■はじめまして、長野県の土産品総合企業「マツザワ」です

マツザワグループの本社は、長野県下伊那郡高森町にあります。
1959年の創業以来、お土産を通して地域の生産物や文化に光を当て、贈った方・贈られた人双方が本当に喜んでくれる商品の提供を心がけてきました。
土産品総合企業として、単にお土産を販売するだけではなく、青果・製造・卸売・飲食などの各事業を行っています。
私共の会社は、創業者から捨ててしまう部分を活用する、「もったいない精神」を受け継いでいます。
創業者は、百貨店で長野の奨励品であるヤマゴボウの味噌漬けを売る際に、切り落とされてしまう頭と尻尾の部分に注目しました。
元々、奨励品であるため味は確かでありながら、形が悪いだけで捨てられていた部分を回収し安価で販売。
伊香保温泉などで切り落としとして売った所、大ヒットを記録したという逸話があります。
「良いモノを原料に使うのは誰にでもできるので、捨ててしまうモノをお金に換えて儲かるところにするのが私共の使命」と考えています。



■摘果リンゴとは?
日本では、大きなリンゴを収穫するために、「摘果(テキカ)」という間引きを初夏に行います。実は1本のリンゴの木から収穫できるリンゴは約半分で、残りの半分は摘果リンゴとして捨てられてしまうのをご存知でしょうか。
私共と「摘果リンゴ」との出会いは、2006年頃に加工用の小さなリンゴを探しはじめたのがきっかけです。
青森県は加工リンゴの産地として知られており、小玉のリンゴを青森から仕入れて使っていましたが、「お土産」は土から産まれると書くように「地元の食材を使いたい」という思いがありました。
そこで地元の「JAみなみ信州」さんに相談した所「サイズだけで考えれば〈摘果リンゴ〉しかない」と摘果リンゴを勧められたのです。



▼捨てられていた摘果リンゴを製品に
マツザワではこの摘果リンゴに注目し、JA・リンゴ農家と三位一体となって取り組みをスタート。通常、ジュースやジャムなどで使用する加工用のリンゴは1kgあたり20~30円で取引されています。
しかし、私たちは地元JAみなみ信州と協力し、流通経費を抑え、大きさ56㎜~71㎜というリンゴの選定に使う大小の型(リンゴスケール)を手作りして、農家に無償配布し選定の手間を削減しました。
また、摘果リンゴを使用する上で重要な懸念点だった残留農薬の問題も、農家のご協力によってクリアしました。現在では、「摘果リンゴ」を1kgあたり60円で購入し、年に60トンを超える摘果リンゴを製品化しています。



▼摘果リンゴの味の評価
摘果リンゴは「捨てられていたリンゴ」と聞くと、味に不安をお持ちになる方も多いかもしれませんね。実際リンゴ農家の間では、「糖化していないので美味しくない」という認識がありました。
しかし、摘果リンゴの特性を知り適切な調理をすることで、驚くほど美味しくいただくことができるのです。
摘果リンゴを使った薄焼きクッキー「りんご乙女」は、iTQi国際優秀味覚コンテストにおいて、15年連続最高位3つ星を受賞「りんご乙女」は、原材料50%以上がリンゴです。甘さ・酸味のバランスの良い、摘果リンゴの美味しさは、国内だけではなく海外からも高い評価を得ています。



■どうしてやるのか
農林水産省の地域食品産業連携プロジェクト(LFP)」事業の長野県での取り組み「ながのアップサイクル」が、今回果の山の開発のきっかけです。LFPとは、令和3年度にスタートした「社会的課題を解決するために、経済的利益を両立させ、持続可能な新たなビジネスを創出する事業」。
アップサイクルは、本来は捨てられてしまう廃棄物を、新しいアイデアや技術で加工したり斬新なデザインをまとわせるなどして、付加価値の高い新しい商品に生まれ変わらせることを指します。



▼将来的には、長野県全域のリンゴ農家から摘果リンゴを買取たい
既に弊社にはりんご乙女を代表とする、摘果リンゴの製品があります。しかし、現在の製品で使用する量では、南信州エリアのリンゴ農家からしか買い付けができません。
「より多くの摘果リンゴを使用するためには、主力となるお土産の開発が必要不可欠」と考えました。
そこでリンゴスティックパイ「果の山」を開発し、長野のお土産として発売することに。
果の山が長野県の新しい名産品になることで、将来的には長野県全域のリンゴ農家を対象に、摘果リンゴの買取を行えるようになりたいのです。



▼リンゴ農家の声
摘果リンゴを出荷している地元のリンゴ農家の方からは、「今まで捨てていたリンゴが活かされてうれしい」という声がありました。さらに、通常リンゴ農家は秋以降の収穫まで収入が得られませんが、摘果リンゴの出荷を行うことで、初夏に収入を得ることができるのも摘果リンゴの魅力のひとつです。
摘果リンゴの買取価格は、1年で1農家あたり20~30万円位です。
リンゴ農家一人ひとりの方が、「果の山」や「りんご乙女」といった摘果リンゴの製品を自分たちの製品であると認識し、やりがいを持って摘果リンゴの出荷を続けていただいています。



■リンゴスティックパイ「果の山」のこだわり
「果の山」は、ながのアップサイクルの取り組みの中で、「未利用資源を活用したアップサイクルの取組による地域循環型ビジネスの創出」をテーマにプラットフォームでの検討を重ね、開発されました。最初は摘果リンゴではないリンゴでアップルパイを作成していましたが、それを摘果リンゴに変更して製作しました。
そもそも摘果のリンゴの収穫は1年に1度初夏に行うため、サイズや味などの調整に時間が掛かりました。
その間、農家の方々に果の山に適した摘果リンゴのサイズの選果や、農薬の散布時期の調整などをお願いしました。
りんご乙女と同じ摘果リンゴを使用しているものの、果の山に使う摘果リンゴは80㎜以上の大きさが必要なため、農薬の散布時期が1ヵ月ズレるのです。
そのため、試行錯誤を重ね製品化まで2年の歳月が掛かっています。
拘ったところは摘果リンゴを10㎜でダイスカットした点です。
スティック形状なので、ダイスカットが大きすぎると入りきらないですし、小さすぎるとリンゴの触感を感じることができません。
実がしっかりとしているので、成熟した加工用のリンゴを使うと10㎜のダイスカットでは触感を感じられないです。
ダイスカットを10㎜にすることで、リンゴを多めに入れるとともに触感を楽しんでいただくことができます。



▼開発者の声
「果の山」はパイ生地はしっとりとしており、ポロポロと崩れないので食べやすいです。リンゴはやや甘酸っぱいですが、カスタードとプレザーブを混ぜたフィリングを使っており、しっとりとして優しい甘さです。
年齢を問わず多くの方に楽しんでいただけるように試行錯誤を重ねました。
スティック型ではありますが、ボリューミーで食べ応えがあります。



■リンゴスティックパイ「果の山」を食べてみました!
ライターのあおみゆうのです。20歳男子・14歳女子・9歳男子がいる我が家で、「果の山」を実食してみました。
トップバッターの14歳女子は、甘い物が大好きだけれども、「私、クリームはちょっと重たいから苦手なのよね」というやや難しいお年頃。まずは、皮がしっとりしているので、切ってもパイがポロポロと崩れないことに感動。
「分けやすいし、食べやすいね…。うん、甘くて美味しい!」
「捨てるところだとは思えないなぁ。おやつで出てきたら嬉しい」
とニッコリ。
9歳男子は、甘いものなら何でもウェルカム!「あっこれ生地がサクっとしてないんだね面白いですね…。うんうん、美味しい」
と満足そうでした。

そして、甘い物に興味がないお米命の21歳男子。
「アップルパイでしょ?温めなきゃ」
とウキウキしながらレンジへ。
甘い物には興味がないものの、食べ物を美味しくいただくための姿勢は我が子ながら見習いたいものです。
果の山1本をお皿に乗せてラップをし、600Wで1分温めました。

「…段違いに美味い!」
温めると、しっとりとした生地がもちもちして、触感と食味が変わります。
温めることで、りんごの甘みをより感じることができました。
「もう少しりんごの触感が残ってたほうが、個人的には好きだけどね~」
と言いながらお皿を抱えて、長男は自室に去っていきました。

家族全員で温めた「果の山」を再度食べてみた所、全員が温めた方が美味しいという評価でした。
リンゴの甘酸っぱさを楽しみたい方は常温で、甘みをより感じたい方は温めると良いかもしれません。



■メッセージ
摘果リンゴを使った製品が売れることで、リンゴの生産農家を助けることに繋がります。
また、「果の山」がご好評をいただければ、さらに摘果リンゴを使った製品を製造したり、他の地域のリンゴ農家から摘果リンゴを購入することができるようになるかもしれません。
長野県のお土産の新しい顔である「果の山」を、どうぞよろしくお願いいたします。
マツザワの製品や取り組みをもっと知りたい方は、こちらをご覧ください。
https://www.matsuzawa.gr.jp/



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