイクルしています。
アメリカで大量に余った廃棄デニムのLEVI'S 501と制服をブレンドし、PANECOにしてPOPUP storeの内装材として採用頂きました。ここではPANECOだけで1t近くの廃棄デニム、衣類をアップサイクルしました。
H&Mで販売の過程などで発生してしまった不良品を3色に分け、3色のPANECOへ。
店舗什器やノベルティ、ハンガーによみがえりました。
H&Mはファッション業界でも世界トップクラスにSDGsに取り込んでいる企業の一つで、
いくら環境に良い材料でも生産背景での人体への影響やCO2の排出量などを厳しく審査されます。
その基準を全てクリアし、採用されたことがメディアなどで紹介され世の中に認知されるきっかけとなりました。
FREAK'S STOREでは、ロゴ看板やレジカウンター、店内のスツールにPANECOを使用いただきました。
また、FREAK'S STOREでは生産段階で廃棄衣類が極力でないように徹底されており、衣類をアップサイクルするPANECO事業にも共感いただき、取り組みをさせていただくことになりました。
現在、全6店舗でPANECOをご採用いただいております。
【PANECO 導入店舗】
FREAK'S STOREアミュプラザ博多
FREAK’S STORE MEN’S + ANDY FREAK’S STORE
FREAK'S STORE ELM
FREAK'S STORE名古屋パルコ
FREAK'S STORE阪急西宮ガーデンズ
FREAK'S STOREららぽーとTOKYO-BAY
ワークスタジオ「PANECO」チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)の草木佳大です。
「環境問題に楽しく取り組む」をモットーに繊維リサイクルの促進を目指し、PANECO事業の可能性を広める事に努めています。
今回のクラウドファンディングのリターン・ティッシュケースの色でもある“グレー”はPANECOの定番カラー。
集めた衣類を粉砕してボード上の板材にするため、日本で好まれる落ち着いた色の服を混合して生まれたボードはグレーになります。逆に、カラフルな服を多く集めればカラフルなボードになります。
その時々で回収した廃棄衣類を使用するため、1つとして全く同じPANECOは存在しないのも魅力のひとつです。
PANECOの成形にはバインダーを全体量の8%使用し、熱を加えて固めています。
この“8%”というのが重要で、これ以上少なくすると木版に近い硬さを出すことができなくなり、多くすると再リサイクルすることができなくなるんです。
アパレルの人たちに“服を捨てたらあかん”と言っている僕らが廃棄していたら意味がないので、「“作った責任を取る”こともデザインの一環である」という思想はPANECOを扱う上で欠かせません。
今できることを最大限にやりながら、こだわりを持ってアップデートを進めています。
衣類であればほぼ全ての繊維素材をアップサイクルすることが可能です。
PANECOを制作する際に素材ごとに仕分ける必要がないことが、繊維リサイクル事業ではこれまで難しいとされていた改修繊維リサイクル率ほぼ100%を実現しました。
また、使用済みのPANECOや制作時の端材(素地の状態)を100%再リサイクルすることに成功しています。
リサイクル素材を使うだけでなく、PANECO内の配合比率にこだわることで、使った後も再リサイクルできる仕組みを構築しました。
PANECOは天然石に近い見た目をしながら、繊維特有の暖かみがあるという不思議な素材感を持っています。
「リサイクル素材=かわいくない」と思われがちであるという課題を解決すべく、「素敵な意匠性を持っているのに環境にもいい素材」というコンセプトで開発を進めた結果、優れたデザイン性により2022年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
ランダムに集められた廃棄衣類の配合率が90%を超えているので、ロットにより色味や模様はさまざま。
同じ素材でも作り手によって全く違う表現をすることができます。
廃棄衣類を90%以上含むことで、木材のような硬さと加工しやすさを両立させました。
木材とは違い、衣類をアップサイクルすることによってできるまるで生地を触っているかのようなザラっとした手触りなのが特徴です。
回収された廃棄衣類は、回収倉庫に送られます。
その後、隣接されている福祉施設に移動し、衣類の仕分け・ボタンやファスナーの取り外しを行います。
障がい者福祉施設に委託することで雇用を創出し、売上の一部を障がい者福祉施設に毎月寄付しています。
現在は、1つの福祉施設でご協力いただいておりますが、より多くのPANECOを社会に送り出すことで、お仕事の場所を増やすこともSDGsの取り組みの一環として目指しております。
ボタンやファスナーなどの副資材が取り外された衣類は粉砕工場に運ばれ、細かい繊維に加工されます。
成型工場に運ばれ粉砕された廃棄衣類は、プレス成型で繊維リサイクルボード「PANECO」として生まれ変わります。
店舗什器やPOPUPストア・店舗内装・家具など、様々な用途でPANECOをご利用いただいております。
役目を終えたPANECOをもう一度PANECOとして再リサイクルできる仕組みを構築しています。
廃棄物処理業者にて仕分けを行い、使用済みのPANECOを②粉砕工場へと送りことで再度PANECOをアップサイクルできます。
私たちの生活に馴染み深いお洋服からできているため、生活にも馴染みやすく、衣類特有の温かみがあります!
これまで「PANECO」は、アパレルブランドや商業施設で内装材や什器として使用されてきましたが一般の方々に手に取っていただく機会があまりなく、取り組み自体も世の中に認知されにくいということが現状の課題としてありました。
そんな時に、Instagramやメディア、雑誌などで発信を続けていると、多くの方々から「インテリアとして購入したい!」「どこで販売してますか?」などのありがたいお言葉を頂き、この度、第一弾クラウドファンディングを実施することとなりました!!
そして、記念すべき第一弾は「ティッシュBOX」に決まりました!
地球温暖化や廃棄衣類問題などが深刻化する中で、「SDGsに取り組みたいという思い」を持つ方が多くいらっしゃることをPANECO事業に取り組む中で知りました。
その一方、SDGsに取り組みたい気持ちはあっても「何から始めて良いかがわからない」といった方も多くいると知りました。そこで、まずは誰でも生活に取り入れやすい「ティッシュBOX」を選びました!
それぞれのColorに良さがあるので、皆さんの生活シーンに合わせた好みの色をお選びいただけます!
衣類特有の素材感が全面に感じられるように、木材などは使用せず全てPANECOで製作しました!
また、衣類特有の綺麗な柄が目立つようにシンプルかつ、スタイリッシュに製作しています!
底部分も開閉しやすいようにスライド式に!!
全てが衣類のような手触り!
▮ 寸法 : W257×D127×H81
▮ 重量 : 約 650g
PANECOには0.5%のWAXが含まれており、プレス成型でほぼ隙間なく密着しているため、
ある程度の水は弾くようになっています。
衣類由来だからといって強度が落ちるという事はありません!
木材と同等の強度あるため、安心してご使用いただけます。
▮ 構成要素
clothes(廃棄衣類) 91.5%
Binder(結合剤) 8%
Wax(ワックス) 0.5%
▮ 物性値
密度 (g/cm3) 0.70~0.77
含水率 (%) 2~5
曲げ強さ (N/mm2) 18.6~23.3
吸水厚さ膨張率 (%) 3~8
剥離強さ (N/mm2) 0.6~1.0
ホルムアルデヒド放散量(mg/L) 平均<0.1 最大<0.1
▮ 生産国
日本
▮ 受賞歴
グッドデザイン賞
廃棄衣料繊維をアップリサイクルして繊維ボードとし、新たな用途を生み出すというサスティナブルな取り組みが高く評価され、繊維リサイクルボード「PANECO」は グッドデザイン賞 2022 を受賞しました。
回収・ボタンなどの付属品の取り外し・粉砕・ボード化という工程を経て生まれるPANECOは、当然ながら従来品のボード(ボード状の板材)よりも価格が高くなります。
「品質の良いものを低価格で提供する」という、誰かがどこかで絶対無理をすることが当たり前になっている、利用者にとっては嬉しいが提供者にしてみると悪魔のような考え方が日本にはあります。
このような日本独特の慣習の中ではサステナブルは成り立ちにくいため、市場を見つけることが非常に難しく、PANECOの市場は日本だけでは足りないので常にグローバルに目線を合わせていることが何より大事になってきます。
PANECOの市場を見つけるためには、目の前の利益だけではない意味や意義を理解できる人たちに出会う必要があり、残念ながらその機会は日本ではなく圧倒的にサステナビリティ先進国であるフランスやイタリアに多いのが現状です。
クラウドファンディングを通してより多くの人にPANECOを届けることで、本当の価値・意義に共感してくださる仲間を見つけ、日本にサステナビリティの輪を広げていきたいと考えています。
PANECOチームは2022年秋にガーナへ向かいました。
ファッションロスに関する課題解決を模索するためにヨーロッパをはじめとする先進国に向かうだけでなく、
梱包的な課題そのものにも目を向け、ガーナの衣類廃棄の現状を視察しに行きました。
先進国でトレンドとともに短期間で廃棄される衣類はまだ着ることができる状態のため寄付という名目で集められ後進国へ送られていますが、実際その多くは販売されており、売れ残った服はゴミの山になっているのです。先進国で衣類が多く廃棄されるほど後進国のゴミが増え、現地の繊維産業と環境を破壊しているのです。
我々はファッションロスの課題そのものと向き合い、世界最先端の基準に合わせた公益性の高い企業が生み出すプロダクトとしてPANECOを社会実装していくことを目指します。
<募集方式について>
本プロジェクトは「All or Nothing方式」で実施します。
目標金額に満たない場合はリターンのお届けとプロジェクトの実現ができないので応援の程よろしくお願いします。
今後のスケジュール
2023年3月11日 プロジェクト開始
2023年5月8日 プロジェクト終了
2023年6月1日~ 先着購入順より発送準備開始(色により発送順が多少前後する場合もございます。)
2023年6月中発送完了予定
※スケジュールは資材調達状況などにより変更になる場合もございます。
Q&A
Q:使い終えたティッシュBOXの回収の際はどうすればよいですか?
A:下記のモリリン(株)までお問い合わせください。
Q:ティッシュケースへのロゴ刻印は削除可能ですか?
A:恐れ入りますが、対応しかねます。
Q:写真と同じ色味のものが届きますか?
A:概ね色のトーンは近いものが届きますが、PANECOの特性上、1つとして同じものができないため、お写真と全く同じものとは限りません。
会社概要
株式会社ワークスタジオ
https://workstudio.co.jp/
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-11-2フィル・パーク四谷四丁目 2F
TEL : 03-5312-9871 / FAX : 03-5312-9872
・製品に関するお問い合わせ
・衣類提供・回収のご依頼等、繊維リサイクル事業に感するお問い合わせ
・共同開発やリサイクルボード作成のお問い合わせ
・取材など広報に関するお問い合わせ
・その他のお問い合わせ
PANECO公式Instagram:
https://www.instagram.com/paneco_official/
モリリン株式会社
https://www.moririn.co.jp/
東京都中央区東日本橋2丁目1-3 2F
TEL : 03-3863-9331 / FAX : 03-3863-9307
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・価格や代理店契約に関するお問い合わせ
・納期に関するお問い合わせ
リスク&チャレンジ
※本製品は複数の繊維素材の色合いがボード表面に表れるため一枚一枚のボードの色味や表情が異なります。
唯一無二のPANECOをお楽しみ下さい!!
※本製品厚は 5.5mm ですが一枚一枚のボード厚に若干の誤差がある場合があります。
※本製品の表面は完璧な平面ではなく繊維特有の若干の凹凸がある場合があります。
※衣類の素材により、日焼けによる色の変化がある場合がございます。
※直射日光はできる限り避けてご使用ください。
※本製品に「不燃」「準不燃」「防炎」性能はございません。
※ご支援に対する返金は、機能的な初期不良に限り承ります。
※本文中に記載させていただいたスケジュールはあくまでプロジェクト公開時点の予定です。クラウドファンディングの性質上、配送遅延のおそれがあります。
※原則として、配送遅延に伴うキャンセルは出来ませんが、リターン配送予定月から3か月を超えた場合には、希望者に限りキャンセルにて対応させていただきます。
※また色味や表情による返品は承れませんので予めご了承ください。
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