兵庫県赤穂市と佐用町をつなぐ千種川から
能と農をつなぐ日本酒を届け、河川流域の循環をつくり出す

昨年2022年6月の御田植祭から始まった「おおさけのおさけプロジェクト」では、2023年3月26日に日本酒:宿神(shuku-jin)が兵庫県赤穂市の酒蔵:奥藤商事より初蔵出しされました。

このプロジェクトは、赤穂市の大避神社に祀られ、能楽や雅楽などの伝統芸能の祖とされる「秦河勝(はたのかわかつ)」の物語を掘り起こし、本来、能(能楽)と農(農業)が共にあったことで循環していた日本の自然、文化、経済を新たにつなぎ直していく取組みです。

今回、初めてできたこの日本酒:宿神(shuku-jin)をこの物語と共に、多くの方にお届けするために、ポスターの制作および今後のプロジェクトイベントに向けてクラウドファンディングを立ち上げました。
ぜひ循環をつくり出す仲間となってください。

お酒が完成するまで

今回の日本酒:宿神(shuku-jin)は、たくさんの方のお力添えで多くの困難を乗り越えながら完成しました。

私たちは自然に寄り添った方法でお米を育てたいという思いから、千種川の上流にある佐用町で農薬・化学肥料を使用しないで酒米を育てられる田んぼを探すところから始まりました。桜山という棚田が美しい場所で天水(雨水のみ)の田んぼをお借りすることができ、水の確保に苦労しながら、またカメムシやイノシシによる被害を受けながらも、なんとか390kgの酒米を収穫。(収穫はほとんど手作業で、その後天日干しいよる乾燥。)

そして、酒米を千種川の下流にある赤穂市で400年の歴史を持つ酒蔵:奥藤商事に千種川の伏流水で仕込んでいただきました。量が少なく、農薬・化学肥料使わない希少な酒米であることから、酒米の削りを20%までおさえ、昔ながらの「生酛仕込み」による手作業で作られました。これだけ手をかけたお酒なだけあり、ふくよかで芳醇な味わいの中に、フルーティな香りが含まれる、味わい深い日本酒となりました。

これまでの取り組みをfacebookページ「宿神(shuku-jin)」でご紹介しています。
https://www.facebook.com/shukujin

お酒と共に伝えたい物語

なぜこのプロジェクトが千種川流域の循環に取り組んでいるかというと...
この川は、晩年の秦河勝が開拓した川と言われており、千種川沿いにはこの秦河勝が御祭祀になっている大避神社が35~40社近く建てられています。

秦河勝という人物は、飛鳥時代に聖徳太子の側近として活躍し、京都の平安京、太秦、広隆寺などの建設に携わり、鉱山技術、鍛冶技術、治水技術、養蚕、機織、酒造などの最先端テクノロジーを日本に持ち込んだ渡来人の代表的な人物です。また、聖徳太子が製作した66の面を秦河勝に渡し、66曲の舞を秦河勝が舞ったことから、日本の伝統芸能の起源とされる猿楽が始まったとされています。(世阿弥『風姿花伝』に記載。)

秦河勝『前賢故実』より 


この人物が晩年(80歳位の時)に赤穂へたどり着き、千種川流域の治水・発展に尽力したと言われています。各地域の大避神社は、千種川の治水上、重要なポイントに建てられており、神社を守ることで、この流域の水・自然環境が守られてきたことがとてもよくわかります。

しかし、これらの秦河勝の功績や、神社によって自然環境が守られていることなどは、近年では忘れ去られていることも多く、地域の大避神社も手入れが行き届かなく、荒れた里山となっている場所も多くあります。

私たちは日々この千種川の恵みによって暮らしています。
毎日飲んでいるおいしいお水はもちろんのこと、千種川が運んでくれる山の豊かな栄養が赤穂市の名産である牡蠣を育んでいます。

これらのことをお酒と共に伝えていくことで、地域の文化や自然環境を取り戻していく活動に繋げていくために、今回、この物語を伝えるポスターを制作して、お酒と一緒に届けたいと考えています。

物語を伝えるポスターの制作

千種川流域、そして、秦河勝の多彩な功績を伝えるために、 今回のプロジェクト全体のデザインプロデューサーとして玉利康延さんに協力していただいています。

玉利さんは、様々な階層で絡み合う食と文化・歴史・風習などのつながりを紐解いて、わかりやすく伝える「食とアニミズム」という研究プロジェクトを運営されています。 

食とアニミズムの「農耕」テーマのページ
(複雑な関係性を一目でわかるようにするデザインしていく) 

そんな玉利さんデザインによるポスターを制作しており、このポスターをお酒と共にお届けするのが今回のクラウドファンディングの目的の一つです。
ポスターによって、千種川と秦河勝の関係、能と農のつながり、上流と下流のつながりによる自然、文化、経済循環の創出など、このプロジェクトの全体像を捉えながら、お酒を楽しんでもらえるものにしたいと思っています。

現在制作中のポスター

能(能楽)と農(農業)をつなぐ取り組み

このプロジェクトは伝統芸能の祖である秦河勝の物語を伝え、秦河勝が開拓いた千種川流域から能(能楽)と農(農業)をもう一度繋ぎ直し、原点回帰することで新たな文化を生み出したいという思いからスタートしました。

そのため、昨年2022年6月に田植えを始める際も、御田植祭を開催して、能楽師の方にも来ていただき、翁舞や三番叟で謳われる「神歌」の謡を奉納して頂きました。

「神歌」の謡のはじまりにある「とうとうたらり、とうたらり」の謎の呪文の意味は幾つかあり、はっきりとしていないのですが、その中の一つの説を小鼓を奉納していただいた上田敦史さんから「水が流れる様子を詠んだ、表したもの」という説もありその説が一番好きだと教えて頂きました。

雨が降らず今回のお米づくりで田に如何に水が必要かと思い知らされた私たちにとっては、五穀豊穣を祈願する謡だとすればとてもしっくりくる話に感じました。

秦河勝が開拓した千種川の水と「とうとうたら」の翁舞や三番叟の神歌の謡が綺麗に繋がっていることを感じられ、農と能が繋がっていくことを実感したお田植え祭となりました。

今回のお酒づくりは、これから地域とのつながりを取り戻していくために、御田植祭やの祭りづくりにもつながっていきます。祭りにより人が神社に集うことで、里山に手がはいり、自然をとりもどしていく。

能と農をつなぐ取り組みは、2023年の今年は、6月6日に開催する御田植祭、9月には大学生と行う虫送り、11月には収穫祭、そして、翌年の3月には蔵出しという、それぞれの季節ごとの祭りにしていき、佐用や赤穂に人が足を運ぶきっかけ(関係人口の増加)、地域の里山整備の機会としていきます。

今回のクラウドファンディングの支援により、地域で持続的に開催できる取り組みにしていきたいと考えています。

昨年の御田植祭の様子

おおさけのおさけプロジェクトメンバーの紹介

〇酒米「神力」を育てた鶴田農園・鶴田拓哉さん

秦河勝公にお酒を奉納したいという思いで農家に独立した鶴田拓哉と言います。 
実家は昔から唐芋と米作りをしており、子供の頃から田んぼと畑仕事は生活の一部でした。 ご縁があり佐用町桜山の棚田に素敵な田んぼが見つかり、お米の品種は神力に決まり、「おおさけのおさけプロジェクト」は進んでいきました。 
山頂にある私の田んぼの水源は天水です。雨と谷間から僅かに湧き出る水しか流れないので、水稲にとっては過酷な環境です。 実際、田んぼには田植えをするだけの水が溜まっておらず、乾いた田んぼを見て周りの方々には「田んぼは諦めた方がいい」「もうやめなさい」とまで言われました。鍬一本で泥を掻き水路を作っても流れる水は僅かな量。きっと側からみると私の行動は見るに耐えらない状況で田植えをするには程遠い感じだったでしょう。 
それでも奇跡は起こるものです。突然大雨が降り田んぼには見事に水が溜まりました。
それは田植え2日前の出来事でした。天の恵みと、多くの人に助けられ、神力は成長し、無事に収穫することが出来ました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
農薬、化学肥料を一切使わず、天と大地の恵みで出来た田んぼは美しいです。私の田んぼは10年以上使用されていない耕作放棄地でしたが、田植えを終えて1週間、そこには水中生物や水鳥が集まり美しい生態系が営まれ、自然の豊かさを感じさせてくれます。その美しい環境での稲作を多くの人に感じてもらいたいと思い、今年からは大学生にも協力してもらい農と能の繋ぎ直す一環として薪能や虫送りという行事を復活させます。虫送りは農薬の無かった時代、夏の夜にたいまつを持って、鉦鼓や太鼓を鳴らしながら農作物に着いた虫たちを村の境まで追い払うという伝統行事です。薪能や虫送りといった古来からある伝統行事に触れて新たな文化を作り農作物を守り、人々の記憶に残っていけば大変嬉しく思います。
私たちがつくった日本酒:宿神が千種川を舞台に山と海を繋ぎ、農と能を繋ぎ、星空と海底を繋ぎ、多く人と人を繋ぎ、語られるお酒になれば嬉しいです。どうか皆様の応援よろしくお願い致します  

●神力という酒米
お米の品種は、西播磨で発見された「神力」という酒米です。この「神力」という酒米は、兵庫県揖保郡中島村(現在のたつの市)の丸尾重次郎が、1877年(明治10年)に有芒の在来種「程良」の中に無芒の3本の穂があるのを見つけ、「器量良」(きりょうよし)と名付けて育成しました。育ててみると、葉や籾の色が優美で、収量も他より25%も多収であったため、丸尾は、「これこそ神の力」と、品種名を「神力」に名付けました。西播磨の貴重な酒米品種になります。(酒米・神力)

〇日本酒を醸してくれた赤穂市坂越の奥藤酒造さん奥藤酒造は400年前に創設、酒蔵を創業する切っ掛けとなった言い伝えが正に能楽のような話になります。
ある日、どこからともなく米俵と柄杓を持ってやって来た、2人の白髪のご老人に、主人が「どこから来られましたか?」と尋ねると「隠れ村より」と答えられ、主人がお茶を出しますと席を外すと、その老人は何も言わずに、米俵と柄杓を置いて出て行ったようで、主人が戻ってきた時には2人の老人は居なかったようです。

その置かれた米俵と柄杓を見た主人が、『これは酒造りをしろということに違いない』と思い、酒蔵を始めることになったようです。柄杓は水を汲みもので、主人は千種川の水だと思い、千種川の伏流水でお酒づくりが始まったそうです、
今回のお酒も千種川の伏流水を使用しています。

生酛仕込みとは「酒母」を手作業で造る酒造りのことです。
「酒母」というのは醪を発酵させるための酵母を培養したものでやり方は色々ありそれぞれ酵母の持つ性格が違ってきます。生酛仕込みでは「山卸し」という作業があります。「山卸し」とは精米が水車などでされていた時代、半切り桶の中に蒸米と水を入れ櫂ですりつぶす作業のことを言いました。
現在では、精米機で精米を上げる事ができるようになり麹の酵素が十分に白米に吸収されるので蒸米をつぶす必要がなくなり「櫂でつぶすな麹で溶かせ」といわれるようになり山卸しの操作を廃止するようになりました。生酛で造る「酒母」は今主流の速醸系酒母に比べると育成日数が長く(生酛26日~30日、速醸7日~14日)低温での温度の管理が大変難しい製造方法です。
「酒母」そのものはアミノ酸が多く濃い味で製成した酒も濃淳な味になります。生酛の製造は仕込み水、麹などからくる硝酸還元菌・乳酸菌を低温で増殖させその働きによって雑菌や野生酵母を淘汰し「酒母」に必要な乳酸を生成させます。製造に手間と時間がかかるため仕込みは減ってきました。今回は「神力」という酒米を手間暇をかけて育ててくれましたのでそれに答えたくて仕込みにも手間暇をかけました。どうぞお試しください。 

〇企画担当:坂本尚志
今回のプロジェクトを企画した赤穂市で赤穂サンクチュアリというカフェ&コワーキングスペースの運営をしている坂本尚志です。ここまで読んで下さりありがとうございます。
私は、千種川の源流に位置する佐用町育ちで、夏休みには千種川で毎日泳いで過ごしていましたが、秦河勝と千種川の関係は、この年齢(45)になるまで全く知りませんでした。地域の大半の方にも知られていないのが現状です。
佐用の千種川は、名水百選にも選ばれ、とても美しい川なのですが、2009年の洪水から「佐用といえば洪水のところですね」と言われるようになり、小さい頃から千種川を誇りに思っていたので、「洪水の川」として知られるのがとても残念に思っていました。
洪水というイメージではなく千種川の素晴らしさを伝えることが出来ないかと感じていた時に秦河勝という人物を知り、この人物の偉大さに夢中になって行きました。 
秦河勝と出会い、伝統芸能も大好きになり、能や狂言を見に行く様になり「翁」という存在に出会いました。「翁舞」や「三番叟」の五穀豊穣の舞は、農業・自然との結びつきを感じさせてくれます。
千種川と秦河勝・農業と能楽を繋ぎ直す過程において、もう一度故郷の文化や自然を見直すことができればと思い取り組んでいます。 

千種川の源流風景

千種川の上流には、日本の原風景ともいえる本当に美しい川が残っています。
夏でも冷たい水が流れ、鮎が泳ぎ、オオサンショウウオなどが生息する川です。
この取り組みで、この美しい川を伝え、守り、更に下流へとつなげていくことを目指しています。

宿神(shuku-jin)という名前について

最後に「宿神」と名付けたのは、世阿弥と共に能楽を大成させた金春禅竹の明宿集を参考にさせて頂きました、その一文を載せさせて頂きます。

--------以下、金春禅竹『明宿集 現代語訳』より一部抜粋-------

「翁」を宿神と申し上げることは、かの住吉大臣の御示現なさったときの姿と符合している。太陽と月と天体の光が地上に降下して、昼と夜が区別ができ、物質が生まれ、またその光は人に宿ったのである。太陽・月・星宿の三つの光は申楽に言う式三番に対応するものであるから、太陽・月・星宿の意味をこめて、「翁」を宿神とお呼び申し上げているのだ。「宿」という文字には、星が地上に降下して、人間に対してあらゆる業を行うという意味がこめられている。星の光はあらゆる家に降り注ぐ。そのようにどのような家にも招かれ歓待されると言うのが星宿のお恵みではあるが、とりわけ宿神とお呼び申し上げる「翁」の威徳は、どんなに畏敬をこめて仰ぎ見てもあまりあるものがある。

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宿神いうのは、芸能者たちが芸能の神として崇めている存在であることのほかに、北極星・北斗七星を神格化した星の信仰とも結びついて行きます。
千種川は、川を象ると柄杓・北斗七星の形をしていると言われていて、酒米を育てている佐用桜山の近くの大撫山天文台には国内最大級の望遠レンズがり、星が綺麗に見えることから佐用は「星の都」と呼ばれています。奥藤酒造さんが酒蔵をされている赤穂市坂越の地名である「サコシ」とは「シャクジ」「ミシャクジ」「シュクジン」と「宿神」が鈍った地名とも言われています。千種川を繋ぐ山川里海が「宿神」というキーワードで繋がっていくように思い、このブランド名を付けさせて頂きました。

リターン(返礼品)のご紹介

リターン(返礼品)については、今回作った日本酒:宿神(shuku-jin)を中心に、オリジナル升、お酒に使っている酒米:神力のお米、赤穂市の名産品(塩や雲火焼)、2023年6月6日に酒米を栽培している兵庫県佐用町桜山で開催される御田植祭の参加チケットなどをご用意しています。また、商品の返礼品にはすべて、今回の物語を伝える限定ポスターが付きます(返礼品が商品の場合のみ)。

この機会に千種川流域の歴史や文化、自然、そして、これからの能と農のつながりに触れていただければと思います。


資金の使い道・実施スケジュール

今回、支援いただいた資金は、主に①日本酒:宿神(Shuku-jin)の物語を伝えるポスターのデザイン・印刷、②2023年6月に行われる御田植祭の開催費用、③日本酒:宿神(Shuku-jin)の関連神社への奉納などに使わせていただきます。

[達成目標250万円の使い道内訳]
・物語を伝えるポスターのデザイン費(一部):35万円
・ポスターの印刷費(約1000部):10万円
・2023年6月の御田植祭開催費(ステージ設営費や能楽師の出演料など一部):20万円
・各地神社へのお酒奉納費用(奉納酒代・交通費など):15万円
・企画・運営費:10万円
・映像制作費:5万円
・返礼品費用:112万円
・CAMPFIRE手数料:43万円
 合計:250万円

[スケジュール]
2023年4月27日:クラウドファンディングスタート
2023年5月31日:クラウドファンディング終了
2023年6月6日:御田植祭の開催
2023年6月~7月:返礼品の送付(ポスターの印刷・配布を含む)
2023年6月~9月:各地神社へのお酒奉納の実施

最後に

私たちは、このプロジェクトで作っているお酒を「奉納する」お酒としてつくっています。奉納するとは、「感謝を伝える」ことであると考えています。お酒をつくり、届けることで、私たちの日々の暮らしが多くの祖先や自然、歴史、文化によって支えられていることに感謝しながら、これからの時代の循環をつくり出していく。そのためにこの日本酒:宿神(shuku-jin)を通して、能と農をつなぐプロジェクトを行っています。応援をぜひよろしくお願いいたします。

応援メッセージの頂いている皆様

〇能楽小鼓方 上田敦史さん

有難(ありがた)や
諸人(しょにん)快楽(けらく)の申楽(さるがく)の道
滔々(とうとう)絶やさぬ志
護らん為(ため)のこの宮に
ちはやふる

新作能「八子大夫(やつこだゆう)」より

天照大神が岩戸にお隠れになり、あらゆる悪が蔓延る中、世に光を取り戻すため、天鈿女命が舞ったとされる最初の芸能、始まりの神楽。その「神」の字から編を取り除けた「申」を用い、能楽の古称「猿楽」は古来「申楽」とも書かれます。文字通り、神楽から分かたれた能楽は、神前に奉納する祈りや祝いであり、神と人が共に楽しみを申しつつ世を寿ぐ、芸能本来の形を今に伝えています。

有史以来、一度も絶える事無く伝承されてきた能楽は、2001年ユネスコ世界無形文化遺産に指定されました。私共能楽師はその永い歴史の中で練り上げられた土台によって生かされています。そして近年、日本を代表する優れた伝統芸能として世界へ発信されてきました。しかしながら今、その本来の役割を果たすべき時が来たように思います。

「農」と「能」には神と人との共同作業、そして共に楽しむという共通点があり、芸能で五穀豊穣を祈ることは必然とも言えます。その地域の歴史文化を護りながら、新たな能の種を蒔き、それぞれの土地の土・水・空気・人によってしっかりと根を張らせ、地域の伝統文化として次代へ継承していく。「おおさけのおさけプロジェクト」にはそのような未来を予感させてくれる骨太の精神性を感じます。私のライフワーク「能の種まき」とも重なり、心強い仲間を得た気持ちです。

今後、文明がいかに進んだとしても、人の営みの根本は変わらないでしょう。伝統を育む事の意義においては、都会も田舎もありませんが、それぞれの土地にあった取り組み方はあります。「農」も「能」も、その地域の歴史や風土と共に持続可能な地域文化でありたいと願っております。

〇写真家・フリーダイバー 菅原真樹さん
「宿神」はただのお酒ではありません。何億年というサイクルの中で巡った水、その水から命を宿した米や蔵元の叡智が詰まった神聖な御神酒です。この「宿神」は、人々から忘れ去られ自然界に埋もれている神々に捧げ、再び我々が自然界の循環の輪の中の「点」に還るための神酒であり、販売を優先させるものではありません。
ご縁がある方々にお分けして、その方々が神の語り部となる壮大なミッションが込められたものです。
この混沌とした現代社会にもう一度「畏れ多い」という畏敬の念を、人々に次世代に向けて蘇らせる力を秘める御神酒「宿神」をぜひご支援いただきたい。

〇アーティスト 元宝塚歌劇団  愛音羽麗さん

なんでもデジタル化されコンピューターが世界を動かす今の時代。
しかし、人間にしかない感情や感覚、それをなくしてはできないのが芸事、そして酒造りだと思います。
気候風土と熱き想いでできたお酒、祈りと想いがたくさんの人々に届きますように。

〇映画『銀鏡 SHIROMI』 監督 赤阪友昭さん
宿神とは、二十八星宿に宿る星の神。この世界のあらゆる事象に宿る宇宙から与えられた霊性ーそれが宿神の本質です。
つまり、私たちの知性や能力は、今生の肉体に与えられた宇宙の意思であり、それを存分に働かせることこそが私たちの責務であり、次世代が生きる礎を築くことになるのです。

かつて日本人には自然(じねん)という思想がありました。
人とその生環境を分けることなく共に生きるという考え方です。それはある意味で清濁混在のカオスを意味します。
人の都合など無視して世界は動いていきます。
だからこそ、人々はその生きる空間を守るために祈りを捧げてきました。

「能」と「農」を繋ぐというこの宿神のプロジェクトは、彼岸と此岸の間(あわい)の空間をテーマとする「能」と天地の鼓動の結実である「農」が、実はどちらも星の神である「宿神」から与えられた宿命を背負った私たちの「祈り」であることを教えてくれます。
私たちはどう在れば「じねん」の働きの一部となれるのか、その感性を手に入れることは次世代の世界を必ず豊かにすることになります。

「能」と「農」をつなぐこの宿神プロジェクト、ぜひ一緒に応援しましょう!

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/07/01 15:19

    今回のクラウドファンディングでご支援いただいた資金を基に制作している宿神SHUKU-JINのポスターの制作も大詰めを迎えています!!宿神SHUKU-JINの瓶の撮影の様子。微妙な光加減など、細やかな調整が必要なようで、最後まで力を尽くしてくださっています。今回のポスターは、宿神を通して伝えたい...

  • 2023/07/01 14:15

    試飲会のお知らせです。7月16日(日) 兵庫県佐用町で行われる「南光ひまわり祭り」で、日本酒「宿神 SHUKU-JIN」が試飲会デビューさせていただくことになりました!!佐用町の地酒として紹介いただけて、地域の方も含めて、多くの方に味わっていただく機会になればと思います。「千種川がつくった、お...

  • 2023/06/14 07:43

    先日6月6日に兵庫県佐用町桜山にて、御田植祭を開催いたしました。途中からの雨のため、室内への移動となり、棚田での三番三は観れませんでしたが、しっかり今年の豊作に向けた芸の奉納とご神事は出来たと思います。こんな近くで狂言の舞を見たのは初めてで、演者の方の息づかいや指先の所作、足運びまでを細かく見...

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